最近よく耳にするようになった「リノベーション」という言葉。簡単に言うと「中古住宅を再生させる」という意味合いですが、ここにきて家づくり、住まい探しのスタイルの1つとして脚光を浴びています。
では、なぜ今、リノベーションが注目されているのでしょうか。

ライフスタイルの変化とともに、住まいの価値観が多様化

かつて、我が国には「家を買うなら新築でなければ」という「新築一辺倒」の時代がありました。郊外に広い戸建てを新築する、あるいは新築の分譲マンションを買うことが、サラリーマンの夢であり、人生の大きな目標だった時代です。
しかしながら、現在、住まいに対する価値観はその当時と大きく変わり、ライフスタイルも多様化しています。特に、若い人たちや女性を中心に「古くても、住みたい街で、気に入った家を買って、自分の好きなように手を入れて住みたい」と考える層が着実に増えています。

国が積極的に中古住宅活用を推進。異業種からの参入も

国も中古市場の活性化に本格的に取り組むようになりました。現在、我が国では高齢化や人口の減少に伴って空き家が急速に増加しています。そうなると、これまでのようにどんどん新築住宅を建てるのではなく、優良な中古住宅をうまく活用していくことが求められるのです。このような状況をふまえて、様々な企業が中古市場やリノベーションに力を入れ始めるようになりました。
新築住宅を中心に手がけていたハウスメーカーや工務店、設計事務所などだけでなく、住宅とはあまり縁がない業界からの新規参入も増えています。

「ラスティックな店舗用床材を使うことで、古い校舎のような味わい深い住まいに」 株式会社シンプルハウス

「ラスティックな店舗用床材を使うことで、古い校舎のような味わい深い住まいに」 株式会社シンプルハウス

金融機関も「中古+リノベーション」の一括ローンを提供

それを後押しするように、中古住宅を買いやすくするための環境整備も進んでいます。
例えば、金融機関は「中古住宅購入費+リノベーション費用」をまとめて借りることができる住宅ローンを取り扱うようになりました。
万が一の欠陥に備えた保険商品も開発されています。
さらに住宅設備・建材メーカーも、リノベーション向けの工法や設備の開発に力を入れています。これらの進化により、リノベーションによって新築と遜色ない、あるいはそれ以上の住まいを実現できるようになったのです。もはやすっかり市民権を得た「リノベーション」。これからの展開にますます目が離せません。