住まいの寒さ、暑さは断熱性能を向上されることで改善されます。リノベーションは断熱工事のよい機会。しっかり断熱して、冬暖かく、夏涼しくすごせる住まいに変えましょう。一戸建てとマンション、それぞれの断熱方法について解説します。

家の中の温度差は健康に直結する問題

冬場に暖かい部屋から、寒い廊下や浴室に入ると、急激に心拍数や血圧が変動し、体に大きなダメージを与えます。これがヒートショックといわれるもの。
とくに高齢者にダメージが大きく、冬場の浴室でのヒートショックなどによる死亡事故が後を絶ちません。

ヒートショックの原因は屋内の激しい温度差

ヒートショックの原因は住まいがしっかり断熱されていないこと。断熱していない空間は外気の影響にさらされます。寒い季節、部屋の中が暖房されて暖かくても廊下や脱衣室は冷えているのです。

断熱の行き届いた家は外気の影響が少なく、家の中にあまり温度差が発生せず、ヒートショックから身を守ることができるのです。

断熱化が進まないのは省エネ基準が義務化されてないことが要因の一つ

住まいの断熱の基本となるのは国が定めた省エネ基準です。基準は1980年代にできて、これまでに3回改正されてきていますが、断熱に関しては1999年の基準が現行基準となっています。ところが日本の家がすべて基準に則して断熱されているのかといえばそうではありません。省エネ基準は義務づけではなく、あくまで参考値だからです。

古い家に断熱不足あるいは無断熱のケースが多いのは、過去の基準が緩かったこと、かつ義務づけではなかったことによるものです。国の方針として2020年には省エネ基準を義務化する方向で進んでいたのですが、このほど実施時期が見送りになったのは記憶に新しいところです。

寒さ、暑さの解消には断熱が必須

リノベーションの際には断熱を行って、寒さ、暑さを解消する家を目指しましょう。そのポイントを紹介します。

床、壁、天井(屋根)と窓の断熱を

住まいが外気の影響を受けにくくするには、外気に接する、あるいは外気に通じる部分を断熱する必要があります。それも隙間なくびっしりと断熱材を装填することが大切。床、壁、天井(ロフトがある場合や、屋根直下まで吹き抜けている場合は屋根に)断熱材を装填します。断熱材の装填は、壁をはがして装填した後、再仕上げする必要がありますから、リノベーション時がやりやすいのです。

床、壁、天井(屋根)の断熱だけでは不十分で、外気に触れるところといえば「窓」が肝心です。ガラスやサッシを通して熱が出入りする割合は床や壁よりも大きいのです。

窓の断熱は、複層ガラスと断熱性の高いサッシによって行います。複層ガラスは、ガラスとガラスの間に空気を含み、その空気層が断熱効果を発揮します。結露も防止できます。 サッシはアルミだと断熱性が低く、樹脂や木製にするか、外側がアルミで内側が樹脂の複合サッシを用いましょう。樹脂製などの断熱サッシを用いることで、断熱効果を上げるだけでなく、サッシ部の結露防止にもなります。 複層ガラスには高性能なLow-Eタイプも。ガラスとガラスの間に特殊なシートを装填したもので、遮熱または高断熱タイプから選べます。

断熱を行うことで、冬場暖かいだけでなく、夏場にもエアコンの効きがよくなるので省エネになり、経済的です。

マンションなら「内窓」で改善

マンションでは窓は共用部となりサッシ交換をすることができませんが、マンションでも手軽に窓を断熱できるのが「内窓」を設置する方法。既存のサッシの内側に取り付けて窓を二重にするものです。これなら既存のサッシを交換する必要がありません。

内窓を設置すると既存のサッシと内窓の間に空気層ができますから、断熱効果と同時に結露防止効果が得られます。内窓にもシングルガラスだけでなく、複層ガラスやLow-Eタイプの複層ガラスがあります。

現行の省エネ基準に合わせると節税などのメリットが

断熱を行うと所得税や固定資産税の一部が控除、減額されます。また次世代住宅ポイント発行の対象にもなります。ただし、いずれも現行の省エネ基準レベルで行わないと対象にならないので気をつけましょう。

所得税と固定資産税の優遇制度

一定の断熱を行うと、所得税は工事費の10%、最大25万円まで控除されます。また、5年以上のローン利用だと年末ローン残高の2%または1%が5年間、最大62.5万円まで控除されます。固定資産税は翌年分が家屋分の120㎡まで3分の1減額となります。いずれも省エネに関する工事費が50万円超などの満たすべき要件があります。

※期限は2021年12月31日までに居住開始。

次世代住宅ポイントは上限60万ポイント

消費税率10%へのアップ後の景気対策の一環として、国が実施するのが「次世代住宅ポイント」。

中古住宅を購入してリフォーム、リノベーションを行う場合は、最大で60万ポイントがもらえます。その対象工事の中に開口部の断熱と床、外壁、天井(屋根)の断熱も含まれています。

1ポイントは1円相当で、家電、インテリア、日用品、地場産品など登録商品との交換ができます。

※期限は2020年3月31日までに契約・着工。(情報は2019 年7月25日時点)

リノベ会社に相談しながら進めよう

優遇税制や次世代住宅ポイントの対象になるには、書類で一定の性能を証明しなければなりません。専門知識が豊富で、断熱工事の実績が多いリノベ会社に相談して進めるのがよいでしょう。