名義人死亡時、団信加入で返済免除
住宅ローンの名義人が亡くなった場合、団体信用生命保険(団信)に加入していれば、保険金によって住宅ローンが完済されます。そのため、残された家族に返済義務は引き継がれません。ほとんどの住宅ローンで団信加入が必須とされています。
詳しくは、「住宅ローン名義人が死亡したら返済はどうなる?」をご覧ください。
ローン返済が免除されない要注意事例
収入合算やペアローンなど、夫婦・親子でローンを組んでいる場合、契約方法によっては返済が免除されないことがあります。また、住宅ローンの返済を滞納して団信が失効していると、保険金が支払われないため注意が必要です。
詳しくは、「住宅ローン返済が免除されないケース」をご覧ください。
団信未加入なら相続方法の検討を
団信に未加入のまま名義人が死亡した場合、ローンは相続人に引き継がれます。家とローンをすべて相続する「単純承認」や、すべてを放棄する「相続放棄」など相続方法を決定する必要があります。手続きは相続開始後3ヶ月以内が期限です。
詳しくは、「団信に加入していない場合にすべき手続き」をご覧ください。

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国土交通省の2021年度「住宅市場動向調査」によれば、住宅購入者の住宅ローンの平均返済期間は新築・中古を問わず29~34年程度です。

 

このように、住宅ローンは返済が長期にわたるのが大きな特徴であり、その途中にはさまざまなリスクが想定されます。そのなかでもっとも大きなリスクが「名義人の死亡」です。

 

今回は、返済途中で名義人が亡くなってしまった場合の対処法や必要な手続きについて、さまざまなパターンから解説します。

住宅ローン名義人が死亡したら返済はどうなる?

 

まずは、住宅ローン名義人が亡くなった場合の基本的なルールを見ていきましょう。

 

原則として、住宅ローン名義人が死亡した場合、残債は残された家族に引き継がれます。たとえば、返済を担っていた夫が亡くなった場合、残された妻あるいは子どもが支払いを引き継ぐ形となります。

 

しかし、多くの場合、住宅ローン名義人はそれまで家計の収入を担っていた存在でもあります。そのため、突然債務を引き継ぐことになった家族が、安定的に返済を続けていくのは難しい可能性もあります。

 

そこで、残された家族と金融機関の双方を守る仕組みとして設けられているのが「団体信用生命保険」(以下、団信)という制度です。

 

団信とは、住宅ローンの返済中に名義人が死亡、または高度障害に陥った場合に、保険金によって住宅ローンが完済される制度です。

 

つまり、団信に加入していれば、名義人が亡くなった時点で残債が解消され、家族に支払いの義務が移らないということです。

 

金融機関からすれば、名義人の死亡によって残金を支払ってもらえなくなってしまうのは大きなリスクとなります。そのため、ほとんどの住宅ローン商品では、契約時に団信の加入が必須条件とされています。

 

ただし、団信は生命保険の一種なので、健康状態によっては加入が認められないケースもあります。住宅ローンの審査で申請者の健康状態もチェックされるのは、こうした理由も関係します。

 

なお、団信がカバーする範囲は原則として死亡や高度障害といった重大なリスクのみですが、各種疾病特約を付けることで、ガンや心筋梗塞、糖尿病、肝硬変といったリスクにも対応できます。

 

独身者の場合には残される家族がいないため、死亡時の住宅ローンについてはあまり考える必要がない面もあります。しかし、なかには団信に加入しておいたほうがいいケースもあります。

 

独身者の団信への加入が有効となるケースでは、連帯保証人を立てている場合が挙げられます。この場合には、連帯保証人が残債を請求されてしまうため、独身者の場合も団信に加入しておくほうがいいのです。

 

また、団信は死亡保障以外に、「がん特約」や「三大疾病特約」などが付いたものもあります。そのため、ライフプランに合わせて検討してみることが大切です。

 

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住宅ローン返済が免除されないケース

 

これまで解説したように、住宅ローン契約時に団信に加入していれば、基本的には名義人が亡くなった時点で返済が免除されると考えて問題ありません。

 

しかし、例外的に免除されないケースもあるので注意しておきましょう。

 

夫婦や親子共同で住宅ローンを組んでいる場合、契約方法によっては返済が免除されないケースもあります。ここでは、具体的なパターンに分けて見ていきましょう。

収入合算契約(連帯保証型)の場合

収入合算契約とは、夫婦(親子)の収入を足し合わせて1本のローンを借りる方法です。そのうち、連帯保証型は夫婦それぞれが「メインの債務者と連帯保証人」という役割を担います。

 

このとき、団信に加入できるのは「メインの債務者のみ」である点に注意が必要です。たとえば夫がメインの債務者であった場合、夫の死亡時には返済が免除されます。

 

