『リライフプラス』presents リノベ界の新しいヒーロー(ときどきヒロイン)を探せ! vol.1

リノベーション専門誌『リライフプラス』が注目する、リノベーション界の新しいヒーロー(ときどきヒロイン)にインタビュー。リノベーションを仕事として選んだ理由や手掛けてきた家のこと、仕事以外で好きなこと、などざっくばらんにお話を伺っていきます。リノベ魂あふれるオフィスもバッチリご紹介します!


リライフプラス連載vol1メイン 

vol.1  フィールドガレージ 代表 原 直樹さん


profile


1971年 東京都生まれ。東海大学大学院工学科建築学専攻修士課程 修了
1995年 設計事務所入社 2004年3月 フィールドガレージ 設立
2010年 株式会社フィールドガレージとして法人化
http://www.fieldgarage.com/


フィールドガレージの「フィールド」は名字の「原」から、「それと、ガレージみたいな素朴なハコというか、ざっくりした飾らない雰囲気が好きだからこの名前にしました」と話すのは、代表の原さん。


フィールドガレージは2004年に原さんひとりでスタートしたが、現在は総勢6名となり、今年7月「みのむし不動産」なる不動産部門も立ち上げるなど、新しいことにも意欲的に取り組んでいる。元・歯科医院兼住居だったという、推定築年数約50年の建物をリノベーションしたオフィスは床や壁に様々な素材が使われていて、ショールーム的な役割も兼ねている。


office

 


Now
「できるだけコストを抑えるのは、お客さんにいろいろいろ試してほしいから」


--スタッフ、増えましたよね?
そうなんです。最初はずっと一人でやってたんですけど、だんだん忙しくなってきて、仕事量がスゴいことになってきてしまって。幸い自宅と事務所がすぐ近くだったので、夕飯食べてからまた仕事場戻って、土日も仕事して、みたいな生活がずっと続いて、そのとき初めて「人を雇おうかな」って思ったんです。2009年に法人化して、スタッフを2人雇うことにしました。--変化はありましたか?
すごいありましたね。脳みそが3つになった感じ(笑)それまでは忙しくて、なかなか情報をインプットできなかったんですけど、スタッフのおかげでインテリアショップのこととか、何が流行ってるとか、いろんな情報が入ってきて、世界が広がりました。今は男子が3人加わって、僕も入れて6人になりました。--フィールドガレージさんて工事費が良心的ですよね
なんていうか、原価に近づいていっちゃう性格なんですよね(笑)せっかくだから、リノベーションでお客さんにいろいろなことを試してほしいっていうか。安ければいろんなことができるじゃないですか。だからできるだけ安く買える所とか、工場を探したりっていうことはよくしますね。予算が厳しいときはFGのスタッフで工事まで受けることもあります。その分手間はかかりますけど。--最初の打ち合わせはどんな風に?
まず、A4用紙1枚にまとめたアンケートに答えてもらって、それを元に話を聞いていきます。好きな素材とか、好きなお店なんかを聞くと、なんとなくその人の好きなものがわかってくるんですよね。基本プランニングは1万円いただいてます。ご相談に来る時点で物件が決まっている方も多いので、時間をかけてしっかりつくります。無料っていう所もあるようですが、設計事務所なんで、それはやりたくなかった。--HPやブログ、FB等マメに更新してますよね
それもスタッフのおかげです。ピンタレストなんかもやってます。フェイスブックから問い合わせがくることも増えましたね。SNSから入ってくるお客さんだと、好きなものがある程度わかってるから、その後の打ち合わせもやりやすいです。

