一軒家(一戸建て)とマンション、どちらがいいのか迷いますよね。住まいに求める条件は、ライフスタイルや価値観などによってさまざまです。
マイホームの購入においては、どの条件を優先したいのかを明確にしたうえで、自分に合った選択肢を見つけることが大切です。
今回は一戸建てとマンションの特徴を比較しながら、どちらが適しているのか、具体的なポイントをもとに判断してみましょう。
目次
比較ポイント1:建物のつくりから見る違い
一戸建てとマンションの違いについては、さまざまな観点から比べることができます。ここではまず、建物の構造に関するポイントを通して比較しましょう。
間取りと広さ
間取りの自由度においては、マンションよりも一戸建てのほうが高くなります。
一戸建ては、各部屋を複数のフロアに分けたり、平屋としてワンフロアにまとめたりもできるため、ライフスタイルに合わせた間取りを実現しやすいでしょう。
一方、マンションは間取りの自由度こそ低いものの、ワンフロアですべての部屋や設備が収まる点が魅力だといえます。
段差が少なく、スペースを効率的に利用できる設計となっていることから、高齢者世帯でも住みやすいのが大きな特徴です。
設備の充実度
住居内の設備に関しては、物件によるため、一戸建てだから、マンションだから設備が違うということはありません。
ただ、マンションの場合には、ベランダや玄関など共用部分に当たる設備は基本的に変更ができません。そのため、一戸建てのほうがより自由度は高いといえます。
また、屋根裏部屋や床下収納など、収納に関するスペースはマンションよりも一戸建てのほうが広く確保できるのが一般的です。
一方、マンションは共用設備を利用できる点が大きなメリットとなります。
エレベーターや宅配ロッカー、24時間ゴミ出し可能な集積所など、生活に便利な設備が初めから整えられているところが多く、維持管理も管理会社に任せられる点が魅力です。
眺望、採光性、通風性
眺望については、立地や階数にもよるものの、一般的にはマンションのほうが優れているといえます。また、日当たりについても、階数の高い部屋であればマンションのほうが有利です。
ただ、一戸建てはある程度自由に窓の数を増やせるため、採光性や風通しの良さについてはマンションより優れていることもあります。
日当たりの良い方角にリビングを設けるなど、周囲の立地や方角に合わせて変更できる点は一戸建ての強みです。
なお、気密性についてはマンションのほうが優れているケースが多いため、冷暖房効率が高いといった利点もあります。
セキュリティ
防犯設備については、オートロックや監視カメラなどが整えられていればマンションのほうが優れているとされています。
マンションによっては、管理人が住み込みで駐在しているところもあるため、そうした面でも安心感が高いです。
一方、一戸建ての場合は、侵入できる入口が多く、敷地条件や間取りなどの関係から防犯性を高めることが難しいケースもあるかもしれません。
比較ポイント2:住みやすさから見る違い
一戸建てとマンションは、実際に生活をする際の住み心地についても異なる側面を持っています。ここでは、住みやすさから見る違いを比較してみましょう。
独立性
住居としての独立性は、集合住宅であるマンションよりも一戸建てのほうが優れているといえます。マンションは住居ごとの距離が近いため、一戸建て以上に近隣への配慮が必要となるのです。
ただ、どちらの場合においても、近隣と助け合えるような関係性が重要である点には違いがありません。長く住むことを考えれば、近所付き合いにもきちんと目を向けることが大切です。
防音性
防音性については、近隣と密接しているマンションよりも一戸建てのほうが優れているといえます。
マンションの場合は、楽器の演奏やペットの飼育などが制限されているところが多く、許可されていてもこまやかな配慮が必要となります。
一方で、一戸建ての場合は、音に関する制限が厳しく設けられているわけではありません。
住宅密集地などでは、一般的な配慮が必要ではあるものの、マンションと比べれば気をつかうポイントは少ないといえます。
防災性
住居の構造にもよるものの、火災時の安全性は、一戸建てよりもマンションのほうが優れているとされています。
マンションは基本的に丈夫なコンクリートでできているため、延焼などのリスクが低く、火災保険の保険料も一戸建てより安く設定されているのが一般的です。
また、耐震性については、より構造による影響を受けやすいポイントであるため、単純にマンションと一戸建てを比較するのは難しいといえます。
きちんと新耐震基準を満たしていれば、それほど気にすることはありません。
立地や交通の利便性
一般的に、マンションは駅の近くなどの利便性が高い土地に建てられることが多く、一戸建ては閑静な住宅街に建てられるケースが多いです。
そのため、交通アクセスについては、マンションのほうが便利である場合が多いといえます。
ただ、自家用車を利用する際には、一戸建てのほうが便利です。マンションの場合は住居と駐車場までに距離があり、機械式などの場合は出し入れに時間もかかってしまいます。
