2021年の創業以来、横浜・湘南エリアに5拠点を展開し、急成長を遂げている不動産会社「株式会社Blue」。不動産会社なのに物件情報が載っていない個性的なホームページや、テーマに沿って洗練されたデザインの店舗など、なかなかに特徴的な不動産会社だ。

今回お話を伺ったのは、綺麗事を嫌い、「俺たちと家族の幸せ」を声高に叫ぶ元バンドマンの代表取締役 林正浩氏。一見型破りでありながら、着実にビジネスを広げる裏側には、どのような経営哲学があるのだろうか。創業の経緯から、独自の人材育成や好業績を生む顧客体験、そして従業員が安心して働ける職場づくりまで、その想いと取り組みを聞いた。

稼ぐために飛び込んだ不動産会社で抱いた違和感

―林社長が不動産業界に入られたきっかけは何だったのでしょうか。

林氏:かっこいい返答ができなくて申し訳ないのですが、「ノリ」と「稼ぐため」だったんです。もともとずっと売れないロックギタリストをやっていて、メジャーデビューしてCDも出しました。でも、それだけでは生活なんて到底できない。そんな中、結婚して子どもが生まれるというタイミングを迎え、「ちゃんと稼がなきゃまずいぞ」と、求人誌を開いて、とりあえず上から順にいくつか応募したんです。その結果、たまたまたどり着いたのが不動産業界でした。

株式会社Blue 代表取締役 林正浩氏株式会社Blue 代表取締役 林正浩氏

―そこから不動産業界でのキャリアが始まったのですね。最初の会社での経験はいかがでしたか。

林氏:最初に入社したのは、実績第一の不動産会社で、数字に伸び悩むメンバーが上司から高圧的な指導を受けている様子を目にすることも多かったんです。私は運良く成績を残してトップセールスになることができましたが、厳しい職場環境に悩んでいる仲間の姿を見ては、「この説教は誰が得をするんだろう。何の意味があるんだろう」と、心の中で大きな疑問を感じていました。その頃に抱いた違和感が、私の反骨精神の原点。もし自分が会社を作るなら、スタッフが安心して伸び伸びと力を発揮できる、前向きな環境にしようと思ったのです。

「まじめにふざける」がコンセプト。ギリギリアウトを攻めるホームページ戦略

―その後、独立してBlueを創業されました。貴社といえば、一見不動産会社のホームページとは思えない、まるで映画の公式サイトのようなホームページが目を引きます。サイト内の動画では、林社長やスタッフの皆さんによる映画俳優さながらの熱演も。サイトや動画の企画はどのような経緯で生まれたのでしょうか。

林氏:業界へのアンチテーゼです。普通の差し障りのないホームページなんて面白くないじゃないですか。従来の不動産会社の概念を崩すことを目指し、まじめにふざけて、自分たちの色をありのままに表現したかったんです。最初にホームページをリニューアルしようとした時、制作会社からは、新進気鋭の爽やかな不動産会社を思わせるデザインを提案されました。とても素晴らしい案でしたが、私はそれを見て「もっと面白くて、ギリギリ『アウト』のラインを攻めたい」と思ったんです。そこからディスカッションを重ねて限界までユニークなアイデアを出し合い、今のホームページにたどり着きました。私たちのカルチャーを全力で表現したデザインになっています。

―ギリギリ「セーフ」ではなく、ギリギリ「アウト」を目指すんですね(笑)。店舗の内装にも、こだわりが感じられます。

林氏:従来の不動産会社にありがちな、事務的なオフィスとは一線を画したかったんです。殺風景な接客カウンターや、壁に売上目標がでかでかと貼られているような空間では働きたくない。だから、内装にはお金をかけています。今私たちがいる藤沢店は湘南らしいサーフ系がテーマですが、拠点ごとに異なるテーマで空間を作っています。最初は「自分がワクワクできる空間を作りたい」という理由から始めましたが、結果的にスタッフの働くモチベーションにもつながっていますし、来店されたお客さまからも「居心地がよくておしゃれ」と温かいお言葉をたくさんいただいています。

ホームページで紹介されている林社長ホームページで紹介されている林社長

―ホームページや店舗のデザイン戦略の効果を教えてください。

林氏:ある意味、最高の採用戦略になっています。ホームページや店舗を見て、「こういう面白い会社で自分らしさを生かしたい」と共感してくれた人だけが応募してきてくれます。世間の標準に合わせた通り一遍のアピールは、結果的にお互いのミスマッチを生む原因になりがちです。最初から私たちの個性を見せることで、応募の段階でBlueのカルチャーにフィットした情熱のある原石が集まる、強力な採用ツールになっています。

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不動産業界未経験の人材を「覚悟」で採用し、「信頼」で育てる

