二人暮らしをスタートするときには、お金のことでもめてしまわないように、生活費を事前に計算しておくことが大切です。

今回は二人暮らしの平均生活費をさまざまな角度からチェックしたうえで、家賃設定のポイントやケース別モデルケースを詳しく見ていきます。
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二人暮らしの平均生活費データ

 

まず、総務省統計局の「家計調査」(2020年)を基に、二人暮らしの平均的な生活費をさまざまな観点から比較してみましょう。

 

まずは全国における、二人世帯の平均生活費(※1)を見ていきましょう。

費用項目

金額

食費

6万6,543円

住居費

1万8,545円

水道・光熱費

1万9,459円

家具・家事用品費

1万990円

被服費

6,474円

保健医療費

1万4,821円

交通・通信費

3万3,976円

教育費

353円

教養・娯楽費

2万1,387円

その他

5万2,730円

合計

24万5,278円

このデータを参照するうえで注意が必要なのは住居費です。住居費については、持ち家の世帯が多く含まれているので、平均的な家賃よりもかなり安い数値となっています

 

そのため、住居費を除く「22万6,733円」を生活費の目安と捉えて、賃貸物件を借りる際の参考にしましょう。

 

※1 総務省統計局「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 3-1<用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 世帯人員別

 

続いて、家計調査のデータから二人以上の世帯における、住居費を除く地方別の平均生活費(※2)を見ていきましょう。

エリア

金額

北海道地方

24万7,764円

東北地方

24万9,228円

関東地方

27万3,882円

北陸地方

27万1,982円

東海地方

26万6,311円

近畿地方

24万7,710円

中国地方

25万3,633円

四国地方

24万4,287円

九州地方

25万599円

沖縄地方

19万387円

もっとも高い関東地方ともっとも安い沖縄地方では8万円以上の差があり、地方によって、それぞれ食費や光熱費などの支出は異なることが分かります。

 

※2 総務省統計局「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 1-1 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 都市階級・地方・都道府県庁所在市別

 

続いて、全国における、住居費を除く世帯年収別の平均生活費(※3)についても見ていきましょう。

世帯年間収入

金額

200万円未満

13万6,491円

200万~250万円

16万6,877円

250万~300万円

17万6,393円

300万~350万円

20万1,373円

350万~400万円

21万4,917円

400万~450万円

23万1,009円

450万~500万円

23万1,463円

500万~550万円

24万3,879円

550万~600万円

26万172円

600万~650万円

26万9,161円

650万~700万円

28万7,619円

700万~750万円

28万9,763円

750万~800万円

28万5,450円

800万~900万円

30万5,846円

二人世帯の住居費を除いた平均的な生活費(22万6,733円)に近づくのは、世帯年収400万円くらいからであり、それ以下の場合は日常生活に工夫が必要であることが分かります。

 

※3 総務省統計局「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 2-3<用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 年間収入階級別

家賃設定

二人暮らしをする場合には、一人暮らしよりも広めの部屋が必要となるため、家賃も高くなることに注意が必要です。ここでは、家賃設定で意識すべきポイントと、二人暮らし向け物件の家賃相場について見ていきましょう。

 

生活費や月々の支出を考慮するときには、額面収入ではなく、手取り額を把握しておくことが大切です。手取りとは年収から税金や公的保険料などを差し引いた金額のことであり、「年収の75~85%程度」となります。

 

たとえば、年収400万円の世帯なら、手取りは「年額300万~340万円」となり、「月額25万~28万3,000円」程度と計算できます。手取りは実際に使えるお金に近い金額なので、生活費を計算する際にはこの金額を参考にしましょう。

 

一般的に、無理なく支払っていける家賃の目安は「手取りの3分の1以下」といわれています。

 

ただ、ライフスタイルや住みたいエリアによってもこの目安の金額は異なるので、手取りから実際の生活費を差し引いて、無理なく捻出できる金額を計算しておくことも大切です。

二人暮らしに必要な広さ

 

また、二人暮らしの場合は、生活に必要な広さについても理解を深めておきましょう。

 

国土交通省の「住生活基本計画における居住面積水準」では、二人暮らしに最低限必要な広さは30平米、多様なライフスタイルを想定したゆとりのある広さの目安は55平米(都心や周辺部での生活を想定)とされています。

 

立地や設備などの条件が同じなら、面積が広いほうが家賃は高くなるので、必要な広さについて見当をつけておくことも大切です。

 

ここでは、LIFULL HOME’Sの「家賃相場」サービスを使って、二人暮らし向け物件の家賃相場を見ていきましょう。家賃相場では、間取りタイプや専有面積などを指定して、細かく結果を調べることが可能です。

 

家賃相場

 

今回は「専有面積40~45平米」「1LDK、2K、2DK」「駅徒歩10分以内」に条件を絞って、東京都の主なエリアの家賃相場をリサーチしました。

市区町村

家賃相場

都心部エリア

千代田区

20万1,400円

中央区

19万2,000円

港区

23万4,500円

新宿区

18万6,700円

渋谷区

22万8,100円

23区エリア(都心部以外)

目黒区

18万200円

文京区

17万4,400円

品川区

17万2,500円

中野区

15万100円

練馬区

12万8,100円

足立区

10万2,100円

葛飾区

9万6,400円

市部エリア

武蔵野市

13万3,500円

三鷹市

12万7,400円

国立市

11万2,900円

町田市

9万4,000円

青梅市

6万6,100円

あきる野市

5万9,100円

※2021年12月15日時点の家賃相場

 

都心部で二人暮らしに適した物件を借りようとすると、20万円前後の家賃が必要です。なお、都心を除く23区内では10万~18万円前後が二人暮らしに適した物件の相場です。

 

