家賃値上げの通知は、ある日突然届くこともあり、驚いてしまうものです。

「管理会社から言われたから従わなければいけないの?」「断ったら住みづらくなるのでは?」と不安になる方も多いでしょう。

しかし、貸主からの値上げ要求はあくまで「お願い」であり、入居者が納得できない場合は断れます。重要なのは、感情的にならず、マナーを守って冷静に意思を伝えることです。

この記事では、家賃値上げを断りたい方のために、メールや文書でそのまま使える「断り方の例文(テンプレート)」と、トラブルを避けるための正しい伝え方を解説します。

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家賃値上げの通知を受け取った場合、焦ってすぐに返答するのは避けた方が無難です。事前の準備を怠ると、不利な条件で合意してしまったり、不要なトラブルに発展したりする可能性があります。

 

家賃交渉を冷静に進めるためには、最低限押さえておきたいポイントがあります。ここでは、連絡を入れる前に確認しておくべき重要な準備として、以下の3つを解説します。

 

  • すぐに「同意書」にサインしてはいけない
  • 連絡手段は記録が残る「メール」や「書面」を選ぶ
  • 交渉前に確認すべき「周辺相場」と「契約内容」

 

値上げ通知を受け取ったら、まずはこれらを確認するところから始めましょう。

 

通知書に同封されている「賃料改定の同意書」には、慎重に対応する必要があります。

 

内容を十分に確認しないまま署名・返送してしまうと、その時点で家賃値上げに同意したものとみなされる可能性が高いためです。

 

一度合意が成立すると、後から「やはり納得できない」と主張しても、条件を覆すのは容易ではありません。

 

そのため、同意書が届いた場合は、すぐにサインせず、「検討させてほしい」と意思を伝えたうえで回答を保留することが重要です。

 

管理会社へ電話で連絡するのは手軽ですが、家賃交渉のような金銭が絡む際は、あまりおすすめできません。

 

電話でのやり取りは記録が残らず、「言った・言わない」といったトラブルに発展しやすいためです。

 

交渉をスムーズに進めるためには、後から内容を確認できる形で記録を残すことが大切です。まずは履歴が残るメールで連絡し、相手の反応を見ながら対応を検討しましょう。

 

メールアドレスが分からない場合や、正式な意思表示が求められる場面では、書面(郵送)での連絡も有効です。書面は、こちらの真剣な姿勢を伝える手段としても役立ちます。

 

家賃交渉において、「家計が苦しい」「値上げは困る」といった主観的な理由だけでは、管理会社を納得させるのは難しいかもしれません。交渉を成功させるためには、客観的な根拠にもとづいた説明が欠かせません。

 

まずは、LIFULL HOME’Sといった不動産情報ポータルサイトを利用し、同じマンションの別部屋や近隣の類似物件の家賃相場を確認しましょう。

 

周辺相場と比較することで、「現在の家賃が妥当な水準であるかどうか」を客観的に示せます。

 

併せて、賃貸借契約書の内容も確認しておくことが重要です。特に「家賃改定」や「更新」に関する条文には、値上げの条件や通知の期限(例:期間満了の○ヶ月前までに行う等)が記載されていることが一般的です。

 

これらを正確に把握しておけば、契約内容に基づかない不当な要求を指摘できたり、「契約で決まっているから」という誤った理屈で押し切られたりするリスクを回避できます。

 

家賃値上げを断る際は、「どう伝えるか」が結果を大きく左右します。同じ内容でも、伝え方次第で相手の受け取り方は大きく変わり、交渉がスムーズに進むこともあれば、無用な対立を招いてしまうこともあります。

 

そこでこの章では、実際のやり取りでそのまま使える例文テンプレートを、状況別に4つのパターンに分けて紹介します。

 

  • 【例文】まずは「検討します」と回答を保留する場合
  • 【例文】相場を理由に「据え置き」をお願いする場合
  • 【例文】「条件付き(設備交換など)」で交渉する場合
  • 【例文】明確に拒否する「回答書」の書き方