―採用する人材は、基本的に業界未経験の方だとお聞きしました。その理由は何でしょうか。

林氏:私たちの価値観を素直に吸収し、一からBlueのスタイルを身につけてほしいからです。業界知識をまったく持っていない人材を育てるのは大変ですが、最終的なシナジーは圧倒的に大きいと考えています。スタッフの経歴も、元バーテンダー、元料理人、元アパレル店員など、不動産とは無縁の世界にいた人ばかりです。

―未経験の人材を育成するうえで、どのようなマネジメントを行っているのでしょうか。

林氏:ここが、私が一番戦略的にやっている部分かもしれません。採用面接は必ず私とマンツーマンで行いますが、あえてハードルを高く設定します。「本気で挑戦する覚悟はあるか」と向き合い、「どうしてもここで成長したい」と強い気持ちを示した人だけを採用するのです。なぜこんなステップを踏むかというと、入社後に「もっと頑張れ」「数字を上げろ」と尻を叩くような管理はしたくないからです。お互いにとってストレスですし、仕事が楽しくなくなってしまいます。だからこそ最初の入り口で、自分の意志でやる“覚悟”を決めてもらう。その結果、入社後は個人の行動を管理したり、数字のプレッシャーを与えたりしなくても、自然と自分から工夫して頑張るんです。実際、Blueでは個人のノルマは設定しておらず、数字で詰めたり怒ったりすることもありません。社内はとても自由で、のびのびとした雰囲気です。その結果、離職率も非常に低く、中には他社に転職した後に「やっぱりBlueの環境が自分に合っていた」と戻ってきてくれた“出戻り”のスタッフも複数います。それぞれが納得してここで働き続けてくれているのは、とても嬉しいですね。

―3ヶ月に一度、全体会議でスタッフに伝えている「Blue Pride(ブループライド)」という理念があるそうですね。

林氏:私は綺麗事が大嫌いなんです。よくある「地域社会への貢献」とか「業界の発展のために」といった高尚なスローガンは一切口にしません。全体会議では、声を大にしてスタッフにこう言います。「まずは俺たちと、俺たちの家族を絶対に幸せにしよう」と。自分たちの身近な人間すら幸せにできないのに、綺麗事を語っているほうが嘘くさいじゃないですか。自分と家族が幸せになって、「Blueで働いている」と誰にでも胸を張って言える。それが「Blue Pride」。実現のためには、口に出さずとも、お客さまに本当に良いものを提案することが大前提となります。

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物件ではなくライフスタイルを提案し、共に楽しむ

物件ではなくライフスタイルを提案し、共に楽しむ

―Blueで部屋探しをされるお客さまには、どのような顧客体験を提供しているのでしょうか。

林氏:スタッフには、お客さまに物件を紹介するだけでなく、「先の暮らしを想像しよう」と伝えています。例えば藤沢店の場合、お客さまを物件に案内する前にまず海へお連れして、一緒に波を眺めるスタッフもいます。「湘南で暮らすって、こういう風に豊かな時間が流れることなんですよ」と。ほかには、地元のおすすめしたいカフェを紹介しようと、店舗でそのカフェの豆で淹れたコーヒーを出すなど、横浜西口店、横浜駅前店、藤沢店、湘南店のいずれのスタッフも、それぞれのやり方で、その街に暮らす楽しさを提案しています。

―そうした等身大の接客が、顧客満足度や口コミにつながっているのですね。

林氏:おかげさまで、スタッフ個人に対する温かいお褒めの口コミをたくさんいただいています。お客さまとスタッフが深い信頼関係を結ぶので、トラブルやクレームはほとんどありません。ご紹介やリピーターのお客さまが非常に多いのも、このライフスタイル提案がしっかりと届いている証拠だと思っています。

賃貸仲介からストックビジネスへ事業を拡大。長く安心して働ける会社へ

―今後に向けて展望している事業展開を教えてください。

林氏:スタッフの未来を守るために、極めて冷静に戦略を立てて進めています。私がこの会社を立ち上げた動機の一つが「一生安心して働けるキャリアパスを作ること」でした。賃貸仲介はなかなか大変な仕事です。私も前職では、「自分はいつまでこの仕事を続けられるだろう」と不安を感じることがありました。また、賃貸物件をご紹介したお客さまから「林さん、ありがとうございました。今度は家を買いたいので、また林さんにお願いできますか?」と言われたものの、体制の都合でお断りせざるを得なかったもどかしい経験もありました。だからこそBlueでは、賃貸仲介事業で育ったスタッフが、年齢やライフステージの変化に応じてステップアップしていける「次のステップ」をたくさん用意したいですし、お客さまとも長くお付き合いできる体制にしたい。店舗のマネジメント職はもちろん、売買事業部、アセットマネジメントを担当する事業推進部、自社で購入した収益物件の管理部門など、多様な活躍の場を整備しています。現在スタッフは40人ほどになりましたが、彼らがずっと安心して活躍できるよう、仕組みを整えています。会社の経営基盤をより盤石にし、将来的にスタッフの待遇をさらに良くしていきたい。「Blueで働けて本当に良かった」と実感できる会社にすることが、経営者としての私の役割だと思っています。

