値上がりを続けている日本の光熱費
光熱費の高騰に困惑している人は少なくないはずだ。ロシアのウクライナ侵攻などをきっかけとした光熱費の上昇は現在も収まる気配が見られない。電気・ガス料金は、2024年10月の使用分で補助が終了し、12月請求分から値上がりしている。電力大手10社の料金は、平均的家庭で500~600円値上がりする見込みだ。都市ガスについても、大手4社で200~280円程度値上がりしている。
また、家庭内のエネルギー消費量の内訳を確認すると、給湯が約3割を占め、最大のエネルギー消費源となっている。そのため、給湯器の高効率化は地球温暖化対策だけでなく、光熱費削減に対しても有効といわれている。
このような背景から政府は、2024年度に引き続き「給湯省エネ2025事業」と「賃貸集合給湯省エネ2025事業」の実施を決定した。昨年度との違いも含め、内容を解説しよう。
「給湯省エネ2025事業」とは
これは、高効率給湯器の導入費用の一部を補助する事業だ。
対象製品
・ヒートポンプ給湯器
原則、国が定めた「電気温水機器のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等」の基準エネルギー消費効率以上の機器であること。
・ハイブリッド給湯器
一般社団法人日本ガス石油機器工業会の規格で、年間給湯効率が108.0%以上のもの。
・家庭用燃料電池
一般社団法人燃料電池普及促進協会の製品登録に必要な要件を満たしたもの。
ただし、この事業では給湯器メーカーが事前に登録申請を行い、基準を満たしていることが確認された製品を使用した工事のみを補助対象としている。どの製品が対象となっているのかは、今後開設する事務局ホームページで公表される予定だ。
製品や機能によって異なる補助額
補助額
補助額は、対象製品によって異なり、さらにA~Cの要件に応じた補助額とする。いずれの要件にも該当しない場合は基本額となる。なお、補助上限台数は、一戸建てはいずれか2台まで、共同住宅等はいずれか1台/戸までだ。
・ヒートポンプ給湯機(電気)
● 基本額:6万円/台
● A要件:10万円/台
インターネットに接続可能な機種で、翌日の天気予報や日射量予報に連動することで、昼間の時間帯に沸き上げをシフトする機能を有するもの。
● B要件:12万円/台
基本額の機種と比べて、5%以上CO2排出量が少ないもので、下記AまたはBに該当するもの。
A:2025年度の目標基準値+0.2以上の性能値を有するもの
B:おひさまエコキュート
● A要件およびB要件を満たすもの:13万円/台
・ハイブリッド給湯機(電気・ガス)
● 基本額:8万円/台
● A要件:13万円/台
インターネットに接続可能な機種で、昼間の再エネ電気を積極的に自家消費する機能を有するもの。
● B要件:13万円/台
基本額の機種と比べて、5%以上CO2排出量が少ないものとして、一般社団法人日本ガス石油機器工業会の規格に基づく年間給湯効率が116.2%以上のもの。
● A要件およびB要件を満たすもの:15万円/台
・家庭用燃料電池(ガス)
● 基本額:16万円/台
● C要件:20万円/台
ネットワークに接続可能な機種で、気象情報と連動することで停電が予想される場合に稼働を停止しない機能を有するもの。
加算措置
高効率給湯器の導入と同時に蓄熱暖房機または電気温水器を撤去する場合、補助金額に加算措置を受けることができる。
・蓄熱暖房機の撤去:8万円/台(上限2台まで)
・電気温水器の撤去:4万円/台(高効率給湯器導入により補助を受ける台数まで)
2024年度との主な違いは補助の金額だ。基本額は2024年度よりも減少している。しかしながら、要件を満たした性能の給湯機器に対しての補助金額は増加している。なお、それぞれの給湯器の特徴などは下の図で確認してほしい。
「賃貸集合給湯省エネ2025事業」とは
賃貸集合給湯省エネ2025事業は、設置場所の都合からヒートポンプ給湯器などの導入が難しいアパートやマンションなどの集合住宅に対して、賃貸オーナー等による小型の省エネ給湯器の導入を促進するものだ。従来型の給湯器からエコジョーズ等への取り替えを対象としている。
対象となる給湯器の基本要件
① 給湯単能機(エコジョーズ)の場合
モード熱効率が90%以上のもの
② ふろ給湯器(エコジョーズ)の場合
モード熱効率が90%以上のもの
③ 給湯暖房機(エコジョーズ)の場合
給湯部熱効率が95%以上のもの
④ 油焚き温水ボイラー(エコフィール)の場合
連続給湯効率が95%以上のもの
⑤ 石油給湯機(直圧式)(エコフィール)の場合
モード熱効率が91%以上のもの
⑥ 石油給湯機(貯湯式)(エコフィール)の場合
モード熱効率が80%以上のもの
いずれも、メーカーにより事前に登録されたものが補助対象となる予定だ。エコジョーズ・エコフィールの特徴などは下の図で確認してほしい。
補助額
・追い焚き機能なしエコジョーズ/エコフィールへの取り替え:5万円/台
(共用廊下を横断してドレンレールを敷設した場合:8万円/台)
・追い焚き機能ありエコジョーズ/エコフィールへの取り替え:7万円/台
(浴室へのドレン水排水工事の場合:10万円/台)
2024年度からのおもな変更点は2つ。2024年度は原則1棟あたり2台以上の取り替えが対象だったが、2025年度は1棟あたり1台以上の取り替えが対象となった。また、工事内容によっては2024年度よりも補助額が多くなっている。
着工日と申請方法は両事業とも共通
対象となる着工日と申請方法は、両事業とも共通で以下のとおりだ。
対象となる着工日
2024年11月22日以降に着工したもの。
補助対象者と交付申請者
補助の対象となるのは、給湯器設置工事の発注者だ。ただし、申請の手続きは施工事業者が行い、補助金の交付を受けてから発注者へ還元する。施工事業者は、申請前に「補助事業者」として登録を受ける必要がある。
申請締切日
2025年12月31日(予定)または補助予算(580億円)に対する申請額の割合が上限に達したとき。2024年度の場合、12月31日時点の予算に対する申請額の割合は97%だった。ただし、蓄熱暖房機などの撤去予算は11月18日時点で上限に達したので申請を締め切っている。やはり申請は早めに行った方がいいだろう。
還元方法
交付された補助金は、補助事業者から工事発注者へ全額還元される必要がある。おもな還元方法は、「工事代金に充当する」「現金で支払う」のいずれかになるはずだ。どちらにするのかは、必ず申請時に双方で合意しておかなければならない。
なお、これらの事業を利用する場合、原則として国の他の補助制度との併用はできない。たとえば新築住宅を建てて子育てグリーン住宅支援事業を利用する場合、補助対象となる給湯器が重複していれば併用は不可ということになる。しかし、住宅省エネ2025キャンペーンの対象として、補助対象となる給湯器が重複しなければ併用が可能だ。
申請方法や補助対象製品などの詳細は、今後開設する事務局ホームページで公表される予定だ。とはいえ、最適な給湯器はそれぞれの生活パターンなどによって異なる。そのため、製品を購入する事業者と相談しながら選ぶのが得策だろう。
●経済産業省「給湯省エネ2025事業」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/kyutokidonyu/kyutodonyuhojo2024.html
●経済産業省「賃貸集合給湯省エネ2025事業」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/kyutokidonyu/chintaisyugo2024.html
公開日:
LIFULL HOME'Sで
住まいの情報を探す
長期優良住宅認定の新築一戸建てを探す
マンションを探す
注文住宅を建てる
売却査定を依頼する
【無料】住まいの窓口に相談







