住宅ローンを利用するうえでは、しっかりとゴールを見据えた返済計画を立てることが大切です。
特に、返済期間が定年後にまたがるケースにおいては、借入の段階で収支の変化にも目を向けなければなりません。
今回は75歳までに住宅ローンを完済することを前提にした、返済計画の立て方・考え方について詳しく解説していきます。
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住宅ローンの年齢制限と完済時年齢の平均

住宅ローン審査においては、「借入時年齢」と「完済時年齢」の2つが重要な項目となります。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
借入時・完済時年齢の制限
住宅ローンの借入時年齢については、多くの金融機関で70歳以下に設定されています。一方、完済時年齢については、80歳までと設定している金融機関が多いです。
ただし、定年を迎えてから住宅ローンを組むのは、「給与以外の所得が潤沢である」「親子リレーローンを組む」といった特殊な場合も多いため、あまり一般的なケースとはいえません。
完済時年齢の平均
続いて、平均住宅取得年齢と平均返済期間をもとに、どのくらいの年齢で住宅ローンの返済が完了しているのか見ていきましょう。
国土交通省が公表している「住宅市場動向調査」(※)によれば、住宅が購入されている世代のうち、もっとも割合が高いのは30代となります。
平均年齢としては、新築の注文住宅で40.9歳、建売住宅で38.6歳、マンションで43.3歳となっており、30代後半から40代前半が購入時期の目安であると考えられます。
また、同調査によれば、返済期間の平均は31~33年とされています。そうしたことから、完済のタイミングは「60代後半から70代前半」となるのが平均的だといえるでしょう。
(※)国土交通省 住宅局「令和元年度 住宅市場動向調査 報告書」
【年齢別】住宅ローン返済のシミュレーション

住宅ローンの返済計画は、借入時の年齢によって大きく異なります。
ここでは、LIFULL HOME’Sの「住宅ローンシミュレーター」を使い、30代と40代、50代、60代のそれぞれで、75歳までに返済することを前提とした返済シミュレーションを行ってみましょう。
30代の返済計画
30代であれば、一般的な住宅ローンの返済期間の上限である35年で計画を組んだとしても、75歳までには十分に返済ができます。一例として、世帯年収500万円の場合でシミュレーションしてみましょう。
年収500万円の場合、無理のない返済額の上限(月収の25%以内)は月々約10万4,000円と計算できます。この返済額をもとに、1.5%の固定金利で借り入れたとすると、35年の返済期間があれば借入限度額は3,397万円となります。
定年を迎える60代には、すでに返済の大部分が完了しているため、滞納リスクが発生する可能性も低くなります。
40代の返済計画
40代の場合は、35年の返済期間を設けると、75歳までに返済をするためにはやや工夫が必要となります。
基本的には30代の計画と大きく変わらないものの、ゆとりのあるときに前倒しで返済をしながら、できるだけ老後の負担を軽くすることも大切です。
50代の返済計画
50代になると、返済期間を長くとることは難しくなるため、借入限度額を抑える必要があります。たとえば、30代の場合と同じく世帯年収500万円のケースでシミュレーションをしてみましょう。
返済期間20年の場合は借入限度額が2,155万円、15年の場合は1,675万円にまで下がります。そのため、ローンだけで住宅を購入するケースは少なく、一定以上の頭金を貯めておくことが前提となります。
60代の返済計画
60代の場合は定年を迎える世代であるとともに、健康リスクも高まるため、それまで以上に審査が厳しくなります。そのため、返済期間をさらに圧縮する必要があり、借入上限額も抑えなければなりません。
たとえば、世帯年収500万円のケースでシミュレーションを行うと、返済期間を10年間としても限度額の目安は1,158万円となります。そのため、頭金を十分に確保することが、住宅購入の前提条件となるのです。
一戸建てを探す マンションを探す 無料で住まいの窓口に相談する定年後の住宅ローン返済にはどんなリスクがある?

