グランドオープン目前の新生中日ビル。一足先に話題のホテルが開業

2019年4月から建て替えのため休業していた中日ビルが、いよいよ2024年4月23日にグランドオープンを迎える2019年4月から建て替えのため休業していた中日ビルが、いよいよ2024年4月23日にグランドオープンを迎える

名古屋都心の栄エリアに長く根ざしてきた「中日ビル」が、いま新たな姿で人々の前に戻ってきた。

1966年に中部地方最大のビルとして建設された中日ビルは、栄の中心に立つランドマークとして愛され続けた名古屋を代表する複合施設の一つ。半世紀以上にわたり人々の日常に溶け込んでいたが、2019年3月をもってその歴史の一章を閉じていた。

2019年4月に解体が始まり、新たな章がスタート。2021年2月に起工式、同年8月の上棟式を経て、2023年7月には新しい中日ビルが竣工した。地下5階・地上33階建ての壮大なスケールの高層ビルとして生まれ変わり、そびえ立つ姿が大きな存在感を放っている。

新生中日ビルは、2023年8月から順次開業が始まっており、先日2024年2月20日には「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 名古屋」が開業して華を添えた。そして、満を持して2024年4月23日に全面開業を迎えることになり、待望のグランドオープンを控え、人々の期待が高まっているところだ。

2019年4月から建て替えのため休業していた中日ビルが、いよいよ2024年4月23日にグランドオープンを迎える旧ビルに比べて高さは3倍に。スタイリッシュな佇まいを見せる新生「中日ビル」。まちに新たなにぎわいをもたらし、地域や人々の期待に応える存在として、その役割を果たしていくことになる

時代を彩り、53年間まちと人の記憶に刻まれた名古屋都心のランドマーク

初代中日ビルは、中部地方最大のビルとして1966年4月26日に開業。耐震基準の厳格化に伴い、2006年には耐震工事を施されたが、補強を超えた建て替えの必要性が高まり、2019年3月末で地域のシンボルとしての役割を一旦終えた初代中日ビルは、中部地方最大のビルとして1966年4月26日に開業。耐震基準の厳格化に伴い、2006年には耐震工事を施されたが、補強を超えた建て替えの必要性が高まり、2019年3月末で地域のシンボルとしての役割を一旦終えた

名古屋を代表する繁華街・栄は、南や東に大型の百貨店や商業施設が立ち並び、ショッピングやグルメに事欠かない。地下街も発展しているため常に人々でにぎわうエリアだ。そんな栄地区の西側、交差点角という絶好の位置にある中日ビルは、待ち合わせ場所としても広く利用されており、多くの名古屋人がここでの思い出を持っているであろう馴染み深い施設でもある。

このエリアは、地上に幅の広い道路が通り、地下街へのアクセスも軽快、緑豊かな大きな公園の存在もあり、利便性と快適性を兼ね備えてもいる。単に商業施設が密集しているというだけでなく、「面」でのつながりやコミュニティを重視してきた点も特徴だ。中日ビルは、そんなエリア特性を象徴する建物であり、建物の景観も人々にとって魅力的な要素の一つだった。

ビル内には、「中日劇場」「栄中日文化センター」「全国物産観光センター」など、文化・芸能や経済発展に寄与する多様な施設があり、特に中日劇場は、名古屋の文化・芸能シーンにおける中心的な役割を果たし、幅広い年齢層の人々に愛されてきた。また、回転展望レストランがある屋上は、夏のビアガーデンの人気も高く、長年にわたり市民や訪れる人々に親しまれた。

このように、名古屋の文化や生活に欠かせない要素も大きい中日ビルは、単なる商業施設の集合体以上の意味を持っており、地域コミュニティの形成にも貢献してきた。筆者も含めこの地に関わる人々にとって、記憶に刻まれる大切な存在だったのではないだろうか。

旧ビルの歴史を継承しつつ、革新的な建物デザインと多様な機能が魅力のビルへと進化

新生中日ビルは、商業、文化、観光、ビジネス、レクリエーションが融合する場を提供することで、地域社会に対しても大きな貢献をすることを目指している新生中日ビルは、商業、文化、観光、ビジネス、レクリエーションが融合する場を提供することで、地域社会に対しても大きな貢献をすることを目指している

