ある日、ポストに届いた「家賃値上げのお知らせ」。
「次回の更新から家賃を上げます」と書かれているものの、「こんな直前に言われても対応できない…」「もっと早く知らせる決まりがあるのでは?」と戸惑う方も少なくないでしょう。
家賃の値上げは毎月の支出に直結するため、不安を感じるのは無理もありません。ただ、通知の時期や考え方を整理しておくと、落ち着いて対応できるようになります。
この記事では、家賃値上げの通知がいつ頃行われることが多いのかをお伝えします。そのうえで、更新直前に通知を受け取った場合の対処法や、判断のポイントを確認していきましょう。
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家賃値上げの通知は「何ヶ月前」に来るのが一般的?

家賃の値上げは、どのくらい前に知らされるものなのでしょうか。まずは、一般的なケースから見ていきましょう。
更新の「1ヶ月~3ヶ月前」が目安
契約の更新にあわせた家賃改定の通知は、更新日の1ヶ月~3ヶ月前に行われるケースが多く見られます。
借主が今後の住まいについて考える時間として、1ヶ月~3ヶ月の期間が設けられることが一般的です。
ただし、これはあくまで目安にすぎません。すべての契約で同じように扱われるわけではなく、契約内容や貸主(大家さんや管理会社)の判断によって変わります。
法律上の明確な「期限」はない
法律(借地借家法)では、「家賃値上げは何ヶ月前までに通知しなければならない」といった決まりは設けられていません。
そのため、更新日が近い時期に通知が届いたとしても、それだけで直ちに問題になるケースばかりではないのが実情です。
一方で、契約書には「条件を変える場合は、期間満了の〇ヶ月前までに通知する」といった取り決めが書かれていることがあります。
まずは契約書を確認し、通知の時期についてどのような記載があるのかを確かめておきましょう。
よくある誤解:「6ヶ月前」は解約(退去)のルール
「6ヶ月前までに言われなければ無効なのでは」と考える方もいますが、これは家賃値上げとは別のルールです。この期間は、貸主が契約の更新を終了し、退去を申し入れる場合に用いられます。
解約の予告と、家賃値上げの通知は意味合いが異なります。「6ヶ月前を切っているから無効な通知だ」と決めつけず、家賃値上げの通知として正しく対応することが求められます。

通知が「直前(更新ギリギリ)」に来た場合の対処法

更新日が迫ったタイミングで通知を受け取ると不安を感じてしまいますが、慌てる必要はありません。
まずは、通知を受け取ってから回答するまでの流れを確認しておきましょう。
【通知を受けてから回答するまでの流れ】 ● STEP 1:通知を受け取る ● STEP 2:契約書を確認する ● STEP 3:周辺相場を調べる ● STEP 4:貸主・管理会社に回答する |
基本的には、この流れを押さえておけば問題ありません。
ここからは、直前に通知が届いた場合でも焦らなくてよい理由や、その考え方の根拠を順に見ていきましょう。
焦って「即答」する必要はない
もし更新の1週間前や数日前に通知が来たとしても、焦って同意書にサインする必要はありません。
「通知が直前すぎて検討する時間が足りません。周辺相場などを調べたいので、回答までお時間をいただけますか」などと伝え、保留にしましょう。
貸主や管理会社の立場で考えてみても、入居者から時間の猶予の申し出があるにもかかわらず、十分な検討時間を与えずに即答を迫ることは一般的ではありません。冷静に、自分のペースで対応することが大切です。
契約書の「予告期間」を過ぎていれば有利に
契約書に「条件の変更は更新の1ヶ月前までに通知する」と明記されているにもかかわらず、実際の通知がそれより遅れて届いた場合、貸主側が契約を守っていない可能性があります。
予告期間を過ぎている場合は、「契約どおりの期間に通知がなかったため、今回の更新での値上げには応じられません」と同意を見送る材料になり得ます。
契約書に予告期間の記載がないか、あらためて確認してみましょう。
更新日を過ぎても「法定更新」で住み続けられる
「更新日までに返事をしないと、立ち退かないといけないのでは?」と恐れる必要はありません。
合意できないまま更新日を迎えても、一定の条件を満たせば契約は「法定更新」(従前と同じ条件で自動的に更新)されます。
つまり、期日までに返事をしなくても、これまでの家賃のまま住み続けられる可能性があるのです。
このセーフティーネットを知っておけば、期限に追われて不本意な値上げに同意する事態を避けやすくなるでしょう。
なお、法定更新になった場合、更新料の支払い義務については契約書の記載内容によって異なります。不安な場合は、専門家や自治体への相談を検討してみてください。

更新時期以外(契約期間中)でも値上げはされる?

