住宅ローンは返せる額から考えるのが基本
住宅ローンの借入額は「いくら借りられるか」ではなく「毎月いくらなら安定して返済できるか」で考えましょう。年収に対する年間返済額の割合である返済負担率は、25%以内が一般的な目安とされています。
詳しくは、「そもそも住宅ローンの借入額はどうやって決めるべき?」をご覧ください。
返済期間35年なら3,000万円程度が借入額の目安
年収450万円で、無理のない返済負担率25%(毎月返済額約9.4万円)に設定した場合、返済期間35年で約3,070万円の借入れが可能です。金利や頭金の額によって借入可能額は変動するため、シミュレーションで確認しましょう。
詳しくは、「年収450万円で無理なく借りられる住宅ローンはいくら?」をご覧ください。
購入可能な物件はエリアや新築・中古で変わる
予算2,700万円で購入できる物件は、都内23区であれば中古物件や単身者向けのコンパクトな新築物件が中心です。一方、地方都市であれば、ファミリー向けの新築一戸建ても十分に探すことができます。希望条件に合わせて探しましょう。
詳しくは、「年収450万円で無理なく買えるのはどんな家?」をご覧ください。

無料で住まいの窓口に相談する住まいの窓口とは

住宅ローンを利用する際には、収入やライフプランなどのさまざまな項目を考慮して、無理のない返済計画を立てることが大切です。特に、年収はローンの審査や返済プランに関わる重要な判断基準となります。

 

しかし、単に「年収の何倍」と計算するだけでは、なかなか具体的な返済計画を立てることはできません。

 

今回は「年収450万円」のケースを想定して、無理なく組める住宅ローン借入額や返済プラン、実際に購入できる物件の目安を具体的に解説します。

住宅ローンの借入額

 

まずは、住宅ローン借入額を決める際の基本的な考え方について見ていきましょう。

 

住宅ローンの借入額を計算するときには、「いくらまで借りられるか」ではなく、「いくらなら毎月安定して返済できるか」を考えることが重要です。

 

つまり、無理のない毎月返済額を明らかにすることが、シミュレーションを行う第一歩です。

 

毎月返済額を考えるうえでは、現在払っている家賃がひとつの目安となります。

 

しかし、マイホーム購入後には税金やメンテナンス費といったランニングコストがかかるため、単純に「家賃と同額なら大丈夫」と考えないほうがいいでしょう。

 

毎月返済額を算出する際は「返済負担率」から考えることが大切です。返済負担率とは、「年収に対する年間返済負担額の割合」を示す数字で、一般的に無理のない返済負担率の目安は「25%以内」とされています。

 

住宅金融支援機構がまとめた「2020年度 フラット35利用者調査」(※)でも、住宅種別の総返済負担率の平均値は以下のように20~25%程度です。

購入した住宅の種類

総返済負担率の平均値

注文住宅

20.8%

土地付き注文住宅

24.1%

建売住宅

23.1%

新築マンション

21.7%

中古一戸建て

19.7%

中古マンション

19.6%

そこで、まずは25%以内を基準にして、毎月返済額の目安を計算しましょう。

年収450万円:毎月返済額の上限目安は約9.4万円

 

たとえば、年収450万円の場合は、「450万円÷12ヶ月×25%=約9.4万円」が毎月返済額の上限と想定できます。

 

※ 独立行政法人住宅金融支援機構「2020年度 フラット35利用者調査」

 

同じ毎月返済額であれば、当然ながら返済期間を長くとるほうが借入可能額の枠も広がります。一般的な住宅ローンの最長返済期間は35年のため、借入限度額は35年を前提に計算することも多いです。

 

しかし、実際の返済期間は、現在の年齢やライフプランなどを踏まえて慎重に考慮することが大切です。

 

たとえば、定年を迎える前(65歳以前)に返済を終わらせるのであれば、現在の年齢が30歳を超えている場合、返済期間は35年よりも短く設定する必要があります。

 

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年収450万円で無理なく借りられる住宅ローン

 

ここでは、LIFULL HOME’Sの「住宅ローンシミュレーター」を使い、年収450万円で無理なく組める住宅ローン借入額を計算してみましょう。

 

なお、今回は計算にあたり、以下の条件を設定しました。

条件

  • 金利:全期間固定金利1.5%
  • 毎月返済額:9.4万円(返済負担率25%)
  • 返済期間:20年、30年、35年の3パターン
  • その他の条件:頭金なし

すると、結果は以下のようになりました。

返済期間

借入可能額

20年

1,948万円

30年

2,724万円

35年

3,070万円

実際には金利や返済方法といった条件によって結果に変動はありますが、35年の返済期間を設けると、3,000万円程度の借り入れも可能であることが分かります。

 

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年収450万円の返済プランのシミュレーション

 

より詳細な返済プランを立てる際には、生活費とのバランスを試算してみるのもひとつの方法です。

 

