飛来物への不安からニーズも高まる。窓に設置するシャッターの種類
窓サッシの性能の高まりや外観デザインなどの面などから、新築住宅の窓には、雨戸やシャッターを設けずに、窓サッシのみというプランも多くみられる。しかし、ここ数年来、異常気象と言われる中、日本各地で自然災害が増えてきており、特に2018年、2019年の大型の台風は、窓まわりのプランニングにも影響を及ぼしているようだ。
各地に大きな被害をもたらした強風による飛来物への不安から、注目されているのが窓に設置するシャッターだ。従来からある一般的な横引きの雨戸に代わり用いられる外部建具である。
窓に設けるシャッターは、スチールやアルミの羽根(スラット、スラッター)を上下させ開閉するものだ。羽根を支えるガイドレール、羽根を収納するシャッターボックス(ケース)などから構成され、シャッター単体の商品、シャッター付(一体型)窓サッシがある。
羽根の形状や機能によって、全て閉めたときに窓をぴったりと覆うタイプ、羽根の間に小さな穴を設け通風や採光もできるタイプ、羽根の開閉(角度)によって通風・採光の調整も可能なタイプなどが揃う。
また、開閉の操作方法では手動と電動があり、電動タイプは室内の壁に設置されたスイッチだけでなく、配線工事が不要なリモコンで操作可能なもの、専用アプリをインストールすることでスマートフォンで操作可能なタイプもある。
最近では、比較的簡単に後付けできるリフォーム向けの商品も充実してきており、取り入れやすくなってきている。手動シャッターから電動シャッターへの交換が可能なもの、既存のサッシに取り付け可能なタイプ、設置スペースが厳しくても対応できる商品なども揃っている。
設置するメリットは、防犯やプライバシーの確保、断熱性、そして防災
シャッターを設置するメリットは、まず、窓ガラスを破る前にシャッターをこじ開ける手間が加わるため、防犯性が期待できることが挙げられる。また、外部からの視線を遮ることが出来るため、プライバシーが守られることもメリットだ。羽根の調整ができたり通気孔を持つタイプであれば、プライバシーを保ちつつ光や風を採り入れることもできる。夏の夜にはシャッターを閉めたまま、自然の風で涼むことができるのは魅力だろう。
加えて、窓と二重になることで断熱性能が高まるため、冬場は結露を低減し、夏場は太陽熱の流入を抑制、快適性と同時に省エネルギーにもつながる。
そして、昨今注目されているのが防災面。台風や強風の際、シャッターがあることで飛来物による窓まわりの被害を低減できる。最近では、特にリフォームで設置を希望するケースが多くみられるという。最新商品の特徴や取り入れる際の注意点など、製造開発する建材メーカーに聞いた。
条件が厳しい場所でも設置可能な後付けシャッターをラインナップ/YKK AP
「東京や関西、名古屋圏など都市部の一般的な新築住宅の場合、窓にシャッターを設置する主な目的は防犯。台風などの災害対策として設置するのは九州や四国などです」と話すのは、YKK AP住宅商品企画部 シャッター・電装商品企画グループ長の片桐裕治さん。
しかし、ここ数年来、大きな自然災害が続いたことから、シャッターに対する意識も大きく変わってきたと感じるという。「2019年、実際に台風に見舞われた千葉県で強風による被害状況の調査を行ったところ、飛来物による窓ガラスの破損が多くみられました。しかし、雨戸やシャッターが設置されている比較的新しい家では、雨戸やシャッターに凹みがみられるものの窓ガラスへの被害は少なかったのです。このような災害の怖さを身近に感じた方を中心に、シャッターに対する需要が一気に高まってきているように感じています」(片桐さん)
特にリフォームでの需要は高まり、雨戸からシャッターに取替えを希望する方も増え、比較的簡単に設置できる後付けシャッターも注目されているとか。YKK APでは、構造のおさまりなどの工夫によって、従来では取り付けが難しかった既存窓の位置や条件でも設置することができるタイプを揃えている。たとえば隅が狭い場合やボックスなどがつけられないところなどにも設置可能で、より多様な窓プランに対応することができる。
また、昨年の台風の威力はすさまじく、標準の性能のシャッターでも外れてしまったり、風に耐えきれないケースもあったことから、今年の春、台風が多い地域などで提案している耐風シャッター(標準的なシャッターに比べ耐風フックが多く設けられ、ボックスやガイドレールの強度を持たせるなど工夫が施されているもの)の充実を予定しているという。
「最近では、換気ができるスリット付きのタイプを選ばれる方も多くみられます。予算の関係から手動タイプが主流ですが、電動タイプもリフォームを中心に増加してきています。また、HEMS機器と連携させることで、スマートフォンで外出先から開閉操作をすることも可能なので、ライフスタイルに合わせて取り入れていただきたいと思います」とシャッター商品企画室の瀬口莉子さんはアドバイスする。
操作性を高め、簡単な施工で設置可能な商品も充実/LIXIL
LIXILの調査によると、昨年の台風では、飛来物によるシャッターのスラット(羽根)部分の損傷メンテナンスが多く発生していたという。このことから、シャッターが窓ガラスの破損防止に役立つことが示され、また、飛来物衝突試験などからも、シャッターや雨戸は飛来物に関して有効であることが確認できたという。
飛来物対策として有効なシャッターだが、現状では、防犯目的から1階だけに設置するケースが多くみられる。しかし、「飛来物からガラスを守るためには、1階だけでなく2階の窓にもシャッターを設置することもポイントです」とLIXILサッシ・ドア事業部 窓まわり事業推進部 窓まわり商品開発室 室長の飯盛光洋さんは話す。「台風時、飛来物により窓ガラスが破損すると、建物の内部圧力が倍増して内部から屋根などを破壊する被害につながる恐れもあるからです」(飯盛さん)。
