iDeCo(イデコ)個人型確定拠出年金の運用商品を選ぶ
iDeCo 個人型確定拠出年金について、iDeCoの基礎知識編や、運用開始までのステップについて紹介してきた。今回は、金融商品や運用商品を選ぶポイントをご紹介する。
●いきなり選ばない⇒分類を知る
資産運用や金融商品の基礎知識があれば、商品選びはグッと楽になる。運管が提供する学びの場を活用したいが、「iDeCo口座を開いたけれど、何をどのように選べばよいかわからない」という相談は多い。
商品選びについて、例えば、あなたが旅行に行きたいと思い立ったとき、目的も宿泊地も予算も決めずにただパンフレットを集めるだけでは、旅行プランは簡単には決まらない。iDeCoの運用商品選びも同じだ。目的や目標、希望を明確にすることで、キーワード検索が容易になる。自分の希望項目と運用商品の分類項目のマッチングが、最適な商品選びの近道だ。
●分類項目:「元本確保型」と「元本確保型以外(投資信託)」
運管のホームページの運用商品一覧を見てみよう。
フォーマットは運管によって異なるが、いずれも規約の指示に準じたものだ。分類項目を知ることで、運用商品が選びやすくなる。大分類⇒中分類と見ていこう。
▶大分類
①「元本確保型」
②「元本確保型以外(投資信託)」
「元本確保型」の金融商品は、預金と保険が主流。保険商品がない運管もある。
▶中分類
「元本確保型以外(投資信託)」は、下記の項目で分類・表示されていることが多い。
①ファンド名(商品名)
②地域
③主要投資対象
④運用手法等
⑤管理費用・手数料
▶その他の表示項目
「運用会社」「選定理由」「運用実績」「商品情報」「基準価額」「純資産額」「販売手数料」など。
その他の表示項目は、リンクを張って別ページにて展開させるケースも多い。一覧表を見るだけで最新の数値が把握できたり比較ができたりするものもあり、各々に特徴があって楽しい。いくつか見れば自分に使いやすいものがわかるだろう。
分類項目チェックは、「どこの」「何に」「どのように」
では、主な項目を見ていこう。分類項目の要点は、「どこの(地域)」「何に(投資対象)」「どのように(運用手法等)」投資をしているか、という点だ。この3ポイントを押さえれば、投資信託のおおよその性格を知ることができる。
ファンド名
ファンド名には、投資信託の基本情報が詰め込まれている。後述する。
①地域(どこの)
どの国、どの地域に投資をしているかについての情報。
この項目の大分類は「国内」か「国外(海外)」か。海外の場合はさらに分類され、「先進国」「北米」「欧州」「新興国(エマージング)」「BRICs」などさまざまだ。国や地域が限定されるほど、そのエリアの事情(政治や社会、経済等)がよりダイレクトに価格に影響を及ぼす。海外ファンドは、為替の変動リスクにも注意したい。
世界分散を意図した「グローバル型」「全世界型」などの投資信託もある。どのような分散を図っているかは個別に確認しよう。「中身を見ると、ほとんど米国だった」というケースもある。
②主要投資対象(何に)
この項目は、当該投資信託が主として何に投資をしているのかを知る重要項目だ。
「伝統的4資産」などと言う場合は、前項の「地域」と関連付けて、「国内株式」「国内債券」「海外株式」「海外債券」の4つとなる。基本として押さえておこう。
投資対象によって値動きの大きさが異なり、価格変動要因やその影響度も異なる。自身のリスク許容度とのマッチングに欠かせない重要項目だ。主要投資対象の分類項目は、運管によって異なるが、主なものは下記のとおり。
▶主要投資対象
「株式」「債券」「リート」「コモディティ」
「リート」は不動産の投資信託で、「国内リート」や「海外リート」など内外のリートをそろえる運管もある。「コモディティ」は商品市場への投資で、金(ゴールド)などを対象とした投資信託もある。だが、iDeCoでは少数派だ。
▶「バランス型」
バランス型投資信託とは、株式のみや債券のみなどひとつの資産に偏ることなく、複数の資産や市場へ分散して投資するものを言う。先の「グローバル型」と同じく、リスク分散が目的のひとつ。どのように分散してバランスをとっているのかは、個々の商品情報で確認しよう。
運用手法など(どのように)運用手法や運用方針について
③運用手法等(どのように)
「どこの」「何に」と見てきたが、3つ目は「どのように」。これは、投資信託の運用手法や運用方針についての項目だ。
