分譲戸数4年連続減少と定期借地権分譲は急増。東京23区は2.5%減に留まる
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首都圏新築分譲マンション市場動向2025年のまとめを発表(不動産経済研究所)
不動産経済研究所から2025年の首都圏および近畿圏の新築マンション供給について確定値が公表された。
これによると、首都圏(1都3県)の新築マンション分譲戸数は対前年比4.5%減の21,962戸で1973年以降の過去最少を更新している。ちなみに過去最多は2000年の95,635戸だったから、25年間で23.0%、つまり4分の1以下の市場規模にまで縮小したことになる。
新規供給は例年東京23区が最も多いことに変わりはないが、2025年は8,064戸で2024年の8,275戸から2.5%減少した。対照的に東京都下は2,749戸で前年比34.7%の大幅増を記録している。マンション・デベロッパーが、より安価に分譲できるエリアでの物件開発に注力し始めていることがわかる。神奈川県は4,918戸で前年から1戸増の横ばい、埼玉県は3,153戸で4.8%減、千葉県は3,078戸と30.9%、約1,400戸もの大幅減となった。
住宅価格の高騰によってファミリー層の郊外化が指摘されて久しいが、新築マンションの供給に関して言えば、東京23区(うち都心6区は2,444戸:都内の30.3%)が主戦場であることに変化はない。都心方面へのアクセスが良好かつ都内よりは安価に分譲可能なエリアでも新規分譲は継続的だが、埼玉県と千葉県では大規模なプロジェクトが建築コストの上昇により数を減らしたことで供給減を招いている。
また、目につくのは定期借地権分譲物件が1,502戸と過去最多を更新していることだ。これも価格高騰を背景として、都心周辺の立地条件の良い企業保有地などに、所有権分譲よりは(土地価格が含まれないため)1~2割安価に分譲可能とされる定期借地権マンションの特徴が発揮されたと言える。加えて固定資産税や都市計画税も軽減できるなどの側面があるが、マンションの敷地(底地)は居住し続ける限り地代を支払わなければならないこと、および底地の借地権が満了した時に備えて解体積立金を別途負担しなければならないことには留意が必要だ。
LIFULL HOME'Sのアンケート調査では、直近3年間(2023~2025年)でマンション購入を検討し実際に購入したユーザーは回答者のわずか3.6%に留まっている。分譲価格の高騰だけでなく、予算内で購入できそうな新築マンションの供給が東京都下を除く周辺エリアで減少し、高額でも販売可能な都内での分譲シェアが2025年も36.7%(東京都49.2%)を占めている。このように広域でも立地優先の分譲スタイルが継続していることが、“実需層の新築マンション離れ”を招いている。
なお、購入を検討したものの買わなかったユーザー(6.3%)の内訳は、「検討継続中」が41.3%と最も多い。一方で、中古マンションや分譲戸建など「新築マンション以外を購入」が22.7%、「賃貸住宅その他」が13.5%、「検討するのを諦めた」が22.5%となっている。4割強が引き続き検討しているという状況、および4割弱が他の物件の購入に踏み切ったり賃貸住まいを選択したりと方向を変更している事実を、マンション・デベロッパーは真摯に受け止める必要がある。
折しも2026年には茨城県つくば市のつくばエクスプレス「研究学園」駅前(徒歩9分)の立地に、総戸数602戸の大規模マンション「プレミストつくば研究学園」が分譲されることになっており、価格次第ではあるものの、「北千住」へ約40分、「秋葉原」へも1時間弱という交通条件で、郊外化を志向するファミリー層にどのように訴求するのか注目される。
2025年の首都圏平均価格は9,182万円。東京23区は1億3,613万円。いずれも過去最高額
一方の価格は、首都圏平均が9,182万円と過去最高だった2023年の8,101万円から13.3%上昇し、過去最高値を更新した。東京23区平均は1億3,613万円で前年の1億1,181万円から21.8%と大幅に上昇し、こちらも過去最高値となっている。都心6区に至っては1億9,503万円と2億円近いレベルまで高騰しており、過去最高の1990年に記録した22,662万円に迫りつつある。1億円以上の価格で分譲された戸数も5,669戸、前年の3,648戸から一気に55.4%増加しており、都内では1億円を超える物件が珍しくない状況だ。このため、ファミリー層を中心とした実需層の郊外化は2026年以降も継続していく公算が大きい。
ただし、足元の首都圏平均価格の推移をみると、2025年8月の1億325万円でピークを迎えた後、9月9,956万円、10月9,895万円、11月9,181万円、12月も8,469万円と4ヶ月連続して下落している。分譲される物件によって価格差が大きい新築マンション市場とはいえ、ややボラティリティ(価格変動の度合い)の大きさが目立つ(直近最安値は2025年4月の6,999万円)。
新築マンション市場では、都心周辺の市街地で発生する地価の上昇、円安による資材価格の高騰、空前の人手不足が続く建設業・運輸業の人件費高騰に加え、昨年4月以降は省エネ基準への適合義務が課され、これもコストを押し上げる要因となっている。しかし、これらの要因よりも都心周辺で発生しているマンションの“買い進み”が価格高騰に拍車をかける最も大きな要因だ。
業界団体も個別契約によって転売の禁止・抑制を図ろうとしているが、明らかに資産インフレが発生している状況では、投資対象となる新築マンションの買い進みを抑制することは容易ではない。国も今後検討すると言いながら、2026年は通常国会冒頭解散によって対応は遅れており、現時点でここ数年継続する新築マンションの価格上昇に歯止めをかけることは難しい。短期売買における譲渡所得税の引き上げや不動産取得税の特例適用除外などの方法も検討されているようだが、実需と実需以外の購入目的を区分して課税することは極めて困難だ。どこにどのような方法で規制の網をかけるのか、新築マンションの購入実態を正確に把握し、特措法や条例の制定に向けて議論を加速させるべきタイミングに来ているのではないか。