しかし、妻が亡くなってしまったときには、返済の免除はありません。そのため、どちらがメインの債務者になっているかが重要な観点となります。

収入合算契約(連帯債務型)の場合

連帯債務型は夫婦(親子)それぞれが「メインの債務者と従たる債務者」という役割を担います。通常の金融機関では、連帯保証型と同じように、団信に加入できるのは「メインの債務者のみ」です。

 

ただし、例外としてフラット35の場合は、「夫婦連生団体信用生命保険」を利用することで、どちらか一方が死亡した場合に、全額返済が免除されるという仕組みが用意されています。

 

夫婦連生団体信用生命保険を利用する場合、金利は通常よりも高くなる点には注意が必要です。

ペアローンの場合

ペアローンは夫婦(親子)それぞれが住宅ローンを1本ずつ契約し、2本のローンで1つの住宅を購入する方法です。それぞれが別個で契約をするので、お互いが団信に加入できるのがメリットといえます。

 

しかし、団信によって返済が免除されるのは、あくまでもその名義で契約したローンのみです。

 

つまり、夫が亡くなった場合には、夫が契約していた部分のみが免除され、妻が契約していた部分は引き続き返済をする必要があるということです。

親子リレーローンの場合

親子でリレーローンを組む場合は、通常であれば団信に加入できるのは、後を引き継ぐ子どものみとされています。

 

なぜなら、基本的には子どもの方が年齢上死亡リスクは低く、長期間の返済も現実的であると判断されるためです。

 

そのため、親が死亡したときには、そのまま子が返済義務を負います。

 

しかし、フラット35の場合は、例外として一定の条件を満たせば親が団信に加入することもできます。その場合、親が死亡した時点でローンの返済が免除されます。

もっとも注意しなければならないのが、「団信に加入しているはずなのに適用されない」というケースです。

 

これは、住宅ローンの返済を一定期間にわたって滞納したことにより、団信が失効してしまうのが原因です。

 

団信の保険料は、住宅ローンの支払いから充当されるのが一般的であるため、途中でローン返済を滞納していれば保険料も未納になっている可能性があります。

 

そのため、過去に滞納履歴がある場合は、必ず団信の加入状況もチェックしておきましょう。

 

なお、生命保険は一般的に、失効から3年以内などの所定期間内であれば、その間の保険料や利息分を払い込んで「復活」させることも可能です。

 

失効してしまうまでの具体的な期間や復活の仕組みなどは、取扱い各社の契約内容によっても異なるので、契約書を確認しておきましょう。

 

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団信に加入していた場合にすべき手続き

 

団信に加入していた場合には、できるだけ早い段階で必要な手続きを済ませましょう。

 

大まかな流れとしては、以下のとおりです。

  • 金融機関への連絡
  • 必要書類の提出
  • 保険会社による審査、書類の受け取り
  • 所有権移転登記、抵当権抹消登記

 

住宅ローン名義人が亡くなったときには、住宅ローンの借入先である金融機関に連絡を入れます。すると、団信の加入状況を確認したうえで、手続きに必要な書類を案内してもらえます。

 

なお、万が一契約したときの金融機関が破綻していたとしても、契約内容はそのまま新しい金融機関に引き継がれるので、そちらに連絡を入れれば手続きを進められます。

 

必要書類は金融機関から提示されるので、案内に従ってそろえましょう、具体的には、以下のような書類が必要となります。

  • 団信弁済届(死亡用)
  • 死亡証明書あるいは死亡診断書
  • 死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本または住民票除票

なお、高度障害の場合には、高度障害用の弁済届と障害診断書が必要です。

 

必要書類の提出後、保険会社による審査が行われます。

 

審査は場合によって1~2ヶ月程度かかるため、その間は住宅ローンの返済を続けなければならないケースもあります。ただし、審査に通過すれば、最終的には死亡後に支払った分は返還される仕組みです。

 

審査が下りると、完済を証明する書類が金融機関から送られるとともに、登記の手続きに関する案内も送付してもらえます。

 

亡くなった住宅ローン名義人から住宅を引き継ぐ場合には、厳密には名義人から家族(配偶者)へ相続が行われたものとして扱われるため、相続登記を行いましょう。

 

この手続きを「所有権移転登記」と呼び、きちんと相続人へ名義が移ったことを証明する重要な工程となります。

 

また、住宅ローンを完済したときには、「抵当権抹消登記」を行う必要があります。抵当権設定登記は住宅ローンを完済しても自動的に抹消されるわけではありません。

 

残ったままだと、将来売却をしたり譲ったりするときにさまざまなトラブルが生じてしまいます。

 

抵当権抹消登記自体は自分で行うこともできますが、所有権移転登記は複雑なため、相続時にはまとめて専門家である司法書士に依頼するのがおすすめです。

 

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団信に加入していない場合にすべき手続き

 

団信に加入していなかった場合は、基本的には相続人(=残された家族)が返済を引き継ぐこととなります。しかし、相続の方法によって、その後の取扱いは異なります。

 

ここでは、相続方法の種類について見ていきましょう。

 