住宅ローン返済額と生活費、マイホームの維持費などをまとめて試算したいという人には、LIFULL HOME’Sの「おうち予算シミュレーション」が便利です。

おうち予算シミュレーション

おうち予算シミュレーション

おうち予算シミュレーションでは、年齢や家族構成、収入などを入力すると、自動的に住宅の購入予算の目安が算出されます。

 

大きな特徴は、生活費を項目ごとに細かく計算してくれる点にあり、購入後のリアルな家計と見比べながらチェックできるのが利点です。

 

今回は、「年齢35歳」「年収450万円」「夫婦+子ども1人の3人家族」のケースを基に、実際におうち予算シミュレーションで計算してみましょう。

 

住宅ローン以外の借り入れや自己資金はゼロで計算し、返済負担率は25%、生活費を少し調整すると以下のような結果になりました。

住宅購入の目安予算

2,100万円~2,700万円

住宅ローン毎月返済額

7万円

住宅ローン返済期間

35年

住宅関連費(維持費など)

5万円

生活費合計

約15万円

<内訳>

食費・日用雑貨

5万1,563円

水道光熱費

1万313円

被服・理美容費

1万2,888円

医療費

7,737円

交通・自動車関係

1万2,888円

通信費

1万313円

教育費

1万313円

趣味・娯楽費

1万2,888円

諸雑費(保険料含む)

7,737円

こづかい

7,737円

交際費

1万313円

貯蓄

5,000円

このように、シミュレーション結果は細かい項目ごとに表示されるので、現在の家計と見比べながら適切な借入額を検討したいときに便利です。

 

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年収450万円で無理なく買える言え

 

おうち予算シミュレーションの試算結果から、年収450万円の場合、2,700万円程度が購入予算の目安であることが分かりました。

 

試算結果はあくまで一例ではありますが、ここでは上記の金額を基に、実際にどのような住宅を購入できるのか紹介します。

新築一戸建ての例

 

LIFULL HOME’Sの「価格相場」で東京都23区内における一戸建ての相場をリサーチすると、予算2,700万円は新築で考えるとかなり低い水準になります。

イメージとしては、以下の事例のように、広々としたファミリー向けというよりも、単身世帯やDINKS向けの狭小住宅が主な選択肢となります。

新築一戸建て

  • 所在エリア:東京都墨田区
  • 交通アクセス:最寄り駅から徒歩3分
  • 建物面積:59平米
  • 間取り:1SLDKの2階建て(ロフト付き)
  • 主な設備:システムキッチン、サービスルーム、ロフト など
3,000万円以下の新築一戸建てを探す

中古一戸建ての例

 

一方、中古であれば、23区内であってもエリアによっては、以下のようなファミリー向けの物件を探せる価格帯といえます。

中古一戸建て

  • 所在エリア:東京都江戸川区
  • 交通アクセス:最寄り駅から徒歩23分
  • 建物面積:58平米
  • 築年数:17年
  • 間取り:3DKの2階建て
  • 主な設備:全居室収納、駐車場 など

ただし、この価格帯で見つかる候補には、建替えができない「再建築不可」の物件や、土地の所有権がない「借地権付き」の物件も少なくはありません。

 

そのため、見落としがないように、不動産情報を細かくチェックするようにしましょう。

 

3,000万円以下の中古一戸建てを探す

 

「2020年度 フラット35利用者調査」によれば、マンション購入における所要資金の全国平均は「新築で4,545万円」「中古で2,971万円」とされています。

 

中でもマンション価格の高騰が目立つ東京都では、購入予算2,700万円は水準よりも大幅に低い設定といえます。

新築マンションの例

 

23区内で新築マンションを探す場合には、以下の例のように単身世帯向けの物件が主な選択肢となるでしょう。

新築マンション

  • 所在エリア:東京都台東区
  • 交通アクセス:最寄り駅から徒歩4分、その他複数駅利用可能
  • 専有面積:26平米
  • 間取り:1DK
  • 主な特徴:セキュリティ設備 など
3,000万円以内の新築マンションを探す

中古マンションの例

 

一方、中古マンションであれば、ファミリー向けの物件を見つけることも可能です。

中古マンション

  • 所在エリア:東京都荒川区
  • 交通アクセス:最寄り駅から徒歩12分
  • 専有面積:73平米
  • 築年数:24年
  • 間取り:3LDK
  • 主な特徴:住宅性能評価書付き など

このように、居住人数や住みたいエリアに合わせて、中古市場にも目を向けてみるのがポイントです。

 

3,000万円以内の中古マンションを探す

 

地方都市の場合は、都内と比べて購入できる物件の選択肢が広がります。今回は地方都市の例として、宮城県仙台市の物件を例に見ていきましょう。

新築一戸建ての例

新築一戸建て

  • 所在エリア:宮城県仙台市
  • 交通アクセス:最寄り駅からバス13分、バス停から徒歩4分
  • 建物面積:95平米
  • 間取り:3SLDKの2階建て
  • 主な設備:カウンターキッチン、浴室乾燥機、バリアフリー対応、駐車場2台付き など

