『リライフプラス』presents リノベ界の新しいヒーロー(ときどきヒロイン)を探せ! vol.6

リノベーション専門誌『リライフプラス』が注目する、リノベーション界の新しいヒーロー(ときどきヒロイン)にインタビュー。リノベーションを仕事として選んだ理由や手掛けてきた家のこと、仕事以外で好きなこと、などざっくばらんにお話を伺っていきます。


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写真左より坂田裕貴さん、中田裕一さん、加藤渓一さん、荒木伸哉さん


vol.6 HandiHouse projectさん


工事に施主を巻き込んで一緒に手を動かし、プロセスも丸ごと楽しんでしまおう、という新しいスタイルの家づくりで注目を集めるHandiHouse project(以下、ハンディ)は、2014年1月で結成から3周年を迎えた。合言葉は『妄想から打ち上げまで』。その言葉通り、施主と密にコミュニケーションを取りながら、デザインから工事まで、家づくりのすべての工程を自分たちの手で行う。(打ち上げはもちろん完成した現場で盛大に!)


また、ハンディは会社組織ではなく、それぞれがフリーランスの建築屋として独立していて、プロジェクトごとに集まって仕事をする、というスタンスなのもユニークな点だ。坂田さん以外は全員30歳(坂田さんは27歳)。ハンディを始める以前は、それぞれ建築の現場でバリバリ働いていた彼らが、なぜこうしたスタイルに行き着いたのか、日々どんなことを考え、手を動かしているのか、聞いてみた。

Recent Days
子どものいる現場が増えてきた


-2013年度のビッグニュースは?中田:逗子海岸で海の家をつくって、そこで結婚式をしたことです。結婚式後はそのまま海の家を経営しました。
荒木:何も無いですね(笑)。
坂田:僕は、去年入籍した事ですかね。
加藤:2012年の秋に八王子にマンションを買ったんですけど、住みながら1年かけて、どうやってリノベーションするか考え続けました。今年4月頃完成予定です。築40年で、広さは70㎡。父親が定年になるので、父親も巻き込もうかなと目論んでます。-えーっと、お仕事の面ではどうでしょう(笑)中田:子どもがいる現場が増えましたね。今までは若いご夫婦が多かったので。
坂田:確かに。日野、中野、要町、小机、巣鴨…。数えてみるとけっこうありますね。子どもと一緒に家づくりをしていると、成長を感じられて楽しい。しかも全員男子。
加藤:とくに日野のお宅はユニークで、まず2階を仕上げ、生活のベースを作りました。そこにお施主さんが引っ越してきて、住みながら工事が始まり、今も一部工事中です。ちょっとご無沙汰している間にご主人が廃材をパッチワーク状に組み合わせたオリジナルのドアを作ってしまって。その完成写真がフェイスブックに上げられていて、ビックリさせられたこともありました。-去年は米づくりにも挑戦されたそうですが中田:以前お仕事させてもらった千葉県匝瑳(そうさ)市の古民家を改修したお施主さんつながりで、休耕田を借りて米づくりに挑戦しました。名付けて「ハンディライスプロジェクト」。土をいじるのって楽しい! いつか古代米もつくってみたい。
加藤:米づくりは自然との闘いですね。モグラの穴と格闘したり。普段の仕事ではなかなか体験できないことばっかりでした。
坂田:僕は大豆もやってみたい。その大豆で味噌つくったりとかね。