 

ご自身の状況に近いものを選び、日付や金額、物件名などを調整して活用してみてください。

 

値上げ通知が届いた直後に、早急な返答を求められるケースも少なくありません。しかし、内容を十分に確認しないまま即答するのは避けるべきです。

 

この例文は、値上げに賛成も反対もしない立場で、いったん返答を保留したい場合に使うテンプレートです。周辺相場の調査や契約内容の確認を行う時間を確保する目的で利用しましょう。

 

【例文:検討・保留用メール・文書】

件名:家賃改定のご提案について(【〇〇号室】【お名前】)

 

【管理会社名】

ご担当者さま

 

いつもお世話になっております。

【〇〇マンション〇〇号室】に入居しております【お名前】です。

 

【〇月〇日】付で送付いただきました家賃改定のご提案について、拝見いたしました。

 

突然のご提案でしたので、まずは周辺の相場や現在の契約内容を確認させていただきたく存じます。

 

つきましては、【〇月〇日】頃までお返事のお時間をいただけますでしょうか。

 

お忙しいところ恐れ入りますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

【お名前】

【現住所】

【電話番号】

【メールアドレス】

この段階では、あくまで「検討中である」という姿勢を示すことが重要です。返答期限の目安を伝えておくことで、相手から過度に催促されるのを防ぐ効果もあります。

 

周辺相場を調べた結果、現在の家賃がすでに相場水準、もしくはそれ以上であると判断できた場合は、「据え置き(値上げなし)」を希望する意思を明確に伝えましょう。

 

このテンプレートでは、感情論ではなく、客観的な相場データを根拠に交渉する構成になっています。

 

【例文:据え置き交渉用メール・文書】

件名:家賃改定のご提案に関するご相談(【〇〇号室】【お名前】)

 

【管理会社名】

ご担当者さま

 

いつもお世話になっております。

【〇〇マンション〇〇号室】に入居しております【お名前】です。

 

【〇月〇日】付で送付いただきました家賃改定のご提案について、検討しましたのでご連絡申し上げます。

 

今回、周辺の募集事例を確認させていただいたところ、同程度の条件の物件は【〇〇~〇〇円】程度で推移しており、平均的に見ても現在の家賃は適正範囲内であると思われます。

 

そのため、誠に恐縮ではございますが、現状の家賃【〇〇円】のままでの更新をご検討いただけないでしょうか。

 

今後も長くこちらで住み続けたいと考えておりますので、引き続き良好な関係を保てれば幸いです。

 

ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

【お名前】

【現住所】

【電話番号】

【メールアドレス】

具体的な金額帯を示しつつも、断定的な言い切りは避け、「ご検討いただけないでしょうか」という相談ベースの表現にすることで相手が受け入れやすくなります。

 

値上げそのものを全面的に拒否するのではなく、「条件次第では応じてもよい」というスタンスを取るのもひとつの方法です。

 

たとえば、設備の老朽化が気になっている場合などは、改善を条件に交渉できます。

 

【例文:条件付き承諾用メール・文書】

件名:家賃改定のご提案に関するご相談(【〇〇号室】【お名前】)

 

【管理会社名】

ご担当者さま

 

いつもお世話になっております。

【〇〇マンション〇〇号室】に入居しております【お名前】です。

 

【〇月〇日】付で送付いただきました家賃改定のご提案について、検討いたしましたのでご連絡申し上げます。

 

今回ご提案いただいた値上げ額につきまして、以下の条件を満たしていただける場合には、前向きに検討させていただきたく存じます。

 

【条件例】

・エアコンを新品に交換していただくこと

・宅配ボックスの設置をご検討いただくこと

・【その他ご希望の条件】

 

上記のような住環境の改善をしていただけるのであれば、家賃改定についても承諾する方向で考えております。

 

お忙しいところ恐縮ですが、ご検討いただけますと幸いです。

 

