『リライフプラス』presents リノベ界の新しいヒーロー(ときどきヒロイン)を探せ! vol.5

リノベーション専門誌『リライフプラス』が注目する、リノベーション界の新しいヒーロー(ときどきヒロイン)にインタビュー。リノベーションを仕事として選んだ理由や手掛けてきた家のこと、仕事以外で好きなこと、などざっくばらんにお話を伺っていきます。リノベ魂あふれるオフィスもバッチリご紹介します!


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vol.5 Ar.K一級建築士事務所 代表 南部健太郎さん


profile


1972年 東京都生まれ
1995年 日本大学生産工学部建築学科卒業
1995年~福井英晴建築設計事務所 勤務
1999年~アートハウスプランニング 専務取締役就任
2000年~Ar.K一級建築士事務所 設立


http://www.ar-k.net/


いわゆる設計事務所とも、リノベーション会社とも異なる独特のリノベーションで注目を集めるAr.K一級建築士事務所は、南部健太郎さんと、公私ともにパートナーである久保緑子さんによる個人事務所。リノベーションをメインに、新築や店舗設計なども数多く手掛ける。事務所兼自宅は目黒通り沿いにある、昭和49年築のかなりシブめのマンション。事務所兼自宅は角部屋で日当りが良く、日常生活と仕事がいい具合に混じり合った、いい意味でユルさのある、居心地の良い空間だ。


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Now
海外では「過ごす」ことを大切にしています


travel|Ar.K一級建築士事務所|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ-海外に長期でよく行かれていますが、ぶっちゃけ仕事大丈夫なんですか?
よく聞かれます。「いつ仕事してるの?」って(笑)。2013年は夏にイタリアとヨーロッパ鉄道旅行3週間、年末にハワイ1か月、とここ数年長期で海外に行くことが多いですね。一応パソコンは持って行きますが、あんまり開かないです。-海外では何を?
とくに建築をガンガン見て回るとか、観光名所に行くということはほとんどしないですね。私はお酒を飲まないので(久保はかなり呑みますが・・)飲み歩くということもないし。あえて言うなら「過ごしている」というのがいちばんしっくりくるかな。生活と建築の関わりを見に行く。ハワイだとコンドミニアムを借りて、友人たちが入れ替わり立ち替わり泊まって行く、なんてことも多いです。写真は割と好きでよく撮りますね。その時に感じたイメージを持ち帰りたいと。8ミリ映画用のレンズをつけたデジカメで撮影すると、いい感じの写真が撮れるんです。たくさん持ってる割には、それほど詳しくはないんですが(笑)。      -しつこいようですが、仕事のこと心配になりません?
旅先で「過ごす」ことも仕事と言えば仕事かなって。僕から言わせれば、朝から晩まで図面書いてて、食事はコンビニ飯でアパートと事務所の往復だけ、みたいな人のほうがよっぽどサボってるんじゃないかって思うんですよね。-仕事量ってどれくらいなんですか?
だいたい年間で新築が2~3件、リノベが4~8件ってとこですかね。久保と二人で直に見たいので、ちょうどいいペースかなと。新築一戸建ては期間が長いので、いくつかの仕事がスライドしながら進んでいくっていう感じですね。元々飽きっぽいので新築とリノベ、両方やっているほうが飽きなくていいんです。-Ar.Kさんてカラフルな色やクラフト的な要素を取り入れているというイメージが強いのですが
とくにそうしたいと思ってやっている訳ではないんですよね。既製品で済めばそれに越したことはないんですが、お客さんがやりたいことをやってあげたいと思ってやっていたらいつの間にかそうなっていった、という感じです。色や形をそぎ落としてコンセプトを際立たせる事が必要と思っていないというか、コンセプトは必要だが見せびらかす物じゃない。という思いがある。ピシャっとキメキメよりも、家も服装もどこか崩したぐらいのほうが抜けてて親しみやすくて魅力的な人に見えるんじゃないかなって。-打ち合わせの回数が多いそうですが
うちは多い方なんじゃないかと思います。キッチンの打ち合わせだけでも10回はしますね。結果的にオリジナルキッチンを選ぶ人が多いんですが、「すてきなキッチンがほしい」「せっかくだからやりたい」ぐらいのレベルだったらやめた方がいいですよって言ってます(笑)。例えばカバン屋さんに「すてきなカバンが欲しい」とか、中古車見に来て「いい車ください」とはオーダーしないですよね。「こういう大きさで」とか「こういう使い方をしたい」とか、具体的な希望があるはず。キッチンに関してもそんな風にきちんと、一緒に考えながらつくりたいと思っています。素材や形はその後で見えてくる。-打ち合わせではどんな話を?
「なんとなくいいな」と思えるものを共有するようにしていく作業が多いかな。
収納の量や面積、長さや形、色なんかはその後で良いし難しくはない。
建築以外の本や雑誌、映画や旅行の写真などからヒントを得ることも多いですね。でもそれはピンポイントで「これと同じ色にしたい」とか「この床を使いたい」ということではなくて、「こういう感じがいいよね」っていうイメージをお互いに確認し合うような、ふんわりしたものなんですけどね。
そこが一番難しいし、設計者の差なんじゃないかとも思います。-図面をあまりきっちり書き込まないそうですが
やっぱり机の上だけだと、お客さんがイメージをつかみきれないんですよね。そのまま進んじゃうと完成したときにあれ? ってなることが多い。だからドアの割り付けとか、いろいろなことを現場で決めるっていうことが多いですね。いやがられますけど(笑)。半分ぐらいしか決まってなくて、工事が始まってからも打ち合わせしてることもよくあります。-確かに南部さんがつくる家は○○的、というカテゴリー分けがしづらいですね
デザインだけピシャッとしたところで、住むのは人間なんだし、家はアート作品でも、瞑想する寺や教会でもないですからね。そこに住む人が素敵に見えて、楽しく暮らせるっていうことがいちばん大切なんじゃないかな。そこで暮らすことで魅力的な人、家族になっていくようなものにしたい。