Past
「結婚を機に独立するまでは、豪邸をたくさんつくってました」


relife1_c2--そもそも建築学科を選んだ理由は?
両親とも美大出っていうこともあって、もともと美術なんかも好きで、理系でデザインとか造形みたいなこともできる学科っていったら建築学科しかなかったんですよね。就職先はアトリエ系の設計事務所しか考えてなかったですね。大きい建物だとどうしても商業ベースになっちゃうから、住宅のほうが自由度が高くて楽しそうだなと思って。--以前は豪邸をつくってたって本当ですか?
7年近く勤務して、新築の仕事をメインでやってました。いま思えば豪邸でしたね。自分が住めるようになるかどうかは別として(笑)仕事は楽しかったです。結婚を機に独立を考えはじめたんですけど、会社やめて2年ぐらいはバイトしながらフラフラしてて、2004年にフィールドガレージを設立しました。33歳のときですね。--最初からリノベーションをメインで考えていたんですか?
古い建物を直して住むっていうことには以前から興味があって、やりたいなとは思っていたんですが、ちょうどその頃ブルースタジオさんが本を出したりして注目を集め始めたんですよね。そんなにお金をかけてないけどカッコよくって、当時からよくHPとか見てましたね。自分もこういう暮らし方をしたいし、もっと知ってほしいと思って、さっそくHPを立ち上げました。当時はまだそんなにパソコンで検索するってことが普及してなかったから「リノベーション」で検索すると上位の方に出ました。っていうか他にそんなになかったんですよね(笑)。--その頃もHPからの問い合わせってあったんですか?
けっこうありましたね。ハコものメインでオーダー家具もやってたんですけど、そいういう依頼も多かったです。とにかくあるネタは自宅も含めて100%活用して(笑)、HPに載せてました。あと建築家登録サイトなんかにも顔を出したりして、少しずつ仕事が増えていったという感じですね。

Future
「循環型の社会になっていくための手助けになるような仕事がしたい」


staff

写真左から今井さん、西村さん、平井さん、原さん、笹原さん、呉さん

-社内に「パーマカルチャー」部があるんですよね?
スタッフも増えて休みも取れるようになってきたこともあって、月1で神奈川県の藤野町っていう所にパーマカルチャーの講座に通ってます。パーマカルチャーってざっくり言うと里山生活っていうか、もっとわかりやすく言うとダッシュ村みたいな(笑)。それで、フィールドガレージ内でも「パーマカルチャー部」を結成したんです。

※「パーマカルチャー」とは、簡単に言うと「人間にとっての恒久的持続可能な環境をつくり出すためのデザイン体系」


- パーマカルチャーを知ったきっかけは?
「豊かな生活とは何か?」っていうことをよく考えるんですけど、例えばいい家に住んでても仕事に追われて全然家に帰れなかったりするのって豊かじゃないですよね。でも、いろんなものを拒絶して田舎暮らしをするっていうのも違う気がする。いまイメージしてるのは、都市と田舎の半々生活。仕事は都市でやりつつ、田舎で理想的な暮らしを実現できたらいいなと。そういう希望もあって、パーマカルチャーの先生にいろいろと教えてもらっているというか。-具体的には、今後どんなことを?
小さい単位でいいから、都市と田舎をつなげていくようなことができたらいいなと思っています。地方にたくさんある空き家を手直しして、都市からきた人が安く住めるようにしたりとか、都市でコンポストを使ってできた肥料を地方に持って行って使ってもらって、収穫した野菜を都市で売ったりとかね。都市にいると結局出来上がったものをお金で買うことしかできないですよね。だから、食べ物がどうやって作られているのかとか、そういうことをもっと知ることで生活が豊かになっていくんじゃないかと思うんです。古民家再生とかも今後やってみたいですね。-最近、非電化工房にも行かれたそうですが
そうなんですよ。すっごい楽しかった! ストローベイルハウスっていうワラを断熱材に使った家とか、建築家にはない発想のエコハウスなんかも見せてもらいました。代表の藤村靖之さんは今までに1000以上もの発明をされているそうなんですが、「人の生活を豊かにする」っていうことを発想のテーマとしていて、ずっとブレてないんですよね。もちろんそのままマネすることはできないんだけど、そういう発想や考え方を、今後の仕事に生かしていきたいですね。※非電化工房とは、栃木県那須市にある発明家・藤村靖之氏の自宅兼アトリエ。
非電化冷蔵庫、非電化バイオトイレ、非電化風呂小屋などさまざまな非電化の設備や製品が見られる。

Personality
「4人家族で50㎡のマンションに住んでますが、いま売り出し中です(笑)」


原さんの自宅は10年程前に「電柱のチラシで見つけた」という昭和48年築、約50㎡の目黒区内の中古マンション。物件価格は1830万円、170万円かけてほぼワンルームにリノベーションした。


以前『リライフプラス』で「4人家族で50㎡ですけど、何か??」という自宅に関するコラムを連載していた原さん。そのコラムを読んで「働きたい」と連絡をしてきたスタッフが2名いて、現在も働いているという。


