『リライフプラス』presents リノベ界の新しいヒーロー(ときどきヒロイン)を探せ! vol.8

リノベーション専門誌『リライフプラス』が注目する、リノベーション界の新しいヒーロー(ときどきヒロイン)にインタビュー。リノベーションを仕事として選んだ理由や手掛けてきた家のこと、仕事以外で好きなこと、などざっくばらんにお話を伺っていきます。

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vol.8 瀧内未来さん(kurachiffon)


profile


1979年 千葉県生まれ
2003年 千葉大学工学部都市環境デザイン学科卒業
2005年 千葉大学大学院自然科学研究科卒業
2005年~2011年 商業施設の建築設計を数多く手掛ける株式会社船場に勤務
2012年  kurachiffon(瀧内未来一級建築士事務所)設立


http://www.kurachiffon.com/


6歳と2歳の娘を持つワーキングマザーでもある瀧内未来さん。37㎡のマンションを自ら設計してリノベし、4人家族で暮らしている。正直「狭くないの?」と思う人もいるかもしれないが、コンパクトな空間を最大限に生かしながら、楽しい仕掛けも散りばめられた快適な空間となっている。大型商業施設を数多く手掛ける会社でキャリアを積んだ瀧内さんならではの柔軟なアイディアとセンスがきらりと光る。
暮らし+シフォンを組み合わせた「kurachiffon(クラシフォン)」という会社名には「女性ならではの視点で暮らしを編集することで、その人らしい暮らしづくりのお手伝いをしたい」という思いが込められているという。


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Past
運命の先生との出会いをきっかけに
商業施設の世界へ。しかし…


-建築を志したきっかけは?小学校3年生のときに自宅を新築したのですが、それがすごく楽しかったんです。両親から、自分の部屋の照明は好きなものを選んでいいよって言われて、赤いソケットの蛍光灯を選んだことをよく覚えています。自分で選んだ照明のある部屋に居るっていうことが嬉しくて。今思えば、それが建築を志す最初のきっかけだった気がします。最初は妹と同室で、もう少し大きくなってからは本棚で仕切って使っていました。-千葉大学を選んだ理由は?実家が千葉県の袖ヶ浦市でして、自宅から通えるんです。両親に「千葉大に行くならおこづかいたくさんあげる」って騙されて(笑)。でも、当時はちょうどゼネコンの倒産が大きなニュースになった頃で、「もっと幅広いことを勉強できる学科を選んでみたら」という父のアドバイスもあり、建築学科ではなく都市環境システム学科を選びました。-そこで運命の先生に出会ったそうですがそうなんです。入学してすぐ柘植喜治(つげきはる)先生の授業を受けて、目がキラキラするくらい楽しくて「この先生についていきたい!」って思ってしまったんです。柘植先生は商業デザイナーとして福岡のキャナルシティなどを手掛けた方で、授業の内容もユニークでした。-印象に残っている授業はありますか?地図を持たずにいろいろな街を歩いて、自分が感じたことを地図に書き込んで「マインドマップ」をつくる、という授業が特に印象に残っています。街に楽しい仕掛けがあると地図に書き込みがどんどん増えていくんです。そういう楽しい仕掛けを街や商業施設に取り入れる仕事を私もやってみたい!って。3年の後半から研究室に入って、4年になるとますます楽しくなってきて、もう少し勉強したい、と思って大学院に進学しました。-このマーカーと色鉛筆も学生時代に?柘植先生の描くスケッチがまた魅力的で、勧められてコピックのマーカーとイーグルの色鉛筆も買いました。今でも愛用しています。使うのは茶色とグレーとグリーンばっかりなんですけど(笑)。色鉛筆は、鉛筆削りだと尖りすぎて線が固くなってしまうので、ナイフで削っています。描き心地がなめらかになって、柔らかい線が描けるんです。瀧内未来|kurachiffon|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ 
 
 
 
 
 
 
 
