マンションの長期修繕計画とは?

マンションの快適な住環境を確保し、また資産価値の維持のため適切なタイミングで修繕工事を行うことが重要だ。適切な長期修繕計画が作成されているかを確認したいマンションの快適な住環境を確保し、また資産価値の維持のため適切なタイミングで修繕工事を行うことが重要だ。適切な長期修繕計画が作成されているかを確認したい

マンションでは、廊下、階段、エントランス、エレベーター、外壁等の共用部が存在する。
これらの共用部を、管理組合が一体として維持・修繕していくために立てられるのが長期修繕計画である。

建物の材料や設備は、時間がたてば劣化が生じる。劣化は放置すると進行し、いずれは建物の機能まで損なってしまう。建物の寿命を延ばすためには、劣化が深刻化する前にあらかじめ適切な処置を施すことが重要となってくる。

マンション維持保全の「予防保全」と「事後保全」

マンションの長期修繕計画は、外壁塗装や屋根のアスファルト防水、エレベーターなどそれぞれの予防保全の周期に合わせて計画されているマンションの長期修繕計画は、外壁塗装や屋根のアスファルト防水、エレベーターなどそれぞれの予防保全の周期に合わせて計画されている

建物の維持保全は、「予防保全」と「事後保全」に大別される。
予防保全とは、点検や保守により予兆を捉え、故障する前に適切な処置を施すことをいう。それに対して、事後保全とは、事故や不具合が生じてから修繕を行うことである。

マンションの長期修繕計画は、主に予防保全を軸に計画が立てられている。予防保全は、部位によって修繕すべき周期がある程度決まっている。外壁塗装工事なら12~18年、屋根のアスファルト防水なら10~14年、エレベーターの取り替えなら24~32年である。

どこをいつ修繕すべきかについては新築時に分かっているため、長期修繕計画は新築時に計画されるのが一般的だ。

ただし、実際のマンションの修繕は必ずしも計画どおりに行われるわけではない。長い期間の中で、当初の計画にはない工事内容が生じたら、その都度、計画を変更して適切な工事を行うことが一般的だ。

例えば、マンションの共用部の照明をLED化するような工事がある。
LEDが普及する前に立てられたマンションは、照明が蛍光灯であるのが一般的であった。当時のマンションには、新築の長期修繕計画策定時に照明をLEDにするという発想がなかったため、計画の中にLED化する工事は見込まれていない。

LED化のように長期修繕計画で見込んでいなかった工事が生じれば、計画はその都度見直され実行されていく。
長期修繕計画は絶対的に不変なものではなく、状況に応じて柔軟に変更される点も特徴となっている。

マンション購入時に確認したい5つのチェックポイント

中古マンションの購入時に、修繕に関してチェックしたいポイントを紹介する。

1.修繕積立金の増額予定


長期修繕計画は状況によって見直されていくため、変更に伴い修繕積立金の不足が生じることが多い。そのため、マンションでは築年数が古くなると修繕積立金が増額されることがよくある。中古マンションでは、購入後、すぐに修繕積立金が増額されることもあることから、購入前は修繕積立金の増額予定を確認しておきたい。

修繕積立金の増額は、突然行われるものではなく、理事会で話し合われて実行される。マンション住民には理事会の議事録が配布されるため、所有者は早い段階から増額予定を知ることができる。

売主は修繕積立金の増額予定を把握できる立場にあるため、中古マンション購入時には、売主に増額予定をしっかり確認することがポイントだ。

2.外壁塗装


外壁塗装は12~18年のスパンで行われるため、比較的、頻繁に実施される工事となる。外壁塗装工事は、バルコニーも仮囲いで覆われ、また職人もバルコニー前を頻繁に行き交うことから、しばらくは快適な生活をしにくい。

数年前に外壁塗装工事が終わっている物件であれば、当面、外壁塗装は実行されないため、快適に過ごせる期間が長くなる。そのため、外壁塗装がいつ行われたかという点はチェックしておきたい。

3.エレベーターの取り替え


エレベーターの取り替えは大規模修繕の中で最も高額な部類の工事に属するため、エレベーターの取り替えが終わっているマンションは、一つの峠を乗り越えていることになる。

エレベーターの取り替えは、長年、修繕積立金を着実に貯蓄し、管理組合が適切に機能しないと実行できない工事だ。エレベーターの取り替えが終わっているようなマンションは、管理組合がしっかりしていると判断できる。