Office & Life & …
仕事とプライベートはそんなにキッチリ分けなくてもいい


-目黒に事務所を構えた理由は?
12~13年前ですかね。独立を機に自宅と事務所を兼ねられる場所を探して一番最初にココを見ていいなと思ったんですが、やっぱりもうちょっと見ようと思って世田谷から鎌倉までいろんな場所で探したんですが、やっぱり山手線の外側だと不便だなと思って、ここにしました。イベントに出ることも多いし、この事務所でパーティーをすることもある(70~80人なんてこともあったそう)。とにかく自分も周りの人も出入りがしやすい場所が良いと。壁を抜いて、くもりガラスをクリアにして、とちょっとだけいじりました。当時まだR不動産とかなかったので、物件探しは苦労しましたね。-失礼ですがかなり年季の入ったビルですよね
1階は銭湯、2階にはエスニック料理屋さん、ほかにフラダンス教室なんかも入っていて面白いです。たまに銭湯に入りに行くこともありますよ。屋上で食事やコーヒー、お酒を飲んだり。仕事の面でもプライベートでも、山手線の駅から徒歩圏内っていうメリットは大きいですね。-就職活動はしなかったんですか?
ほとんどしなかったですね。最初に入ったアトリエ系の設計事務所は、ボスの娘さんと僕の友人が知り合いだった縁で「ちょっと見に行かない?」みたいな軽いノリで事務所に遊びに行って、そのまま「うちで働く?」みたいな感じです(笑)。その頃はまだバブルの残り香があった時代で、ボスも夕方になるとそわそわして「飲み行くぞ」みたいなノリでしたね。「飲みに行かない?」じゃなくて、飲みに行かないという選択肢はない、という。その事務所で3年働いた後、今はもうないんですがアートハウスっていう会社で役員兼現場監督をやっていて、そうこうしているうちに一級建築士が取れたので独立しました。-朝型のライフスタイルだそうですが
設計事務所=徹夜みたいなイメージがあると思いますが、朝はだいたい6時頃起きてメールチェックしたり、仕事のような仕事じゃないようなことをし始めて、徐々に仕事っぽくなっていく、という感じです。夜は早いと9時すぎ~10時頃には寝る、というライフスタイルです。
イベントやパーティのような遊びの時は朝までですけどね。-自宅と事務所が一緒だとメリハリがつけにくくないですか?
よく聞かれるんですが、メリハリつけなくてもいいかなって(笑)。図面書くだけが仕事じゃないと思っているので。仕事とプライベートをキッチリ分ける必要も感じないです。外を歩いているときも、どこかで食事をしているときも、美術館に行ったりするのもプライベートと言えばそうだし、仕事と言われれば仕事だし。-パートナーの久保さんとはどのように仕事を分担しているんですか?
プロジェクトごとになんとなくどちらかが担当、みたいな感じはありますが、図面は必ず2人で目を通しますし、そんなにきっちり分けてないです。お客さんはだいたいご夫婦の方が多いので、男女各1名ずついると、男目線、女目線に偏りすぎなくて、いろいろ具合がいいんですよね。お客さんも男女両方いると希望を言いやすいみたいです。-お客さんの傾向ってありますか?
雑誌を見て相談に来るお客さんって、お金を払えばこういう家がすぐ手に入るんじゃないかって思っている方も多いんですが、それは間違い(笑)。厳しいようだけど、お客さんも一緒に苦労しないといい家は手に入らないと思った方がいい。だから最初に「すごい頑張らないといけませんよ」っていうようなことは言いますね。あと「設計事務所っぽい白くて四角いデザインがイヤ」っていう方も多いですね。-住宅・建築業界に言いたいことがあれば
日本の建築って学問としては完成度が高いんだけど、なんていうか生活の仕方が「せせこましい」気がするんですよね。ついつい頑張っちゃうというか。そこをもう少しゆったりとさせたいな、という気持ちはあります。気負わずに、住んでいる人が「あのファミリー素敵だよね」って言われるようなハコをつくっていけたらいいなと思っています。 