--工事費が170万円って、安すぎないですか?
もちろん水回りは既存のものをそのまま使っています。自分の家をつくるとき「どこまで省けるか」っていうことをテーマにしてたんです。結構いろいろ省きましたね。大きいところだと個室、水回り以外の扉。うちは寝るときだけカーテンで仕切るシステムなんです。キッチンは木でつくりました。いかに生活をシンプルにするかがわが家のライフワークみたいなもので、「なければないですむ」口癖だったりします。--お子さんたち、個室がほしいって言わないんですか?
いま長男が高2、長女が中2なんですが、聞こえないフリをしてます(笑)ただ、さすがに手狭になってきたので、今のマンションを売りに出しています。次に住む家は妥協したくないので、もし売れちゃって次に住む家がすぐ見つからなかったら、しばらく賃貸に住んでじっくり探そうかなと。広さですか? 60㎡くらいあれば十分かな。いずれ子供たちは独立するし。--家にあんまりお金をかけたくないそうですが…
個人的には、ですけどね。収入に合わせて無理をしない、何かあっても影響を受けない程度の住まい方にしておいたほうがいいんじゃないかな、と。住まいを「資産」と捉える考え方もあるけど、その時々でライフスタイルに合った家に住む方がいいんじゃないかと僕は思うんですよね。いま住んでいるマンションは借地権だけど、それも気にしてません。starck--理想の暮らしってありますか?
フィリップ・スタルクがガレージで仲間とバイクをいじったり、デザイン?したりしているようなこの写真がすごく好きで、20代の頃からずっとデスクの近くに飾ってます。なんか楽しそうでいいですよね。こんな風に暮らせたらいいなって思います。      

撮影/難波雄史 聞き手/『リライフプラス』編集部 君島喜美子


『リライフプラス』ブログ http://blog.livedoor.jp/relifekk/リライフプラス12 表紙『リライフプラスvol.12』(扶桑社刊)好評発売中!
http://www.amazon.co.jp/リライフプラスvol-12別冊住まいの設計/dp/4594608590       

work01 マンションリノベーション@日吉


relife1_w1 横浜市内の高台に建つヴィンテージマンションをリノベ。玄関のみ下階にあるメゾネットタイプ。猫用のトイレスペースがあったり、キャットステップにもなる棚をつけたり、猫と快適に暮らせる工夫も。LDKの南側をインナーテラスのある開放的な空間に

所在地:横浜市港北区
床面積:約96.16m2
築年:1970年
家族:夫婦2人+子供1人+猫
工事費:1045万円(設計料込み)
撮影 山田耕司
『リライフプラスvol.11』特集「ペット可物件を手に入れる方法」にて掲載。

work02 団地リノベーション@成田


relife1_w2 夫が成田空港に勤務していることから、成田限定で物件を探し、4LDKの団地をリノベ。北側に2室ある個室はほとんど手を加えず、南側に2室あった個室をワンルームとして広い小上がりをつくり、寝室兼キッズスペースに。カラフルな色使いも楽しい

所在地:千葉県成田市
床面積:90.65m2
築年:1982年
家族:夫婦2人+子供2人
工事費:約777万円(設計料込み)
物件価格:1000万円
撮影 山田耕司
『リライフプラスvol.8』特集「Total1000万円台も大いにアリ!」にて掲載。

work03 戸建てリノベーション@横浜


relife1_w3
元々は別荘として建てられたという、推定築年数50年(購入時)の約100坪の庭付き一戸建て。ただし家にたどり着くまでに100m近い坂と階段を昇らなければないというちょっぴりワイルドな立地。実はリノベ済み物件だが、古さを生かしてセンスよく住みこなしている。

所在地:横浜市南区
床面積:118.67m2
敷地面積:318.03m2
築年:約50年(購入時)
家族:夫婦2人+子供2人
撮影 飯貝拓司
『コダテリライフ』特集「コダテリノベで暮らそう!」にて掲載

work04 店舗リノベーション@大井町


relife1_w4
店舗やオフィスのリノベも手掛ける。床には個性的なランタンタイル、壁にはラフな質感のテキサスロックンウォールを。ざっくりしているのにぬくもり感もある、フィールドガレージらしいテイスト

所在地:品川区大井町
床面積:約35.2m2
築年:1985年
撮影 フィールドガレージ