「Life-styling×経年優化」を掲げ、多彩な商品ブランドを展開する三井不動産レジデンシャル
住宅業界のリーディングカンパニートップにインタビューを行う【NEXT 日本の住まい】企画。毎回、業界のトップにすまい・まちづくり・開発・サービスに対する想いと「日本の住まいと未来」についてお聞きしてきた。
今回は、三井不動産グループのひとつである三井不動産レジデンシャル株式会社(以下、三井不動産レジデンシャル)を紹介する。三井不動産グループは、1986年からマンション事業を手掛け、「パークホームズ」「パークコート」をはじめとする多彩な商品ブランドで知られる。三井不動産レジデンシャルは2006年に、グループの分譲住宅ブランドを手掛ける会社として営業を開始した。
インタビュアーを務めるのは、コーポレートメッセージとして「あらゆるLIFEを、FULLに。」を掲げる株式会社 LIFULL 井上 高志 代表取締役社長。今回もこの企画を通じて、トップ企業のすまいづくり・まちづくりの取り組みをインタビューを通じてお伝えする。
今回は、三井不動産レジデンシャル株式会社の本社にお伺いし、代表取締役社長 嘉村 徹氏にお話を聞いてきた。
コーポレートステートメント「すまいとくらしの未来へ」の想い
嘉村 徹:三井不動産レジデンシャル株式会社 代表取締役社長。1964年生まれ。1988年三井不動産入社。三井不動産レジデンシャル開発事業本部都市開発事業企画部長などを経て、2021年4月に代表取締役社長就任、現在に至る。
井上氏:御社は、1968年に竣工した三井不動産の第一号マンションの流れをくみ、2005年に三井不動産レジデンシャル株式会社を設立、2013年には新築分譲マンションの供給戸数でトップになられております。「パークホームズ」「パークコート」をはじめとする商品ブランドを展開され、常にすまいとまちづくりの分野で業界を牽引されてきました。まずは、日本の分譲住宅のトップブランドとしての御社の理念をお聞かせいただけますでしょうか。
嘉村氏:私たちは、三井不動産の住宅開発部門と三井不動産販売の新築販売部門から成る新会社を 2005年に設立し、2006年10月に営業を開始しました。当時の新会社設立における住宅事業の戦略は3点ありました。一つ目は用地取得能力強化をはかるため、「顧客とより濃密な関係を構築」することです。顧客との関係構築によりユーザーニーズを捉え、それにより商品の付加価値を高めることで当社の商品価値の向上につなげてきました。商品価値を向上することは結果として、オーナーや地主の方々へ、より高い価格を提示することができます。二つ目は顧客の多様化を意識し「さらなる商品ラインナップの多様化も含め、商品力を向上」させること。そして三つ目はこれらの戦略を「スピード感を持って実現するための組織を整備」することです。これらは今なお、私たちの重要な戦略として、日々アップデートし続けています。
私たちは、「すまいとくらしの未来へ」というコーポレートステートメントを掲げていますが、これは、お客様にとって「すまい」というハードの面だけでなく、「くらし」も含めた「ベストパートナー」であり続けたい、安全・安心なすまいとくらしを創造し続けたい、といった想いが込められています。さらに未来に向けては、新たな価値創造を生み出していくことで社会に貢献すること、絶えずビジネスの革新に取り組むことへの想いも込められています。
井上 高志:株式会社LIFULL 代表取締役社長。1997年株式会社ネクスト(現LIFULL)を設立。インターネットを活用した不動産情報インフラの構築を目指して、不動産・住宅情報サイト「HOME'S(現:LIFULL HOME'S)」を立ち上げ、日本最大級のサイトに育て上げる。現在は、国内外あわせて約20社のグループ会社、世界63ヶ国にサービス展開している。井上氏:常に革新に取り組むということを意識していらっしゃるんですね。御社のビジョンは「すまいとくらしの未来へ」ということでしたが、その言葉にはすまいづくりについてもさまざまな想いがこもっていらっしゃると思いました。
嘉村氏:「すまいとくらしの未来へ」という理念には、今までも、これからもお客様とともに歩み続け、そして、三井の DNAである進取の気性(新しいものにチャレンジしていく精神)を持ち続けていきたいという姿勢が示されています。昨年1月にはこの理念を再確認、強化していくため商品ブランドのリブランディングを行いました。コンセプトに「Life-styling×経年優化」を掲げ、改めて「お客様の多様なライフステージに応え続けること」「時の深まりとともに潤うすまいとくらしづくり」の実現に向け、社員一丸となって商品やサービスの進化に取り組んでいます。
「製販一体のすまいづくり」の強み
井上氏:御社のすまいづくりの特長と強みには、さらに「製販一体のすまいづくり」ということがあると思います。こちらについてお話しいただけますでしょうか。