「単純承認」とは、死亡した人のプラスの財産(資産)もマイナスの財産(負債)もすべて受け継ぐ方法です。

 

原則的な相続の方法であり、期限までにほかの方法を申し出なければ単純承認をしたものとしてみなされます。

 

この方法では、死亡した人の住宅を引き継げる代わりに、住宅ローンの返済義務も負うこととなります。

 

「相続放棄」とは、プラスの財産もマイナスの財産もまとめて放棄し、一切引き継がないという方法です。

 

そのため、相続放棄を選択すると、住宅を引き継ぐことはできないものの、住宅ローンの返済義務もなくなります。

 

なお、相続放棄をする場合には、相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に申請を行う必要があります。

 

限定承認とは、プラスの財産とマイナスの財産を相殺したうえで相続を受ける方法です。相続放棄と同じく、相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に申請を行う必要があります。

 

限定承認を行えば、亡くなった住宅ローン名義人の財産(現金や有価証券など)と、住宅ローン残債を相殺し、返済義務を負わずに住宅を引き継ぐことも可能です。

 

ただし、限定承認は相続人全員が同意のうえ、共同で行う必要があるため、相続人が複数人いる場合は手続きが難航してしまう場合もあります。

 

また、相続した財産を一部でも処分してしまえば、原則として相続放棄や限定承認が行えず、単純承認として扱われるので注意が必要です。

住宅ローン

  • 住宅ローン名義人が死亡した場合、基本的には残された家族が返済を引き継ぐ
  • 名義人が団信に加入していれば、死亡に伴って住宅ローンの返済が免除される
  • 住宅ローンの契約状況、団信の加入状況によっては免除されないケースもあるため、必ず確認しておく
  • 団信に加入していた場合は、借入先の金融機関に連絡をして必要な手続きを案内してもらう
  • 団信に加入していない場合は、相続の方法についてできるだけ早い段階で検討する
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Q.1 住宅ローンの返済中に名義人の夫が亡くなりました。ローンは私が支払わなければいけませんか?

A.1 まずは住宅ローンの契約内容を確認しましょう。ほとんどの場合、「団体信用生命保険(団信)」に加入しているため、保険金でローンが完済されます。そのため、ご家族が返済を引き継ぐ必要はありません。

Q.2 団体信用生命保険(団信)とは何ですか?必ず加入するものですか?

A.2 住宅ローンの契約者が亡くなったり、所定の高度障害状態になったりしたときに、保険金でローンが完済される生命保険です。金融機関にとっては返済が滞るリスクをなくせるため、ほとんどの住宅ローンで加入が必須とされています。

Q.3 夫婦でペアローンを組んでいます。片方が亡くなった場合、ローンは全額免除されますか?

A.3 全額は免除されません。ペアローンは夫婦それぞれがローンを契約するため、団信で免除されるのは亡くなった方のローンのみです。残された方のローン返済は、引き続き必要となります。

Q.4 収入合算でローンを組み、夫が主債務者、妻が連帯保証人です。もし妻が亡くなったらローンは免除されますか?

A.4 いいえ、免除されません。収入合算(連帯保証型)の場合、団信に加入できるのは主債務者であるご主人のみです。そのため、連帯保証人である奥様が亡くなっても、ローン返済は免除されません。

Q.5 以前、住宅ローンを滞納したことがあります。団信に加入していても、ローンが免除されない可能性はありますか?

A.5 はい、免除されない可能性があります。住宅ローンを滞納すると、団信の保険料も未納となって契約が失効しているケースがあります。心当たりがある場合は、すぐに金融機関へ団信の契約状況を問い合わせてみましょう。

Q.6 団信でローンが完済されることになりました。まず何をすればよいですか?

A.6 まずはローンを借りている金融機関へ連絡し、名義人が亡くなったことを伝えます。その後、案内に沿って必要書類を提出してください。保険会社の審査を経てローンが完済されたら、法務局で家の名義変更(相続登記)と抵当権抹消登記の手続きが必要です。

Q.7 父が亡くなり、団信未加入の住宅ローンが残っています。家を相続するにはどうすればよいですか?

A.7 団信に未加入の場合、家とともにローンも相続人が引き継ぐことになります。家を相続するには、資産とローンの両方を受け継ぐ「単純承認」という方法で相続手続きを進め、ローンの返済を続ける必要があります。

Q.8 ローン返済が難しいので、家もローンも相続したくありません。何か方法はありますか?

A.8 はい、「相続放棄」という方法があります。家や預金などの資産と、ローンなどの負債のすべてを相続しない手続きです。ただし、相続を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所への申請が必要なため、注意しましょう。

Q.9 独身で家を購入しましたが、団信に加入する必要はありますか?

A.9 連帯保証人を立てている場合、万が一のことがあると、その方に返済義務が移ってしまいます。また、死亡時だけでなく、がんなどの病気に備える特約が付いた団信もあります。ご自身の状況やライフプランに合わせて加入を検討することをおすすめします。

更新日: / 公開日:2020.10.20