市部に目を向けると、武蔵野市や三鷹市では23区とそれほど変わらない相場ですが、都心から離れるにつれて10万円を切る物件も見つけられるようになります。

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ここからは、具体的なモデルケースを想定して、生活費を実際にシミュレーションしてみましょう。まずは、20代前半で二人暮らしを考えるカップルを例に、生活費の内訳を解説します。

 

国税庁の2019年の調査結果(※4)によれば、20~24歳の平均年収は264万円とされており、二人が同額ならば合計額は528万円となります。

 

手取りを額面収入の8割と想定すると、二人での手取り額の合計は、年間では約422万円月間では約35万円になります。

 

手取りを月35万円とすると、無理なく支払える家賃の上限目安はその30%である11万円程度です。この金額は、23区の一部エリアや市部であれば、十分に二人暮らし用の物件を借りることができる水準です。

 

また、年収500万~550万円以上の平均的な生活費は24万3,879円なので、手取り額35万円の場合、生活費に家賃11万円を合計した金額を大きく上回ることもなく、家賃11万円は無理なく捻出できることが分かります。

 

家賃を11万円とした生活費の内訳は以下のとおりです。

費用項目

金額

食費

7万6,049円

住居費

11万円

水道・光熱費

2万1,805円

家具・家事用品費

1万1,138円

被服費

7,915円

保健医療費

1万3,213円

交通・通信費

3万9,867円

教育費

6,747円

教養・娯楽費

2万1,131円

その他

4万6,014円

合計

35万3,879円

なお、ここで算出した金額はあくまで平均値なので、工夫次第で節約することも可能な設定といえます。

 

また、モデルケースよりも手取り合計が低い場合には、住居費や食費など、金額の大きな項目から調整して、無理のない計画を立てましょう。

 

※4 国税庁「令和元年分 民間給与実態統計調査

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続いて、20代後半の結婚を意識した生活費についてモデルケースを見ていきましょう。

 

先ほどと同じ国税庁の調査結果によると、25~29歳の平均年収は369万円とされています。

 

二人が同額の年収とすれば、合計では年収738万円となり、手取りを8割と想定すると、手取り金額は年間約590万円月額では約49万円と計算できます。

 

二人の手取り合計金額を月49万円とすると、無理なく支払える家賃の上限は16万円程度です。この金額は、東京23区内でも十分に二人暮らし用の物件を借りられる家賃設定といえます。

 

ただ、結婚を意識する場合には、毎月一定額の結婚資金をためられるような生活を意識する必要があります。

費用項目

金額

食費

8万1,265円

住居費

16万円

水道・光熱費

2万1,971円

家具・家事用品費

1万3,508円

被服費

1万412円

保健医療費

1万3,171円

交通・通信費

4万8,268円

教育費

1万3,113円

教養・娯楽費

2万8,428円

その他

5万9,628円

貯金

4万円

合計

48万9,764円

このケースでは、結婚資金として毎月4万円を貯蓄できます。もう少し貯蓄を増やしたい場合には、食費や住居費などの金額が大きな項目から調整をするのも一案です。

 

たとえば、家賃の上限を12万円にすれば、毎月8万円ずつ貯金できるので、年間で100万円程度の資金を確保できます。

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最後に、30代後半で夫婦共働き世帯の場合における持ち家の購入を考えた生活費のモデルケースを見ていきましょう。

 

引き続き国税庁の調査結果によれば、30代後半の平均年収は445万円となっており、夫婦共働きで同額を得る前提なら世帯の年収は890万円となります。

 

手取りを8割と仮定すると、手取り金額は、年間では約712万円月間で約59万円となります。

 

続いて、住宅を購入する場合の頭金の平均額について、2020年の「フラット35利用者調査」(※5)を参照してみましょう。

 

頭金の平均割合は、購入する物件のタイプや新築・中古などの条件によっても異なるものの、いずれにおいても住宅購入額の1~2割が目安とされています。

 

また、同調査によれば、新築住宅の平均住宅所要資金は3,500万~4,500万円とされています。今回はこのうちの1割強に当たる500万円を頭金の目標額に設定して、生活費のモデルケースを考えてみましょう。

 

手取りを59万円とすると、無理なく支払える家賃の上限は19.5万円程度です。この金額は、東京都心部でも二人暮らし用の物件を見つけられる家賃設定といえます。

 

今回は家賃を19万円と設定してシミュレーションを行いましょう。

費用項目

金額

食費

8万3,786円

住居費

19万円

水道・光熱費

2万2,457円

家具・家事用品費

1万4,114円

被服費

1万2,086円

保健医療費

1万5,210円

交通・通信費

5万1,167円

教育費

1万5,923円

教養・娯楽費

2万9,934円

その他

6万1,169円

貯金

9万円

合計

58万5,846円

このモデルケースでは、毎月9万円を貯蓄できます。年間では108万円、5年間では540万円をためられるので、5年間で頭金の目標額である500万円をためることが可能です。

 

ただ、住宅を購入するときには何かと出費がかさむので、購入後の維持費や予備費、半年分程度の生活費も確保しておけると安心です。

 

ゆとりをつくりたい場合には、家賃の水準を下げて、住居費の差額分を貯蓄に回すのも有効な方法といえます。

 

※5 住宅金融支援機構「2020年度 フラット35利用者調査

二人暮らしの生活費

 

  • 二人暮らしの平均生活費は住居費を除くと22万6,733円
  • ただし、世帯年収によるバラつきや地域差もある
  • 無理のない家賃設定のポイントと二人暮らしに適した居住面積の水準を押さえておく
  • 家賃は一般的に手取りの3分の1以下が目安とされているが、手取りから実際の生活費を引いて計算する
  • 自分に近いモデルケースを参考にしながら、家計のサンプルをつくっておくと便利
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