『リライフプラス』presents リノベ界の新しいヒーロー(ときどきヒロイン)を探せ! vol.11

リノベーション専門誌『リライフプラス』が注目する、リノベーション界の新しいヒーロー(ときどきヒロイン)にインタビュー。リノベーションを仕事として選んだ理由や手掛けてきた家のこと、仕事以外で好きなこと、などざっくばらんにお話を伺っていきます。


伊達宏晶|equip(エキップ)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ


vol.11 伊達宏晶さん(equip(エキップ))


profile


1971年 福井県生まれ
1994年 金沢大学工学部土木建設工学科卒業
1998年 ソニーファシリティマネジメントに勤務
2001年 アダージオプランニング一級建築士事務所設立参画
2005年 ユニップデザイン一級建築士事務所参画
2011年 エキップ一級建築士事務所設立


equip(エキップ)


一級建築士と宅地建物取引主任者(宅建)の資格を持ち、不動産仲介から依頼できる設計事務所として、上質なリノベーションを数多く手がけるエキップ代表の伊達宏晶さん。「ひとくちにワンストップリノベーションと言っても、母体が不動産会社なのか、工務店なのか、それによって得意なことも違ってきますよね。うちは設計事務所が母体なので、物件を見に行ったその場で、ある程度どんなことができるかまで提案できるし、よりデザインや暮らしやすさにこだわりたい、という方に選んでもらえたら、と思っています」
とはいえ、現在のようなスタイルに行き着くまでの道のりは、決して順風満帆とは言えないものだった。


 オフィス|equip(エキップ)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ

Past
「デザインが面白い家具」をつくった目的とは?


-プロフィールを拝見すると、大学卒業から就職まで4年間ブランクがありますが、その間は何を?なかなか説明しにくいのですが(笑)、すごく簡単に言うと大学を卒業してから1年間地元でアルバイトをしてお金を貯めて、その後1年くらいニューヨークに住んでました。っていうとかっこよく聞こえますが、本格的に留学したわけでもなく、まあ遊学ってことにしておいてください。-なぜニューヨークだったんですか?大学生のときに一度旅行に行ったことがあるんです。通りごとに街の雰囲気みたいなものがあって、歩いているだけで楽しい街だなって感じたんですよね。1階がお店で、その2階に住んでいる人も多くて、そういう職住近接的なところもいいなと思いました。大学では都市計画を専攻していたこともあり、街並みに興味があったんです。-その後東京で就職されたんですよねはい。いろいろあって1年くらいで日本に戻ることになり、働くなら東京かなと思って。建設コンサルタントの会社で2年働いて、その後ソニーファシリティマネジメントに転職しました。そこではおもに環境ビジネスのコンサルタントなどをやっていました。-この時点でまだ住宅もリノベーションも全く出てきませんが…ちょうどその頃カフェブームで、いくつかのカフェによく通っていたんですが、当時の上司に「将来こういうカフェをやりたい」というようなことをよく話していたんです。そしたら独立して一緒に仕事をしようって話になって、2001年にアダージオプランニングという事務所を設立しました。最初はカフェと設計事務所が一体になったような場所にしたかったんですが、なかなかいい物件が見つからなくて、とりあえず設計事務所としてスタートすることにしました。-やっと設計っぽい話が出てきましたね!ところがそうでもなくて(笑)。まず二人とも設計の経験がほぼゼロで、どうやって仕事を取るか考えたときに「デザインが面白い家具をつくって雑誌に取り上げてもらおう」って話になったんです。それが『Esquire』で取り上げられて、それを見てインテリアショップのデザインの依頼がきて、そのショップを見た人からマンションをオフィスに改修したい、という依頼が来てそれが『BRUTUS』に掲載されて、という感じで少しずつ仕事が回り始めたんです。-どんな家具だったんですか?とにかく目立てばいいと思っていたので、いま見るとかなり攻めてますね(笑)。いきなりモデルルームをつくるのは大変だし、家に近いもので身近なものといったら家具かなと思って。キャビネットとかスツールとかパーティションとか、いろいろつくりました。メインストリームではなく、ゲリラ的ですよね(笑)-転機になったプロジェクトはありますか?2004年に、倉庫を購入して住宅にコンバージョンしたい、という依頼があって、大掛かりな工事だったので、構造のことも含めていろいろと学ばせてもらいました。まだリノベーションやコンバージョンが一般的になる前の頃でした。-その後2005年に違う会社を設立したんですよね最初はシェアオフィスみたいな感じで3人のメンバーがバラバラに仕事をしていたんですが、だんだん一緒に仕事をするようになって。僕以外の2人は環境デザイン研究所というところで働いていたので、住宅ではなく公共施設や幼稚園などの仕事を手掛けてきた人たちなんです。だから必然的に住宅じゃない仕事の方が多くなって、幼稚園や店舗などの仕事をしていました。-なかなか波乱万丈な職歴ですね迷走してますよね(笑)。あえて言うなら建築というよりもインテリア的な仕事を多くやってきたし、得意と言えるんじゃないかと思っています。