比較ポイント3:長く住むことを考えたときの違い
住居を購入する際には、同じ環境に長く住むことを想定して慎重に検討する必要があります。ここでは、長期的な居住を考えたうえでの違いについて見ていきましょう。
住居の耐久性
耐久性については、一般的な木造の一戸建てよりもマンションのほうが高いとされています。
ただ、住宅の構造や工法、メンテナンスの度合いに左右される部分も大きいため、一概に比較することはできません。
一戸建ての場合は、メンテナンスを自分で行わなければならないため、その点では面倒に感じられる場面が多いといえます。
リフォームの自由度
リフォームの自由度については、一戸建てのほうが高いです。
マンションの場合は、共用部分にあたる玄関ドア(外側)やサッシ、ベランダなどの改装は自由に行えません。
また、専有部分にあたる室内も、大がかりなリフォームは許可が必要となる場合もあります。
リフォーム時に騒音などのトラブルを気にする必要もあるなど、一戸建てにはない制約が発生するのです。
維持管理
マンションの場合は、毎月の住宅ローン返済に加えて、修繕積立金や管理費といった毎月のコストを負担する必要があります。また、大規模修繕などが行われれば、追加で費用がかかってしまうこともあります。
一方で、一戸建ての場合は、自己管理においてメンテナンスを行わなければなりません。
マンションのように毎月の費用負担がない代わりに、設備の老朽化などに備えて、一定の金額を自分で積み立てておく必要があるのです。
そのため、どちらが適しているかは、住む人やライフスタイルによって異なります。
いずれの場合においても、メンテナンスを意識した資金計画が必要となるため、住宅購入費以外のコストにも目を向けておきましょう。
【比較表あり】一戸建てとマンションのどちらに向いているか判断するポイント
最後に、これまでの情報を比較表にまとめたうえで、マンションと一戸建てのどちらに向いているか見極める基準を見ていきましょう。
一戸建てとマンションの違い比較表
項目 |
一戸建て |
マンション |
---|---|---|
間取りや広さ |
・自由度が高い ・独立性が高い |
・自由度は低い ・生活動線をワンフロアにまとめられる |
日当たりと風通し |
・窓の自由な配置が可能 ・高い採光性と通風性が期待できる |
・高層階であれば採光性と通風性ともに高い ・気密性が高い |
設備 |
・必要なものを自由に選べる |
・選択肢は少ない |
セキュリティ |
・防犯を意識した工夫が必要 |
・防犯設備が充実しやすい |
防音性 |
・最低限の配慮が必要 |
・近隣への配慮が必要 |
交通の利便性 |
・閑静な住宅街が中心 ・自家用車の利用には便利 |
・駅近の便利な立地が中心 ・自家用車の利用はやや面倒 |
リフォーム |
・自由度が高い |
・制約が多い |
メンテナンス |
・自己管理が必要 |
・管理費や修繕積立費が発生 |
一戸建てに向いている人の特徴
- 土地を含めて所有したい
- ゆったりと子育てに向き合いたい
- 車を複数台所有したい
- 自由にペットを飼いたい
- 物音を気にせず生活したい
- 自由にDIYを楽しみたい
一戸建てに向いている特徴のひとつとしては、子育て世帯があげられます。上下階の物音を気にせず、のびのびと子育てに向き合える点は、住居が独立した一戸建てならではの魅力です。
また、マンションでは、騒音やペットに関するマナーをきちんと守らなければなりません。一戸建てであれば、細かな制約を受けずに好きなことができるため、快適に感じられる場面が多いといえます。
マンションに向いている人の特徴
- 利便性の良い地域に住みたい
- 夫婦共働きのため駅から近いエリアが良い
- セキュリティ面を重視したい
- 高齢になったときのことを考えてワンフロアにしたい
- 車よりも公共機関の利用が多い
マンションの魅力は、一戸建てよりも立地面のメリットを受けやすい点にあります。
特に、夫婦共働きの世帯にとっては、住宅街の広々とした一戸建てより、多少手狭であっても駅に近いマンションのほうが便利だと感じられる場面が多いです。
また、子育てを終えた高齢者世帯にとっては、段差が少なく、ワンフロアに必要なものがまとまったマンションのほうが住みと感じるでしょう。
それぞれの違いを理解してライフスタイルに合わせた住宅選びを
ここまでに見てきたとおり、一戸建てとマンションにはそれぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが良いかは人によって異なります。
そのため、まずは自分や家族が住まいに求める条件を明確にして、優先順位を決めておくことが大切です。
一生に一度ともいえるような大きな買い物だからこそ、マイホームの購入にはしっかりと時間をかけて、後悔のない住宅選びをしましょう。
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