地方都市であれば、ファミリー向けの新築一戸建ても視野に入る価格帯といえます。

 

3,000万円以下の新築一戸建てを探す

中古一戸建ての例

 

また、中古であれば、以下のように築浅の物件も多く見つけられます

中古一戸建て

  • 所在エリア:宮城県仙台市
  • 交通アクセス:最寄り駅からバス21分、バス停から徒歩2分
  • 建物面積:98平米
  • 築年数:5年
  • 間取り:4LDKの2階建て
  • 主な設備:太陽光発電付きオール電化住宅、収納水回り充実、駐車場2台付き など
3,000万円以下の中古一戸建てを探す

 

「2020年度 フラット35利用者調査」によると、首都圏・近畿圏・東海圏を除くその他の地域では、マンションの平均購入価格が「新築で3,844万円」「中古で2,369万円」とされています。

 

この結果と比較すると、購入予算2,700万円は新築では難しいものの、中古ではある程度余裕を持った水準と考えることができます。

新築マンションの例

 

ここでは、地方都市の例として宮城県仙台市におけるマンションの購入例を見ていきましょう。

新築マンション

  • 所在エリア:宮城県仙台市
  • 交通アクセス:最寄り駅から徒歩7分
  • 専有面積:33平米
  • 間取り:1LDK
  • 主な特徴:充実した室内・共用設備、セキュリティ設備、ペット飼育可 など

地方都市のマンションは、駅近などの好立地に建てられることが多いため、室内の広さよりも交通アクセスなどの利便性を重視する人に向いているといえます。

 

3,000万円以内の新築マンションを探す

中古マンションの例

 

一方、中古マンションであれば、ファミリー向けの物件も多く見つかります

中古マンション

  • 所在エリア:宮城県仙台市
  • 交通アクセス:最寄り駅から徒歩10分
  • 専有面積:73平米
  • 築年数:16年
  • 間取り:3LDK
  • 主な特徴:システムキッチン、充実した室内・共用設備 など
3,000万円以内の中古マンションを探す

窓口で相談する

 

住宅ローンの返済プランを立てる際には、長期的な視野が必要となるため、時には第三者である専門家に相談してみるのもひとつの手です。

 

家を買うときの資金計画について知りたいという場合は、LIFULL HOME’Sの「住まいの窓口」でアドバイザーに相談してみましょう。

 

住まいの窓口では、住宅の購入を検討する利用者の悩みに合わせて、納得がいくまで何度も無料で相談に応じてもらえます。特定の不動産会社や物件に偏らず、中立的な立場でアドバイスをもらえるため、初めての人でも安心して利用できるのが特徴です。

 

「住まい探しの流れやコツ」や「不動産会社選びのポイント」など、ほかにも幅広いテーマから相談できるので、マイホームの購入計画で悩んでしまったときには、利用を検討してみてください。

 

住まいの窓口に相談する マンションを探す 一戸建てを探す

Q. 1 年収450万円ですが、住宅ローンはいくらまで借りられますか?

A. 1 無理のない返済額から計算すると、返済期間35年で約3,070万円、30年で約2,724万円が借入額の目安です。ただし、金利や頭金の有無によって金額は変わるため、あくまで目安として参考にしてください。

Q. 2 住宅ローンの借入額を決めるとき、何から考えればいいですか?

A. 2 「借りられる金額」よりも「毎月、無理なく返せる金額」を基準に考えましょう。年収に占める年間返済額の割合(返済負担率)を25%以内に収めるのが一般的です。年収450万円なら、毎月の返済は9.4万円あたりが上限の目安になります。

Q. 3 ローンの返済をしながら、毎月の生活は苦しくなりませんか?

A. 3 たとえば「35歳・年収450万円・3人家族」のモデルケースでは、毎月の返済額を7万円にしても、生活費や家の維持費を払い、5,000円を貯蓄に回せる計算です。ご自身の家計と見比べながら、無理のない返済額を検討しましょう。

Q. 4 年収450万円で、東京23区で家を買うのは難しいですか?

A. 4 新築だと単身者向けのコンパクトな物件が中心になりますが、中古ならファミリー向けのマンションや一戸建ても探せます。ただし、中古の一戸建ては再建築できない物件もあるため、購入前によく物件情報を確認することが大切です。

Q. 5 地方都市なら、どのような家が購入の選択肢になりますか?

A. 5 地方都市なら物件の選択肢は大きく広がります。たとえば、予算2,700万円でも、駐車場付きのファミリー向け新築一戸建てや、築年数の浅い中古一戸建ても視野に入ります。都心部と比べて、広さや築年数などの条件が良い物件を探しやすいでしょう。

Q. 6 住宅ローンの返済期間は、どのように決めたらいいですか?

A. 6 返済期間を長くすれば借入額は増やせますが、定年退職の年齢など、ご自身のライフプランに合わせて決めることが大切です。たとえば「65歳までに完済したい」と考えるなら、35歳の人は返済期間を30年以内に設定する必要があります。

更新日: / 公開日:2022.06.17