 -卒業後の進路は?商業施設の建築設計を手掛ける会社に入社しました。全国に展開する大型商業施設の外装やマスタープランのほか、トイレやフードコート、通路など共用部のデザインが主な仕事で、全国各地の店舗を担当しました。会社に在籍していたのはトータルで7年弱くらいですね。-退職のきっかけは東日本大震災だったそうですが2008年に長女を出産して、1年間の育児休暇の後、復帰して仕事を続けていました。長女が3歳のときに東日本大震災があって、東北地方の店舗を復興する担当になったんです。やりがいのある仕事ではありましたが、たびたび出張もあり、気持ちに余裕がなくなってきて、娘にも優しくできなくなってしまって…。ちょうどその頃第二子の妊娠がわかって、つわりがひどかったこともあって退職することを決めたんです。-その会社で働いて良かったのはどんな点ですか?広い視野でものごとを見られるようになったことですね。複合的な大型商業施設では、人の目を引くにはどうしたらいいか、楽しんでもらうにはどうしたらいいか、ということ常に考えなければいけないので、建物のことだけでなく、まちづくり的な視点、商業的な視点が自然と身についた気がします。-一級建築士の資格は在職中に取られたんですか?はい。長女の育児休暇中に猛勉強して、その後何度もチャレンジしてやっと取れたんですが、計5年かかりました。育児、仕事、そして5年くらいずっと受験生でした(笑)。一級建築士を取れたことが私の自信になっていて、ふたり目の妊娠が分かったときに、無職になる不安もありましたが、「自分で設計事務所をやってみよう」って思ったんです。

Now
水回りなどの小さな空間を変えるだけでも
暮らしが豊かになることを提案していきたい


-「自営」になって生活は変わりましたか?商業施設の仕事は「対・会社」でしたが、住宅の仕事は、基本的に私のことを分かってくれている方がお客さんなので、自分の生活のペースを維持しながら仕事が出来ています。時間と心の余裕が生まれましたね。会社員時代は子どもが熱を出すとイライラしてしまったり、保護者会などのために会社を休むのも後ろめたくて、子どもに手をかけてあげられないことにずっと負い目を感じていたので。-仕事をする際に心掛けていることは?細かい仕様や間取りのことだけでなく、その人の本当に好きなものを、対話を通して引き出していきたいと思っています。なんとなくいいな、と思っているけど自分でも気づいていない「好き」なモノやコトに気付くきっかけになったら嬉しいですね。だからご夫婦でいらした場合、ヒアリングシートをまず別々に書いてもらうんです。その後お互いにシートを見てもらうのですが、「こんなの好きだったんだ」「こんなこと考えてたんだ」という発見があるんですよね。家づくりってご主人がないがしろになってしまうケースも結構多いので(笑)、ご主人が好きなものをこっそり組み込んだりもします。-築78年の古民家改修プロジェクトが進行中だそうですが台東区内の建物保全などに取り組んでいる「たいとう歴史都市研究会」というNPO法人に参加していまして、上野・桜木にある築78年の古民家を商業的に活用していこうというプロジェクトに関わらせてもらっています。敷地の広さは約400㎡。3棟ある建物のうち1棟に私たちが住んで、その家の1階の座敷を近隣の人たちに開放して、コミュニケーションの場として使う計画です。あとの2棟はいくつかのお店が入る予定です。家を開放することによって、古民家リノベーションのギャラリーのような空間にできたらいいなと思っています。-そういう空間があるとリノベーションをもっと身近に感じてもらえそうですねいまの自宅兼事務所はマンションの中なので、なかなかフラッとは立ち寄りにくいですよね。だから、街に開いた場所なら気軽に立ち寄ってもらえるんじゃないかと期待しています。それと、「リノベーション」と聞くと、敷居が高いと感じてしまう方がまだまだ多いので、例えば洗面所やキッチンを好きなテイストに変えるだけでもすごくリフレッシュできるし、日々の暮らしが楽しくなるということを知ってもらえたらいいなって。-「リフォーム」=新しい設備と交換すること、という既成概念がまだ根強いんですよね。家具や雑貨などはいろいろな選択肢があるのに、洗面台やキッチンを選ぶとなると途端に○○社のコレか××社のコレ、みたいにカタログの中から決められたものを選ぶだけになってしまう。でも、例えば洗面所なら好きなデザインの洗面ボウルや鏡を選んで、自分好みのタイルなどを組み合わせることで、金額的にはそれほど差がないのに満足度の高いものがつくれる。もっと気軽に取り入れられる、「リフォーム」と「リノベーション」の間、ぐらいの提案をしていければと思っています。今後、ウェブサイトで「kurachiffon lab」という名前で、私も大好きなタイルの取り入れ方や、家具や雑貨などの生活を彩るアイテムを提案していきたいと思っています。-根津・谷中というエリアの特性ともうまくマッチしそうですね築年の古い建物が多いので、そうやって家を直しながら住む方が増えることで、味のある街並が守られて行くことにもつながるといいなと思っています。かれこれ8年近くこのエリアに住んでいますが、住民同士の結びつきが強く、街を愛する気持ちが強い方が多いと感じています。-仕事以外の楽しみは?ちょうど今年、長女が小学校に入学したので、バッグや防災頭巾などの布モノをつくるのが楽しくて。夜遅くまで作業しても苦にならないんです(笑)瀧内未来|kurachiffon|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ 
 
