「子育てエコホーム支援事業」の目的

今年(2023年)は、猛暑の夏を過ぎたらいきなり冬に突入、といった季節変化だった。年々地球温暖化をリアルに感じている人も多いはずだ。政府としてもさまざまな対策を打っており、2020年10月には、2050年までにCO2を含む温出効果ガスの排出量を全体としてゼロにする、いわゆる「2050年カーボンニュートラル宣言」を行った。

ここで重要となるのが住宅だ。日本全体のCO2排出量のうち、住宅からの排出量は約16%を占める。そこで政府は11月10日に住宅の省エネ化を支援するための補助制度「子育てエコホーム支援事業」を閣議決定。11月29日に国会で令和5年度補正予算が可決され成立した。国土交通省は、子育てエコホーム支援事業の目的を次のように設定している。

「エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年カーボンニュートラルの実現を図る」

では、子育てエコホーム支援事業の対象や補助内容を詳しく解説しよう。

日本全体のCO2排出量のうち、住宅からの排出量は約16%。けっして小さくないので、対策が急務だ(出典:環境省HP)日本全体のCO2排出量のうち、住宅からの排出量は約16%。けっして小さくないので、対策が急務だ(出典:環境省HP)

「子育てエコホーム支援事業」の対象となる世帯

●注文住宅の場合

自ら居住することを目的に新たに工事請負契約をする子育て世帯または若者夫婦世帯が対象となる。
子育て世帯とは、申請時点で子どもがいる世帯のこと。ここでの子どもとは、2023年4月1日時点で18 歳未満(2005年4月2日以降出生)の子を指す。ただし、2024年3月末までに工事着手する場合は、2022年4月1日時点で18 歳未満(2004年4月2日以降出生)の子とする。
また、若者夫婦世帯とは2023年4月1日時点でいずれかが39歳以下(1983年4月2日以降出生)の夫婦世帯のこと。ただし、2024年3月末までに工事着手する場合は、2022年4月1日時点でいずれかが39歳以下(1982年4月2日以降出生)の夫婦世帯とする。

●新築分譲住宅の場合

自ら居住することを目的に売買契約(購入)をする子育て世帯または若者夫婦世帯が対象となる。ただし、宅地建物取引業の免許を有する事業者からの購入に限る。

●リフォームの場合

事業者と工事請負契約を結んでリフォーム工事を行う住宅取得者等が対象。リフォームの場合のみ、子育て世帯・若者夫婦世帯に限らず全世帯が対象となる。

注文住宅の場合と新築分譲住宅の場合は、子育て世帯・若者夫婦世帯が対象となる注文住宅の場合と新築分譲住宅の場合は、子育て世帯・若者夫婦世帯が対象となる

「子育てエコホーム支援事業」の対象となる住宅

●注文住宅の場合

以下の①②のいずれか、かつ③~⑤のすべてに該当する住宅が対象となる。

①長期優良住宅
長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅で、所管行政庁(都道府県、市区町村等)にて認定を受けたもの。

②ZEH住宅
「高断熱」「省エネ設備」「太陽光発電による創エネ」によって生み出すエネルギーが消費エネルギーを上回る住宅(Nearly ZEH、ZEH Ready、ZEH Orientedも含む )。

③住戸の延べ面積が50m2以上240m2以下

④土砂災害特別警戒区域または災害危険区域に原則立地しないもの

⑤都市再生特別措置法第88条第5項の規定により、当該住宅に係る届出をした者が同条第3項の規定(※)による勧告に従わなかった旨の公表がされていないもの

※「立地適正化計画区域内の居住誘導区域外の区域」かつ「災害レッドゾーン内」で建設されたもののうち、一定の規模以上の開発によるもので、都市再生特別措置法第88条第3項に基づき適正なものとするために行われる市町村長の勧告に従わなかった場合、その旨が市町村長により公表できる

●新築分譲住宅の場合

注文住宅と同じ。ただし、上記①②に該当することを証明するために第三者機関による証明書が必要になる。

長期優良住宅とZEH住宅が対象となる長期優良住宅とZEH住宅が対象となる

●リフォームの場合

以下の①~⑧に該当するリフォーム工事。ただし、①~③のいずれかを含んでいる必要がある。

①開口部の断熱改修(ガラス交換等)

