花粉問題対策事業者協議会(JAPOC)によるオンラインセミナー

JAPOCは、花粉問題対策にオールジャパンの力を結集し立ち向かうことを目的に設立。花粉対策に関する研究活動や、より効果的・効率的な花粉対策をする製品の認証制度を行っているJAPOCは、花粉問題対策にオールジャパンの力を結集し立ち向かうことを目的に設立。花粉対策に関する研究活動や、より効果的・効率的な花粉対策をする製品の認証制度を行っている

花粉がピークを迎えている。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状に悩まされている人も多いのではないだろうか。
コロナ禍が続く今、換気と花粉対策を両立するためにはどうすべきか。

先日、花粉問題対策事業者協議会(以下JAPOC)主催のオンラインセミナーが開催された。セミナー登壇者は、東京理科大学・工学部建築学科教授の倉渕隆氏、産業総合技術研究所・安全科学研究部門リスク評価戦略グループ主任研究の篠原直秀氏、日本医科大学・耳鼻咽喉科教授の大久保公裕氏、三菱電機株式会社・JAPOC認証基準検討委員会の志賀彰氏の4名。

換気に関する最新の研究情報をはじめ、それを踏まえた花粉対策などの講演があり、非常に興味深いものであったので紹介する。

花粉症対策とコロナ対策はトレードオフの関係か

コロナ禍において、密閉・密集・密接の3密を避けるということは皆さんご存じのとおりだ。密閉を避けるためには「換気」が必要であるが、花粉症患者にとって換気、つまり窓を開けることは花粉にさらされることになり、つらい状況ともいえるだろう。

もちろん換気は重要なのだが、ビル管理法では1人当たり毎時30m3 という”必要換気量”を満たす換気を行うことを指標としている。学校や事務所、会議時やレストラン、ショッピングなど場所や用途によって基本換気量は異なり、「必要換気量は変わってくる」と、東京理科大学教授の倉渕氏は話す。

換気の方法は窓開け換気だけではない。機械換気、つまり換気システムによる換気は、高性能エアフィルターを活用することでその効果を上げることができる。職場や学校では花粉症患者がいることも想定し、窓開け換気だけでなく機械換気を活用した換気をすることで、コロナウイルスと花粉の対策が両立できそうだ。

花粉症により仕事効率の低下による損失も

花粉症により仕事や勉強のパフォーマンスが著しく低下するという人も少なくない。集中力や思考力が低下したり、睡眠障害や倦怠感、疲労を感じたりすることもある。
とあるアンケートによると、花粉症の症状緩和のため抗ヒスタミン薬を投与した人は、投与前に比べ仕事効率が10%程度改善しているそう。つまり花粉症対策をしなければ、生産効率は大きく下がるのだ。仮に月20万円の給料をもらう人ならば1ヶ月で2万円の生産性のロスとなるという。

また花粉症患者が花粉症対策にかける費用は、一人当たり年間平均約4,550円だという。これを高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれではあるが、「対策することでQOL(Quality of life・生活の質)を改善することができるのではないか」と日本医科大学教授の大久保氏は話す。

大久保氏によると、花粉症は免疫の疾患であり、一部を除いて完全に治癒させることは難しいといわれているそう。「Cure(治る)」よりも「Care」が必要とのことだった。つまり何らかの対策を講じ花粉症の症状を緩和させる必要があるのだ。

ではどんな対策があるのだろうか。医学的な治療には、薬物療法、アレルゲン免疫療法、手術療法がある。根本的な体質改善が期待できるのがアレルゲン免疫療法。皮下免疫療法と舌下免疫療法があり、有効性が期待できるのだが、2~3年の長期にわたる治療が必要となる。将来的なことを考えるのであれば、アレルゲン免疫療法の治療を行うことも選択肢に入れたいところだ。

