自治会・町内会とは? その役割と活動
新しい土地で暮らしを始めるとき、地域の自治会へのお誘いがくることがある。
しかし、自治会とはどんな活動を行う団体なのか。加入すればどんないいことがあるのか。加入したらメンバーとしてどのような活動をしなければならないのか。など分からないという人も多いだろう。
「加入は義務ですか?会費はいくらいるのですか?どうすれば加入できますか?自治会の活動って?」自治会の専門家として著作・講演活動に活躍する地域活性化・街づくりコンサルタントの水津陽子(すいづようこ)さんに、これらの疑問を聞いてみた。
水津陽子さん:地域活性化・まちづくりコンサルタント。
総務省「地域コミュニティに関する研究会」構成員を務め、著書に「こうして地域のリスクに備える!令和・アフターコロナの自治会・町内会運営ガイドブック」(実業之日本社)などがあるそもそも自治会とは、市町村のなかで決められた一定の区域に住所のある住民が加入する団体のこと。加入は任意で、町内会や町会と呼ぶこともある。全国で約29万の団体があり、法律に基づいて作られた団体ではなく、一部法律上の権利団体となる認可地縁団体を除き、任意団体として扱われる。
区域の住民相互の連絡や、環境の整備、集会施設の維持管理など、良好な地域社会に資する地域的な共同活動を行うことが主な目的だ。
日本における自治会活動は長い歴史を持ち、戦後、住民たちが団結し共助の精神で、行政サービスが及ばないまちづくりの一端を担ってきた。活動は主に住民が払う会費でまかなわれ、会費の相場は東京など都市部では月額100円から200円というところが多いが、地域によっては月額1,000円以上のところや、会費とは別に入会金を徴収するところもあるという。使い道や活動の中身もさまざまで、防災・防火活動、地域の行事などの文化活動、住民の慶弔活動、社会福祉活動、行政機関への要望等、暮らし全般から行政への橋渡しまで多岐にわたる。
自治会・町内会の入り方
自治会や町内会に入るにはどうしたらよいのだろう。冒頭で述べたように、新居に転居したら、自治会長などが訪問してきて自治会への勧誘をされるケースが多いが、自治会に入りたいのにお誘いがないこともある。その場合、街の掲示板などに加入の案内があれば連絡してみるといい。市役所など行政に問合せてみるのもよいだろう。加入の方法を案内してくれるはずである。
しかし、自治会加入で悩む人も多く、水津さんのもとには多くの相談が寄せられるという。
「加入を迷う場合には、まずは参加しやすい地域の防災訓練やお祭りなどのイベントに参加してみてはいかがでしょうか。自治会以外にも、まちづくり協議会やNPOなどの地域コミュニティはいろいろ存在します。もし自治会が合わなければ、他の地域コミュニティを探せばいいのです」(水津さん)
自治会活動に突き付けられた課題とは
そんな自治会も、今や構成する住民の高齢化で担い手がいなくなってきているのが実情だ。加えて、昨今のコロナ禍で大人数が集まって物事を決めたり、集団で行動することは難しくなってきているという。水津さんに、自治会の課題についても聞いてみた。
「多くの自治会が任意団体で、行政の指導監督権限が及ばないこともあり、規約等を定めてしっかり運営しているところもあれば、一部では、限られた人のみで物事が決められて情報公開も十分でないケースもあります。しかし、いずれにせよ多くが昔のやり方を続けていて、活動も今の時代に合っていない。そのため加入率が低下し、担い手不足に陥っているのです」(水津さん)
加入率が低下することで、役員が高齢化、固定化し、新しい担い手がいなくなる。時代に即した自治会活動への転換ができないその根本原因は、担い手不足によるものといえるだろう。
若い人の参加で変わりつつある自治会活動
マンションでも一戸建てでも、新しく地域に引越して来た若い人たちは、比較的忙しい。子育てをしつつ夫婦で働く人も多く、昼間の自治会活動への参加は不可能に近い。そんな中で、若い人の力で変わっていく自治会もあると水津さんは教えてくれた。
「加入すれば何かをやらされると考えるのではなく、自分たちで考え、街のため人のために自分たちならこれができると考えて、変えていくことが必要です」
ある自治会では、ITを使いオンラインで会議を行うという。アーカイブを残せば都合のよい時間に各自が見ることもできる。加えて最近では、メッセージアプリを役員間の連絡に活用するなどの例が増えている。自治体によっては、マンションの管理組合単位の自治会を認めるところもあり、マンションの集会室を指定避難所とし、自治会単位で災害時の機動的な避難を目指すという例もあるという。
水津さんに活動的な自治会の例を聞いた。
「毎年春に転入してきた家族のために、街歩きツアーをイベントとして実施している自治会もあります。街の人と出会って、触れ合って、仲良くなって、“地域デビュー”のきっかけを作ってほしいという願いからです。他にも若い人たちの青年部をつくったり、参加しやすいボランティア組織で入会のきっかけづくりを行う自治会もあります」
古い慣習にとらわれることなく、新しい発想の活動で生まれ変わる自治会も増えつつあるということだ。
ますます重要になる共助と、地域コミュニティ
戦後の日本で、お金もなく人も足りない中、住民たちが力を寄せて、街の発展や住民福祉にと、行政の補完的役割を担ってきた自治会。自治会は、行政との約束でごみ収集場所を提供、管理したり、住民の要望を行政に上げるチャネルとしての機能がある。しかしそれは、自治会員以外も恩恵を受けることとなる。会費を負担しないでメリットだけを享受するというのは、自治会活動の根幹ともいえる共助の精神に照らし合わせれば、そぐわないのではないかと筆者は考える。自治会に何かをしてもらうのではなく、自分たちには街のため人のため何ができるのか、を考えるのが自治会ではないだろうか。
阪神・淡路大震災や東日本大震災によって、災害時の地域のコミュニティの重要性が再認識された。災害が起こったとき、地域の細部まで行政の手が届くとは限らない。企業やNPOなど他の地域コミュニティと連携し、避難所運営に関する委員会を立ち上げ準備している自治会もある。災害大国日本の将来を見据えれば、行政の力の及ばない部分で、住民たちが結束しあう意味は大きいだろう。
暮らしをよりよく快適にするために知恵と力を寄せ合い、災害をも乗り越えていくために必要な地域コミュニティ。そこには共助の精神で結ばれた市民のパワーがある。