生まれ変わった中日ビルは、スタイリッシュながらも旧ビルの歴史を継承した建造物だ。建物は大きく3層に分けられ、それぞれの階層が異なる機能を果たしている。新ビルのロゴマークは、空から見下ろしたときのビルのイメージをモチーフに、「かつてのビルのレガシーを継承しつつ、新たな息吹を吹き込む」という想いが込められているそう。この哲学は外観デザインにも反映されており、特に格子状の意匠が特徴的だ。低層部分は旧中日ビルの記憶を継承する形で設計されており、地域の歴史との連続性も保ちながら現代的な美しさをも表現している。

低層部分には、馴染み深い「中日文化センター栄」や医療施設、「全国物産観光センター」、レストランやカフェ、雑貨店、書店&喫茶など93のテナントが入店する。
地下1階から3階には、2024年4月23日にグランドオープンを迎える商業ゾーン。名古屋初出店を含め多彩な飲食店が入店し、新旧の文化が融合する場となることが期待されている。「中日文化センター栄」は4階と5階の2フロアに入居し、4階は医療コーナーや郵便局などが入るライフサポートゾーンとなる。そして5階には「全国物産観光センター」が再入居する。

中層部分の9階から22階まではオフィススペースとして提供され、16階にはオフィスラウンジを設置。このオフィスエリアは、2023年8月1日の竣工式を経て、既にビジネスの場として機能している。
そして、ビルの上層階は、一足早く開業した「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 名古屋」が24階から32階にわたって展開され、既に大きな話題となっている。

7階「屋上広場」には、屋内外一体となったルーフトップテラスダイニングもある。栄の緑化景観を眺めながら飲食が楽しめるのも特徴だ7階「屋上広場」には、屋内外一体となったルーフトップテラスダイニングもある。栄の緑化景観を眺めながら飲食が楽しめるのも特徴だ

特筆すべきは、7階の「屋上広場」だ。
都市の中のオアシスとして設計されており、緑豊かな植栽と開放的な空間が、名古屋の街なかにありながらも喧騒から離れた癒やしの場となっている。ここから街並みを一望すれば、都市の美しさを再認識させてくれそうだ。ウッドデッキ中央には円形の芝生広場がレイアウトされ、東側の壁面には四季折々の草木があしらわれている。この壁面緑化に使われているのは、中日新聞発行エリア9県(愛知・岐阜・三重・静岡・長野・滋賀・石川・福井・富山)の樹木で、例えば愛知県ならば菊が選ばれており、冬も緑を保つよう工夫されている。夜になるとライトアップされ、昼夜を問わず美しい景観を楽しむことができるのもうれしい。

加えて、6階に新設された「中日ホール&カンファレンス」は、中日劇場に代わる新たな文化施設として注目したい。
グランドオープン前の3月29日に開業が決まっている多目的ホールとカンファレンス施設で、ビジネス交流・発表や文化・芸術の新たな発信地として期待されている。最先端の設備を備えており、多様なイベントの開催に対応可能。名古屋の文化・社会活動に新たな息吹をもたらしてくれそうだ。

新生中日ビルは、商業、文化、観光、ビジネス、レクリエーションが融合する場を提供することで、地域社会に対しても大きな貢献をすることを目指している最大600席を備える規模を誇る「中日ホール&カンファレンス」。文化やビジネス、地域社会の交流の場として、旧「中日劇場」の精神を受け継ぎながら、新たな形での貢献を目指している

「中日ホール&カンファレンス」「屋上広場」など旧中日ビルのレガシーが息づく

旧ビル1階ロビーにあった天井モザイク画「夜空の饗宴」。大理石やベネチアン・グラス200万個を使った壮大な作品の下で、多くの人々が待ち合わせをしていた(※赤枠部分を新ビルに移設)旧ビル1階ロビーにあった天井モザイク画「夜空の饗宴」。大理石やベネチアン・グラス200万個を使った壮大な作品の下で、多くの人々が待ち合わせをしていた(※赤枠部分を新ビルに移設)

新たな中日ビルは、旧ビルの歴史と文化を継承しつつ、いまの技術と美学を融合させた設計がなされているわけだが、それは外観に限らない。建物内部においても旧ビルのレガシーが随所に息づいている。

建て替えを前にした旧ビル閉館時、中部日本ビルディング株式会社が人々からの思い出を募集した。すると中でも「中日劇場」に関するものが多く寄せられた。というのも、文化・芸能の拠点として大きな役割を果たしてきた中日劇場は、建て替えの計画段階から新ビルには造らないことが明言されており、この決定にさまざまな声が上がっていたのだ。

そこで、それらの声に応える形で設けられたのが「中日ホール&カンファレンス」。エンタメ特化型の施設から一歩進んだ多目的利用が可能な施設になり、文化・芸能だけでなく、ビジネスやコミュニティのための新たな場としても機能しながら、旧ビルが持っていた役割を引き継ぐこととなった。

新生中日ビルに移設されたモザイク画。今後は、3月29日に開業する「中日ホール&カンファレンス」で人々を出迎える新生中日ビルに移設されたモザイク画。今後は、3月29日に開業する「中日ホール&カンファレンス」で人々を出迎える

ここで注目したいのが、「中日ホール&カンファレンス」がある6階に設置されたモザイク壁画だ。
これは、旧ビル1階のロビー天井に設置されていたモザイク画の一部を移設したものである。もともとは「夜空の饗宴」という天井モザイク画で、大理石やベネチアン・グラス200万個を使った壮大な作品だ。多くの人がこの下で大切な人や仲間と待ち合わせをした、中日ビルを象徴する逸品といえる。その一部を残し、旧ビルの歴史と記憶が新しい空間にも引き継がれたことは、新旧のつながりを大切にする中日ビルの姿勢が表れている。

また、旧ビルで長く愛された「屋上ビアガーデン」の思い出も大切に継承する。
完全に同じ形での再現はされなかったものの、7階の「屋上広場」は、旧ビルにあった回転展望レストランの役割を引き継ぐ形で設計した。かつてのレストランとほぼ同じ高さから街の景観を楽しめるようになっており、旧ビルの記憶を新たな形で継いでいる。かつて夏場のビアガーデンなどで多くの人々に親しまれた場所は、栄の街を一望できる憩いの開放空間になり、”栄の緑を感じるスペース”として都市生活に一息つける場として生まれ変わったのだ。

世代を超えた人々の愛着と想いをつなぐ、都市再生を象徴する存在に

取材対応いただいた、中部日本ビルディング株式会社 企画局プロモーション部の西川一哉さんと小野木桜さん。閉館時に寄せられた人々の声は、中日ビルと人々との深い繋がりを浮き彫りにし、新ビル設計の大切な指針となったそう取材対応いただいた、中部日本ビルディング株式会社 企画局プロモーション部の西川一哉さんと小野木桜さん。閉館時に寄せられた人々の声は、中日ビルと人々との深い繋がりを浮き彫りにし、新ビル設計の大切な指針となったそう

中部日本ビルディング株式会社 企画局プロモーション部の西川一哉さんと小野木桜さんによると、新中日ビルの建設にあたっては「親子三世代・ボーダレス」な想いも込められているという。これは、53年間も親しまれ、幅広い世代がそれぞれの時代で思い出を持つビルだからこそ、その愛着やつながりを途切れさせることなく、多様なニーズに応える空間づくりを目指したことを意味している。単なる建造物を超えた存在、と言えばよいだろうか。新生中日ビルは、世代を超えた絆と記憶を紡ぐ場所として設計された建造物、だと感じた。

空から見下ろしたときのビルのイメージをモチーフにした、新ビルのロゴマーク。「かつてのビルのレガシーを継承しつつ、新たな息吹を吹き込む」との想いが込められているそう。「これからも、まちとサカエる。」のタグラインからも、地域と共に成長し続けたい意志を感じる空から見下ろしたときのビルのイメージをモチーフにした、新ビルのロゴマーク。「かつてのビルのレガシーを継承しつつ、新たな息吹を吹き込む」との想いが込められているそう。「これからも、まちとサカエる。」のタグラインからも、地域と共に成長し続けたい意志を感じる

中日ビルは、都市の活性化と再開発を目指す政策の一環で設定されたエリア「都市再生特区」に位置している。かつて大いに賑わいを見せた栄地区だが、人々の流れが名古屋駅エリアへと移り変わり一時的な衰退期があった。しかしその時期を乗り越え、近年は再興の兆しが漂う。そんな中で、栄の”再開発の目玉”でもある中日ビルが全面開業を迎えることは、この地域のさらなる活性化を促す大きな一歩となり、名古屋駅エリアとともに、名古屋市全体のにぎわいをも加速させるかもしれない。

人々の思い出と未来の希望が交差する場所として新たな歴史を刻み始め、地域のランドマークとして、また都市再生の象徴としても期待される中日ビル。全面開業が地域に新たなにぎわいをもたらすのは間違いないだろう。まもなくのグランドオープンが楽しみでならない。

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