撮影/難波雄史 聞き手/『リライフプラス』編集部 君島喜美子


『リライフプラス』ブログ http://blog.livedoor.jp/relifekk/『リライフプラスvol.13』(扶桑社刊)|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ『リライフプラスvol.13』(扶桑社刊)好評発売中!
『リライフプラスvol.13』(扶桑社刊)好評発売中! 

work01 マンションリノベーション@目黒


マンションリノベーション@目黒|Ar.K一級建築士事務所|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズマンションリノベーション@目黒|Ar.K一級建築士事務所|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズマンションリノベーション@目黒|Ar.K一級建築士事務所|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズリフォーム済みだった物件を購入し、キッチンや浴室等は既存を生かしてリノベ。壁は漆喰、床は「昔の学校のようなイメージ」とのリクエストでバーチ材のパーケットフローリングに。キッチン背面のオリジナル収納は扉の色やパーツにもこだわった。リビングの床の一部には、カラフルなカーペットのサンプルを並べた。

所在地:東京都目黒区
専有面積:110㎡
築年:1970年 竣工:2007年
家族:40代夫婦
物件価格:約6,500万円 工事費:約500万円(設計料別)
撮影:葦沢明敏
『リライフプラスvol.1』特集「ヴィンテージなマンションで暮らそう!」にて掲載


 

work02 木造アパートリノベーション@世田谷


木造アパートリノベーション@世田谷|Ar.K一級建築士事務所|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ木造アパートリノベーション@世田谷|Ar.K一級建築士事務所|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ木造アパートリノベーション@世田谷|Ar.K一級建築士事務所|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ推定築年数60年超、全6室のアパートを、新築並みの強度と性能を確保し、ヨーロッパのフラットのようなおしゃれな空間に。夫妻が自らスケッチをおこしたというキッチンは、面材にフラットな質感のパネルと木を取り入れた。天井を取り払い、屋根に大きなトップライトを設置することで、明るい日差しが降り注ぐ空間に。

所在地:東京都世田谷区
専有面積:101.20㎡
築年:1950年(推定) 竣工:2011年10月
家族:40代夫婦
物件価格:2,700万円 工事費:1,815万円(設計料別)
撮影:飯貝拓司
『リライフプラスvol.10』特集「ワケあり物件×リノベ 成功実例」にて掲載


 

work03 マンションリノベーション@品川


マンションリノベーション@品川|Ar.K一級建築士事務所|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズマンションリノベーション@品川|Ar.K一級建築士事務所|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズマンションリノベーション@品川|Ar.K一級建築士事務所|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズお風呂に入りながら夜景や飛行機も眺められる、贅沢なガラス張りのバスルーム。まるでアートのような凝った模様と色使いのタイルがひときわ目を引く。LDKではガラス入りの建具を採用し、間仕切り壁も上半分がガラス張りなので明るく、見通しが良い。リビングの床やシステムキッチン、収納などは既存のものをうまく利用してコストを抑えた。

所在地:東京都品川区
専有面積:72.30㎡
築年:不明 竣工:2008年
家族:本人(30代男性)
工事費:600万円(設計料別)
撮影 山本尚明
『リライフプラスvol.3』特集「カッコよすぎるバスルーム」にて掲載


 

work04 マンションリノベーション@杉並


 マンションリノベーション@杉並|Ar.K一級建築士事務所|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ マンションリノベーション@杉並|Ar.K一級建築士事務所|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ マンションリノベーション@杉並|Ar.K一級建築士事務所|リライフプラス連載|リノベーションお役立ち情報|HOME'S/ホームズ元々は家族が多いこのマンションのオーナー宅で、2代目の住人が個人経営のデイサービス事業に使っていた7LDK。広々としたLDKと寝室、ウォークインクロゼットのほかにバイクガレージ、夫のワークスペース、機織りや彫金が趣味という妻のワークスペースがある。家のほぼ中央に位置する和室はどの部屋からもアクセスできる。

所在地:東京都杉並区
専有面積:172.48㎡
築年:1991年 竣工:2010年10月
家族:40代夫婦
工事費:1,400万円(設計料別)
撮影:飯貝拓司
『リライフプラスvol.7』特集「90㎡超ですけど、何か??」にて掲載