嘉村氏:以前から三井不動産の住宅部門を中心に、常にお客様の声に耳を傾け、販売会社、管理会社と密に連携・協力しながら、すまいとくらしを提供してきました。しかし一方で、お客様のさらなる多様化やマーケットの変化は、従来とは比べものにならないほどのスピードで進んでいます。そういった時代に、我々の製販一体のすまいとくらしづくりは更なるスピード感を持って対応し、さらに未来を先取りする取り組みを続けなければなりません。実際に、製販一体によりお客様の声・ニーズを確実に商品企画やサービスに反映させ、新たなコンセプトである「Life-styling×経年優化」の実現もはかれていますし、用地取得段階から販売まで一貫した方針で業務を推進することで効率化もはかれています。
井上氏:一貫することで、お客様の声・ニーズを反映した商品やサービスを提供できるということですね。
嘉村氏:そうです。加えて「Life-styling×経年優化」を実現していく上では、「くらし」に密接に関係する管理会社との連携強化も欠かせないものです、実際のご入居者様の声から現在のくらしの改善をはかり「くらしを優化させる」ことはもちろん、商品企画へ確実にフィードバックすることで商品・サービス強化につなげられていると考えます。ただ、最終的にデベロッパーとして一番大切なことは、お客様に安全・安心のすまいとくらしを提供することです。この点については、今までもこれからも、一番にこだわり続けていきたいと思っています。
引き渡し後もお客様のくらしへ「クオリティ」を提供する
井上氏:御社はすまいというハードを提供するだけでなく、お客様のくらしの質の向上にも取り組まれているとお聞きしています。御社が提供するくらしのサービス、また、なぜそのようなサービスを手掛けられているのかを教えていただけますでしょうか。
嘉村氏:私たちは、売って終わりではなく、引き渡し後のお客様のくらしに寄り添い続け、お客様の日々のくらしを充実させていくことが重要だと考えています。10年・20年後も安全・安心で、快適なすまいとくらしを届けることこそが、真の価値ある品質だと捉えています。購入のスパンが比較的長期になりがちな不動産事業において、お客様の日々のくらしに寄り添える「三井のすまいLOOP」の存在価値は高いと考えています。「三井のすまいLOOP」は、三井不動産グループの住宅サービスをご利用いただいている皆さまのメンバーシップサービスで、リフォーム、家事代行やハウスクリーニング、ショッピング・レジャー優待まで、幅広く、すまいとくらしをサポートするサービスです。このような日常使いをしていただけるようなサービス、便利と感じていただけるようなサービスに注力し、お客様の「くらし」に必要不可欠なサービサーになりたいと考えています。
井上氏:引き渡し後にもお客様のくらしのクオリティをあげていくということですね。また、御社は居住者同士のコミュニティ形成にも力を入れていらっしゃるということですが。
嘉村氏:コミュニティは、安心・安全なくらしのひとつの基盤であると考えています。特に震災以降、有事の際に互いに助け合うことの重要性は高まりました。私たちは、ご入居者様のあいさつ会「レジデンシャルグリーティング」、地域間の支援として WANGAN ACTION を実施するなど、居住者間のコミュニティ形成支援に積極的に取り組んでいます。これらソフト面の取り組みを通じて、お客様とのつながりを永く強固なものにしていくことが、将来再びグループ各社にご縁を持っていただけることと考えています。
ニューノーマルはもちろん常に時代とニーズに応え続けることが大切
井上氏:昨年から今年にかけては、コロナ禍で人々のくらしやすまい方が大きく変化をしています。また、日本は少子化・高齢化が進んでいます。新しい時代のすまい方についてのご意見をお聞きできればと思います。
嘉村氏:Withコロナの顧客のくらし方の変化により、顧客ニーズはますます多様化していくと考えています。私たちはこれまでもマンション、戸建て、賃貸、シニアレジデンス等、多様化する顧客ニーズに合わせた、時には時代を先取りするような商品・サービスを提供してきています。それが、いわば常にニューノーマルを追求している姿勢であると自負しています。例えば、最近の取り組みを紹介させていただくとすれば、リモートワークのニーズに応える「パークタワー勝どき」の個室ブースを備えた300平米のコワーキングスペースや外構部Wi-Fiの整備、書斎部屋変更メニュープランの導入などがあげられます。書斎部屋変更メニュープランは、他物件でも展開しています。また「Life-styling プロジェクト」においては、コロナ禍において需要が高まるテレワークスペースやスタディスペース、コミュニケーションスペースなどを、すまいの延長空間と位置付け、ご自宅の近くで気軽に利用ができる施設として、トライアルを開始した「イエチカ BASE」や、現在検討中の「多拠点居住」への取り組み等に力を入れています。加えて、お客様の手続きのご負担、環境負荷軽減を実現すべく、今年秋頃から「契約手続きの電子化」の導入を開始し、順次展開していく予定です。今後についても、まさに「Life-styling」の視点で新たな顧客ニーズに応え続けていくことが一層重要であると考えています。
井上氏:日本は、戦後から現在まで長らく新築一辺倒の時代が続きました。空き家やストック住宅が増加しており、新築一辺倒であった時代から次の時代へと変化せざるを得ません。今まで新築分譲分野を牽引されてきた御社は、この課題をどのように考え対応されていくのかについてお聞きしたいと思います。