定年を迎えてからの返済には、それまでと異なるリスクが生じるため、事前に把握して対策を練ることが重要です。
たとえば「予定していたより退職金や年金が少ない」といったケースが考えられます。また「医療費負担の増加」「自宅のメンテナンス費用」「バリアフリー対応のためのリフォーム費用」といった支出も、定年後に起こりやすいリスクのひとつです。
そのため、65歳以降の返済金額については、それまでよりも低く見積もっておくことが大切となります。
特に、50代や60代で住宅ローンを組む場合には、返済期間を短縮するだけでなく、毎月の返済額も抑える工夫が必要です。
繰り上げ返済をすべき? 退職金で返済する場合の注意点

定年後の住宅ローン返済については、退職金が重要な資金源となります。退職金で大幅に繰り上げ返済を行えば、その後の負担が軽くなるため、滞納リスクも少なくなります。
しかし、繰り上げ返済には注意しておかなければならない面もあるため、きちんと仕組みを理解しておくことも大切です。ここでは、繰り上げ返済のメリットと注意点を解説します。
繰り上げ返済のメリット
繰り上げ返済の大きなメリットは、予定を早めて元金を返済することで、当初予定の利息分が軽減され、総返済額を減らせる点にあります。繰り上げ返済には、2通りの方法があります。
1つは返済期間を短縮する「期間短縮型」であり、完済のタイミングをより年齢が若い時点へとシフトする方法です。もう1つは、毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」であり、繰り上げ返済後の毎月の負担額を軽減する方法です。
どちらも定年後の返済が困難となるリスクを低減するうえで、有効な手段となります。
繰り上げ返済の注意点
繰り上げ返済のメリットは大きいものの、退職金をすべて充ててしまうのは避けるべきだといえます。これまでに見てきたとおり、定年後にはさまざまな金銭的リスクが存在するため、一定額は手元に残しておくことが肝心なのです。
また、金融機関や支払い方法によっては、繰り上げ返済時に手数料がかかってしまうこともあります。そのため、事前に金融機関ごとのルールを確認したうえで判断しましょう。
物件を探す 注文住宅カタログを探す 無料で住まいの窓口に相談する定年後も安定した返済を続けるためのコツ

これまでに紹介したとおり、75歳までの返済計画を遂行するうえでは、特に定年後のプランに目を向けることが重要となります。そこで最後に、定年後に安定した返済を続けるためのポイントを見ておきましょう。
家計のダウンサイジングは計画的に行う
一般的に、定年後は収入が下がるため、現役時代よりも家計を抑える必要があります。しかし、生活スタイルを変えるのは、年齢を重ねれば重ねるほど難しくなっていくのも事実です。
いきなりそれまでの生活水準を下げようとしても、なかなかすぐに対応できるものではありません。そのため、定年を迎える数年前から、家計のダウンサイジングに備えて準備や練習をしておくことが大切です。
夫婦世帯の場合は、パートナーともしっかり話し合いながら、食費や通信費といった身近なものから出費を見直してみましょう。
返済計画の柔軟な見直しを行う
家計のやりくりだけで対応できない場合には、それまでよりも返済額を減らす方法を検討することも大切です。たとえば、現在の住宅ローンよりも金利の低い住宅ローンへ借り換えを行うことで、返済負担が小さくなる可能性もあります。
また、状況に応じて、金融機関に返済条件の変更を相談してみるのもひとつの方法です。残債が少ない場合や、完済時年齢にゆとりがある場合には、返済期間を延長することで毎月返済額を減らせるケースもあります。
いずれにしても、返済計画を変更するためには、新たな計画をじっくりと立てる必要があります。そのため、実際に返済が苦しくなってから動き始めるのではなく、早めの行動を心がけましょう。
まとめ

- 完済時年齢の上限は80歳程度だが、実際には60代~70代前半に完済するケースが多い
- 借入時年齢によって返済プランは異なり、タイミングが遅いほど返済期間や借入可能額が減少する
- 定年後の返済にはさまざまなリスクが発生するため、事前に対策を考える必要がある
- 退職金で繰り上げ返済を行うのも有効だが、一定額は手元に残しておくことが大切
- 安定した返済を続けるために、現役時代から定年後を見据えた生活設計をしておく
更新日: / 公開日:2021.05.20










