『リライフプラス』presents リノベ界の新しいヒーロー(ときどきヒロイン)を探せ! vol.9

リノベーション専門誌『リライフプラス』が注目する、リノベーション界の新しいヒーロー(ときどきヒロイン)にインタビュー。リノベーションを仕事として選んだ理由や手掛けてきた家のこと、仕事以外で好きなこと、などざっくばらんにお話を伺っていきます。

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vol.9 北村喜徳さん(アズ建設)

profile

1988年 東京都立多摩高等学校卒業。
その後1年間ワーキングホリデーでオーストラリアへ
1990年 大都建設入社
2004年 (有)アズ建設入社
2009年 代表取締役就任
2012年 (株)アズ建設に社名変更

http://www.az-ken.com/

アズ建設は、単に工事を請け負うだけではない、新しいスタイルの工務店。小金井市の本社1階にはアズ建設が経営する雑貨店「AZ CLASSIC」も併設し、代表の北村さん自ら商品の買い付けも行っている。
また、北村さんが設計からインテリアコーディネートまでを手掛ける中古マンションの再販事業も好調だという。本業の方では、設計事務所やオーダー家具のSTANDARD TRADEが手掛ける住宅の施工なども数多く担当し「センスが良くて仕事が丁寧」と評判も高い。
AZ建設という社名には「AからZまで、どんな仕事もやっていこう」という思いが込められているという。


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Now
中古マンションの再販や雑貨店を手掛ける理由


-中古マンションの再販を2軒手掛けて、いずれも売れ行き良好だったそうですねはい。デザインだけでなく給排水や断熱などの見えないところもきちんと直して、本当の意味で住み心地のいい住宅、自分たちが住みたいと思えるような家を提供したい、という気持ちで始めました。また、モデルルームとして幅広いお客さんに見てもらうことも視野に入れています。ただ、おかげさまですぐ売れてしまったので、モデルルームとしてはそれほど活用できなかったんですけど。-集客はR不動産のみ、だそうですがやはりどうしても普通の仲介業者だと「3LDK、駅から何分」というスペックでしか見てくれないので、R不動産にしか掲載していません。おかげさまで掲載するとすぐ問い合わせが入って、2軒とも時間がかからずに売れました。もちろん、売れるまではドキドキしますけどね(笑)とくに印象深いのは府中の物件(work03)で、同じマンションで同時期に6軒くらいリフォーム済み物件が売りに出ていて、価格的にはうちがいちばん高かったんですけど、一番先に売れたんです。やっぱり、分かってくれる人はいるんだなって、それがすごく自信になりましたね。物件を購入してイチからリノベするよりは安いし、時間がないからすでにリノベされた状態で欲しい、という方もいるので、今後も続けていきたいと思っています。-今年の5月に永福店もオープンされたそうですね永福の方は、パナソニックのリフォームショップ「リファイン」としての出店で、どちらかというと団塊の世代の方や、部分リフォームを中心としたお客様がメインとなります。デザインにこだわった大規模なリノベーションや注文住宅は、引き続き本店の方で受けていく予定です。タイプの違う2つの店舗を持つことで会社の経営も安定するし、より幅広いニーズに応えられればと思っています。「リファイン」の方は、基本的にパナソニックさんの商品を使うのですが、若い人にまず仕事を覚えてもらうのにも適していて、ある程度システマチックに基礎を学べるので、そういう点でもメリットがあると思っています。-新築とリノベーションの割合はどれくらいなんですか?売り上げ的には新築が6割、リノベが4割、といったところですね。いま新築の注文住宅は年間10棟近くやらせてもらっているんですが、ほとんどが二世帯です。都内は土地が高いというのもありますが、小さくても親たちと一緒に住みたいと考える人が、とくに震災以来増えているように感じます。ですが、今後は少子高齢化で注文住宅の依頼は減ってくるだろうし、その分を補うためにはどうすればいいか、考えた結果として「リファイン」をオープンすることを決めました。-雑貨店をオープンした理由は?2年前にいまの場所(小金井市)に移転する前は、西武多摩湖線の多摩駅にオフィスを構えていたのですが、フラッと入ってくる人って一人もいないんです。1年間で0人です(笑)。それで、お客さんとの話のきっかけになれば、と思って元々好きだった雑貨のお店を始めることにしました。小売りの経験はもちろんありませんでしたが。雑貨が好きな方はインテリアに関心の高い方が多いので、雑貨をきっかけに住まいの話になり、仕事の依頼がくることも多いです。お店の前の新小金井街道はよく渋滞するんですが「渋滞中に車の中から見ていて、ずっと気になっていました」なんて方も時々いるんですよ。-商品はどのような基準でセレクトしているのですか?自分が使いたいと思えるもの、長く使い続けられるものを選んでいます。工房にお邪魔して、つくっている所を見せてもらうこともあります。中でも人気なのは、国内の工場で生地からつくっている横浜帆布のバッグや、「うすはり」で有名な、台東区にある松徳ガラスのグラスなどですね。普段はイチからつくる作業をしているので、誰かがつくったものを仕入れて、それを気に入って買ってもらえると、素直に嬉しいです。-職人さんを集めて勉強会をされているそうですが2か月に1回くらいのペースで、いつもお願いしている職人さんと「アズケン協力会」という勉強会を開いています。新しい技術や素材のこと、現場でのマナー、クレーム対応についてなど、テーマはいろいろです。ただ単に仕事を発注するだけではなくて、そういう場をつくることで、職人さんのスキルや意識を高めて、よりいい仕事ができるように、という気持ちで始めました。フットサルチームをつくって大会に出たりもするんですよ。-いわゆる現場が「汚い」と「きれい」の差はどんなところにあるのですか?技術的なことももちろん大事なんですが、お客さんの家を「工事させてもらっている」という気持ちを忘れないように、また住みながらの工事の場合もあるので、できるだけお客さんに負担をかけないように、ということはいつも心掛けていますし、職人さんに徹底してもらっています。整理整頓や挨拶をきちんすとる、という当たり前のことが大切だと思っています。