Now
設計事務所にしかできないワンストップサービスを
提供していきたい


-2011年に大きな転機が訪れたそうですが長男の誕生と、東日本大震災ですね。設計の仕事だけだと収入面でもなかなか安定しないし、夜遅くまで働いたり徹夜したりっていうことも多くなってしまう。それでいろいろ考えて、不動産の仲介もやっていくこと、新築ではなくリノベーションに特化することを決めて、新しく事務所を設立しました。ちょうどその頃ってリノベーションが注目され始めた時期だったんですよね。-働き方も変わったそうですね設計だけだと徹夜したり、夜遅くまで仕事するのが当たり前、みたいな感じになってしまうので、子供ができたことをきっかけに生活リズムを夜型から朝型に大きく変えました。休みは週休2日とはいきませんが、週1は必ず休むようにしています。ずっと生活リズムを変えたかったっていうのもあるし、それくらいのペースで仕事をしても回っていくようにしたかったんです。-エキップという事務所名はどうやって決めたんですか?「装備する」「用意する」などいくつかの意味があるようなんですが、まず音の響きがいいなと思って。それと、いろいろなものを装備して、いいサービスを提供していけたら、なんて思っています。-宅建の資格を取ろうと思ったきっかけは何だったんですか?設計の仕事って不動産がないと生まれないので、自分で仕事を生み出せるようになりたいと思ったのと、仕事で知り合った仲介業者の方と仲良くなって、いろいろ話を聞けたことも大きかったです。不動産業界って建築業界と近いのに正反対みたいなところがあって、面白そうだなって。最初は頭を使うところが全然違うので、戸惑いましたね。ちなみに住宅ローンアドイザーの資格も持っています。-「子育てリノベ」「ハイグレードマンション、ヴィンテージマンションのリノベ」2つの異なるブランドがあるってユニークですね「ハイグレードマンション~」の方は、HPの物件紹介のページで渋谷区や目黒区などのヴィンテージマンションを載せているのですが、こういうマンションのリノベーションをやりたい、こういうマンションに魅力を感じる人と家づくりをしたい、という狙いもあって載せています。実際何件かはそのページ経由で問い合わせが来て、うちで仲介、リノベもやらせていただきました。こういう事例を今後も増やしていきたいと思っています。-「子育てリノベ」の方は0歳と3歳のお子さんを持つご自身の経験も生かして、ということなんですよね?築44年のマンションをリノベーションした自邸もそうですし、以前いた会社には、幼稚園の設計などに関わったことのある同僚がいたこともあり「賢い子が育つ家」みたいなコンペに参加したこともあるんです。だから、今までやってきたことの集大成として、自然とそうなったという感じです。ただ、「子育てリノベ」ってすぐには結果が出ないので、どうわかりやすくアピールしていくかが今後の課題ですね。-現在進行中のプロジェクトについて教えてください練馬区内の木造2階建ての倉庫を、一般社団法人のオフィスにコンバージョンするプロジェクトが進行中です。以前は額縁を製作する工場兼倉庫だったそうで、延床面積は300㎡くらいあります。賃貸物件なんですが、オフィスなので20年、30年単位で借りたいし、大家さんも長く借りてくれる人に貸したい、ということで折り合いがついたんです。物件探しから仲介、改修までトータルで提案させてもらったので、すごくやりがいがあります。-今後取り組んでみたいことは?大学で都市計画を専攻していたので、地方都市を元気にするお手伝いができたらいいなと思っています。昔は、役所みたいな大きな組織しかそういうことが出来ないと思い込んでいましたが、今は小さな組織でもできることが増えてきていますよね。もう少し気持ちや時間に余裕が出てきたら、の話ですが…。