サッシ・ドア事業部 パノラマ商品開発室 室長 兼 減災商材プロジェクト推進責任者の中山佳之さんは「家づくりの中では、窓のプランに時間を割くことが難しいと思います。特にシャッターにこだわる人は少ないかもしれませんが、住まいの性能にも大きくかかわる部位なので、サッシやガラスと合わせてトータルに検討してほしいと思います」と話す。
LIXILでは、使い勝手をより高めた電動シャッターを昨年発表。スマートフォンでのシャッター開閉や開閉状態の確認、また同社のIoTホームLink「Life Assist」や一般的なHEMSに連携させることで、外出先からシャッターを操作したり、スマートスピーカーなどを使って操作することも可能だ。モデルチェンジしたリフォーム向けのタイプは、機能性だけでなく後付けでの設置のしやすさを向上。今後は、強度を高めた耐風対応タイプ、アルミを用いた塩害に強いタイプなども訴求していきたいという。
最近の住宅では、さまざまな形状の窓が用いられており、すべての窓にシャッターを設置するのは現実的ではないだろう。プランニングに関して、サッシ・ドア事業部 サッシ・ドア市場戦略部 プロモーション企画G 吉住このみさんは「大きい窓には外側を守るシャッターを、小さい窓には面格子などの選択肢も。縦型の窓や勝手口などシャッターを付けられない場合などは、防犯合わせガラスを推奨しています」と話す。
ショールームで実際に操作し確認を。開閉音もチェックしたい
このように防災面で注目されているシャッターだが、新築・リフォームに関わらず、取り入れる際にはシャッターに何を求めるのか、設置する目的に優先順位をつけてプランニングすることが大切だ。ひとつの窓だけではなく、住まいの開口部全体を考慮して、それぞれに必要な機能を明確にすることがポイントだろう。
また、家族構成やライフスタイルによって、必要な機能は異なるので、暮らしをイメージして確認すること。操作性に関しても、高齢者や幼いお子さんがいるご家庭であれば、楽に戸締まりができる電動タイプが向いている。開閉時に窓サッシを開けずに済むので、外からの空気(冬場の冷たい外気など)が入らず、花粉症の方などにもメリットがある。共働きなどで留守にすることが多いのであれば、スマートフォンで操作確認ができるタイプもいいだろう。
具体的な商品を選ぶ際には、カタログだけでなく積極的にショールームを活用すること。手動タイプと電動タイプの違い、リモコンやスマートフォンの使い方など、実際に動かして操作性の確認を。開閉時の音、重さなどもチェックしておきたい重要なポイントだ。
取材協力
LIXIL / YKK AP
![(上)周辺環境や立地、間取り、家族構成などを考慮して適するシャッターを取り入れたい。[リモコンシャッター 窓:エピソードNEO シャッター付き引違い窓] (下)スラットとスラットの間のスリットを開けることで、ほどよく視線を遮りながら、採光・彩風が可能。[リモコンスリットシャッター 窓:エピソードNEO] YKK AP](http://lifull-homes-press.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/press/2020/01/ykk009-300x400.jpg)
![(上下)専用アプリ「My Window」をインストールすると、手持ちのスマートフォンでシャッターを開閉したり、開閉状態を確認することが可能。ライフスタイルに合わせて選びたい。[住宅用窓シャッター] LIXIL](http://lifull-homes-press.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/press/2020/01/lixil000-300x400.jpg)
![(左上)片桐裕治さんと瀬口莉子さん (右上)リモコンシャッターや玄関ドアがHEMS機器と連携。外出先からスマホでシャッターの開閉や玄関ドアの施錠も可能。 (下)[かんたんマドリモ シャッター] 既存の窓が横引き雨戸付きでも設置できるタイプ、窓の横や上にスペースが無いなど、さまざまな納まりの窓に対応可能なタイプが揃う。※参考価格 標準納まり、下地部材なしの場合/リモコンスリットシャッター 255,100円~、リモコンシャッター 168,200円~、手動シャッター 83,500円~ (部材標準販売価格。消費税、ガラス代・組立費および現場搬入費、施工費などは含まず) YKK AP](http://lifull-homes-press.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/press/2020/02/ykkap007sashikae-600x450.jpg)
![(左上)吉住このみさん、飯盛光洋さん、中山佳之さん (右上・下)[リフォームシャッター] 既存の窓の上から取付けるだけの簡単施工のシャッター。取付工事にかる所要時間は1窓あたり約1時間。※参考価格 スマート電動タイプ185,000円~、電動タイプ155,000円~、手動標準タイプ82,000円~ (消費税、組立代、取付費、運賃除く) LIXIL](http://lifull-homes-press.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/press/2020/01/lixil002-600x450.jpg)