嘉村氏:高経年マンションは大きな社会課題ですね。私たちの最近の取り組みとしては、昨年4月に立ち上げたマンション再生推進部があげられます。それまでは再開発事業を所管するプロジェクト推進部の 1 グループとして事業推進を行っていましたが、高経年マンションへの対応は喫緊の社会課題であるとともに、住民の方においてもご自身がお住まいの高経年のマンションが抱える問題についてのお問合せを多くいただくなどニーズも高まっており、2021 年度より部門として独立させました。この部では、修繕工事との比較選択に必要な検討作業に始まり、マンション建て替え・敷地売却事業はもちろん、ニーズによってはリフォーム・リノベーションへの取り組みなどを幅広く、より専属的・専門的に行っていきます。「権利者様のマンション再生への想い」×「当社のまちづくり・すまいづくりへの想い」のベストミックスを常に心がけ、再開発事業や建替え事業で培ってきたノウハウを活かし権利者様の想いに寄り添った、建替えというソリューションに限らないサポートを行っていくことを念頭に、組織の名称は「建替え推進部」ではなく「再生推進部」としました。高経年マンションの再生については国や地方自治体としても大きな課題認識を持たれ支援体制をとられていますが、より円滑に再生が進められるよう積極的な施策の提言を業界あげて行っていきたいですね。そして、これこそが「高経年」のマンションを文字通り「経年優化」させていく取り組みであると考えています。
井上氏:「経年優化」という考えをすまいにもまちづくりにも、ということですね。
嘉村氏:2017年4月に三井不動産は「すまいとくらしの連携本部」を新設しました。これは多様化する顧客のニーズに寄り添い、ハードとしての「すまい」だけではなく、よりご満足いただける「くらし」をシームレスにお届けできるようにグループの住宅事業に関わる会社のサービスをワンストップで応える仕組みが必要と考え設立したものです。三井不動産グループおよび住宅グループの連携は欠かせないものであり、各社のもつリソースを十二分に活用することでグループをあげてお客様の多様なニーズに応えていくとともに、社会課題を解決していけるような「まちづくり」「すまいとくらしづくり」に取り組んでいきたいと考えています。
今までも、これからも。「三井」ブランドに寄せられるユーザーの期待を責任に
井上氏:今回のコロナ禍だけでなく、地球温暖化、社会構造の変化、人々のくらしの変化は続いていくと考えられます。また、SDGs の考え方はこれからのすまい・まちづくりに大きく関係していくと思います。御社が考える企業としての社会的役割・責任についてのお考えをお聞かせください。
嘉村氏:脱炭素については、社会的存在としての企業が果たすべき課題だと認識しています。当社はこれまでもZEH対応をはじめ、個別で様々な取り組みを進めてきましたが、今般、すまいとくらしの両面からカーボンニュートラルの実現を目指すべく「カーボンニュートラルデザイン推進計画」を策定しました。「Reduction」「Renewable energy」「Relation」の3つの領域での取り組みを軸に据え、すまいの高性能・高耐久化による省エネルギーの実現や、再生可能エネルギーの導入を促進するとともに、ご入居者様のくらしにおいても、楽しみながら省エネルギー行動等の環境貢献に取り組んでいただけるようなサービスの提供を推進していきます。
計画の推進にあたっては2022年4月1日付けで「Life-styling×経年優化・カーボンニュートラル推進室」を新設し、全社のあらゆる部門と連携し、計画実行に向けた取り組みを拡大・強化していきます。また、当社グループは以前から街づくりを通じて持続可能な社会の実現に貢献していくことを標榜していますが、脱炭素だけでなく、その他のSDGsの取り組みについても積極的に推進していきます。これらの取り組みを各事業の競争力強化と差別化に繋げていくことが、当社の持続的成長のカギとなると認識しています。
井上氏:最後に、嘉村社長が考える「未来のすまい」と「未来のまち」、「人々のくらし」について、ぜひお考えをお聞かせください。
嘉村氏:私たちは、これまですまいを提供する中でお客様の期待に応えながら培ってきたブランドがあります。すまいを提供するということの本質は、安心・安全はあたりまえであり、その次のくらしの充足感や幸福感を提供することです。ニーズは多様化していますが、「三井不動産レジデンシャルだったら」というユーザーの期待を受け、またそれに高い品質で私たち自身が真摯に応えていくことで、商品に対する誇り、ブランドに対する誇りを持ち続けたいと考えています。いつの時代もご期待を超えるすまいをつくり、お客様とともに潤いのあるくらしを育てていくことが使命だと思っています。満足と感動をお届けする商品・サービスを提供できるよう、今後も研鑽し続けていきます。
井上氏:「三井」という誇れるブランドとは、お客様の期待に応える責任があるということですね。大変良いお話を聞けました。本日は、ありがとうございました。
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