投資信託は、それぞれ運用方針をもとに組成され、日々運用される。どのような成果をどのように目指すのか、運用の物差しとする指標(ベンチマーク)は何か、などが運用手法等に記載される。先の「バランス型」は、リスク軽減のために「バランスよく分散」という手法をとっているということだ。
ユニークなものに「ターゲットイヤー型」がある。これは、iDeCoの卒業年齢60歳までの期間を想定し、最初は積極的な運用を行いながら次第に安定運用の割合を引き上げる。そして、目標年に達したら、安定運用に切り替えるという手法の投資信託だ。
「パッシブ型」と「アクティブ型」
分類項目のひとつとしてよく登場する運用方法「パッシブ型」と「アクティブ型」についてもみておこう。
▶パッシブ型
投資対象とするマーケット全体(日経平均株価やダウ平均株価など)と同じ動きを目指す運用方法。
すでにある指数を物差しとするため専門家の手間が少なく、比較的手数料(信託報酬)が低く抑えられる傾向にある投資信託だ。また、加入者にとっても、目安となる物差しがわかりやすく、日々の動きを捉えやすい。「インデックスファンド」と言われるものは、この部類。
▶アクティブ型
投資対象とするマーケット全体(日経平均株価やダウ平均株価など)を上回る収益を目指す運用方法。
市場平均を上回ることを目指すため、運用方針や運用担当者であるファンド・マネジャーの運用指図が重要となる。手数料等はパッシブ型と比べると高めの傾向だが、かといって市場平均を上回る利益が約束されているわけではない。「ハイコスト⇒ハイリターン」ではないことも留意しておこう。
持続可能な掛金を拠出する
iDeCoの拠出額には上限が設けられている。限度額は個々が加入する年金制度によって異なる。詳細は、iDeCo Vol.1「年金制度と拠出額」を参照されたい。
2022年10月に第2号被保険者の一部の限度額が引き上げられる予定だが、現行制度において、厚生年金に加入している会社員や公務員、専業主婦(主夫)は最大で月額2.3万円であり、5万円も6万円も拠出できるわけではない。
「iDeCoで資産運用」と聞くと、それだけで「どうしよう」とハードルが上がってしまうのだが、「月2万円程度」だとわかると、「なぁんだ」と落ち着くケースも多い。iDeCoの最低金額は5,000円だ。ドキドキ、ハラハラしない金額で始めよう。継続してこそ、iDeCoのメリットを享受できる。
●拠出にあたってのポイント
・(限度額)加入している年金制度によって、限度額が決まっている。
・(最低金額)5,000円。※1,000円単位で設定可。申請すれば年払いも可。
・(拠出方法)指定した預金口座から引落し(基本)。※残高不足で引落しできなかった場合は追納不可。
・(拠出額の変更)1年に1回、変更可。※届け出が必要。
・(拠出の停止)可。※加入者から、運用指図者となる。
・(国民年金保険料の未納月)iDeCoの掛金拠出の資格無し。当該月の掛金は運用に回らず還付される。
掛金を拠出したら、配分割合を指定する
規約には、「加入者は、加入者の個人別管理資産について、自己の責任において運用の指図を行う」とある。iDeCoの専用口座を開設したら、運管のサイトからログインし、掛金の配分割合を指示しよう。
例えば、国内株式インデックスファンド:25%、世界株式ファンド:20%、先進国債券ファンドに40%、世界REITインデックスファンドに15%、といった具合だ。
掛金が指定口座から引き落とされ、配分割合に従って、商品の購入手続きが行われる。商品や掛金の変更を行わなければ、毎月、決まった日にちに掛金の引き落としがあり、商品の購入が行われる。
なお、放ったらかしは禁物だ。iDeCo資産の成長を見守ろう。しっかり丈夫に育てるための必要なメンテナンスについては、次回の記事にて、ご案内する予定。
運用・投資は広くて深く、面白い
運管選び、商品選びと見てきたが、iDeCoの加入のハードルが下がり、運管の運用商品一覧が少しでも見やすく身近になれば、これほどうれしいことはない。運用・投資は奥深い。今回ご案内したことだけで、完璧に選択できるということは断じてない。しかも、投資信託の運用成績は日々刻々と変化している。
iDeCoは、未来の自分のために、今の自分ができることのひとつ。大切なお金を大きくたくましく健全に育てよう。だが、未来のために今、無理をし過ぎる必要はない。今も未来も豊かな暮らしであることが大切だと思う。









