- 維持費の内訳はマンションと一戸建てで大きく異なる
- 固定資産税や保険料など共通してかかる費用に加え、マンションには管理費・修繕積立金・駐車場代が毎月発生します。一方、一戸建ては毎月の固定費こそ少ないものの、外壁や屋根などの修繕費を自分で準備する必要があります。それぞれの費用項目を一覧で整理し、何にいくらかかるのかをつかめます。
- 30年間の維持費総額をシミュレーションで比較できる
- 国土交通省の調査データなどをもとに、マンション・一戸建てそれぞれの30年間の維持費総額を試算します。「毎月の支払いが見えやすいマンション」と「支払いのタイミングを自分で決められる一戸建て」の構造的な違いが、金額とあわせて具体的にイメージできるようになります。
- 後悔しないための判断軸とチェックリストが手に入る
- 維持費は「どちらが安いか」だけで決めると後悔しやすいポイントです。修繕積立金の段階増額や機械式駐車場のコストなど見落としがちな落とし穴を知ったうえで、自分がマンション向きか一戸建て向きかを見極めるチェックリストで、物件選びの軸を固められます。
住宅情報サイトで物件価格ばかり見比べて、ふと「買ったあと、毎月いくらかかるんだろう」と手が止まる。マイホーム探しでは、多くの方がこの疑問にぶつかります。
物件価格やローンの返済額は広告に大きく書かれているのに、購入後の維持費はなかなか見えてきません。しかもマンションと一戸建てでは、かかる費用の種類もタイミングもまったく違います。「毎月きちんと請求が来るマンション」と「請求は来ないけれど、ある日まとまった出費がやってくる一戸建て」。この構造の違いを知らないまま選ぶと、住み始めてから家計が想定外に圧迫されることになりかねません。
そこで本記事では、マンションと一戸建ての維持費を項目ごとに整理したうえで、30年間の総額をシミュレーションで比較します。あわせて、見落とされがちな落とし穴と、自分に合った住まいを選ぶための判断軸も紹介します。
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マンションと一戸建て、維持費の内訳はここが違う

まずは「そもそも維持費には何が含まれるのか」を整理しましょう。共通してかかる費用と、それぞれに特有の費用に分けて見ていくと、両者の違いがクリアになります。
どちらにも共通してかかる費用
マンションでも一戸建てでも、所有している限り必ずかかるのが税金と保険料です。
- 固定資産税:毎年1月1日時点の所有者に課される税金で、標準税率は固定資産税評価額の1.4%です。
- 都市計画税:市街化区域内の不動産に課される税金で、税率は最高0.3%。地域によってはかかりません。
- 火災保険料・地震保険料:建物の構造や補償内容によって保険料は変わります。一般的に、コンクリート造のマンションより木造の一戸建てのほうが保険料は高くなる傾向があります。
なお、固定資産税には新築住宅の税額が一定期間軽減される特例などもあります。詳しくは「固定資産税が軽くなる方法はある? 軽減措置と手続き方法をご紹介」もあわせてご覧ください。
マンション特有の費用:管理費・修繕積立金・駐車場代
マンションの維持費の柱は、毎月支払う管理費と修繕積立金です。
国土交通省の調査によると、管理費(駐車場使用料等からの充当額を除く)の月額平均は1戸あたり11,503円、修繕積立金の月額平均は1戸あたり13,054円となっています(出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査」)。
合計すると、平均的なマンションでは毎月約2万5,000円、年間で約30万円が管理費・修繕積立金として出ていく計算です。共用部の清掃やエレベーターの保守、大規模修繕などはこの費用から賄われるため、個別に大きな修繕費を請求されることは基本的にありません。手間をかけずに建物の維持管理を任せられるのが、マンションの大きなメリットです。
