阪神・淡路大震災から30年が経過。震災時の課題とは

2025年1月17日は、阪神・淡路大震災の発生から30年となる。
朝方の5時46分に起きた地震は、淡路島北部を震源とし、最大震度7、マグニチュード7.3を記録。神戸市を中心とした阪神地域・淡路島北部で大きな被害が生じた。

死者は6,400人、負傷者4万3,700人以上という甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災。住宅では、全壊が約10万5,000棟、半壊が約14万4,000棟。さらに、外見上問題はなくても、構造部分の損傷も多いとのことだ。どのように、住まいの倒壊・損傷を防ぐかは、考えなければならない課題だ。

また、阪神・淡路大震災で新たな課題として浮き彫りになったのが「災害関連死」だ。災害関連死とは、直接的な災害によるものではなく、災害時のけがの悪化や被災後の避難環境などにより健康が損なわれて命を落とすことだ。また、避難所の衛生面の懸念や、プライバシーのない空間にいなければならないことによる精神的疲弊といった問題は、今でも課題として残っている。

パナソニック ホームズ 「住まいとくらしの情報館 つくば」の避難所生活模擬展示パナソニック ホームズ 「住まいとくらしの情報館 つくば」の避難所生活模擬展示

写真は、パナソニック ホームズ つくば工場敷地内の「住まいとくらしの情報館 つくば」の避難所生活模擬展示だ。このサイズで、3人程度が寝泊まりするという。寝返りはうてない。簡易的なダンボールでの囲いしかなく、プライバシーは、ほぼ皆無といえる。体育館や公共施設などの広い空間に、このようなそれぞれの避難スペースが設置されるが、たとえば昨年の能登半島地震では避難所の寒さが被災者を苦しめたように、快適な室温の維持も難しいだろう。

また、避難所への避難だけでなく、在宅避難についても考えていく必要がある。高齢で思うように体を動かせない人や、障がいのある人、ペットを飼っていて避難所には連れていけない場合など、誰もが避難所に行けるというわけではない。

避難所の環境や在宅避難の必要性を考えたときに、災害に強く、かつ、ライフラインなどの維持も可能な住まいづくりがハウスメーカーに求められる。

それぞれのハウスメーカーが、災害に強い家づくりに取り組むなか、「防災持続力」を提唱するパナソニック ホームズの住宅は、阪神・淡路大震災など、過去の大地震で倒壊ゼロの実績だという。今回は、パナソニック ホームズのつくば工場で見てきた揺れの体験や鉄球を用いた構造実験などから、地震から身を守る家づくりについて考えたい。

震度7の揺れはどれくらい? 地震の揺れを体験

パナソニック ホームズ 「住まいとくらしの情報館 つくば」地震体感ルームでは、地震のイメージ映像とともに、地震の揺れを体感できるパナソニック ホームズ 「住まいとくらしの情報館 つくば」地震体感ルームでは、地震のイメージ映像とともに、地震の揺れを体感できる

パナソニック ホームズの「住まいとくらしの情報館 つくば」では、一般の方や中学生向けに防災学習を不定期で実施している。
今回は、実際に震度4と震度7の揺れを体感してきた。震度7の揺れは、阪神・淡路大震災の横揺れを再現しているという。

まずは震度4。ガタガタとくる、体が驚くような揺れだ。

気象庁では、震度4を、「ほとんどの人が驚く」「電灯などのつり下げ物は大きく揺れる」「座りの悪い置物が、倒れることがある」としている。

そして、震度7。物につかまっていないと、座っている状態を保っているのも難しく、椅子から振り落とされそうになった。

気象庁では、震度6強で、「はわないと動くことができない。飛ばされることもある」「大きな地割れが生じたり、大規模な地すべりや山体の崩壊が発生することがある」としていて、

震度7では、「耐震性の低い木造建物は、傾くものや、倒れるものが震度6強よりさらに多くなる」「耐震性の高い木造建物でも、まれに傾くことがある」「耐震性の低い鉄筋コンクリート造の建物では、倒れるものが多くなる」と、住宅の倒壊が発生するレベルであるとしている。

このような揺れが、深夜や早朝など時間を問わず、そして前触れもなくやってきたり、継続的に続いたりするとなると、恐怖もひとしおだ。津波などの被害が考えられる地域では、揺れの中で高台に逃げるなどしなければならない。

パナソニック ホームズ 「住まいとくらしの情報館 つくば」地震体感ルームでは、地震のイメージ映像とともに、地震の揺れを体感できる震度とゆれの状況について(出典:気象庁)

パナソニック ホームズ が考える「防災持続力」とは

パナソニック ホームズは、「強さ」と「暮らしやすさ」のNo.1を目指し、「防災持続力を備える家」を追求してきた。具体的に、どのような取り組みを行っているのだろうか。

①構造の「強さ」を追求
繰り返す地震に強い独自の「HS構法」(制震鉄骨軸組構造)を開発している。鉄骨は、性質上圧縮力をかけ続けると急に湾曲する「座屈」という現象が起きてしまう。そこで、パナソニック ホームズの耐力壁では、超高層ビルで使用している「座屈拘束技術」を住宅用にダウンサイズした「アタックダンパー」を採用。座屈拘束ブレースをK字型耐力壁に配置することで、揺れが続いても、ゆがみを抑える制震構造となっている。阪神・淡路大震災の4.3倍の地震エネルギーに相当する加振を行った実大振動実験でも、建物のゆがみが小さいことが実証されている。

