まだまだ鉄道空白地帯が残っている多摩地域
多摩都市モノレール線は、東京都東大和市の上北台駅と同多摩市の多摩センター駅を結ぶモノレール路線だ。その計画は、1981年に発表された「多摩都市モノレール等基本計画調査報告」によってスタートした。多摩地域南北方向の公共交通網の充実、都市間相互の連携強化、自立性の高い地域形成を図ることなどを目的に、総延長約93㎞という壮大な路線計画が打ち出され、東京都や沿線の自治体、西武鉄道、京王電鉄、小田急電鉄などの出資によって多摩都市モノレール株式会社が設立。1998年11月に上北台駅~立川北駅間5.4㎞、2000年1月に立川北駅~多摩センター駅間10.6㎞が開通し、現在は上北台駅~多摩センター駅までの16㎞区間が完成している。
沿線には中央大学、明星大学、帝京大学などの大規模な教育機関が点在し、朝夕は通勤・通学客で非常に混雑している。
しかしながら当初の構想は93㎞。南北の多摩地域には、まだまだ鉄道空白地帯が残っており、延伸への期待が根強くあった。
このような背景から東京都は2020年1月、上北台駅からJR箱根ケ崎駅への延伸事業に着手することを発表。さらに2022年1月には、多摩センター駅から町田駅(JR・小田急線)へのルートが公表された。それぞれの内容を解説しよう。
鉄道駅がない武蔵村山市にモノレールを
上北台駅からJR箱根ケ崎駅延伸の意義は、なんといっても、鉄道駅のない武蔵村山市へモノレール路線を通すことだろう。人口約7万人を擁する同市だが、多摩地域で唯一、鉄道が通っていない市なのだ。
延伸の素案では、上北台駅側の東大和市に1駅、武蔵村山市に4駅、そして箱根ケ崎駅側の瑞穂町に2駅の計7駅を約1㎞ごとに新設するとしている。西端(瑞穂町側)の駅は、JR線と接続させる計画だ。それぞれの駅周辺には、交通広場なども整備され街の活性化への貢献が期待される。
とはいえ、着工・開業時期は今のところ未定。まずは地元への都市計画素案説明会(2022年10月18日より開始済み)からスタートし、都市計画を決定。同時進行で環境影響評価手続も行った上で、都市計画事業が認可されて着工という流れになる。小池都知事は2022年12月8日の都議会本会議で、「2030年代半ばの開業を目指す」と答弁している。
町田駅への延伸は費用対効果や主要拠点の数などを検討
多摩センター駅から町田駅への延伸については、東京都都市整備局に設置された多摩都市モノレール町田方面延伸ルート検討委員会において議論が重ねられてきた。その結果、2022年1月28日にルートが公表された。
検討されたルートは、次のA・B・B‘・Cの4つの案だ。
A案
小山田桜台団地から桜美林学園を経由するルート。延長約13km 。1日の需要は約8万人。
B案
町田市立陸上競技場まで南下してから桜美林学園を経由するルート。延長約16km 。1日の需要は約7万5,000人。
B’案
B案を若干ショートカットしたルート。延長約16km 。1日の需要は約7万4,000人。
C案
町田市立陸上競技場まで南下してから桜美林学園を経由しないルート。延長約13km 。1日の需要は約7万3,000人。
ルート選定の主な基準は、費用対効果やアクセス向上が期待される主要拠点の数などだ。そして検討の末に選ばれたのはB案だった。速達性は他のルートに劣るものの、費用対効果が確保され、モノレールと街づくりの相乗効果が見込まれるとして採用された。
ただし、こちらも開業時期は未定。箱根ケ崎方面と同様の手続きを経るとすると、開業は早くても2030年代後半以降ということだろう。
開業まで道半ば。今後の動きに注目
多摩都市モノレールが箱根ケ崎方面に加えて町田方面にも延伸されれば、路線距離は合計39㎞と現在の倍以上になる。それだけ利便性が向上し、沿線地域の活性化にも貢献するのでは、と期待も膨らむ。とはいえ、用地確保や周辺住民の理解など開業までに解決しなければならないことは少なくないはずなので、今後の動きに注目したい。
公開日:












