「資産価値が下がりにくい街」シリーズ第2回は【関西編】をお送りします。
大型タワーマンションの建設が相次ぐなど、関西の不動産市場は活況を呈しています。 そこで今回は、大阪・京都・兵庫のマーケット動向を見ながら、関西における「資産価値が下がりにくい街の条件」について解説していきます。
資産価値が下がりにくい街の条件 関西ならではの特徴は?
前回の特集 では関東の不動産データとともに「資産価値が下がりにくい街」の5つの条件を紹介しました。 この条件が揃ったエリアにある物件は住宅地としての評価が高くなり、資産価値が維持されやすいということになります。

1.交通利便性
駅までの距離が短く、ターミナル駅へのアクセスがよいほど利便性が高まり大きなメリットとなる。 通勤・通学、買い物や旅行など、あらゆる目的に対応できるため、住宅の価値を決める要素として最も重要視されるポイント

2.生活利便性
大きなスーパーがあって買い物に困らない、学校が近く子育て環境が充実している、飲食店が多く便利など。 日常生活をスムーズに送れる施設が揃っているとエリアの価値も高くなる

3.居住快適性
建物に快適に過ごせる設備が揃っているか、安心かつ便利に過ごせるかどうか。同じエリアであれば建物への快適性・信頼性が高い物件が選ばれやすい

4.安全性
地盤が柔らかく災害時に不安がある、低地のため水害が心配、といった物件は資産価値的にはマイナスとなる可能性がある

5. 地域と物件の独自性
眺望が優れている、マンション内に温泉が湧いている、部屋から花火が見えるなど。 そこに住んでいるからこそ受けられるメリットがあると、物件そのもののアピール力も高まる
関西では、さらに上記の条件に加え「生活全般における意識の高さ」が資産価値に大きな影響を与えます。これはいったいどういうことなのでしょうか。
関西で不動産購入を考える場合、交通の便がよい・生活に便利といった日常生活に関わる条件はもちろんのこと、「治安の良さはどの程度か」「どこの学区か」といった細部まで調べつくして購入に至る例が多いのです。 つまり、生活の質に関わる部分をも重視する人が多いということ。 安心できる環境であること、よい教育を受けられることも住まいへの要望に加えられるのです。 関東におけるエリア選びよりはるかにシビアと言えるかもしれません。
当然、これに該当する住宅地には人気が集中しやすくなります。 加えて、関西では定住志向が強いため、一度住まいを持つと住み替えへの動きは鈍くなる傾向にあります。 そのため、常に買い手が控えている状態となり、必然的に物件に希少価値が発生しやすくなるのです。 このような"こだわりの条件"が資産価値に大きく影響するのは、関西の大きな特徴と言ってよいでしょう。
こうしたことを踏まえながら、次に具体的な街の動向を探ってみましょう。
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大阪はタワーマンションの建設ラッシュが続く
大阪市中心部ではここ10年ほど、超高層タワーマンションが次々に建ち始めました。 大阪市には用途地域の規制等がないため、超高層ビル、高層マンションを建てやすいことが背景にあります。
1位となった福島区は、まさにタワーマンション建設ラッシュの真っただ中。 再開発が進み大きな注目を浴びている街です。 梅田から徒歩圏内にあり、大阪市の中心部に近いため、通勤や通学にも便利な立地です。 タワーマンションをはじめ大規模マンションが多く建てられ、都心のベッドタウンとして今後も発展していくことが見込まれています。
- 1
大阪市福島区(大阪府)
326.67pt
- 2
大阪市阿倍野区(大阪府)
300.45pt
- 3
大阪市北区(大阪府)
292.94pt
- 4
大阪市天王寺区(大阪府)
289.25pt
- 5
大阪市西区(大阪府)
284.60pt
- 6
大阪市都島区(大阪府)
279.72pt
- 7
大阪市浪速区(大阪府)
277.28pt
- 8
大阪市中央区(大阪府)
272.28pt
- 9
吹田市(大阪府)
260.22pt
- 10
大阪市港区(大阪府)
255.68pt
※街ごとの標準的な家の価格(中央値)を1ポイント10万円として算出
ランキング全体を見ても、大阪市内の街が上位を占めています。 いずれも大型マンションが多く立ち並ぶエリアで、高額の中古売却事例が発生してポイントが高く出やすくなっていることも一因です。 また大阪市は転入超過の状態にあり(※1)、賃貸・売買ともに不動産物件へのニーズは高いまま推移しています。
特に大阪市中心部の中央区・北区では新築マンション計画が活性化しているエリアであり、中古もそれに引っ張られる形で価格が維持されています。 新築マンション・中古マンションともに購入希望者が多いため、価格の差がつきにくくなっているのが現状です。 こうしたエリアは、もし購入後に売却する場合でも"目減り"が少ないため、資産価値が保たれやすいと言えるでしょう。
※1 出典:「住民基本台帳人口移動報告」総務省統計局 2018
京都が高ポイントなのはワケがある
1位は京都市中京区【413.98pt】でした。これは大阪の1位大阪市福島区【326.67pt】より高ポイントとなっています。 なぜ京都の不動産マーケットは局地的に高騰しているのでしょうか?
- 1
京都市中京区(京都府)
413.98pt
- 2
京都市下京区(京都府)
332.35pt
- 3
京都市東山区(京都府)
320.90pt
- 4
京都市北区(京都府)
286.35pt
- 5
京都市上京区(京都府)
