新築・リフォームでは節水や節電に配慮した機器を
日々の暮らしの中で、省エネルギーやエコロジーに配慮することは重要だ。新築やリフォームの際には、構造や断熱材、開口部などのプランニングによって省エネルギー性能の高い住まいとすることが基本だが、設備機器や建材選びでも、可能な限り省エネルギーやエコロジーに配慮した商品やアイテムを検討したい。
特に最近では、在宅勤務も増加するなどライフスタイルも変化してきている。家族が家にいる時間が長くなれば、電気や水道代などの光熱費も気になるだろう。家づくりを進める中で選ぶことになる設備機器には、節水や節電に配慮した商品も多くみられ、キッチンやバス・サニタリーなどの水まわりを中心に、各社それぞれに工夫を施し、節水・節電性能を高めている。家族が日常的に使用する機器を選ぶ際には、それらの性能を意識することは今後ますます重要なポイントとなるだろう。
高い節水性能で水の無駄使いを防ぐ
■少ない水量で洗浄可能なトイレ
住まいの節水に関しては、まずトイレの洗浄水が挙げられるだろう。各メーカーいずれも、少ない水量で洗浄が可能な商品をラインナップしている。洗浄する水流や吐水口に工夫を施したり、水勢を増したり、便器内を特殊な形状にするなどにより、それらの多くが従来の半分以下の水量で洗浄が可能となっている。少ないものでは、大で3.8リットル、小で3.0リットルという商品もある。
TOTO広報部 東京広報グループの松竹博文さんは、「現在のコロナ禍で在宅勤務や家で過ごすことが増え、その分水道の消費量が増えたと感じる方も多く、節水型トイレへの関心は高まっていると感じています」と話す。
とはいえ、「現在、買い替えの場合は、1990年代までの洗浄水量13リットルからの変更が多く、当社であれば、大便器のラインナップである大4.8Lと3.8Lを取り入れることになり、自然と節水となっています」という。
条件はさまざまだが、各メーカーの試算では、従来品に比べ現在の商品に変更することで年間1万円以上の節水が可能。機器を取り換えることで節水は実現できることになる。選ぶ際には、それぞれ特徴があるので、節水性能と同時に、実際の流れ方や使い勝手、洗浄音などをショールームで確認することが大切だ。
■水の無駄使いを防ぐ水栓
パナソニックの調査によると、水栓に求める機能の第1位は「節水」。第2位が「汚れがつきにくさ」だという。
最近のキッチン水栓は、ハンドル操作ではなく、内蔵されたセンサーが手やモノ(食器など)の位置と動きを感知して水の出し止めができるタイプ、スイッチひとつで簡単に水の出し止めが出来るタッチ式などがある。使う分しか出ないため無駄を防ぎ、お子さんや高齢の方でも使いやすい。センサーに手をかざすことで止水・吐水ができる水栓は、従来の水栓に比べ、年間約24%の節水になるというデータもある(下記グラフ参照)。
「キッチン作業は手が汚れやすく水もたくさん使用するため、水の出しっぱなしを防ぎ、触らずに水を出したり止めたりできるセンサー水栓は人気のアイテムです。キッチンの高級グレードでの採用率は約50%になります」とパナソニック担当者は話す。
一般的に取り入れられているキッチン水栓は流量調節しやすいシングルレバー混合水栓だが、お湯と水をしっかりと使い分けられるタイプであれば、給湯器(システム)を無駄に作動させることによるエネルギー消費を防ぐことが可能だ。
また、洗面用の水栓金具もシングルレバー混合水栓が主流。タッチ式や手を差し出すだけで水の出し止めができるものなども揃っている。「近年のCOVID-19の影響もあり、センサー水栓の採用率は洗面化粧台含めて伸びています」(パナソニック担当者)。手を洗う機会も増えている昨今、キッチンだけでなく洗面の水栓の節水性能や使い勝手をしっかりと確認したい。
■節水しつつ快適な浴び心地を実現するシャワー
バスルームでも、バス水栓やシャワー水栓の節水性能は確認したいポイントだ。TOTO広報部 東京広報グループの浅妻令子さんは、「節水に対する意識が高まっているというよりは、節水が当たり前となっているとここ近年感じています」と話す。
キッチンや洗面同様、バス水栓は流量調節しやすく比較的節水性のあるシングルレバーが主流。各社工夫を施し、より性能を高めたタイプも揃っている。メーカー独自の形状の水栓金具も提案され、押すだけで湯水の出し止めができるプッシュタイプ、手元で簡単に止水でき、こまめに操作ができるタッチスイッチタイプなどもある。
シャワー水栓では、手元で簡単に湯水を出し止めできる手元止水機構(一時止水スイッチ)のついたシャワーヘッドは、湯水の使用量を削減することが可能。また、シャワーの噴出口の加工や水流に工夫を施したり、空気を含ませるなどして、浴び心地の快適さを損なわず、節水・省エネ効果を実現するタイプもみられる。
最近人気のシャワーについて浅妻さんは、「当社の戸建てシステムバスルームの売れ筋の節水シャワーは『コンフォートウエーブシャワー』。従来の通常品からは35%の節水を実現し、適度な刺激感のある新たな吐水方式のタイプです」という。家族が日々使用するアイテムだけに、節水性はもちろん、快適性を兼ね備えたタイプが注目されているのだろう。
■手洗いよりも節水が可能な食器洗い乾燥機
食器洗い乾燥機も一般的な設備機器となっている。新築やリフォームの場合は、システムキッチンにビルトインするタイプを選ぶことになるだろう。後片付けが楽になる、衛生的なことなどがメリットだが、パナソニックの担当者は「節水効果が望めることも購入時の大きな魅力となっています」と話す。パナソニックの試算では、手洗いと食器洗い乾燥機の一回あたりの使用水量を比較すると、約74リットルの節水が見込めるという。