②災害時に家の機能を持続
災害時にライフラインが断たれてしまうことで、自宅での避難が続けられなくなってしまうといったケースも多い。パナソニック ホームズでは、電気・水のインフラを確保できる設備を整えている。具体的には、IoTを活用して太陽光発電と蓄電池を連携。停電時でも3日分の電気を賄うことができる。また、エネファームも併用すれば、さらに8日分の電力供給が可能だという。

③復旧支援の追求
被災時に住宅が損傷した場合の対応のために、被災情報の収集や復旧支援を行っていく必要がある。
パナソニック ホームズの『P-HERES(ピー・ハーレス)』は、防災科学技術研究所の観測データとこれまでの研究開発で収集した構造実験のデータに基づき、地震の波形ごとに各構法が最大どれだけ変形するか推定を行う独自システムである。顧客住宅の被災リスクを判定することで、早期災害支援を行う。阪神・淡路大震災のときは、こうしたリスク推定システムがなく、延べ1,554名の社員が人海戦術で、1万4,953棟を対象に支援した。現在では、万一の地震による建て替えや補修を最長35年保証する「地震あんしん保証」(※1)の付帯に加え、有料会員制度の災害補償制度「あんしん倶楽部」を用意している。同制度では、日々のサポートに加え、台風や床上浸水などによる住宅内保管家財の被害については最高100万円までの補修・取替工事(現状回復)を、建物付随設備装置の被害については最高20万円の原状回復補修工事(※2)を受けることが可能だ。
※1:保証には条件あり ※2:地震による損害は対象に含まれない

鉄球衝撃実験を見てきた

パナソニック ホームズの「アタックダンパー」を使用した耐力壁「アタックフレーム」はどのくらい強いのだろうか。実際に、鉄球衝撃による耐震実験を見てきた。実験では、片側の壁に一般的な耐力壁「ブレース耐力壁」、もう一方の壁にパナソニック ホームズの「アタックフレーム」を設置。1tの鉄球を8mの距離から2回ぶつけるという実験だ。これは、最大震度7を記録した阪神・淡路大震災の地震エネルギーの4.3倍相当の衝撃を再現している。

鉄球衝撃実験の様子。手前が一般的なブレース耐力壁。奥がパナソニック ホームズの「アタックフレーム」。ブレース耐力壁はX字になっている一方で、「アタックフレーム」は、ブレース耐力壁より太い鉄骨がK字型になっているのが特徴だ鉄球衝撃実験の様子。手前が一般的なブレース耐力壁。奥がパナソニック ホームズの「アタックフレーム」。ブレース耐力壁はX字になっている一方で、「アタックフレーム」は、ブレース耐力壁より太い鉄骨がK字型になっているのが特徴だ

まずは1回目。どちらの耐力壁も、衝撃で倒壊することはなく、衝撃後も変わらずに形状を維持していた。

2回目の衝撃を加えると、どちらも倒壊はしないものの、一般的な「ブレース耐力壁」にはゆがみが発生。人の手で力を加えると、ぐらぐらと揺れてしまっていた。しかし、パナソニック ホームズの「アタックフレーム」は形状を変えず、人が揺らしてもそのままの状態を維持していた。

地震の揺れは1回で収まるとは限らず、続けて余震が発生する可能性もある。また、震災時は損傷がないように見えても、次に大きな地震が来た時に、構造がゆがんでいることで家が倒壊してしまう可能性もある。繰り返しの揺れにも強いということが、住まいの「防災持続力」に重要なのである。

鉄球衝撃実験の様子。手前が一般的なブレース耐力壁。奥がパナソニック ホームズの「アタックフレーム」。ブレース耐力壁はX字になっている一方で、「アタックフレーム」は、ブレース耐力壁より太い鉄骨がK字型になっているのが特徴だブレース耐力壁の衝撃前後の比較。上の新品に対して、下の衝撃後はゆがみが発生していることが確認できる

いつでも起こりうることを忘れず、日々の備えを

阪神・淡路大震災から30年が経ち、当時の記憶を思い出して辛いという方もいるだろう。
「震災を忘れてはいけない」とよく言うが、忘れてはならないのは、震災の記憶以上に、今後への備えだと思う。

耐震実験の映像を見たが、住宅構造の強さに加え、家具の固定化の有無による室内の被害状況の違いもかなり印象的であった。どれだけ頑丈な家に住んでいても、家具の倒壊等で負傷したり、命を落とす可能性もある。いま一度、危険な箇所がないか家の中を確認してほしい。

また、国では、住まいの防災に役立つような支援やマニュアルを展開している。以下の記事で解説しているので、住まいの防災対策の参考にしていただければ幸いだ。

【関連リンク】木造住宅の安全確保方策マニュアルとは? 住宅の耐震化についての「支援制度」「リスク軽減策」「日頃の備え」を解説

【関連リンク】大きな地震後にそのまま家に住み続けられる? 木造住宅の地震後の安全チェックリスト

いつ起こるかわからない自然災害。阪神・淡路大震災の発生から30年という節目の機会に、いつ起こっても、なるべく被害を少なくできるように、日頃から対策を忘れずに行っていきたい。

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