Past
初めて一人暮らしをしたアパートの住みにくさが家づくりのモチベーションに


-そもそもなぜこの仕事を選んだのですか?高校生の頃、同級生の家が畳屋さんや外構屋さんをやっていて、そこでよくアルバイトさせてもらっていたんです。それがけっこう楽しくて。その頃は「現場監督」の意味もよく分かってなかったんですけど、「カントク」っていう言葉の響きもいいなって思ってましたね(笑)。高校卒業後、ワーキングホリデーでオーストラリアに行って、そのときに知り合った人の紹介で、帰国してからは不動産の会社に務めてデベロッパーをしていました。-その後工務店に就職したのはなぜですか?ちょうどバブルがはじけて景気が悪くなってきて、会社の経営もあまりよくなくなってきたんですよね。その不動産会社に務めているときも現場を見る機会があったのですが、ものをつくる仕事って面白そうだなと思っていたんですよね。だから、その後は工務店に就職しました。21歳のときです。全然経験がなかったので、最初は大工さんや職人さんの手伝いをしながら、現場監督として注文住宅からリフォームまで、たくさんの現場を経験しました。その会社の上司と同僚が「AZ建設」をつくって独立して、私は後から参加しました。-その頃からこうしたスタイルの工務店だったのですか?最初は割と軽い気持ちで(笑)ごく普通の工務店としてスタートしました。転機になったのは、デザインにこだわった建売住宅の仕事を企画から任されたことでした。従来の建売住宅とは違う素材や間取りにしたのですが、それが好評だったんです。それ以来、ちょっとずつ試行錯誤しながら変えていって、今のようなスタイルになってきた、という感じです。建築家さんとのつながりも、人づてで少しずつ広がっていって、注文住宅の工事なども依頼されるようになっていきました。-ご実家はどんな家だったのですか?高校生になるまでは立川市内の団地に家族4人で住んでいました。狭いし、自分の部屋はなかったけど全然欲しいとは思わなかったですね。団地は同級生もたくさんいるし、遊ぶところがいっぱいあるから本当に楽しかったんです。その後両親が建売住宅を購入したので引っ越して、個室もつくってくれたのですが、団地を離れることが残念で仕方なかったですね。働き始めてからは木造アパートで独り暮らしを始めましたが、結露がひどくて、夏は暑いし冬は寒いし、暮らしにくかった。そのときの経験が、いまの家づくりのモチベーションにもつながっている気がします。

