著名なアニメやドラマに登場する間取り図を何でも推理してしまう間取り探偵、今回取り上げたのは数十年にわたって愛される作品「アルプスの少女ハイジ」。しかも今回は、家の間取り図だけでなくクララの旅の途中に登場するいろいろな建物を推理した間取り探偵です。
アルプスの少女ハイジ、家、といえば印象的なのが干し草のベッド。あのベッドのある家は、登場するのでしょうか?
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日本で40年にわたり愛される作品
アルプスの少女ハイジは、スイス人のヨハンナ・シュピリ原作で1880年に発表。日本においてこの作品が有名になったのは、1974年「カルピスまんが劇場」でのアニメから。
今年でかれこれ40年を過ぎても色あせない作品で、今でも家庭教師のおちゃめなコマーシャルなったり、幾度となく再放送されるなど、いまだに愛され続けています。
今回は、この作品に登場するクララ・ゼーゼマンがフランクフルトからアルムおんじの山小屋へ旅する道程を辿りながら、登場する建物を見てゆきたいと思います。
クララが住んでいるのはドイツヘッセン州のフランクフルト。父親は貿易商で裕福な暮らしをしていました。ハイジからアルプスの大自然の話を聞き、興味を持ちゆくことになります。
ちなみにクララの住むゼーゼマン家はドイツの詩人、ゲーテの生家がモデルの一つとなっているようです。

ハイジの世界、アルプスの山々ってこんなイメージですよね
ドイツからアルムの山へ!列車の旅
さて、フランクフルトからは汽車の旅。当時の路線は調べようがなかったので、現在の路線をもとに旅立ちましょう。
フランクフルト中央駅発バーゼルSSB駅行き(ドイツ鉄道:所要時間3時間34分)。
バーゼルSBB駅でサルガンス駅行きへ乗り換え(スイス連邦鉄道:所要時間1時間59分)
この駅は国境に面していることもあり、今はプラットホーム上に出入国管理ゲートが設置されています。
サルガンス駅に到着したらクール駅行きに乗り換え。ただし、クール駅までは行きません。ハイジの住んでいる場所への最寄りの駅であるマイエンフェルト駅一つ手前のバド・ラガツで下車します。(スイス都市鉄道Sバーン:所要時間5分)。
所要時間は前述の通り現在の路線からですので、当時はもっともっと時間がかかってクララも疲れたことでしょう。だからこそ、バド・ラガツで途中下車したのです。
バド・ラガツは温泉で有名です。
13世紀にターミナ渓谷というところで源泉が発見され、泉質は、リウマチ、運動機能障害、自律神経失調症に効果があるそうです。温泉と言っても日本とは違い水着を着て入るプールのようなもの。
長旅の疲れを癒し、ハイジの住む山に登るクララにとっては体調管理として絶好の場所に位置していますね。
(1)マイエンフェルト駅
さて、汽車でも行けるのですが、距離にして1km程度なので、ここからは馬車に乗り換えてクララはデルフリ村へと向かいます。その最寄りの駅はマイエンフェルト駅。
ハイジの母方の叔母デーテがハイジを連れて旅立った駅で、とても印象深いシーンでした。間取りはとてもシンプルで、待合室と職員室のみ。見ての通りですが何か足りないですね。

マイエンフェルト駅の間取り(左)と模型(右)推定床面積は59.62m2
(2)ハイジとペーターが通うデルフリ村学校
クララ一行の乗った馬車は村人の注目を浴びつつデルフリ村に到着します。実はこのデルフリ村は架空のもので、実際は現存するグラウビュンデン州イェニンス村がモデル。
まずは、ハイジとペーターが通うデルフリ村学校から。
概ね外観の大きさや窓の位置からの推理ですが、先生が朝、生徒を迎えるにあたって鍵を内側から開けるといった動作がありましたので恐らく居住用も兼ねているものと思われます。でも何かがやはり足りません。