築35年以上のマンションを購入する場合には、エレベーターの取り替え工事が実施されているか否かを確認するのがいいだろう。

4.バリアフリー化などの追加工事


マンションでは段差にスロープを設置するバリアフリー化や、共用部照明のLED化、防犯カメラの設置等、新たな機能の追加工事が行われることがある。これらの追加工事は、管理組合が必要と判断し、その都度、長期修繕計画を変更して実施されている。

追加工事がなされているマンションは、住民たちが必要性を感じて改良していっているものであるから、「新築時の設計よりも住みやすい状態」になっているといえる。

住民の意識も高く、自主性の高いコミュニティーが形成されていると推測されるため、様々な機能が後から追加されているマンションは、良いマンションと考えることができるのだ。

5.元施工会社


修繕とは直接関係ないが、マンションを建てた元施工会社も重要なチェックポイントである。施工会社は、大手の施工会社ほど社内の品質基準が高いため、施工の質が高い傾向にある。

そのため、元施工会社は中堅よりも大手のゼネコンのほうが、建物の不具合は少ない。あくまでも一般論ではあるが、施工会社は一流のほうが安心・安全の確率は高いといえる。

マンション購入時に確認したい5つのチェックポイントと、現在の修繕状況も確認しておこうマンション購入時に確認したい5つのチェックポイントと、現在の修繕状況も確認しておこう

旧耐震のマンションは耐震診断または耐震改修が価値を決める

旧耐震基準のマンションの購入を検討する場合は、耐震診断の結果や耐震改修の実施の有無を確認したい旧耐震基準のマンションの購入を検討する場合は、耐震診断の結果や耐震改修の実施の有無を確認したい

建物の耐震性は、建築確認申請を通過した時点で旧耐震と新耐震に分けられる。旧耐震基準とは、昭和56(1981)年5月31日以前に建築確認申請を通過した建物を指す。
それに対して、新耐震基準とは、昭和56(1981)年6月1日以降に建築確認申請を通過した建物となる。

築25年を超えるマンションは、原則として住宅ローン控除を利用できない。しかしながら、瑕疵(かし)担保保険を付保すると住宅ローン控除を利用できるようになる。

瑕疵担保保険とは、住宅の主要部分などに瑕疵が見つかった場合、補修費用がおりる保険のことだ。瑕疵とはキズのことである。ただし、瑕疵担保保険を付保するには、マンションが新耐震基準に適合していることが要件の1つとなっている。

旧耐震基準のマンションの場合であれば、マンション全体で耐震診断または耐震改修を行うことで、新耐震基準に適合していると証明されることが必要となる。

新耐震基準に適合しているマンションであれば、瑕疵担保保険を付保することで住宅ローン控除を利用できる物件に変えることができるため、耐震診断や耐震改修の実施は資産価値に大きく影響する。

よって、旧耐震基準のマンションを購入する場合は、必ず耐震診断の結果や耐震改修の実施の有無についても確認しておきたい。

修繕積立金が高いマンションと安いマンションの特徴

修繕積立金は、一律ではなくマンションによって金額が異なる。修繕積立金が高いマンションの特徴を示すと以下のとおりだ。

【修繕積立金が高いマンションの特徴】

・戸数が少ないマンション

・タワーマンション

・免震構造のマンション

・築年数の古いマンション


戸数が少ないマンションは一戸当たりの負担が大きくなるため、割高となる。また、タワーマンションは特殊仕様の設備が多いことから、割高となる。
免震構造のマンションは、耐震性は優れているが、免震ダンバーを維持修繕しなければならないため、一般のマンションよりも割高となってしまう。

一方で、修繕積立金が安いマンションの特徴を示すと以下のとおりだ。

【修繕積立金が安いマンションの特徴】

・戸数が50~150戸程度のマンション

・単棟型(団地型ではない)のマンション

・築年数の浅いマンション


戸数は50~150戸程度が修繕積立金は最も安い傾向にある。また、複数棟立っている団地型よりも単棟型のほうが安い傾向にある。

修繕積立金はマンションの特徴によって金額が異なるため、購入時の参考にしていただきたい。

長期修繕計画、修繕積立金と今後の増額予定も確認を長期修繕計画、修繕積立金と今後の増額予定も確認を

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