自由に家が建てられない、建築に許可が必要な区域
市街化調整区域は、自然環境を守るため建物の建築が原則として認められておらず、家を建てるには都道府県知事の許可が必要です。一方で、土地の価格や固定資産税が安く、静かな環境で暮らせるというメリットもあります。
詳しくは、「市街化調整区域とは?」をご覧ください。
新築だけでなく建て替えにも許可が必要
市街化調整区域にある中古住宅を購入した場合でも、建て替えを行う際には都道府県知事の許可が改めて必要です。また、電気・ガス・水道などの生活インフラが整っていない土地では、整備費用が自己負担になることもあります。
詳しくは、「市街化調整区域で不動産を買う際の注意点」をご覧ください。
住宅ローンの審査は厳しい傾向にある
市街化調整区域の土地は、売却しにくいことから担保としての評価が低く、住宅ローンの審査は厳しい傾向にあります。ローンが通らない場合に備えて、契約が無効になる「停止条件付き契約」を結ぶといった対策も検討しましょう。
詳しくは、「住宅ローンは利用できる?」をご覧ください。

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郊外の土地を探していると、時折「市街化調整区域」というエリアを目にすることがあります。

 

市街化調整区域に家を建てる際には、一般的な地域にはない注意点を意識する必要があります。特に、住宅ローンの利用を考えている場合には、知っておくべきルールがあるのです。

 

今回は、市街化調整区域の詳しいルールやメリット、注意点について見ていきましょう。

市街化調整区域イメージ

 

市街化調整区域とは、都市計画法によって定められた「市街化を抑制すべきエリア」のことを指します。ここではまず、市街化調整区域の具体的な特徴を見ていきましょう。

 

市街化調整区域では、自然環境を保護するために、原則として建物を建築することは認められておらず、住居などを建てる際には都道府県知事の許可を得なければなりません

 

そのため、田畑などの農業地や森林が多く住居や商業施設などは少なくなるのが特徴です。

 

住宅の建築を前提としていないため、道路の舗装が不十分だったり、水道やガスが通っていなかったりと、生活インフラが整っていないところも多いです。

 

市街化調整区域と似ている言葉に「市街化区域」があります。

 

こちらは、すでに市街地となっている区域や、おおむね10年以内に計画的に市街化を図るべき区域とされており、市街化調整区域とは正反対の概念の区域です。

 

こうした区域割りが行われているのは、無秩序に都市が拡大してしまうのを抑制するためです。

 

しっかりと都市計画を行うことで、交通渋滞や災害時の混乱といった問題を予防し、暮らしやすい街づくりが可能となるのです。

市街化調整区域イメージ

 

市街化調整区域は、宅地向きに整備されているわけではなく、マイホームを建てるためには原則として都道府県知事の許可を得る必要があります。

 

しかし、住宅用地として不利な点ばかりではなく、以下のようなメリットもあります。

メリット

  • 土地の価格が安い
  • 固定資産税を抑えられる
  • 静かで落ち着いた環境が手に入る

市街化調整区域の大きなメリットは、その他の地域と比べて土地の値段が安い点にあります。

 

市街化区域と比べると、価格を抑えられることが多く、同じ値段でも比較的広い土地を購入することができるのです。

 

また、土地の価格が安いことから、固定資産税も割安になります。さらに、都市計画税などの税金もかからないため、金銭的なメリットは大きいといえます。

 

立地上の特徴としては、周辺施設などの開発が抑制されている分、緑豊かで落ち着いた環境を手に入れられる点が魅力です。

 

都市部の騒がしさから離れ、穏やかな田園風景が広がるエリアに住居を構えられるのは、市街化調整区域ならではのメリットだといえます。

 

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これまでにも見てきたように、市街化調整区域においては、都道府県知事の許可がなければ住宅の新築ができません。ここでは、それ以外の注意点について詳しく見ていきましょう。

 

市街化調整区域の場合は、住居の新築だけでなく、改築や建て替えにも都道府県知事の許可が必要となります。

 

たとえ中古住宅を購入した場合であっても、改築や建て替えには許可をとる必要があり、場合によっては制限がかかってしまうこともあるのです。

 

設備の入れ替えなど、一部のリフォームであれば基本的に問題はないものの、一度施工会社や自治体の窓口に確認するほうがいいでしょう。

 

電気やガス、水道などの設備が整えられていない土地では、場合によっては導入のための費用を自己負担する必要が生じます。

 

すでに中古住宅が建てられている場合も、トイレはくみ取り式が採用されている可能性が高いなど、都市での生活に慣れている人には不便に感じられる面もあります。

 

そのため、快適な生活環境を手に入れるためには、時間とコストがかかることがあります。

住宅ローン

 

市街化調整区域でもうひとつ気をつけておくべきポイントとして「住宅ローンの利用」が挙げられます。ここでは、詳しいルールや注意点について解説します。

 

市街化調整区域では、住居の建築が前提とされていないため、金融機関によっては原則として対象外としているところもあります。

 