自家用車を持っている場合は、これに駐車場代が加わります。敷地内駐車場でも月数千円〜数万円かかるのが一般的で、都市部ではさらに高額になります。
一戸建て特有の費用:修繕費は「自分で積み立てる」
一戸建てには管理費も修繕積立金もありません。敷地内に車を置ければ駐車場代も不要です。毎月の固定費が少ないぶん、家計の見た目はぐっと軽くなります。
ただし、建物の維持管理はすべて所有者の責任です。代表的な修繕には次のようなものがあります。
- 外壁塗装:一般的に10〜15年周期が目安で、1回あたり100万円前後かかることもあります
- 屋根の補修・葺き替え:屋根材によりますが、まとまった費用が必要です
- 給湯器・水回り設備の交換:10〜20年程度で交換時期を迎えます
- シロアリ対策、雨どい・バルコニーの防水補修、庭や外構の手入れ
これらは「毎月の請求書」としては届きません。だからこそ、修繕積立金に相当する金額を自分で積み立てておく必要があります。一戸建ての維持費の全体像は「マイホーム(一戸建て)の維持費は? 年間相場やマンションとの比較、費用を抑えるポイントを紹介」で詳しく解説しています。
価格帯や条件、設備から中古マンションを探す 価格帯や条件、設備から中古一戸建てを探す【シミュレーション】30年間の維持費総額を比較してみる
では、30年間住み続けた場合、維持費の総額はどのくらい違うのでしょうか。ここでは編集部で条件を設定し、目安となる金額を試算します。実際の金額は物件の規模・地域・築年数などによって大きく変わるため、あくまで「構造の違い」をつかむための参考値としてご覧ください。
試算条件と比較表
マンションは前述の全国平均(管理費11,503円+修繕積立金13,054円)をベースに、駐車場代は月1万円と仮定。一戸建ては外壁・屋根・設備などの修繕費を30年間で計600万円、自己管理の手入れ費用を年3万円と仮定します。固定資産税・保険料は物件により幅が大きいため、ここでは両者共通の費用として枠外に置きます。
| 費用項目 | マンション(30年) | 一戸建て(30年) |
|---|---|---|
| 管理費 | 約414万円 | なし |
| 修繕積立金/修繕費 | 約470万円 ※段階増額でさらに増える可能性 | 約600万円(自分で準備) |
| 駐車場代 | 約360万円(月1万円の場合) | 敷地内なら0円 |
| 庭・外構などの手入れ | なし(共用部は管理費に含む) | 約90万円(年3万円の場合) |
| 小計 | 約1,244万円 | 約690万円 |
| 固定資産税・都市計画税・保険料 | 両者共通で別途発生(物件により異なる) | 同左 |
こうして並べると、車を持つ世帯では30年間で500万円以上の差がつく可能性があることがわかります。ただし、この差を「マンションが損」と読むのは早計です。
金額差の正体は「サービス料」と「リスクの持ち方」
マンションの管理費には、共用部の清掃・設備の保守点検・管理員の人件費など、快適さと安心を買うためのサービス料が含まれています。修繕も管理組合が計画的に実施するため、所有者が業者を探したり工事の品質を見極めたりする手間はほぼありません。
一方、一戸建ての試算額が小さく見えるのは、「手間と判断」を所有者が引き受けているからです。修繕のタイミングも業者選びもDIYでの節約も自分次第で、工夫すれば維持費はさらに抑えられます。逆に、メンテナンスを怠れば建物の劣化が進み、将来の修繕費がかえって膨らむリスクも抱えています。
つまり両者の違いは、金額そのものより「お金で解決するか、自分の手間と計画性で解決するか」という維持管理スタイルの違いなのです。
3,500万円以内で4LDK以上の築浅中古マンションを探す 3,500万円以内で4LDK以上の築浅中古一戸建てを探す意外と知られていない維持費の落とし穴