何卒よろしくお願い申し上げます。

 

【お名前】

【現住所】

【電話番号】

【メールアドレス】

条件を提示する際は、要求を並べすぎず、現実的な内容に絞ることがポイントです。貸主にとっても「長く住んでもらえるなら投資する価値がある」と判断しやすくなります。

 

メールでの交渉を重ねても話が進まない場合や、値上げを強く求められている場合には、正式な書面で意思表示を行うことも選択肢になります。

 

このテンプレートは、法的な根拠を示しつつ、値上げを明確に拒否する場合に使用するものです。

 

【例文:正式な回答書用文書】

【令和〇年〇月〇日】

 

【管理会社名】

【担当者名】様

 

【現住所:〇〇マンション〇〇号室】

【賃借人氏名】 印

 

家賃改定のご提案に対する回答書

 

拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

 

さて、【令和〇年〇月〇日】付で送付いただきました家賃改定のご提案につきまして、慎重に検討いたしました結果、誠に遺憾ながら今回のご提案には応じかねる旨、ご回答申し上げます。

 

【理由】

1. 周辺の同条件物件の相場と比較しても、現在の家賃【〇〇円】は適正な水準であると判断しております。

2. 建物設備(【具体的な不具合があれば記載】)の状況を鑑みますと、値上げの合理的根拠に乏しいと考えます。

3. 【〇年間】滞納なく賃料をお支払いしており、今後も継続して居住する意思がございます。

 

つきましては、現行の賃料【〇〇円】での賃貸借契約の更新をご承諾いただきますよう、お願い申し上げます。

 

なお、借地借家法第32条第1項におきましても、賃料増額請求には正当な事由が必要とされておりますことを申し添えます。

 

今後とも良好な関係を維持してまいりたく存じますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

 

敬具

 

以上

借地借家法第32条に触れることで、感情論ではなく法的観点からの主張であることを示せます(※)。ただし、関係性が緊張しやすい段階でもあるため、使用は最終手段として考えるのが無難です。

 

※ 参照元:借地借家法第三十二条(借賃増減請求権)

 

家賃値上げを断る際、単に「納得できない」「支払いが厳しい」と伝えるだけでは、交渉はうまく進まないでしょう。

 

大家さんや管理会社が判断するのは感情ではなく、あくまで合理性や客観性だからです。

 

そこでここからは、相手に「それなら仕方ない」と思ってもらいやすい理由の伝え方を解説します。

 

「急に家賃を上げるなんてひどい」「生活が苦しいので無理です」といった感情的な主張は、交渉では逆効果になりがちです。管理会社の担当者は、個人的な感情ではなく、会社として合理的な判断を求められています。

 

そのため、感情に訴えるのではなく、経済合理性にもとづいた説明を意識しましょう。

 

たとえば「家計が厳しい」という個人的事情よりも、「周辺相場と比較すると現在の家賃は適正である」といった客観的な根拠の方が、相手も受け入れやすくなります。

 

管理会社側が社内で説明・稟議を通すことを想定し、「第三者が見ても納得できる理由かどうか」を意識することが、交渉成功の近道です。

 

理由を書く際は、相手を責める口調ではなく、「現状の共有」と「相談」というスタンスを保つことが重要です。

 

ここでは、実際の交渉で使いやすい代表的な理由を3つ紹介します。

1. 近隣相場との比較

 

相場を理由にする場合、特定の物件だけを根拠に「〇〇円が妥当だ」と断定するのは避けましょう。家賃相場には幅があるため、あくまで全体感を示すことが大切です。

 

たとえば、「周辺の募集事例を確認したところ、同条件の物件は〇〇~〇〇円程度で推移しており、平均的に見ても現在の家賃は適正な範囲内であると考えております」といった伝え方が適しています。

 

複数の物件情報を参考にしたことが伝わる表現にすることで、主観ではなく客観的な判断であることを示せます。

2. 建物の状況(設備の不具合など)