「ビルトインタイプの場合、より性能の高いエコ機能搭載モデルを選ばれる方は約半数、うち当社独自の『エコナビ機能』搭載モデルを選ばれる方は約34%と、より節水となる機能も注目もされています」(パナソニック担当者)。
照明や配線プランで節電機能を高める
■一般的となったLED
節電となる機器の代表的なアイテムはLEDだろう。電気代の節約だけでなく、寿命が長いため交換の手間が減ることもメリットだ。住まいの照明器具のほとんどがLEDとなり、居室だけでなく、水まわりやエクステリア照明などでも、多様な商品バリエーションがみられる。
パナソニックによると、蛍光灯器具とLEDシーリングライトを比較した場合、消費電力は約61%ダウンし、10年で約2.9万円の差がでるという。最近のLED照明について、担当者は「LEDでは調光調色が当たり前になり、複数のあかりを、ワンタッチでコントロールできるリビングライコンなどと組み合わせてシーン設定が可能です。生活シーンごとに切り替えることをお勧めします」と話す。
■使い勝手と節電を両立。センサースイッチや消し忘れスイッチ
電気の消し忘れを防止することができるのが、人感センサー付きなどの照明器具だ。人の動きを感知して点灯し、一定時間を過ぎる消灯するもの。また、ある一定の時間が過ぎると止まる機能を持つ消し忘れスイッチもエネルギーの無駄を防ぐことができる。
パナソニックの担当者は、「センサースイッチは基本的には玄関などに、消し忘れスイッチはトイレなどに設置される場合が多いでしょう。最近では、付け替えるだけで、家中のスイッチの操作がスマホでできるような商品もあります。消し忘れなどがスマートフォンで確認でき、操作も可能です」と話す。
また、照明選びのポイントとしては「その部屋でどのような生活をしたいかを想定することがポイント。部屋の活用用途、シーンにより照明は、切り替える時代になっています。1室1灯で、器具を選ぶのではなく、そこでの作業や過ごし方などで照明の種類を選ぶことが必要です」とアドバイスする。
断熱材やセンサーを用いてエネルギーを無駄にしない
■追い焚きを減らすことができる保温浴槽
バスルームで光熱費が気になるひとつに「追い焚き」が挙げられるだろう。家族全員が続けて入浴ができれば問題はないが、ライフスタイルによっては難しい場合もある。「追い焚き」によるエネルギー消費を抑えることができるのが、時間が経っても湯温が低下しにくい保温浴槽。浴槽を断熱材(保温材)で覆い、断熱性能を持たせたものだ。TOTOの浅妻さんは「当社のシステムバスルームでは、保温効果の高い浴槽である『魔法びん浴槽』付きが標準仕様となっています」と話す。各メーカーともに工夫を施したタイプがみられる保温浴槽は、馴染のある一般的な機能となってきていると言えるだろう。
また、浴槽だけでなく、浴槽のふたも断熱性能を持たせたタイプもある。合わせて使用することで、より断熱性能が高まりエネルギー消費を抑えることが出来る。TOTOによると、年間約3,300円のガス代の節約になるという(下記参照)。
■センサーや断熱材で節電効果を高めた暖房洗浄便座
温水洗浄便座の節電機能も高まっている。「在宅勤務や家にいることが多い昨今では、節水同様に節電意識も高まっていると感じます」とTOTOの松竹さんは話す。
温水洗浄便座は、お湯の作り方で瞬間式と貯湯式に分けることができる。瞬間式はヒーターによって瞬間的に温められた設定温度のお湯を噴出するタイプ。貯湯式は内蔵された貯湯タンク内で設定温度の温水をヒーターによってつくり貯めておき、使用ごとに噴出するものだ。松竹さんによると、「温水洗浄便座の中で消費電力が一番大きいのは貯湯式のタイプ。瞬間式のタイプで使用時のみ便座を温める瞬間暖房便座であれば、貯湯式と比べ消費電力は半分以下となります」という。
暖房機能では、センサーが人の動きを検知し、使用する時だけ便座をあたためる機能、設定時刻に便座のヒーターを自動で切る機能、使用頻度を記憶し使用が少ない時間帯は便座の温度を下げたり、自動的に切って節電するものなどもある。便座や便フタに断熱材を内蔵することで、熱を逃がさず、電気代を抑える工夫がなされたタイプもみられる。
これらの機能によって条件はさまざまだが、年間5千円以上の節電が可能という試算も(下記参照)。メーカーや商品ごとに特徴や性能が異なるので、家族構成やライフスタイルによって、必要な機能は何か、優先順位を決めて選ぶことが大切だ。
ショールームで機能や性能の確認を
どのような設備機器を選ぶとしても、ショールームを活用することは重要だ。実際に機器を確認し、操作できるものは動かしてみることが基本だろう。最近では、性能を確かめることができるコーナーも充実している。たとえばトイレやシャワーなどであれば、操作性だけでなく、水流の動きや勢い、水流音などもチェックすることが可能だ。
また、水まわりを中心のお手入れが楽な工夫を施した商品が増えている。汚れにくく掃除がしやすいタイプであれば、お手入れにかかる時間が短縮でき、エネルギーを無駄にすることも少なくなる。
設備機器すべてを性能の高いタイプを選ぶことは難しいかもしれないが。家族構成や生活スタイルを考慮して、優先順位を明確にすることが大切だ。
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