また、融資を取扱っている場合も、市街化区域と比べて土地の担保評価が低くなるため、審査が厳しくなるケースがほとんどです。

 

住宅ローンでは、万が一返済ができなくなってしまったときに備えて、土地や建物自体の担保価値も審査の対象となります。

 

金融機関からすれば、市街化調整区域の担保物件は売却が難しいため、融資には消極的になってしまうのです。

 

市街化調整区域で住宅ローンを利用できる可能性があるのは、「誰でも家を建てることができる土地」として許可が得られたケースです。

 

申請者だけでなく、第三者が再建築できる条件が整えられていれば、担保としての価値が認められやすくなるのです。

 

一方、住宅建築が許可されていても、「申請者のみが認められる」「農林水産業の従事者だけが認められる」「一定の親族のみが認められる」といった場合には審査が厳しくなります。

 

そのため、住宅ローンについては、利用が難しいことを前提としておくほうが無難です。

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見積書

 

市街化調整区域で住宅ローン利用を検討するのであれば、審査に通らなかった場合のリスクに備えて対策を打っておく必要があります。

 

ここでは、リスク対策のひとつとして、「停止条件付き契約」の仕組みについて見ていきましょう。

 

市街化調整区域に土地を購入して、住宅を建てるまでには、施工会社への見積もり依頼と住宅ローンの審査を並行して行うのが一般的です。

 

依頼する施工会社や住まいのプランが決まり、費用の概算が出た段階でなければ、融資額を決定することができないためです。

 

つまり、住宅ローンの審査結果が出るタイミングでは、すでに施工会社との手続きがある程度進んでいるといえるでしょう。

 

だからこそ、万が一住宅ローンの審査が下りなかったときに備えて、リスク対策が必要となるのです。

 

停止条件付き契約とは、条件が成就したときに初めて法律行為の効力が発生する契約をいいます。万が一条件が成就しなかった場合には、契約はそのまま無効となります。

 

そのため、住宅ローンが下りるかどうか分からない段階では、施工会社との契約形態を「停止条件付き契約」にしておくほうが安心です。

 

契約書を交わす際に、「住宅ローン審査に通過することで契約が有効になる」という停止条件を設けることで、融資が実行されなかった際のトラブルを予防できるのです。

市街化調整区域イメージ

  • 市街化調整区域は環境を保護するために市街化が抑制されるエリアを指す
  • 住居や商業施設などの建築には許可が必要
  • 住居の新築だけでなく、建て替えにも許可が必要である点に注意しておく
  • 土地が安い、静かで落ち着いた環境が手に入るなどのメリットもある
  • 住宅ローン審査は厳しいため、停止条件付き契約などのリスク回避手段を検討しておく
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Q1:市街化調整区域とはどのような場所ですか?

A1: 市街化調整区域は、都市計画法に基づいて市街化を抑制するために指定されたエリアです。自然環境の保護を目的とし、原則として建物の建築が制限されています。住宅などを建てる場合は、都道府県知事の許可が必要です。田畑や森林が多く、生活インフラが十分に整っていない場所もあります。

Q2:市街化調整区域で土地を購入するメリットはありますか?

A2: ほかの地域と比べて土地の価格が安い傾向があり、それに伴い固定資産税も割安になることが多いです。また、都市計画税がかからないこともあります。さらに、周辺施設の開発が抑制されているため、緑が多く静かで落ち着いた環境を手に入れることができます。

Q3:市街化調整区域で住宅を建てる際に注意すべき点はありますか?

A3: はい、いくつかの注意点があります。まず、住宅の新築だけでなく、改築や建て替えにも原則として都道府県知事の許可が必要です。次に、電気、ガス、水道などのインフラが整備されていない場合、その導入費用を負担する必要が生じることがあります。中古住宅の場合、トイレがくみ取り式であるなど、都市での生活に慣れていると不便に感じる可能性もあります。

Q4:市街化調整区域で住宅ローンを利用することはできますか?

A4: 市街化調整区域では、住宅ローンの審査が厳しく、利用が難しいケースが多いです。金融機関によっては原則として融資の対象外としている場合もあります。これは、土地や建物の担保評価が低くなり、万が一返済ができなくなった場合の売却が難しいと判断されるためです。

Q5:市街化調整区域で住宅ローン審査が通る可能性のあるケースはありますか?

A5: 住宅ローン審査が通る可能性があるのは、「誰でも家を建てることができる土地」として許可が得られたケースです。申請者だけでなく、第三者が再建築できる条件が整っていれば、担保価値が認められやすくなります。ただし、住宅建築が許可されていても、特定の条件(例:申請者のみ、農林水産業従事者のみなど)がある場合は審査が厳しくなります。

Q6:住宅ローンが通らなかった場合のリスクに備える方法はありますか?

A6: 住宅ローンが下りなかった場合に備えて、「停止条件付き契約」を検討することをおすすめします。これは、住宅ローンの審査に通過することを条件として、初めて契約が有効になるという仕組みです。もしローン審査が通らなければ契約は無効となるため、トラブルを未然に防ぐことができます。

更新日: / 公開日:2021.05.25