住宅ローン金利への影響は?
国内では新型コロナウイルスの感染拡大が抑えられているが、世界的にはオミクロン型の変異株が猛威を振るい始めており、予断を許さない状況が続いている。経済活動の正常化へ向けて不透明感が漂う中、住宅ローン金利に動きは出ているのか。2021年12月時点の動向と年明け以降の見通しを探ってみたい。
10月・11月は固定金利の引き上げが相次ぎ、12月は沈静化
主要銀行の直近3ヶ月の動きを見ると、変動金利はほぼ横ばいで推移している。唯一、楽天銀行が11月に0.01%の小幅な引き上げを実施しただけだ。みずほ銀行が4月に最優遇金利を0.1%引き下げて0.375%にした後も追随する動きはほぼ見られず、引き続き0.4%台が主流となっている。
10年固定金利は10月・11月と金利を引き上げる銀行が相次いだ。最も金利の低い三井住友信託銀行が11月に0.1%引き上げて0.60%としたが、ソニー銀行も同月に0.05%引き上げて0.60%としたため、両行が横並びとなっている。そのほか、10月まで0.5%台だったりそな銀行やみずほ銀行、住信SBIネット銀行も金利を引き上げたことで、0.5%台の銀行がいなくなった形だ。12月に金利を引き下げたのは楽天銀行だけだが、引き下げ幅は0.018%とわずかだった。
35年固定金利も10月・11月に金利引き下げの動きが目立った。10月まで0.9%台だったみずほ銀行が11月に0.1%引き上げて1.08%となり、すべての銀行が1%台となっている。12月にはりそな銀行と住信SBIネット銀行が金利を引き下げたが、ソニー銀行は4ヶ月連続で引き上げるなど銀行によって対応が分かれた。
政権交代への期待で10月にかけて長期金利が一時上昇
日銀が超緩和的な金融政策のスタンスを変えておらず、政策金利である短期金利(無担保コール翌日物金利)はマイナス圏で推移している。そのため短期金利に連動する変動金利も横ばい状態が続いている状態だ。この先も銀行間の住宅ローン競争で金利の引き下げ幅が小幅に変化する可能性はあるものの、当面は大きな変動が起きることは考えにくい。
一方、長期金利(10年国債金利)は米国でバイデン政権が発足した直後の2021年1月に急上昇したが、3月以降はコロナ禍の拡大などから低下に転じ、8月には0.01%を下回る水準で底を打った。その後は自民党内での政権交代への期待などから金利が上昇したものの、コロナ「第6波」への警戒感もあり、10月以降の長期金利は0.05%〜0.1%のレンジで推移している。
10月までの長期金利の上昇傾向を受けて、10年固定金利や35年固定金利も10月・11月と引き上げの動きが目立ったが、12月に入ると一転して引き下げる銀行も出てきている。最近の住宅ローン利用者は超低水準の変動金利を選択する比率が高まっているが、10年固定金利や35年固定金利を選ぶケースも少なくないため、各行とも他行の動きを見ながら金利水準を細かく調整しているようだ。
コロナ禍や景気の先行き懸念から金利の低迷が続く!?
変動金利は横ばい、10年固定金利と35年固定金利は小幅な上下動が続いている状況だが、気になるのは米国での金利の動きだ。同国では原油など資源価格の上昇や、コロナ禍に伴う物流の混乱などで幅広い品目の供給が滞っていることで、インフレ懸念が急速に広がっている。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレの過熱を抑える目的で、国債などの資産購入を減らすテーパリング(量的金融緩和の縮小)を11月に開始した。さらに12月には資産購入の終了時期を、当初想定した2022年6月から同3月へ前倒しにすることを決めている。
米国ではテーパリングの終了後、ほどなくしてFRBが利上げに踏み切るとの観測が広がった。本来であれば同国の長期金利も上昇基調となるはずだが、10月に1.7%まで上昇した後は1.5%をはさんでの動きとなっている。インフレやオミクロン株の拡大による経済回復の遅れへの懸念から、先行き不透明感が強まっているようだ。
日本でも長期金利は低迷が続いており、10年固定金利や35年固定金利がすぐに大きく上昇する状況にはなっていない。今後も米国と同様、コロナ禍や景気の動向をにらみながら、小幅な金利調整が続く展開となりそうだ。