 
 
 
 
 
 
 

撮影/難波雄史 聞き手/『リライフプラス』編集部 君島喜美子


『リライフプラス』ブログ http://blog.livedoor.jp/relifekk/


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『リライフプラスvol.14』(扶桑社刊)好評発売中!

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work01 マンションリノベーション@根津


マンションリノベーション@根津|瀧内未来(kurachiffon)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズマンションリノベーション@根津|瀧内未来(kurachiffon)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズマンションリノベーション@根津|瀧内未来(kurachiffon)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ瀧内さんの自邸。購入したのは2010年の秋で、そのままでもなんとか住める状態だったため、2年ほど住んだ後、たまたま空きがあった同じマンションの別の部屋を借りて、2か月ほど仮住まいをしながらリノベーションした。壁をフル活用して棚を造り付け、上部がロフトになった収納室をつくって集中的に収納することで、室内をスッキリと保てるよう工夫されている。

所在地:東京都台東区
専有面積:37㎡
築年:1979年 竣工:2013年3月
家族構成:夫34歳 妻34歳 長女6歳 次女2歳
物件価格:980万円 工事費:980万円


 

work02 マンションリノベーション@つきみ野


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個室の壁を取り払い、キッズルーム、サニタリーがひと続きになった伸びやかなワンルーム空間に。古材風仕上げの木材でつくったキッチンカウンターがLDKの主役。玄関の壁やLDKの壁にポイント的に様々なテイストのクロスを取り入れて、空間のアクセントとしている。

所在地:神奈川県大和市
専有面積:103㎡
築年:1979年 竣工:2013年05月
家族構成:夫43歳 妻35歳 長女6歳 次女1歳
工事費:370万円(設計料別)


 

work03 オーダーキッチン@川崎


オーダーキッチン@川崎|瀧内未来(kurachiffon)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ和のアンティークに合わせたオリジナルキッチンカウンター。夫の好きな「和」、妻の好きな「アンティーク」に合うように、無垢の楢(ナラ)材をアンティーク加工し、妻が幼少期から63年間大切に使ってきた茶箪笥に色合いを合わせた。リビング側はオープン棚とし、座卓から「見せる」収納を楽しめようにし、布調の優しいエコカラットタイル(調湿・吸着機能)を貼った。ハイチェアを置いてちょこっと座ることもできるよう、天板カウンターを15㎝伸ばしている。

所在地:神奈川県川崎市
家族構成:夫71歳 妻66歳
キッチン製作費:40万円