②外壁、屋根、天井、床の断熱改修

③ エコ住宅設備の設置(太陽熱利用システム、高効率給湯器等)

④ 子育て対応改修(ビルトイン食洗機、宅配ボックス等)

⑤ 防災性向上改修(防災性が向上する開口部の改修工事)

⑥ バリアフリー改修(手すりの設置、段差解消等)

⑦ 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置

⑧ リフォーム瑕疵保険等への加入

「子育てエコホーム支援事業」の補助上限額

●長期優良住宅の場合

1戸あたり100万円。ただし、市街化調整区域、土砂災害警戒区域、浸水想定区域に立地している場合は50万円。

●ZEH住宅

1戸あたり80万円。ただし、市街化調整区域、土砂災害警戒区域、浸水想定区域に立地している場合は40万円。

●リフォーム工事

子育て世帯または若者夫婦世帯
・既存住宅を購入してリフォームを行う場合:1戸あたり60万円
・増改築して長期優良住宅の認定を受ける場合:1戸あたり45万円
・上記以外のリフォームを行う場合:1戸あたり30万円

その他の世帯
・増改築して長期優良住宅の認定を受ける場合:1戸あたり30万円
・上記以外のリフォームを行う場合:1戸あたり20万円

補助額は1戸あたり最大100万円補助額は1戸あたり最大100万円

「子育てエコホーム支援事業」の対象期間

対象期間を確認しておこう対象期間を確認しておこう

●注文住宅の場合

2023年11月2日以降に基礎工事より後の工事に着手したもの。

●新築分譲住宅の場合

2023年11月2日以降に基礎工事より後の工事に着手したもの。

●リフォーム工事の場合

2023年11月2日以降に工事に着手したもの。

「子育てエコホーム支援事業」の申請方法

●申請方法

子育てエコホーム支援事業の申請は、住宅の建築依頼先の事業者、販売事業者、リフォーム工事事業者のいずれかが行う。したがって、工事発注者や購入者が申請することはできない。また、各事業者は申請前に「補助事業者」として登録を受ける必要がある。申請の流れは下の図のようになるが、基本的に補助事業者に任せていれば問題ない。

申請手続きは、すべて建築依頼先などの工事施工事業者が行う。住宅取得者(共同事業者)は、基本的になにもする必要はない(出典:国土交通省資料)申請手続きは、すべて建築依頼先などの工事施工事業者が行う。住宅取得者(共同事業者)は、基本的になにもする必要はない(出典:国土交通省資料)

ただし、補助金については、事業者から全額還元してもらう必要がある。おもな還元方法は、「工事代金に充当する」「現金で支払う」のいずれかになるはずだ。どちらにするのかは、必ず申請時に双方で合意しておかなければならない。

●申請時期

注文住宅:補助額以上の工事完了後
新築分譲住宅:補助額以上の工事完了後
リフォーム工事:すべてのリフォーム工事完了後

●申請期間

2024年3月下旬~予算上限額に達するまで(遅くても2024年12月31日まで)

●完了報告

新築住宅(一戸建て)は、2025年7月31日までに引渡しと入居を済ませ、完了報告を提出する必要がある。


長期優良住宅やZEH住宅などエコな住まいの建築費は、それなりに高くなる。しかし、光熱費が安くなり、長い間快適に暮らせるというメリットもある。また、室内の温度が均一に保たれるので風邪をひきにくくなり、ヒートショックの予防にもつながる。このように、子どもだけでなく家族全員の健康もサポートする住宅に対して補助金を交付する制度が子育てエコホーム支援事業だ。家を建築・購入・リフォームするなら、ぜひ利用を検討したい。


なお、令和5年度補正予算では本事業以外にも、住宅の省エネ化を支援する事業を実施。3省庁が合同で「住宅省エネ2024キャンペーン」としてさまざまな補助制度を用意している。詳細は以下の関連記事を参照いただきたい。

■関連記事
住宅の省エネ化への支援強化に関する予算案を閣議決定!概要を解説

申請手続きは、すべて建築依頼先などの工事施工事業者が行う。住宅取得者(共同事業者)は、基本的になにもする必要はない(出典:国土交通省資料)補助金については、事業者から全額還元してもらう必要がある。還元方法は、申請時に双方でしっかり合意しておこう