更新のタイミング以外で家賃が上がることはあるのでしょうか。この点についても確認しておきましょう。
法律上は「いつでも」請求可能
貸主の立場から見ると、維持コストが増えた、周辺の家賃相場が大きく変わったなど、現在の家賃が実情に合わなくなることもあります。
こうした事情があるときは、法律(借地借家法第32条)の考え方に基づき、契約期間の途中であっても家賃の増額を求めることが認められる場合があります。
そのため、更新の時期ではないという理由だけで、値上げの申し出が直ちに無効になるとは限りません。
ただし「特約」があれば期間中の値上げは防げる
もし契約書に「契約期間中は賃料を増額しない」という特約が入っていれば、期間中の値上げはできません。
また、実務上は契約期間の途中で家賃を変えるのはトラブルになりやすいため、基本的には更新のタイミングに合わせて行われることがほとんどです。
契約期間中に値上げ通知を受けた場合は、まずは契約書を確認し、特約の有無をチェックしましょう。

まとめ

家賃値上げの通知に、法律で決められた明確な期限はありませんが、一般的には更新の1~3ヶ月前が目安です。契約書に通知期間のルールが記載されている場合は、その内容が優先されます。
直前に通知が来たとしても「法定更新」という仕組みがあるため、焦ってサインする必要はありません。時間をかけて内容を確認し、冷静に対応することが大切です。
また、誤解しがちな「6ヶ月前ルール」は退去に関するものです。家賃の値上げ交渉には当てはまらない点も、併せて知っておきましょう。
家賃値上げの通知を受けた際は、曖昧な記憶で悩むのではなく、まずは契約書を確認してみてください。一度見直すだけでも、今の状況や取るべき対応が少しずつ見えてくるはずです。
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よくある質問
Q.1 通知が更新の1週間前など直前に届きました。これは有効なのですか?
法律上は有効です。借地借家法には通知の期限について定めがないため、直前に知らせることは違法ではありません。
ただし、契約書に「〇ヶ月前までに通知」と記載されている場合は、その期間を過ぎた通知は契約違反となり、今回の更新での値上げを拒否する根拠になります。
Q.2 家賃値上げの交渉で、回答を遅らせることはできますか?
はい、可能です。「検討に時間が必要です」と伝えれば、ほとんどの場合は待ってもらえるでしょう。
特に通知が直前だった場合は、「通知時期が遅かったため、周辺相場を調べる時間が足りません」と伝えることで、回答期限を延ばしてもらいやすくなります。
更新日を過ぎても法定更新で住み続けられる可能性もあるため、焦る必要はありません。
Q.3 値上げを拒否したら、退去しないといけませんか?
いいえ、退去する必要はありません。家賃の値上げは貸主と借主の合意があって初めて成立するものです。
拒否しても即退去とはならず、従前の家賃を支払い続けていれば、契約は「法定更新」により継続されます。

Q.4 通知を無視して何も回答しないとどうなりますか?
回答しなくても、契約は法定更新により従前の条件で継続されます。「返事をしないから退去」となることはありません。
ただし、無視をし続ければ貸主との関係が悪化するのは避けられません。「値上げには同意できませんが、従前の家賃で住み続けたい」など、意思表示をきちんと行う必要があります。
Q.5 「期限までに回答がなければ同意とみなす」と言われましたが、本当ですか?
いいえ、法的にそのような効力はありません。家賃の値上げは双方の明確な合意が必要であり、「沈黙=同意」とはなりません。
このような文言が通知書に書かれていても、回答しなかったからといって自動的に値上げが成立するわけではないので、安心してください。
ただし、後々のトラブルを避けるためにも、拒否の意思は明確に伝えるようにしましょう。
Q.6 値上げに同意しないまま更新日を過ぎたらどうなりますか?
合意に至らないまま更新日を迎えた場合、契約は「法定更新」となり、従前と同じ条件(家賃も同額)で自動的に更新されます。
なお、貸主が新賃料以外の家賃を受け取らないと言った場合でも、法務局の「供託」制度を利用して従前の家賃を支払えば、滞納にはなりません。詳しくは専門家への相談をおすすめします。
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