金額の目安がつかめたところで、購入前に知っておきたい「見落としがちなポイント」を3つ紹介します。ここを知らずに契約すると、数年後に想定外の出費に直面しかねません。
落とし穴①:修繕積立金は「新築時の金額」で判断してはいけない
新築マンションの修繕積立金は、販売時には低めに設定され、数年ごとに段階的に値上がりする計画(段階増額積立方式)になっているケースが多くあります。当初5,000円だった積立金が、値上げを重ねて20年後には数倍になっている。という事例も珍しくありません。
さらに、長期修繕計画に対して積立額が不足しているマンションも一定数存在し、前出の国土交通省の調査では、計画に対して積立金が不足している管理組合が36.6%にのぼることが示されています(出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査」)。
積立不足のまま大規模修繕を迎えると、一時金の徴収や大幅値上げにつながる可能性があります。購入前には現在の金額だけでなく、長期修繕計画と将来の値上げ予定、積立金の残高まで確認しましょう。
落とし穴②:機械式駐車場とエレベーターは「隠れた大型出費」
機械式駐車場は日常のメンテナンス費がかかるうえ、将来の装置の更新には多額の費用が必要です。エレベーターも同様に、保守契約の費用と将来のリニューアル費用が発生します。
これらは共用部なので修繕積立金から支出されますが、設備が多いマンションほど積立金の負担は重くなりがちです。空き区画が増えて駐車場収入が減ると、管理組合の収支が悪化する要因にもなります。内見時には部屋の中だけでなく、共用設備の種類と数にも目を向けてみてください。
落とし穴③:一戸建ては「請求書が来ない」ことこそ最大のリスク
一戸建てで怖いのは、高額な請求ではなく「請求が来ないこと」です。誰からも催促されないため修繕の積立を先送りしやすく、外壁塗装の時期に貯えがない、雨漏りが起きてから慌てて割高な工事を頼む、といった事態に陥りがちです。
また中古一戸建ての場合は、購入時点で外壁や設備の劣化が進んでいることもあり、入居直後にまとまった修繕費がかかるケースもあります。「月2万円を修繕用の口座に自動で積み立てる」など、マンションの修繕積立金と同じ仕組みを自分でつくっておくことが、一戸建てを長く快適に保つ最大のコツです。
大規模マンションを探す 全面リフォームリノベーション済中古マンションを探す維持費を無理なく抑えるためにできること

落とし穴を避けたうえで、維持費そのものを賢く抑える方法も押さえておきましょう。
マンション:管理状態の良い物件を選ぶことが最大の節約
マンションの維持費は管理組合の運営次第で大きく変わります。長期修繕計画が適切に見直されているか、積立金の残高は十分か、管理費の使途は妥当か。こうした「管理の質」が良い物件は、将来の一時金リスクが小さく、資産価値も維持されやすい傾向があります。
中古マンションなら、重要事項調査報告書などで管理組合の財務状況を確認できます。物件情報を眺める段階から「価格」と「管理費・修繕積立金」をセットで見る習慣をつけると、相場感が自然と身につきます。
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一戸建て:予防メンテナンスと「自分積立」で総額を圧縮
一戸建ての修繕費は「壊れてから直す」より「壊れる前に手を入れる」ほうが総額は安く済みます。外壁のひび割れやコーキングの劣化を早めに補修する、定期的に点検するだけでも、大規模な工事を先送りできます。
工事を頼む際は複数社から見積もりを取り、DIYでできる範囲は自分で対応すれば、さらにコストダウンが可能です。新築を検討しているなら、外壁材や屋根材にメンテナンス周期の長い素材を選ぶことも、30年スパンでは大きな節約につながります。
後悔しないための判断軸—あなたはどちらのタイプ?
