新型コロナウイルスの影響により、幅広い業種で導入されているテレワーク。
通勤の負担が減るなどのメリットがある一方、これまでオフィスで負担されていた電気代が家計に加算されてしまうことで、光熱費の増加が気になる人もいるのではないでしょうか。
今回はテレワークで光熱費がどのくらい増えるのか、目安の金額を解説します。そのうえで、会社負担に関するルールや節約のコツを見ていきましょう。
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テレワークで光熱費はどのくらい増える?

テレワークの導入によって、光熱費には具体的にどのような影響があるのでしょうか。消費電力が増えてしまうのは、主に「パソコン」「空調」「照明」の3点です。
1ヶ月当たり合計3,000円~4,000円程度の増加が目安
ここでは、金額ベースでどのくらい負担が増えるのか、具体的にシミュレーションしてみましょう。
なお、今回は計算にあたり、全国家庭電気製品公正取引協議会による「新電力料金目安単価」(※1)を参考にして、「1kWh=27円」を基準にしました。
また、労働時間や勤務日数については、厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」(※2)を参考にしています。
項目 | 消費電力の目安 | 電気代増加分の目安 (1ヶ月当たり※) | |
|---|---|---|---|
パソコン | デスクトップ | 50~120W | 227円~544円 |
ノートパソコン | 20~50W | 91円~227円 | |
空調 | 冷房 | 610W | 2,767円 |
暖房 | 630W | 2,858円 | |
照明 | LED | 40W | 181円 |
蛍光灯 | 80W | 363円 | |
合計 | 夏季 | - | 3,266円~3,901円 |
冬季 | - | 3,357円~3,992円 | |
1日8時間労働、月21日で計算
シミュレーションはあくまで一例ではあるものの、テレワークの導入によって、1ヶ月当たり3,000円~4,000円程度の負担が増える可能性があります。
もともと支払う電気代にそのまま上乗せされてしまう点を考えると、節約も重要になってくることが分かります。
※1 公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会「電力料金の目安単価の改定に関する件(平成26年4月28日)」
※2 厚生労働省「令和2年就労条件総合調査の概況(令和2年10月30日)」
テレワークで光熱費を節約する方法

ここでは、光熱費を節約するコツを3つに分けて見ていきましょう。
ワークスペースはできるだけ狭くする
テレワークではワークスペースで過ごす時間が増えるので、スペースが広ければ広いほど空調管理のコストがかさんでしまいます。
可能であれば、狭い部屋をワークスペースに充てて、低コストで快適な環境を保てるようにするのが理想です。
エアコンの使い方を見直す
電気代のなかで、もっとも大きな負担となるのはエアコンです。エアコンは風量設定を弱めに設定したほうが負担は小さくなると考えられがちですが、実際のところはそうではありません。
エアコンは室温を一定に保っておくほうが消費電力を抑えられるので「自動運転モードを活用する」「あまり頻繁にオンオフを切り替えない」などが効果的な方法です。
電力会社や契約プランを見直す
テレワークをきっかけに、電力会社や契約プランを見直してみるのもひとつの方法です。
たとえば、電気料金プランのなかには昼間の料金が安く設定されているタイプのものもあり、テレワークを行う人には相性がいいといえます。
また、ガスやインターネット通信と同時契約することで費用が抑えられるプランもあるので、下調べをしてライフスタイルに合ったものを選びましょう。
無料で住まいの窓口に相談する 物件を探すテレワークで増えた光熱費、会社には負担してもらえる?