コロナ禍が続く今、換気と花粉対策を両立するためにはどうすべきか。花粉問題対策事業者協議会主催のオンラインセミナーから、換気に関する最新の研究情報やそれを踏まえた花粉対策を紹介する。花粉症のメカニズム。「免疫」とは身体の中に異物(ウイルスも同様)が入ってきたときに異物に対して抗体をつくり排除することをいう。一方で「アレルギ―」は無害な物質(花粉)に対しても免疫細胞が攻撃し、不必要な抗原抗体反応を起こす

花粉症&コロナウイルス対策にもなる対策とは

これまで個人レベルで花粉症対策として実践していたことといえば、室内に入る前に洋服に付いた花粉を落とすということ。しかしコロナ禍においてこの対策は正しいとは言い難い。衣服に付いたウイルスを触ってしまうからだ。衣服をはらった手は必ずよく洗うこと。可能であれば、帰宅後すぐに衣服は洗濯をし、自身は入浴をすることが望ましいという。

また花粉とウイルスは粒子の大きさは違えど共通する点も多い。やはり室内においての加湿は重要だ。花粉もウイルスも加湿をすることで重量を持ち、空気中の飛散を抑えられる。のどや鼻に潤いを与えることで粘膜のバリア機能を守ることもできる。

そして空調システムのエアフィルター性能を向上させることも効果的だ。空調システムに使用されているデフォルトのエアフィルターを、オプションで専用のフィルターに替えることで、捕集率が90%近くまで上がるという研究結果も出ているそうだ。

セミナーでは産業総合技術研究所の篠原氏から、バスでの換気調査の紹介があった。エアコンON・OFFや換気扇のON・OFF、吸気や排気関係、窓の開閉、開ける枚数や場所、走行速度などあらゆるケースを調査研究したものだ。
中でも筆者が興味深く聞いたのが、バス走行時の換気は、左右平行に窓を開けるのに比べ、前方と後方を開けることで2倍以上の換気効果が得られるということだ。つまり空気の流れを考慮して窓を開けることで、効果的に換気ができるのだ。これは自家用車などでも応用できるのではないかと感じた。

また「近年のマスクは性能が上がっているので、マスクをしてくしゃみをすると、前ではなく横や後ろに飛沫が飛び散る」という話があった。バスなどが窓を開けて換気をしながら走行すれば、空気は前から後ろへと流れる。ソーシャルディスタンスを保ちながら、前方に座ることも花粉症とコロナウイルス対策になるといえるのではないか。

セミナーでは花粉に関するアンケート結果も紹介された。JAPOC認証基準検討委員会の志賀氏によると、やはり花粉症が重症な人ほど換気回数が少ない傾向にあるという。換気が不十分にならないよう留意したい。

そして面白い結果が「花粉対策メガネ」をしている人としていない人の違いである。花粉対策メガネをしている人は、花粉飛散日後に目のかゆみだけでなく、鼻水も抑制される傾向にあるというのだ。花粉対策メガネは一定の効果が見られるようだ。

コロナ禍では、花粉症がリスクになるコロナ禍では、花粉症がリスクになる

昨今のコロナ禍で、くしゃみをする、鼻をかむ、身体がだるいなどの症状が、花粉症なのか、新型コロナウイルス感染症なのかを区別するのは非常に難しい。目がかゆくて目を触ったり、鼻水が出て鼻をかんだりすれば、自分が新型コロナウイルスに感染するリスクが生じる。またもし自分がコロナに感染していた場合、花粉によってくしゃみをすれば他人に感染させるリスクが生じてしまう。

花粉症のくしゃみなどの症状で、周りから「コロナなのでは?」と勘違いをされ、肩身の狭い思いをする花粉症患者もいるだろう。

コロナ禍の花粉症対策は非常に難しいが、大久保氏によると窓を開ける際も網戸とレースカーテンをするだけでも随分違うのだそう。まずはこういったことから実践していきたい。また、JAPOCが制定した規格を満たした製品・用品に付与される認証マーク「JAPOCマーク」を目印に花粉対策製品を購入することもひとつの指針となりそうだ。

いまだ新型コロナウイルスの収束が見えない状況下、花粉症と新型コロナウイルス感染症対策を両立させる対策や知識を、私たちは身に付けていかなければならない。