私たちはほかの誰かを模倣するのではなく、自分たちらしいやり方で成長していきたい。業界の固定観念にとらわれることなく、自分たちが正しいと信じる道を、やりたいようにやり通す。この情熱が、私たちの原動力であり、Blueという会社そのものなんです。だから私は、業界のゴルフやお酒の席にもあまり行きません(笑)。

―奇抜なホームページやおしゃれな内装といった個性的な“見た目”の奥にある、綺麗事のない極めて実直でブレないロックな魂を感じました。本日はありがとうございました。

2026年9月 株式会社Blue 藤沢オフィスにて、周りのスタッフにそそのかされ、ついポーズをとる林社長。このポーズは「Blueポーズ」だそう2026年9月 株式会社Blue 藤沢オフィスにて、周りのスタッフにそそのかされ、ついポーズをとる林社長。このポーズは「Blueポーズ」だそう

企業データ・特徴まとめ

企業データ

※2026年9月時点

会社名

株式会社Blue
(免許番号:神奈川県知事免許(2)第31382号)

主たる事務所の所在地

神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町1丁目7番21号 横浜西口平沼ビル6階

代表者

代表取締役 林 正浩

設立

2021年

店舗一覧

・横浜西口店(神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町1丁目7番21号 横浜西口平沼ビル6階)
・横浜駅前店(神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-12-1 横浜カリオカビル404)
・藤沢店(神奈川県藤沢市鵠沼花沢町1丁目12番地 第5相澤ビル4階)※湘南店に併設
・湘南店(神奈川県藤沢市鵠沼花沢町1丁目12番地 第5相澤ビル4階)※藤沢店に併設

主な事業内容

不動産賃貸仲介、売買仲介、アセットマネジメント、自社収益物件の管理

サービスの特徴

横浜、湘南エリアの暮らしをイメージさせる「ライフスタイル提案型」の接客。顧客との深い信頼関係により、紹介やリピーターが多数。

働く環境・採用(評判)

業界未経験者を「覚悟」を基準に積極採用。個人ノルマなし。スタッフ個人の自主性を重んじるため離職率が低く、出戻り社員も在籍。

株式会社Blueに関するよくある質問

Q. 株式会社Blueはどのような不動産会社ですか?

A. 綺麗事を嫌い、従業員と顧客の幸せを追求する「Blue Pride」を掲げる会社です。物件情報だけでなく、横浜、湘南エリアでの豊かなライフスタイルそのものを提案しています。

Q. 株式会社Blueは怪しい会社ですか?

A. ホームページに物件情報が載っていないため驚かれることもありますが、これは「物件ではなくライフスタイルを提案する」という方針によるもので、横浜・湘南エリアで複数拠点を構える正規の不動産会社です。

Q. 一般的な不動産会社と株式会社Blueの違いは何ですか?

A. カウンター越しに条件の合う物件をリストアップするだけの事務的な接客を行わない点です。お客さまが引越した後の暮らしが楽しみになる提案を追求しています。

Q. 湘南エリアで海が見える物件を探すならBlueはおすすめ?

A. スタッフ自身が日常的に海のあるライフスタイルを楽しんでいるため、物件のスペックだけでなく、住んでみないと分からないリアルな住環境まで踏まえたアドバイスが期待できます。内見の前に一緒に海を見に行くなどの、顧客に合わせた柔軟な接客も特徴的です。

Q. 未経験でも採用を行っていますか?ノルマは厳しいですか?

A. 業界未経験者を積極的に採用しています。また、業界特有の「数字で詰める」文化を排除しており、個人の業績ノルマはありません。スタッフの自主性を重んじる自由な社風であるため離職率は非常に低く、一度他社へ転職したスタッフが戻ってくる「出戻り」事例もあります。

Q. 賃貸仲介以外の事業は行っていますか?

A. 従業員が長く安心して働けるキャリアパスを作るため、売買事業部、アセットマネジメント(事業推進部)、収益物件の管理部門など、ストックビジネスへも事業を拡大しています。

Q. 株式会社Blueの空室対策や客付けの強みは?

A. 大手不動産ポータルサイトでの問合せ数は、エリア内でも上位にあり、客付け力に定評があります。