住宅を購入する際、現金で一括払いできるに越したことはありませんが、多くの場合自己資金だけでは足りないため、住宅ローンなどの融資を受けることになります。初めて住宅ローンを利用する人にとって、いくらまで借りることができるのか、無理のない返済計画の立て方など不明点や心配は尽きないもの。
そこで今回は、住宅ローンの簡単な仕組みとライフプランから導く無理のない返済計画についてご案内します。
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住宅ローンと他のローンはどのように違うのでしょうか? 住宅ローンは住宅を購入する際に利用できるローンですが、他の種類のローンと比べると以下のような特徴があります。住宅ローンの特徴・通常の融資よりも返済期間を長期間に設定できる
・家を担保とした有担保ローン
・自身の居住する住居の購入費や諸費用などに利用が限定されている
・通常の融資よりも低金利で融資を受けることができる
住宅ローンは、利用用途が住宅費用に限られており借りたお金を生活費などに充てることはできません。そして、家自体が担保となるために通常の融資よりも低金利で融資を受けることができ、返済期間を長期間に設定することが可能です。ですが、低金利とはいえ利子がつくので、短期間で返済する方が支払い総額は低くなります。

 

次に、住宅ローンを契約する際に押さえておくべきポイントについて見ていきましょう。

 

住宅ローンを契約する際、いくらまで融資を受けることができるか気になる人も多いのではないでしょうか? 金融機関により上限金額の算出方法は異なりますが、よく用いられる算出方法の1つに「返済負担率」があります。返済負担率は自身の年収に対する返済額の割合のことを表しており、計算式は以下となります。返済負担率の計算式1年間の返済額÷年収例えば、年収が400万円未満の人の返済負担率の上限が30%、年収が400万円以上の人の返済負担率の上限が35%と設定されている住宅ローンでは、年収300万円の人の利子を含めた年間返済額上限は90万円となり、年収400万円の人の利子を含めた年間返済額上限は140万円です。上限に近いほど、完済予定日は早くなります。しかし、年収300万円の人が返済負担率の上限90万円で設定した場合、1年間の支払い90万円÷12ヶ月=7.5万円 の支払いが月々発生するため、月収から7.5万円を差し引いた分で生活していく必要があります。年収から税金やボーナス分を引いて12ヶ月で割った手取り分から7.5万円の支払いが発生すると考えると、生活を切り詰める必要が出てくるかもしれません。

 

 

平成28年総務省家計調査年報によると、2人暮らしの場合の消費支出(住居等の費用を除く)の平均は、約21万円となります。世帯年収300万円のカップルが返済負担率の上限で融資を受ける場合、生活が苦しくなってしまうかもしれません。住宅ローンは長期間に渡って返済し続けることになるため、無理のある返済計画では続かなくなってしまうかもしれません。現実的な生活費と照らし合わせて融資額を決定する必要があるでしょう。

 

また、住宅ローンを契約する際には、以下の点も考慮しましょう。住宅ローンを契約する際に覚えておくべきこと・夫婦で収入を合算して上限を設定できる場合がある
・契約時の年齢によっては返済期間を短縮される場合がある
・他のローン(自動車ローン等)を契約している場合審査が通らないことがある
・ブラックリストに記載されている場合、審査が通りにくくなる
住宅ローンの融資上限額は年収を基準に設定されますが、個人年収ではなく世帯年収を基準に設定するローンの組み方もあります。夫婦共働きの年収上限値で返済額を設定した場合、産休や育児休暇などで収入が減ると返済計画に支障が生じる可能性があるため、無理のない返済計画を立てることをおすすめします。

 

また、契約者の年齢が高い場合、35年ローンを申し込んだとしても返済期間を短縮されてしまう可能性があります。それだけでなく、他のローンを同時に契約している場合は、そちらの月々の返済も含めていくらまで返済できるかを考えるため、借入可能額が減ってしまったりローンを組みづらくなる可能性があります。また、滞納などによりブラックリストに掲載されてしまっていると審査が通らない可能性もあるので注意しましょう。

 

住宅ローンは大きな金額を長期間に渡って返済していくため、事前にしっかり計画を立てて無理のない返済をしていくのが鉄則です。そうしないと、返済期間中の予期せぬ出来事によって設定金額を返済できないなどの支障が生じてしまう可能性があります。

 

そこで、資金計画を立てる上で重要になってくるのが、自分自身のライフプランを事前に明確にしておくことです。ライフプランとは、将来発生することが予想されるイベントなどを事前に把握しておき、将来に向けた資金計画を事前に立てること。例えば、出産や子どもの大学進学などの出費の増大を事前に考えていなかった場合には、住宅ローンの返済と出費が重なってしまい、返済や必要な費用の支払いができなくなってしまうかもしれません。あらかじめ未来に起こる可能性のある出費を把握した上で返済計画を立てておけば、順調に返済していくことができるでしょう。

 

 

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具体的な資金計画を進めるためには、家計の収支表の作成、バランスシートの作成、ライフイベント表の作成、キャッシュフロー表の作成の4つを行うことが重要です。それぞれのステップに必要な表は日本FP協会のHPなどをご参照ください。

 

それでは、各ステップについて詳しく見ていきましょう。

家計の収支表を作成する際に、現在の収入と支出を書き出して年間収入から年間支出を引くことで、自身の返済能力や、ローン返済をした上でどの程度貯蓄していけるのか、さらに妥当な融資金額まで導き出すことが可能になります。

先ほどの家計の収支表は、現在の収入と支出を書き出したものですが、バランスシートでは現在の資産や負債の状況を書き出すため、実際の家計の健全度を知ることができます。例えば、出産や育児休暇などにより一時的に収入が落ち込んでいる場合には、家計の収支表上は赤字になってしまっているかもしれません。しかし、バランスシートが良好であれば、大きなトラブルが発生する確率は低くなると言えるでしょう。

現在の家計状況を把握した後は、今後の人生に起こる出来事を可能性も含めて見通していきます。ライフイベント表を作成すると、自分や家族の10年後、20年後の予定を書き込むことによって、将来に発生する出費を具体化していくことができます。個々のイベントにどの程度の費用がかかるのか目安を記載して目に見える形にしていきましょう。

最後に作成するのは家計のキャッシュフロー表です。家計のキャッシュフロー表では、現在から将来に至る家計の変化をチェックし、このままの家計で夢や目標が叶うか、家計が赤字にならないかどうかなどを判断していきます。

インターネット上には資金計画の目安や方法が数多く掲載されていますが、各家庭によって条件が異なるため、目安にはなるものの実際の家計状況をしっかりと把握する必要があります。上記の4ステップを行うことによって現状の把握と将来発生する費用のイメージができ、住宅購入に充てる資金がどの程度確保できるのか見えてきます。返済負担率の上限を物件購入費の目安にするのではなく、家計に負担の生じない範囲でのローン計画を心がけるようにしましょう。

 

 

まとめ
・金融機関によって異なる住宅ローンの内容を理解する
・無理なく返済可能な金額の融資を受ける
・実際の生活水準に合わせて融資額を決定する
・4つのステップで住宅購入の適切な時期と融資額を導き出す

 

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更新日: / 公開日:2018.08.06