Past
意外に短い!?ハンディ結成までの道のり


-ハンディ結成の経緯をダイジェストでお願いします!坂田:フロム坂田の目線で説明しますと…。4年前、仕事をやめようと思っていたときに、グラフィックをやってる友人から100人規模のハロウィンパーティーの会場構成を依頼されまして。そこで、終了間際に中田と出会って話してみたら、自分と友達だけで団地を改装してるって言うんで、面白そう!と思い、年明けに遊びに行ったんです。で、お酒飲みながら話してたら、ハンディができてました(笑)。
加藤:はしょりすぎだって!
中田:ちょうどその頃、僕と加藤の大学の同期だった、建築家の能作淳平くんから神泉のマンションリノベの施工を頼まれていて、坂田と一緒にやろうって話になったんです。で、会社の同期だった荒木と、大学の同期だった加藤も、会社を辞めてたので参加することになって。
坂田:実際やってみて「4人いなきゃ無理だな」っていうか「4人ならいけそう」と感じました。そっからずるずる3年間(笑)
中田:今では年間で10件以上のプロジェクトをやらせてもらえるまでに。正直、ここまでくると思ってなかった。-「4人ならいけそう」の根拠は?加藤:僕と坂田は設計、中田と荒木は現場をやっていたからバランスがよかったというのは大きいですね。それと、みんな何年か建築関係の仕事をしてみて、同じような違和感を感じていたんです。お金を払う人が一番偉くて、どんどんそのツケが下に回ってくる。これって本当に健全な建物の作られ方なのかなって。4人が集まって話してみたら、全員が同じ気持ちだった。じゃあ自分たちで全部やろうと。-中田さんと荒木さんは、以前の会社では規模も金額も大きな住宅をつくっていたそうですが荒木:はい。その頃の仕事は家をつくるというより、商品を作って買ってもらっているような感じでしたね。だから何かあるとすぐ問題になる。
坂田:僕は店舗の設計をやっていたのですが、会社対会社の付き合いが多く、数字上の利益のことばかりで、空間をつくることを純粋に楽しめないなあ、って感じていました。
中田:ハンディの仕事は人間っぽいやりとりや、感覚の中で仕事をしている。それが大切だってみんな知っているんです。
加藤:こないだお施主さんから「壁を見てると、ここはハンディの誰が塗ったんだよな」って僕たちの顔を思い出すって言われて嬉しかった。お金を出してモノを買うんじゃなくて、誰とつくるかってことに価値を感じてくれているんだと思う。-お施主さんを工事に巻き込むというアイディアはどこから?中田:いま住んでいる築42年の団地を、自分たちだけで改修したんです。実際に作る事が面白い。そして何より嬉しい。これはお客さんも巻き込んだら楽しいんじゃないかなって思ったのが最初かな。作られたものを買うんじゃない家の作られ方というか、そういう選択肢があっても良いのかなって。
坂田:僕は設計の立場から、お客さんが、もっと家や店づくりに参加し、本気になれる作り方はないかなと思っていました。中田の家でお酒を飲みながら「自分たちと、お客さんで、一緒につくろう」と話をしていた時点では、自分に施工ができるのか不安でしたけど、気がついたらブロック壊してパテ塗ってました(笑)
荒木:当時は道具もそんなになくて、玄能と丸鋸とインパクトドライバーぐらいしかなかった。いまはだいぶ道具も増えて、できることの範囲も広がったし、精度も上がってきています。
加藤:ビスケットジョイント(家具等をつくるときに、ビスケットという木製チップを使って材料を接合させるための道具)も買ったしね。いつ使うんだよって(笑)-ハンディとしてのオフィスはないんですよね?坂田:4人がそれぞれ個人で動いているので、共有のオフィスはありません。というか、基本現場なので、オフィスがあっても誰も使いませんね(笑)。打合せは現場でやるか、田植えをしながらやるか、4人集まった打合せ後に、飲みながらやるか。オフィスを構える必要が、見当たらなすぎて…(笑)
中田:クルマもないので、必要なときはその都度レンタカーで。道具類は現場から現場へ、流れ者のように移動してます(笑)
坂田:あ、僕、奥さんが車もらってきたので、受け取りに行ってからは乗り回してます。ルーフキャリアーつけて。日産のマーチですけど(笑)-転機になったプロジェクトはありますか?全員:築地のマンションリノベ、かな。なんといってもお施主さんがよかった!お施主さんの提案で、交換日記(ハンディ⇔お施主さんとで現場の進捗状況等をやりとりするためのもの)も、このときから始まったんです。
ハンディとして受けた4件目の仕事で、お客さんも巻き込んでやる最初のプロジェクトでした。-そのお施主さんはかなり工事にも参加されたんですか?荒木:床張り、壁の塗装、パテ処理、幅木の加工まで一通り一緒にやりました。
僕たちがやりたいことを理解してくれて、逆にアドバイスももらったり。お施主さんなのにアニキ的存在で、今もいいおつきあいをさせてもらってます。

Now
見積もりも、自分たちの収入も明朗会計!