テレワークでかさんだ光熱費については、必ずしも会社が負担しなければならないという決まりはありません。そのため、勤務先によってルールは異なるのが現状です。
また、負担してもらえるケースにおいても「テレワークで使用する機器や消耗品の負担」「在宅手当として一定額の支給」など状況はさまざまといえます。
すでに解説したように、テレワークによって増える負担額の目安は3,000円~4,000円程度なので、その金額に通信費を加えた費用が支給されていれば、手当としては十分に妥当な範囲といえます。
なお、国税庁からはテレワークを実施する際の光熱費等の負担について、目安の計算方法が提示(※)されています。
在宅時に使用する床面積や勤務時間を考慮すると、「1ヶ月の基本料金や電気使用料×業務に使用した床面積÷自宅の床面積×1ヶ月の在宅勤務日数÷該当月の日数×1/2」で目安金額を求めることができます。
※ 国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)/電気料金に係る業務使用部分の計算方法(令和3年1月)」
テレワークに関するガイドラインにも目を通しておこう

厚生労働省からは、テレワークを活用する企業・労働者へ向けたガイドライン(※)が公開されています。具体的な内容としては、以下のような項目が記載されています。
内容
- テレワーク時の労働時間の考え方
- 中抜け時間、休憩時間の考え方
- 午前、午後のみ出勤の場合の考え方
- 時間外、休日労働の管理
- 長時間労働対策
- 心身の健康を保つために重要なこと
- 理想のテレワーク環境
- 通信費の費用負担の取扱い
いずれもテレワークに関するトラブルを防ぐために重要な内容となっているので、テレワークをこれから実施する人だけでなく、すでに取り組んでいる人も一度目を通しておきましょう。
※ 厚生労働省「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」
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快適なテレワーク環境を整えるための課題とポイント

テレワークが続くようであれば、光熱費の節約はもちろん重要ではありますが、心身にストレスをため込まないためにも、できるだけ快適な環境を整えることが大切です。
ここでは、快適な環境づくりで意識したいポイントを見ていきましょう。
テレワークをするうえで課題となりやすいポイント
環境の整ったオフィスとは違い、自宅は仕事に集中するために改善しなければならないポイントは多いものです。具体的には、以下のような点が課題になりやすいといえます。
課題
- 独立した作業スペースがない
- オンライン会議を行う場所がない
- 資料を保管するスペースが不十分
- 子どもやペットがいると仕事に集中できない
- 外からの雑音が気になってしまう
テレワークに適した間取り条件
上記の課題のうち、多くは物件選びの時点で左右されてしまうポイントでもあります。そのため、これから部屋探しを行う場合は、テレワークを意識した間取り選びを考えておくことが大切です。
具体的には「広さ」と「環境」の2つが重要なポイントとなります。広さについては、小さなノートパソコンで作業を完結させられる場合を除き、できれば専用のワークスペースがほしいところです。
光熱費の負担も考えると、3~4畳半くらいの独立した個室を用意できるのが理想といえます。個室があれば、子どもやペットがいてもオンライン会議に集中しやすいのに加え、資料の保管なども安全に行えます。
また、ファミリー世帯などで複数の部屋がある物件を借りるなら、テレワークのスペースは北側に設けるのがおすすめです。
日当たりに恵まれる南側と違って、冬は寒いけれど、夏場の日中でもそれほど室温が上がらないので、快適な環境が保たれやすくなります。
理想のテレワーク環境の条件
先ほど紹介した厚生労働省のガイドラインでは、理想のテレワーク環境について以下のようなポイントが紹介されています。
理想のテレワーク環境の目安
- 10m2以上のフリースペースがあること
- 机の照度は300ルクス以上確保できること
- 窓などの換気設備があること
- 室温は17~28℃
- 湿度は40~70%
- 空調は気流が直撃しないこと
- 太陽光がパソコンのディスプレーに直接当たらないこと
- 椅子は安定していて高さや背もたれの傾き調節が可能なもの、ひじ掛けがあるもの
広さだけでなく、明るさや換気性能、空調の管理など、さまざまな要素が快適さを左右するので、ワークスペースを整えるときの参考にしてみるといいでしょう。
まとめ

- テレワークによって増加する光熱費の目安は3,000円~4,000円程度
- 空調の使い方を意識したり、料金プランや契約会社を見直したりすることが大切
- 会社が光熱費を負担してくれることもあるが、負担方法は会社によってさまざま
- テレワークに関するガイドラインに一度は目を通しておこう
- テレワークが続く場合は、光熱費だけでなく作業環境にも十分に気を配ろう
更新日: / 公開日:2022.05.20