住居も兼ねた学校。住居なのに、やっぱりあれが無い…推定面積:79.69m2
物件を探す(3)冬の家
いきなりアルムの山へ登るというのはちょっと無理がありそう。そこで、ハイジ達が冬季間過ごす“冬の家”と呼ぶ家に滞在します。
とても大きな家で廃墟となっていたのですが、おんじが一部、リフォームして住めるようにしたもの。ヨハンナ・シュピリの原作によると、デルフリ村出身の軍人が戦争で莫大な財遺産を手に入れ建築したのだけれども、平和な街に退屈してまた戦場へ。そして空き家になった物件だそうです。
ヤギの小屋・薪を置いておく部屋・LDK・おんじの部屋兼作業部屋・そしてハイジの部屋。
ハイジの部屋にクララは宿泊するのですが、そこにはフランクフルトの御屋敷にも負けないくらいのタイル貼りの立派な暖炉があります。でも、やっぱりあって欲しい部屋は見当たらず。
推定床面積:未使用部分含む273.27m2

「冬の家」の間取り図と模型。ヤギ小屋も薪小屋もある、とても立派な家推定床面積:未使用部分含む273.27m2
(4)ペーターの家
やっとクララは雇われた村人の背負子(しょいこ)に乗せられアルムの山に登ります。
途中訪れたのはペーターの家。この家にはペーター・母のブリギッテ・おばぁさんの三人が住んでいます。
この時に目の見えないおばぁさんはクララがハイジを連れ戻しに来たのではないかと不安がりました。
かなり粗末な建物で何度かおんじが修理にきたことから間取りがなんとなくわかります。
1階にはLDKとおばあさんの部屋。2階にはブリギッテとペーターの部屋が仕切られないまま配置されています。階段はペーターの部屋側にありますが、実はLDKから梯子でブリギッテの部屋にゆくことが出来たりします。
暖炉は建物の中央に位置してまっすぐ2階を突き抜けてる煙突。2階の輻射熱暖房も考えた設計ですね。
あとは亡くなった父親の道具があったと思われる物置小屋が付属しています。うーんでもアレがない。

家の真ん中を煙突がつきぬけているペーターの家。推定面積:70.69m2
物件を探す(5)これこそ「ハイジ」の世界観!おんじの家
いよいよアルムの山にあるおんじの山小屋へ。
ユキちゃん・チーちゃんが飼われているヤギ小屋・ヨーゼフが暖炉の前で寝ころび、トロ~リとろけるチーズを炙る暖炉のあるLDK兼おんじの部屋・おんじの作業場、そしてふんわか、香りの高い干し草のベッドのあるハイジの寝室である小屋裏部屋。
これこそがアルプスの少女ハイジの世界観。あぁ、でもやはり無い…。

干し草のベッドもある、おんじの家。これこそ「アルプスの少女ハイジ」の世界観!推定床面積:54.65m2
「足りないもの」その正体は…!?
各間取り図を見て何か足りないと書いていたのは浴室とトイレ。
浴室は行水であったり、湯船に浸かるといった習慣がなかったりするのでまぁなくともよい気がしますが、トイレは欲しいところ。
では、どうしていたのでしょう。
例えば外出中は、“用”をたすことのできる場所があれば隠れてしちゃう。自宅であれば穴を掘って移動式の小屋を置いて“用”をたして穴が満杯になったら移動するといったあんばい。
原作の時代と作品の時代が一致しているとすれば1880年。日本に置き換えると明治13年。それよりず~っと前から固定式の厠(かわや)があったなんてすごいぞ日本!
あ、今回はおまけ付き、おんじの家のペーパークラフトデータ。作ってみます?
(*使えるようでしたら使ってください)

間取り女子
※掲載の間取り図とパースはMEGASOFT 3Dマイホームデザイナーで作図しています
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更新日: / 公開日:2017.12.27