-価格設定はどのようにしているんですか?加藤:かかるであろう想定の材料+手間賃+経費のみ記載して、明快でわかりやすい見積りにしています。空間が立ち上がる過程で生まれるひらめきを大切にしたいので、現場での変更は大歓迎です。自分たちでお金の管理をしているので、減ったり増えたりがすぐわかるし、調整もしやすいんです。どうしても料金がプラスになる場合は、腹を割ってきちんと説明しますし。-気になる利益の分配はどのように?加藤:そのへんも明朗会計です。1日現場に出たらいくら、と決まっているので休みたかったら休んでもいいけどその分お金が入ってこないというシンプルな仕組み。もちろん設計をやる人には設計料が発生するし、プロジェクトごとに責任者を決めて管理しています。-仕事をしていてよかった!と感じるのはどんな時?坂田:「工事終わりたくない」とかね。
中田:「満足度1000%です」とか。
荒木:「世界一かっこいいキッチンをありがとう」っていうのも。
加藤:10年くらい住んだら住み替えようかなって言ってたお客さんが、いざ出来てみたら「絶対売りたくないし、貸すのもいや」って言ってくれたことも。やっぱり手を動かしてつくったものだから愛着が湧くみたいですね。-家づくりのインスピレーションはどのように?中田:有名な建物を見に行くとかよりも、プロダクトのちょっとした仕組みからヒントを得たり、ということの方が多いかな
加藤:夜家に帰ってから、気楽な感じでarch dailyとか、europaconcorsiなど海外の建築サイトを見ることもあります。-カフェなどから刺激を受けることは?坂田:打ち合わせではよく行きますね。渋谷にある&peopleはオーナーさんがすべてDIYで内装をやっているので面白いです
荒木:同じく渋谷にあるパブリックハウスも、席ごとにテーブルが違ったりしていてかっこいい。ここも打ち合わせでよく使わせてもらっています。-使ってみたい素材や設備はありますか?荒木:「DaReyaアイキャッチシリーズ」っていうカクダイのユニークな水栓があって、パイプが逆さまになってたり、メタボになってたり、ととにかくユニーク。洗濯機なんかに使ったら面白そうかなって話してます。
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kakudai DaReyaアイキャッチシリーズ

-座右の銘があればお願いします!坂田:座右の銘は”夢からも 現実からも 逃げない”。昨日、床張りながら思いつきました(笑)。理想の話をすると、「できたらいいね」ってみんな言うけど、それって諦めてるだけで、やり方を考えたらできるんじゃないかって。今は比較的夢も現実も諦めずにやっていけてる気がします。
荒木:座右の銘と言えるかわかりませんが、巨人の原監督が言っていた”生に思い通りという道はない。逆境でこそ心は鍛えられる”といった内容の言葉が印象に残っています。
加藤:荒木はストイックなんだよね。-今後、取り組んでみたいことは?坂田:布とか、服飾系のディテールを取り入れてみたい。以前、鞄用の小さいバックルと革紐を使って開閉式の棚を作ったんですけど、楽しすぎました。それと、家具をつくって宿泊もできる、という工房併設の宿をやってみたい。
中田:昨年逗子でやった海の家があまりにも楽しかったので、またやりたいですね。つくるだけじゃなくて、海の家で使っていい感じに古びた木材を何かに転用するっていうサイクルがつくれたらいいなって。どこかから古材を仕入れるより面白いですよね。あと、電気工事の資格を取りたいと思っています。少しずつ、できることを増やしていけたらいいですね。 坂田裕貴さん|HandiHouse project|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ

profile 坂田裕貴さん(cacco design studio)


高校卒業後、カナダのモントリオールに半年間滞在。街並の美しさや、日本とは違う住環境に衝撃を受けたそう。自宅は大家さんと一緒に入居前に改装した賃貸に、さらに少しずつ手を加えながら暮らしている。


1986年 福岡県生まれ
2005年 カナダにて遊学
2009年 ICS college of arts 卒業
2009~10年 デザイン事務所・店舗設計事務所に勤務
2011年 cacco design studio 設立
2011年 HandiHouse project 始動!

 

中田裕一さん|HandiHouse project|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ


profile 中田裕一さん(中田製作所)


2006年度・卒業制作日本一決定戦で日本一になった経歴も。荒木さんとは同じ会社の同期だった。自宅は夫婦でリノベーションした神奈川県川崎市内の団地。現在、妻の実家リノベプロジェクトが進行中。


1983年 栃木県生まれ
2006年 武蔵工業大学(現:東京都市大学)建築学科卒業
2006~10年 設計・施工会社に勤務
2010年 中田製作所 設立
2011年 HandiHouse project 始動!