278.05pt
- 6
京都市左京区(京都府)
262.75pt
- 7
京都市右京区(京都府)
228.50pt
- 8
向日市(京都府)
226.72pt
- 9
京都市西京区(京都府)
199.07pt
- 10
宇治市(京都府)
190.04pt
※街ごとの標準的な家の価格(中央値)を1ポイント10万円として算出
まず前提として、京都市中心部における再開発規制が厳しいということがあります。 街を開発するハードルが高いため、新築マンションの物件数が極端に少ないのです。 さらに中古物件の取引においても、売買の市場が外部の購入希望者からは見えにくく、情報を入手するのが難しいという独特のマーケット特性があります。 そのため「いま市場に出ている物件を買うのが早い」という心理が働き、新築・中古ともに価格が高騰するという現象が起きているのです。
ランキング全体を見ると、京都市内の街がほとんどを占めています。 人気の観光地が所在する街が軒並みランクインしているのがわかります。 こうしたエリアはブランドが確立されているため、価格が高く維持されやすいのが特徴です。 さらに、海外観光客のインバウンド効果を期待するビジネス関連の取引も活発なため、不動産価格が上がりやすい状況が続いています。 こうした追い風もあり、京都全体のポイントが引き上げられているという見方もできるでしょう。
兵庫はやはり芦屋市がトップに
兵庫には京都と同じく景観条例があり、再開発には一定の制限があります。 そのため、高層タワーマンションなどは建ちづらく、一般的な住宅地が不動産マーケットのメインとなっています。
- 1
芦屋市(兵庫県)
276.23pt
- 2
神戸市中央区(兵庫県)
272.38pt
- 3
西宮市(兵庫県)
263.05pt
- 4
神戸市灘区(兵庫県)
250.90pt
- 5
神戸市東灘区(兵庫県)
241.17pt
- 6
神戸市兵庫区(兵庫県)
228.62pt
- 7
宝塚市(兵庫県)
219.07pt
- 8
尼崎市(兵庫県)
212.01pt
- 9
川西市(兵庫県)
209.69pt
- 10
伊丹市(兵庫県)
207.57pt
※街ごとの標準的な家の価格(中央値)を1ポイント10万円として算出
1位の芦屋市をはじめ、西宮市・神戸市東灘区・神戸市灘区などはいわゆる高級住宅地として知られています。 特に阪急線以北の山の手地区には洗練された物件が多く、独特のブランド価値が確立されていると言っていいでしょう。 流通する物件は高額なものがメインとなりますが、すぐに買い手がつきやすい状況が続いています。 こうした不動産市場の活況もありポイントが高く押し上げられたようです。
2位となった神戸市中央区は、言わずと知れた神戸の中心街・三宮を擁する街です。 JRをはじめ阪神電鉄・阪急電鉄・ポートライナー・神戸市営地下鉄といった主要交通網が集結しており、交通利便性という意味では申し分のない環境です。 多くの人が行き交うターミナル駅から徒歩圏内に、タワーマンションをはじめとした大型マンションが多く建てられ、人の流入が続いています。 新築・中古ともに物件への需要が高く、不動産価格が高く維持されやすい状況と言えるでしょう。
これから注目大のエリアは?
大阪市中心部
高層タワーマンションなど、大型マンションの建築ラッシュが続く大阪市。 大阪市中心部から湾岸にかけてのエリアは、今後も大きな開発が続くと予想されています。 このエリアの新築物件は、その利便性の高さから強気な価格で売り出されることが予想されます。 こうした高額物件はエリアの不動産マーケットにおいて中古の価格を押し上げる存在となるでしょう。
姫路経済圏
2015年、姫路城が保存修理工事を終えグランドオープンしました。 このことが姫路エリアに大きな経済効果をもたらしています。 姫路城の観光資源としての価値は高く、国内のみならず海外からも観光客が訪れるようになりました。 姫路駅から姫路城までの間にある商業地帯は活性化し、たくさんの人でにぎわっています。 店舗やホテルなども次々にオープンしたことで雇用が生まれ、このエリアに住む人も増加傾向にあります。
インバウンドをうまく活用して、姫路経済圏は目覚ましい発展を遂げています。 姫路城の人気が続き観光産業が順調であれば、このエリアの不動産価格はさらに値上がりしていく可能性が高いでしょう。 投資の対象としての関心も高く、今後の成り行きが注目されています。
まとめ
各都市の不動産マーケットの動向からは、高層タワーマンションなど新築マンション販売が活性化しているエリアでは、中古物件の価格も引っ張られるように高く維持されていることがわかります。 これは、新築が建つエリアが高評価されやすいことが背景に挙げられます。 つまり、そこに新築が建てられるということは、「これから発展していくことが予想される将来性が高いエリア=資産価値が高く評価されやすいエリア」と判断できるということです。
今お持ちの家や買おうと思っている家の価値が、これから上昇していくのか逆に目減りしやすいのか、しっかり見極めて不動産を売買するのが資産価値を意識した売買と言えるでしょう。 そのためには価格のトレンドを客観的なデータとともに把握することが大切です。 LIFULL HOME'Sの「見える!不動産価値」では、物件のニーズや売り時などの市場価値を確認することができます。 所有している物件や希望している物件の市場価値がどのように評価されているか、売却・購入前にぜひチェックしてみてください。
更新日: / 公開日:2018.03.22
