ここまで見てきたとおり、維持費は「マンションと一戸建てのどちらが安いか」という単純な話ではありません。大切なのは、自分の性格やライフスタイルに合った「維持管理のスタイル」を選ぶことです。次のチェックリストで確認してみましょう。
維持管理タイプ診断チェックリスト
次の項目に多く当てはまる方は、マンション向きです。
- 建物の管理や修繕は、専門家に任せて手間を省きたい
- 毎月の支出が一定額で見えているほうが家計管理しやすい
- 業者選びや相見積もりの手間はできるだけ避けたい
- 掃除や庭の手入れに時間を使いたくない
- 共用施設やセキュリティなどのサービスに対価を払う価値を感じる
次の項目に多く当てはまる方は、一戸建て向きです。
- 修繕のタイミングや費用のかけ方を自分でコントロールしたい
- DIYや庭の手入れが好き、または苦にならない
- 毎月の固定費はできるだけ抑えたい
- 将来の修繕に備えて、自分で計画的に積み立てられる自信がある
- 車を複数台持ちたい、または駐車場代を払いたくない
迷ったら、実際の物件で「維持費込みの月額」を見てみる
チェックの結果が拮抗した方は、頭の中で考え続けるより、実際の物件情報で比べてみるのが近道です。マンションの物件ページには管理費・修繕積立金が記載されているので、「ローン返済額+管理費・修繕積立金」で月額を計算してみる。
一戸建てなら「ローン返済額+自分積立2万円」で考えてみる。同じ月額負担でどんな住まいに手が届くのかが見えてくると、判断は一気に具体的になります。
まとめと次のステップ
マンションと一戸建ての維持費は、単純な金額の大小ではなく「性質」が違います。
- マンションは管理費・修繕積立金として毎月約2万5,000円(全国平均)が確実にかかるが、維持管理の手間はほとんどない
- 一戸建ては毎月の固定費が少ないぶん、30年で数百万円規模の修繕費を自分で計画的に準備する必要がある
- 修繕積立金の段階増額、機械式駐車場のコスト、一戸建ての積立不足など、購入前に確認すべき落とし穴がある
- 決め手は金額より「お金で手間を買うか、手間で費用を抑えるか」という自分のスタイル
「もう少し情報が揃ってから」と検討を先送りしている間にも、家賃や今の住まいのコストは毎月出ていきますし、気になるエリアの良い物件は動いていきます。まずは大きな決断ではなく、小さな一歩から始めてみませんか。予算の当たりをつけたい方は、家計から無理のない購入予算を試算してみるのがおすすめです。
「維持費も含めた資金計画を誰かに相談しながら整理したい」という方は、中立な立場のアドバイザーに無料で相談することもできます。
よくある質問
Q1. マンションと一戸建て、結局どちらの維持費が安いのですか?
A. 車を所有する世帯では、駐車場代の分だけマンションのほうが総額が大きくなりやすい傾向があります。ただし、マンションの費用には管理サービスの対価が含まれており、一戸建ても修繕を適切に行えば相応の費用がかかります。「安いほう」を探すより、費用の性質(毎月定額か、まとまって発生するか)が自分の家計スタイルに合うほうを選ぶことが大切です。
Q2. マンションの修繕積立金は将来いくらまで上がる可能性がありますか?
A. 物件の長期修繕計画によって異なります。段階増額積立方式の場合、新築時の数倍まで上がる計画になっていることもあります。購入前に長期修繕計画書で「いつ・いくらまで上がる予定か」と積立金の残高を確認し、不足が生じていないかをチェックしましょう。中古マンションなら重要事項調査報告書で管理組合の財務状況を確認できます。
Q3. 一戸建ての修繕費は、毎月いくら積み立てておけば安心ですか?
A. 本記事の試算のように30年間で600万円程度の修繕費を想定するなら、月あたり約1万7,000円が目安になります。建物の規模や仕様、立地環境によって必要額は変わるため、まずは月1.5万〜2万円を目安に専用口座へ自動積立する仕組みをつくり、外壁塗装など大きな修繕のたびに計画を見直すとよいでしょう。
Q4. 維持費を理由に中古物件を選ぶのはありですか?
A. 選択肢として十分ありです。ただし中古マンションは築年数が進むほど修繕積立金が高めになる傾向があり、中古一戸建ては購入直後に修繕が必要なケースもあります。物件価格の安さだけでなく、「購入後にかかる維持費・修繕費まで含めた総額」で新築と比較することが、後悔しない選び方のポイントです。
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更新日: / 公開日:2018.03.30










