マンションリノベーションでは設備交換や内装一新から間取り変更まで、多くのことができますが、制約もあります。何ができて、何ができないのかを知って、購入の判断やリノベーションプランの参考にしましょう。

「専有部分」と「共用部分」の違いを知る

マンションには専有部分と共用部分があります。その違いは以下のとおりです。

「専有部分」

各住戸の所有者を区分所有者といいますが、区分所有者が個人で所有している部分。

「共有部分」

区分所有者全員が所有権を共同で持ち共同で使う部分。マンションの玄関や、廊下、エレベーターなどですね。

※専用使用部分
大きくは「専有部分」と「共有部分」の2つに分かれますが、共用部分だがその住戸の人だけが専用で使用できる部分を「専用使用部分」ともいいます。専用庭やバルコニー、窓ガラスおよびサッシ、玄関ドアなどが該当します。

マンションリノベーションできるのは「専有スペース」

専有部分は住戸内部のことで、内部はほぼ自由にリノベーションができます。以下に各部について解説しましょう。

中古マンションの断面図

①内装

ビニールクロスなど壁・天井の仕上げ材、フローリングなど床材は、コンクリートの躯体を傷付けない範囲で撤去、一新することができます。

②設備機器

キッチンやバス、トイレなどの設備機器は交換ができます。位置を変えることもできますが、配水管に水が流れるための勾配が必要なので、元の位置からの移動距離には限度があります。

③ドア

室内ドアは交換できます。

④間仕切り壁

間仕切り壁は構造に影響しなければ撤去できます。「ラーメン構造※1」の場合は概ね撤去が可能です。撤去後、新たに間仕切りを設けて間取り変更が行えます。ただし「壁式構造※2」のマンションの場合、撤去できない壁があるので、間取り変更は制限されます。

※1 柱と梁で建物を支える構造 ※2 壁で建物を支える構造

⑤天井

天井裏に配線やダクトスペースがあり二重になっている場合は、天井を撤去するとダクトや配線がむき出しになりますが、高くすることができます。天井に直接壁紙を張って仕上げている場合は高くすることはできません。

⑥専有部分の給排水管

専有部分の横引き配管は取り替えることができます。長年使用していると傷んでくるので、リノベーションの機会に取り替えるのがよいでしょう。

⑦コンセント・スイッチ

増設や位置を変えることができます。リノベ後に使用する電気製品に応じて場所と数を考えましょう。スイッチも同じで、好みのデザインのスイッチに変えることができます。

「専用使用部分」は勝手にいじれない

⑧窓

窓に取り付けたサッシとガラスは、その住戸の人が自由に使えますが、「共用部分」なので、勝手に交換はできません。ただ非常に古くなったマンションでは管理組合の合意の元で、サッシ交換を行う例もあります。

⑨玄関ドア

玄関ドアも「共用部分」なので交換はできず、内側に塗装することは可能ですが、外側を勝手にいじることはできません。外側については管理組合の合意の元で、シートの張り替えや塗装をする例があります。

⑩バルコニー

ふだんは自由に使えますが「共用部分」です。災害時の通路を兼ねているのでサンルームをつくったりはできません。

「PS」「MB」は撤去・移動できない

⑪「PS」

パイプスペースあるいはパイプシャフトの略で、水道管やガス管などが収まり、建物を縦に貫いて通っている共用配管スペース。キッチンなどから出る雑排水とトイレの汚水を分けるために各住戸に2ヵ所以上設置されているのが一般的。住戸内部にあっても移動することも撤去することもできません。

⑫「MB」

メーターボックスの略。電気、ガス、水道のメーター類などが収められているボックスで、各住戸の玄関付近に設置されているのが一般的。撤去も移動もできません。

管理規約もしっかり確認

住人が快適に暮らせるようマンションごとに管理組合で定めているのが管理規約。中にはリノベーションに関係が深い規約も。以下の点に注意しましょう。

床の遮音性

規約ではフローリングの遮音性をLL40や45(※1)と定めていることがあり、その場合張り替える際は、フローリングの裏に遮音材を貼って遮音性を高めた製品を選ぶ必要があります。ただ二重床(※2)の場合は、二重構造によって遮音性が確保されるので、むく材などを使える場合もあります。

マンションによってはカーペットが決まりで、フローリングは禁止されている場合もあるので確認が必要です。

※1 軽量衝撃音を表す値。小さいほど遮音性が優れており、40は上階の音がほとんど聞こえない、45はサンダル音が聞こえるレベル(出典:日本建築学会)
※2フローリングを防振ゴムの付いた支持脚で支える台に載せて、配管ができる程度の空間を確保した置き床構造などがある

電気・ガスの容量

電気の容量が小さいと電気製品を一度に多く使うことができません。50~60アンペアまで使えるマンションなら大抵の機器はOKですが、200VのIHクッキングヒーターは使えないケースが多いです。 ガスの容量が小さく、パワフルな24号の給湯器が使えないケースや、ガス温水床暖房を使えない場合もあるので、希望している人は要確認。

資材の搬入経路の制約

エレベーターや通路の使用に制限が加えられている場合もあるので、事前に確認しておきましょう。

工事前の届け出

工事前には管理組合に工事内容を届けることを義務づけているマンションもあります。また、管理規約にはなくても、工事中に騒音トラブルになることもあるので、近くの住戸の人には必ずあいさつまわりをして、工事を行う旨を告げておきましょう。

そのほかにもコンクリートへのビス打ちは一切禁止といった厳しい規約がある場合も。実質リノベーションが不可能だったりする場合もあるので、中古マンションの購入を決断する前に管理規約のコピーをもらって、よく読んでおくのがよいでしょう。