曲がった机で柔軟な空間を


施主のAさんの実家である一軒家は、一階部分は物置状態で活用の余地がありました。
AさんはIT企業にお勤めで、後々起業を視野に入れているということで、SOHO(Small Office Home Office)として使える部屋にしたいとリノベーションを希望されました。しかし、具体的な使用者の人数も用途も決まってはいなかったために、部屋は今後用途や人数が変わることへの変更に柔軟に対応できることが必要でした。そこで、部屋をきれいにしつつ、既存の部屋の対角線から作られた机(家具)によって空間を作ることを提案しました。大きく、また、鉤型に曲がっている机が部屋に大小さまざまなスペースを作り、いろいろな場所での打ち合わせや作業が自由な位置取りで行われるように促します。
部屋全体わたる大きく曲がった机

部屋全体わたる大きく曲がった机


壁一面のホワイトボード


鉤型の机の周囲を囲む壁は白く塗られていますが、奥の一枚は全体をホワイトボード塗料で塗装してあります。
最近の打ち合わせでは欠かせないプロジェクターの投影場所と、ホワイトボードによるディスカッションにも対応します。
机内での場所取りは自由、PCがある場所が自分の場所

机内での場所取りは自由、PCがある場所が自分の場所


回ることができること、動かせること


机の周りは移動することができるので、L字型で奥が行き止まりになる空間を回遊できる場所に変えます。
このおかげで小さなスペースでもいつまでも動き回ることのできる大きさができます。さらに、この机は家具と壁の中間くらいの大きさがあるので、壁のように動かないものでもないが、家具よりも間仕切ることができるちょうどよく空間を仕切ります。
これによって空間に多様な場所ができ、変化が生まれます。
机によって部屋に動きが出る

机によって部屋に動きが出る


家の歴史との接点を残す。


リノベーションはとかく、その設計部分だけをきれにすることに集中しがちですが、この事例ではあえて元の壁を覆わずに露出して残してあります。
この通路部分は家の上部への通路になっているという事もありますが、家の外の街並に対して建っている古い建物の中にいきなり新しい空間ではなく、少しずつグラデーションしながらつながっていくように考えられています。また、コンクリートのたたきから部屋部分は5cmほどだけあがっていて、奥の部分はまた10cmほど下がるという微妙な違いが、グラデーションをさらに強調します。SOHOという公私の区別があわく交わる生活には、空間もまたそのような工夫が必要だと考えたうえでの設計です。
白い壁と既存壁が混ざった空間。自転車は天井に

白い壁と既存壁が混ざった空間。自転車は天井に


Before & After



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【Before】長年手が入れられていなかった室内は、片付けと不要な部分の撤去から始まりました
【After】ラフな部分を残して家の記憶と接続しながらきれいに仕上げました