   

加藤渓一さん|HandiHouse project|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ


profile 加藤渓一さん(studio PEACE sign)


購入したマンションの向かいに宮大工である曾祖父が建立に携わった神社があるという。中田さんとは大学の同級生。月に一度ぐらいのペースでライブに行くのが楽しみ。「コントロールされたキレイな音のCDより、多少汚くても生の音が聞けて、その場所、その時間でしかない、コピーのできない体験ができるライブに魅力を感じる。同じことを建物、空間、場所を作ることでも実証していきたい」


1983年 東京都生まれ
2008年 武蔵工業大学(現:東京都市大学)大学院修士課程修了
2008~10年 設計事務所に勤務
2010年 studio PEACE sign 設立
2011年 HandiHouse project 始動!

   荒木伸哉さん|HandiHouse project|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ

profile 荒木伸哉さん(サウノル製作所)


祖父が大工。祖父の家の隣が家具店で、その縁で小3のとき椅子をつくらせてもらったことをよく覚えているそう。事務所名は「荒」という漢字を上から順にバラバラにするとカタカナの「サウノル」となることから。


1983年 東京都生まれ
2006年 職業能力開発総合大学校 卒業
2006~10年 設計・施工会社に勤務
2010年 サウノル製作所 設立
2011年 HandiHouse project 始動!


  


撮影/山田耕司 聞き手/『リライフプラス』編集部 君島喜美子


『リライフプラス』ブログ http://blog.livedoor.jp/relifekk/


『リライフプラスvol.14』(扶桑社刊)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ

『リライフプラスvol.14』(扶桑社刊)好評発売中!

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work01 マンションリノベーション@宮崎台


マンションリノベーション@宮崎台|HandiHouse project|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズマンションリノベーション@宮崎台|HandiHouse project|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズハンディとして関わった6例めの物件。施主は三軒茶屋の雑貨店「Klala」のオーナーでもある。「滝沢さんのイメージを打ち破ろうと斬新な案を出しました」(ハンディ)「彼らの案を全部却下しました(笑)」(滝沢さん)といった、遠慮のないやりとりからも、共に家づくりを楽しんだ様子がうかがえる。

所在地:川崎市宮前区
専有面積:64㎡
築年:1971年 竣工:2012年4月
家族:夫42歳 妻42歳
物件価格:2,000万円台 工事費:840万円(設計料別)
撮影:飯貝拓司
『リライフプラスvol.11』特集 住みたい沿線大研究 東急田園都市線編」より


 

work02 マンションリノベーション@築地


マンションリノベーション@築地|HandiHouse project|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズマンションリノベーション@築地|HandiHouse project|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ全員が「転機になった」と口を揃える、ハンディとしての活動の方向性が決まるきっかけとなった物件。ハンディ⇔施主との交換日記がスタートしたのもこの物件からだった。

所在地:東京都中央区
専有面積:69㎡
築年:40年(推定) 竣工:2012年01月
家族:夫婦
工事費:450万円(設計料別/施主支給あり)


 

work03 ビストロend-roll@千歳船橋


ビストロend-roll@千歳船橋|HandiHouse project|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズビストロend-roll@千歳船橋|HandiHouse project|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ昨年6月にオープンした、若きオーナー夫妻が営む幅広い客層に人気のビストロ。解体や外壁の塗装など、施主も積極的に工事に参加した。天井に描かれた絵にはハンディの4人の名前も!

所在地:東京都世田谷区
専有面積:23㎡
オープン:2013年6月
家族:本人(30代男性)
工事費:500万(設計料込/厨房機器別途)
https://www.facebook.com/BistroEndroll


 

work04 co-ba library@渋谷


co-ba library@渋谷|HandiHouse project|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズco-ba library@渋谷|HandiHouse project|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ株式会社ツクルバが運営する会員制シェアードワークプレイス。様々なジャンルの職業の人が、場を共有するだけでなく、コミュニケーションやコラボレーションを行いながら、それぞれのチャレンジを実践していく場所。2011年12月にco-ba shibuyaが、2012年5月に付帯施設としてco-ba libraryがオープン。工事の様子をUstreamで生中継したことでも話題に。

所在地:東京都渋谷区
専有面積:100㎡
http://tsukuruba.com/co-ba/