竹の塚まちづくり構想の概要
東京都足立区の竹の塚が、大きく動き出している。
高架化を契機に本格化した再開発は、駅周辺だけでなく、エリア全体に関わる大きな転換点となっている。今回は足立区役所へのインタビューと現地取材を通して、“新しい竹の塚”がどんな未来を描こうとしているのか、その核心に迫る。
もともと竹の塚は、下町らしいあたたかさと住宅地の落ち着きを併せ持つ地域として親しまれてきた。近年そこに再開発が加わり、街の雰囲気や価値が大きく変わり始めている。
長年の地域課題であった踏切問題が2022年の高架化によって解消されたことをきっかけに、街全体の安全性と回遊性を高めながら、駅を中心に新たなにぎわいを育てていく取り組みが進められている。
高架化により、歩行者と車の動線が大きく改善し、東西の移動がスムーズになったことで、これまで分断されていた街のつながりが強まり、交通広場の整備や駅前空間の再構築が進むことで、人が立ち寄りやすく滞在しやすい環境が生まれつつある。
2024年5月には駅直結の商業施設「EQUiA 竹ノ塚」が開業し、“乗るだけの駅”から“使いたくなる駅”へと役割が大きく転換した。商業、サービス、公共機能が一つにまとまったことで、自然と人が集まり、駅周辺に新しいにぎわいの軸が生まれている。
こうした変化が積み重なることで、竹の塚の印象やブランドは確実に向上し、街全体がこれまで以上に魅力的なエリアへと進化しつつある。
さらに、上野まで約20分、秋葉原まで約25分というアクセスの良さも大きな強み。都心にスムーズに出られる一方で、住宅価格は都心よりも抑えめで、幅広い世代が生活拠点を作りやすいバランスの良さがある。
再開発の進行で利便性とにぎわいが増すなか、街の価値はこれからさらに高まる可能性が高く、竹の塚は“成長が続くエリア”として注目すべき存在となっている。
足立区役所で竹の塚の再開発についてインタビュー
足立区役所の職員である、大越さんと小宮さんに、竹の塚エリアの再開発について詳しい話を伺ってきた。
ーまずは竹の塚エリアの特徴について教えてください。
大越さん:竹の塚は足立区の北端、都県境に位置する街で、昔ながらの雰囲気が色濃く残るエリアです。周辺を走るバス路線も充実しており、竹ノ塚駅は多くの住民にとって重要な交通拠点になっています。
一方で、意識調査では「治安が良いとは思わない」という声が多く、実際の犯罪件数以上に“体感治安”の評価の低さが先行していました。特に若い世代の居住年数が少ない方がネガティブな印象を持っており、このイメージの改善は竹の塚のまちづくりを進める上で、大きな課題のひとつでした。
小宮さん:昔ながらの団地が非常に多いことも特徴で、棟数で言えば数十棟規模にのぼります。
ー高架化による影響について教えてください。
大越さん:竹ノ塚駅にはかつて、遮断時間が非常に長い“開かずの踏切”と呼ばれた大踏切があり、駅の東西が分断されたような状態になっていました。2005年にこの大踏切で痛ましい事故が発生したことがきっかけとなり、高架化が進められてきました。2022年に高架に切り替わったことで、分断されていた東西エリアがつながり、今は高架下の活用を含めた“一体的なまちづくり”を進める段階に入っています。
小宮さん:高架化によって、電車からも駅前の景色が見えるので、賑わいや変化を感じてもらいやすくなったと思います。昨年完成した駅直結の商業施設の影響もあって、駅周辺の印象が良くなったという声を住民の方からも頂いています。
ー高架化以外の再開発の内容について教えてください
大越さん:竹の塚のまちづくりでは、まず“駅に降りてもらい、この街の魅力に触れてもらうこと”がイメージ改善にも繋がると考えています。そして、駅前だけで完結させず、老朽化した竹の塚センター周辺などを新たな回遊拠点として位置づけ、歩いて街を知ってもらう流れをつくる。そのための仕掛けづくりが重要になってきます。
駅前交通広場の整備では足立区だけでなく、UR都市機構が管理する団地、東武鉄道が保有する旧駅ビル「TBOX」などの敷地も活用し、区・UR・東武鉄道の三者が連携して“人が主役となって活動できる駅前空間”をつくる検討が進んでいます。
小宮さん:目的はシンプルで、竹ノ塚駅に来た人が自然と街に足を運び、“この街って面白いな”と感じられる導線をつくること。駅前がその出発点になるよう、各事業者が力を合わせて再編を進めている段階です。
大越さん:また、駅前ロータリーはバスの発着数に対してスペースが足りず、やむを得ず少し離れた場所にバス停を設けているという課題もあります。こうした点も含め、今後は駅周辺の利便性をさらに高めていければと考えています。
新しく生まれ変わった竹の塚を歩いてみた
実際に竹ノ塚駅周辺に足を運んで、再開発による変化を体感してみた。
高架化によって生まれた広い駅前空間には、日用雑貨店・ベーカリー・飲食店などが新たに並び、帰宅ついでに買い物が完結する便利さを感じる。雑多さと新しさが同居する独特の空気感があって、「昔ながらの下町」から「暮らしの動線が洗練された街」へと確実に進化している印象を持った。
駅前からはバスも多く出ていて、足立区役所、区内屈指のターミナル駅である北千住駅などに一本で行くことができるのも、大きな魅力。
鉄道+バスのハイブリッドで行動範囲はかなり広がるため、子育て世帯にも単身者にも住みやすい交通環境が整っている。
駅前を歩くと、建設中のマンションも複数あり、再開発による“人の流入フェーズ”が今まさに進行している状況だ。供給が増えることで街に若い住民が流れ込み、商業と生活インフラがさらに整っていく、そんな好循環の入り口にいることを肌で感じた。
再開発で生まれる“新しい竹の塚”、ここに暮らしたくなる理由
竹の塚の再開発は、日常の使い勝手を高めるだけでなく、街そのものの魅力を底上げしている。高架化、商業施設、駅前空間の整備によって、暮らしの動線がスムーズになり、“住みやすさ”が確実に進化している。
さらに、駅周辺では複数のマンション開発が進んでおり、若い世代の流入がこれから本格化するフェーズ。人が増え、商業施設が増え、街の楽しみが増える、そんな好循環が始まる手前にある。
元々の下町のあたたかさに、都市的な便利さと新しいにぎわいが加わり、竹の塚という街のブランドは明らかにアップデートされている。“これからの足立区”を象徴するエリアとして、今こそ要注目だと言える。