Future&More...
職人と消費者を結びつけるマッチングサイトを計画中


-職人さんと一般のお客さんを結び付けるマッチングサイトを計画されているそうですがリフォーム会社や工務店を紹介するサイトはたくさんありますが、職人さんに直で頼めるサイトってないんですよね。だったらやってみようかなと思って。今年の秋からオープン予定です。-なぜそのようなサイトをつくろうと思ったのですか?例えばクロスを張り替えてほしいとか、電気工事を頼みたいとか、小さい工事のために工務店を通すとお金もかかってしまうので、お客さんが直で職人さんに依頼できる仕組みをつくりたいとずっと思っていたんです。職人さんって工事の流れで急に休みになったり、ということもよくあるので、そういうときに個人の方からの仕事を受けることができれば、職人さんにとっても助かるし、お客さんも工務店を通さないのでその分安く工事を頼めるので、お互いにとってメリットがあると思うんですよね。-今後取り組んでみたいことは?都心にはたくさんの有名なリノベーション会社さんがありますが、多摩エリアでリノベーションするならアズ建設で、と思ってもらえるような会社になってたいきたいですね。そして、若い人に働いてみたい、と思ってもらえるような会社にしていきたいと思っています。いま建築業界は人件費が高騰している、なんて言われていますが、職人さんの高齢化も同じくらい深刻な問題です。幸いわが社は最近20代の人を3人ほど採用できましたが、若い社員たちが楽しいと思えるような仕事をしていきたいですね。

撮影/佐々木孝憲 聞き手/『リライフプラス』編集部 君島喜美子

『リライフプラス』ブログ http://blog.livedoor.jp/relifekk/

『リライフプラスvol.15』(扶桑社刊)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ

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work01 マンションリノベーション@狛江


マンションリノベーション@狛江|北村喜徳(アズ建設)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズマンションリノベーション@狛江|北村喜徳(アズ建設)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ夫は建材メーカーに勤務する一級建築士、妻は以前、内装を手掛ける会社に勤務していたため、施主夫妻が設計し、アズ建設が施工を担当した。間取りはあまり変更せず、既存の設備をうまく活かすことで希望の予算内におさめた。建具や間仕切りを工夫することによって暮らしやすさが格段にアップし、光と風が通る開放的な空間に生まれ変わった。

所在地:東京都狛江市
専有面積:76.00㎡
築年:1987年 竣工:2013年11月
家族構成:30代夫婦+子ども1人
工事費:580万円(設計料込み・税別)
施工:アズ建設
撮影:遠藤 宏


work02 リノベーション済み物件@青葉台


リノベーション済み物件@青葉台|北村喜徳(アズ建設)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズリノベーション済み物件@青葉台|北村喜徳(アズ建設)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ小さい子供が2人いる家族が住むことをイメージして設計。3LDKから2LDKへと間取りを変更し、LDKの床はオークに。アクセントにレンガを貼り、飽きのこない落ち着いた空間に仕上げた。キッチンはL型の対面式を造作した。

所在地:横浜市青葉台
専有面積:70.00㎡
築年:1997年 竣工:2014年7月
工事費:550万円(設計料込み・税別)
施工:アズ建設


work03 リノベーション済み物件@府中


リノベーション済み物件@府中|北村喜徳(アズ建設)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズリノベーション済み物件@府中|北村喜徳(アズ建設)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズアズ建設として初めて手掛けたリノベーション済み物件。3DKだった間取りを1LDKに変更。LDKと繋がるスペースは飾り棚で仕切り、壁には古材足場板を張り、床はナラ材で仕上げオールド感のある雰囲気に。キッチンやテーブル、TVボード、ローテーブルは現場で造作した。

所在地:東京都府中市
専有面積:60.00㎡
築年:1984年 竣工:2013年8月
工事費:700万円(設計料込み・税別)
施工:アズ建設


work04 リノベーション済み物件@鷺沼


リノベーション済み物件@鷺沼|北村喜徳(アズ建設)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズリノベーション済み物件@鷺沼|北村喜徳(アズ建設)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ築年が古いため、外周部の壁にウレタン吹き付け断熱材を施工し、断熱性能も向上させた。サッシは内側に木製硝子建具を設置した。ヨーロッパの古いアパートメントをイメージし、壁は珪藻土塗やレンガタイルで仕上げた。床は和栗のヘリンボーン張り。

所在地:川崎市鷺沼
専有面積:55.00㎡
築年:1974年 竣工:2014年5月
工事費:700万円(設計料込み・税別)
施工:アズ建設