前回は止まらない少子高齢化社会における、高齢者の資金ショート問題をどうするのかを焦点にお伝えしました。その中で、持ち家を使って融資を活用する新しい金融商品「リバースモーゲージ」について説明いたしましたが、今回はその続編として具体的な実例をお話ししたいと思います。
※リバースモーゲージについて再度確認されたい方はこちらをご参照ください。
▶今こそ知るべき「リバースモーゲージ」とは?~高齢者の生活を応援
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リバースモーゲージのメリット

前回のおさらいですが、リバースモーゲージのメリットは、以下の通りです。
- 自宅を担保に銀行借り入れによって生活資金を調達できる
- 高齢者でもローンが利用できる
- 資金使途は自由(事業性はダメ)
- 子どもに家を遺す必要がない場合に利用メリットあり(残された家の相続でもめることがない)
- 新しい住まいを買うことも可能
- 既存の住宅ローンを借り換えることも可能
- 自宅を別の使い方(賃貸、売却)も考えられる
今回ご紹介する事例は、メリット5と6のケースです。
リバースモーゲージを使えるかどうかの事前チェック
まずはリバースモーゲージについて利用できるかどうか、下記項目を事前にチェックしてみましょう。
健康状態
リバースモーゲージは「担保付ローン」であり担保として、差し出す不動産が必要です。しかし、その不動産の持ち主が「痴呆症」などの状態になってしまうと原則的には利用できません。ローンを利用する本人が「痴呆症」となっても同様です。とにかく、お元気なうちに早め早めにご検討されるべきと思います。
同居人(お子さん)の状態
お子さんが無職(ニート)で同居しているような場合は、原則的には難しいです。銀行の立場からすると、将来その持ち家を売却して貸金を回収したいのに、同居人がいては困るのです。
エリアや条件
このほか、金融機関によって、取り扱えるエリアや、物件の条件などもあり、対応もまちまちです。取り組み事例の多い銀行に相談することが一番早いでしょう。
それでは、メリット⑤と⑥に関する事例について具体的にお話しします。

リバースモーゲージが利用できるか事前にチェック!
【事例1】住宅ローンの借り換え編
実はリバースモーゲージの利用例で、最も多く利用されているのが「住宅ローンの借り換え」です。実際にあった具体的な事例を見ていきましょう。(以下、簡易な説明のため、支障のない範囲で事実を多少変更しています)
状況
・ご利者 :男性60歳
・エリア :埼玉県浦和市
・収入 :年金 毎月15万円
・資金の使い道:住宅ローンの返済。
1000万円の一括返済資金。ローン借り換えのため。
・居住 :奥様と同居 (子どもは独立して別居)
問題点
・毎月の家計が苦しい。
毎月の年金収入が15万円しかないのに、住宅ローンの返済が15万円なので、生活の余裕が全くありません。預金を切り崩して生活資金を作り出していることになります。
解決策
これを、リバースモーゲージによって、総額1000万円を借りて一括返済するのです。乗り換えたリバースモ-ゲージの返済額は、この金融機関の場合、3%の金利だけなので、1000万円×年利3%=30万円となり、毎月の返済額は30万円÷12か月=2.5万円となります。
こうすると、毎月返済額が15万円から2.5万円に減り生活資金が12.5万円楽になった、というわけです。比較すると下記のような表になります。
| リバースモーゲージ利用前 | 利用後 |
①利用中の住宅ローン ・借入額4000万円(40歳の時に借入) ・ローンの残債1000万円 ・毎月の返済額 15万円/月 ・返済期限:残り10年(完済時70歳) | ①現在の住宅ローン ゼロ(全額返済) ②リバースモーゲージの内容 ・借入額 1000万円 ・毎月の返済 2.5万円/月(収支が12.5万円アップ! ) ・返済期限 なし(終身) ・担保:既存住宅の抵当権をはずして、リバースモーゲージの抵当権を設定。 |
このような上記ケースは、今から20年くらい前の典型的なサラリーマンの行動を反映していると思います。つまり当時まだ、終身雇用や退職金などの会社の制度も充実していたので、返済期限をリタイヤ後の70歳に設定しても「退職金1000~2000万円で完済出来る」と読んで、マイホームを買っていたのです。
ローンの組み換えをするだけで家計の収支が毎月12万5000円も改善するのは、とても魅力的ですよね。
【事例2】住み替え編