伊達宏晶|equip(エキップ)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ

【左】自称「乗り鉄」という伊達さん。「最近はあまり乗れていないんですけどね」と話す視線の先には、ジャストサイズでつくった棚におさめられたNゲージが。北陸本線で走っていた車両だという。キッズスペースにはたくさんのプラレールも!   【右】北海道から鹿児島まで一枚で最長の距離の切符を買って「ひと筆書き」の旅を実践し、当時話題となった『最長片道切符の旅』(宮脇俊三 著)はときどき読み返すそう。




 

撮影/山田耕司 聞き手/『リライフプラス』編集部 君島喜美子


『リライフプラス』ブログ http://blog.livedoor.jp/relifekk/


『リライフプラスvol.16』(扶桑社刊)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ

『リライフプラスvol.16』(扶桑社刊)好評発売中!

   『リライフプラスvol.16』(扶桑社刊)好評発売中!     

work01 マンションリノベーション@富ヶ谷


work01 マンションリノベーション@富ヶ谷|伊達宏晶|equip(エキップ)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズwork01 マンションリノベーション@富ヶ谷|伊達宏晶|equip(エキップ)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ就学前の子供が二人いて、まだ個室が必要ないため、広さを存分に活かしながら将来の変化に対応できるよう、3枚引き戸でLDKとキッズスペースを仕切れるようにした。子ども部屋をつくらない代わりに、大きな収納を活かして子供たちが好きな時にこもれるようなスペースをつくった。そのスペースにはハシゴを登ってアクセスする、という楽しい仕掛けも。玄関収納にはお気に入りのメキシカンタイルを貼って楽しげな雰囲気に。

所在地:東京都渋谷区
専有面積:100㎡
建物の竣工年:1971年(昭和46年築)
家族構成:30代夫婦+子供2人
リノベーション工事費:1,500万円


 

work02 マンションリノベーション@下馬


マンションリノベーション@下馬|伊達宏晶|equip(エキップ)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズマンションリノベーション@下馬|伊達宏晶|equip(エキップ)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ大きな間取り変更はせず、キッチンをLDと一体化して設備と仕上げを一新した。床は無垢フローリングを張り、壁はクロスをベースにしながら、部分的な施主塗装や躯体現しでメリハリをつけた。収納はほとんどが出し入れがしやすいオープン棚。必要な位置に配置しているのでどこに何があるかわかりやすく、「見せる」収納を楽しめる。キッチンは造り付けの作業台を中心に回遊できるようにし、コンパクトでムダのない動線が生まれた。

所在地:東京都世田谷区
専有面積:71.12㎡
建物の竣工年:1985年(昭和60年築)
家族構成:30代夫婦
リノベーション工事費:600万円


 

work03 マンションリノベーション@高輪


 マンションリノベーション@高輪|伊達宏晶|equip(エキップ)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズマンションリノベーション@高輪|伊達宏晶|equip(エキップ)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ3LDKだった間取りをスケルトンにしてからフルリノベーションした伊達さんの自邸。2人いる子供たちは就学前なので子供室は設けず、リビングと一体のキッズスペースとすることで、ほぼ1LDKの広々とした空間に。将来的には子供室を設けられるような配置になっていて、生活の変化への対応を見越した間取りとなっている。ダイニングのベンチ、キッズスペースの床から一段上がったステージ状のスペース、ボルダリング用のホルダーなど、子供が上下に移動できる仕掛けがあり、様々な高さからの眺めを楽しめるようになっている。天井は無垢材、壁は左官や塗装など上質な素材で仕上げた。リノベーション・オブ・ザ・イヤー2014クオリティ賞受賞。

所在地:東京都港区
専有面積:96.36㎡
建物の竣工年:1970年(昭和45年築)
家族構成:40代夫婦+子供2人
リノベーション工事費:1,800万円