 

建物や設備の状態を理由にする場合は、管理不全を責めるような言い方は避けましょう。重要なのは、問題提起ではなく「情報共有」として伝える姿勢です。

 

たとえば、「共用部の清掃状況や、オートロックの不具合など、以前から気になっている点があります」と現状を冷静に述べたうえで、「家賃改定をご検討いただく前に、これら住環境の改善についてもご相談できないでしょうか」と続けてみましょう。

 

実際には、貸主側が細かな不具合を把握していないケースも多いため、建設的な対話につながりやすい理由のひとつです。

3. 長年の居住実績と継続の意思

 

長期入居の実績は、交渉材料として非常に有効です。「〇年間、家賃の滞納もなく大切に住まわせていただいております」と事実を伝えたうえで、「今後も継続して居住したいと考えております」と意思を添えましょう。

 

貸主にとって、入居者の入れ替わりは原状回復費用や空室期間のリスクを伴います。そのため、安定して長く住んでくれる入居者は大きなメリットです。

 

このように、「こちらの希望」だけでなく、「貸主側にとってのメリット」も意識した理由の書き方をすると、交渉が前向きに進みやすくなります。

 

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家賃値上げの交渉は、必ずしもこちらの希望どおりに進むとは限りません。しかし、交渉が難航したからといって、すぐに諦める必要はありません。

 

状況に応じた対処法を知っておくことで、無用なトラブルを避けながら次の一手を選べます。ここでは、交渉がうまくいかない場合の対応策と、合意に至ったあとに行うべき手続きについて解説します。

 

通常のメールや書面でのやり取りを続けても回答が得られない場合や、繰り返し値上げを迫られる場合には、「内容証明郵便」の利用を検討するのもひとつの方法です。

 

内容証明郵便とは、「誰が・いつ・どのような内容の文書を送ったか」を郵便局が公的に証明してくれる郵送方法です。

 

これを送付することで、相手に対して「正式に意思表示をしている」という強いメッセージを伝えられます。

 

法的手続きの前段階として認識されることが多く、管理会社側も軽視できなくなるため、交渉の態度が軟化する可能性もあります。

 

ただし、関係性が緊張しやすくなる手段でもあるため、あくまで最終手段として位置づけるのが望ましいでしょう。

 

管理会社の対応が高圧的で精神的に負担を感じる場合や、自分で交渉を続けることに不安がある場合は、無理をする必要はありません。専門家に相談することで、状況が整理されることもあります。

 

弁護士に依頼すれば、借地借家法などの法的観点から適切なアドバイスを受けられ、交渉の窓口を任せることも可能です。

 

初回相談を無料で受け付けている法律事務所も多いため、まずは情報収集のつもりで相談してみるのもよいでしょう。

 

また、近年では賃貸トラブルに特化した交渉代行サービスも登場しています。弁護士より費用を抑えられるケースもあり、「専門家に任せたいがコストは抑えたい」という方にとって有力な選択肢となります。

 

交渉の結果、家賃の据え置きや一部値上げなどで合意に至った場合でも、口約束だけで終わらせてはいけません。必ず合意内容を文書に残すことが重要です。

 

覚書(または合意書)には、以下のような内容を明確に記載します。

 

  • 合意した家賃額
  • 適用開始日
  • 次回更新時の取扱い

 

双方が署名・押印した書面を保管しておくことで、後々の認識違いやトラブルを防げます。

 

特に、担当者が変更になった際、「そのような約束は聞いていない」と言われるリスクを避けるためにも、書面化は欠かせません。

 

覚書は入居者・貸主双方にとっての安心材料となるため、必ず取り交わすようにしましょう。

 

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家賃値上げは、通知が来たからといって必ず従う必要はありません。まずは相場を調べ、メールや書面で冷静に「据え置き」を希望する旨を伝えましょう。

 

今回紹介した例文を活用し、感情的にならずに交渉を進めてみてください。

 

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