高齢者になり一人暮らしになると防犯や防災上の不安は尽きませんし、子どもたちのいなくなった後の広い一戸建て住宅はかえって使いづらいものです。そこで「一戸建て暮らしの生活」を生活利便性の高い地域の「マンション」に住み替えるというようなケースで、リバースモーゲージが役に立つという事例をご紹介します。
状況
・ご利者 :男性71歳
・居住エリア :神奈川県横浜市港北区
・住居の種類 :一戸建て住宅
・収入 :年金 毎月20万円
・資金の使い道:住み替え新築マンションの購入資金
・居住 :奥様と同居。長男は結婚し、隣の神奈川区で生活
問題点
一戸建て住宅に、夫婦と長男3人で住んでいましたが、その後、長男が結婚し別居。現在、夫婦とも70歳を越え広い一戸建て住宅の不便な生活と将来の不安な生活に問題を感じています。できれば息子の住居の近くに住みたいと思っています。
解決策
リバースモーゲージを使って長男の住居近くに住宅を買うことができます。住み替えた後の、古くなった自宅は当面セカンドハウスとして使えますが、将来は生活資金の状況を見て売却することも可能です。
比較すると下記のような表になります。
| リバースモーゲージ利用前 | 利用後 |
・一戸建住宅を所有(横浜市港北区) ・一戸建て住宅に妻と同居 ・長男は別居 ・利用中のローンなし (住宅ローンは完済している) | ・生活利便性の高い新築マンションを購入 ・長男の住居近く(神奈川区)に新築マンションを購入 ・そのマンションに夫婦で生活 ・近くに長男の住居があるので何かあった時に安心 ・マンション4300万円 (リバースモーゲージ3200万と自己資金1100万) ・リバースモーゲージの内容 借入額: 3200万円 返済:月8万(3200万×3%÷12ヵ月) 期限:なし(終身) 担保:一戸建てと新築マンション差し出している |
※事例2。リバースモーゲージ利用前と利用後の比較
核家族化が当たり前となり、せっかく持ち家を持っても子どもが独立すれば、残された老親夫婦は孤立化してしまします。そして、生活利便性や安全性を考えると、老後のライフスタイルも見直す必要が出てきます。足腰が弱ってくると、なるべく生活の行動範囲を狭くしたいと考えるのが自然です。ダウンサイジングですね。
そして、できれば子どもたちのそばにいて精神的にも安心したいと考えるでしょう。そんな新しい選択肢を提供する可能性を秘めているのです。70歳を超えて住宅ローンを組むことは一般的な住宅ローンではありえない話です。
そこでこのようなリバースモーゲージを使えば、高齢者となったときに自宅があれば、それを売ることなく担保として新たな生活のスタートを切ることができます。
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このような老後の生活を豊かにする可能性を秘めたリバースモーゲージですが、最初にどのような行動をすればよいのでしょうか?
リバースモーゲージの取り組み実績の多い金融機関に相談することをお勧めします。取り組める案件のエリアの限定性もあります。全国30程度の金融機関は取り組んでいるようです。
ちなみに、参考までですが、「リバースモーゲージカウンセラー」という民間の認定資格もあります。私はこの認定を与える立場として、資格試験などの講座を開いています。国内ではまだ数名しかいませんが、今後とも、リバースモーゲージの普及に努め、一人でも多くの方の生活のサポートになればと強く思います。
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更新日: / 公開日:2017.10.20










