部屋探しを始めるときには、無理なく支払える家賃の上限を決めてからスタートするのがコツです。4人家族で賃貸物件に住む場合、家賃はどのくらいが適切なのでしょうか。
今回は4人家族に適した物件を対象に、さまざまなエリアの家賃相場をご紹介します。そのうえで、一例として、家賃10万~20万円で実際に借りられる物件の特徴や間取り例を詳しく見ていきましょう。
ファミリー向け物件2LDKの物件3LDKの物件
4人家族で必要になる平均家賃の目安

家賃を決める要素のうち、特に大きな影響を与えるのは「立地」と「広さ」です。4人家族に適した広さは、子どもの年齢によっても異なりますが、間取りでいえば「2LDK~3LDK」が妥当といえます。
まずは、LIFULL HOME’Sの「家賃相場」を基に主要都市における2LDK・3LDKの家賃相場を見ていきましょう。
エリア別家賃相場
エリア | 2LDK・3K・3DK | 3LDK・4K・4DK |
|---|---|---|
北海道札幌市(中央区) | 10.41万円 | 16.57万円 |
宮城県仙台市(青葉区) | 13.08万円 | 15.41万円 |
埼玉県さいたま市(浦和区) | 18.21万円 | 19.46万円 |
千葉県千葉市(中央区) | 12.97万円 | 17.29万円 |
東京都渋谷区 | 36.82万円 | 43.38万円 |
東京都八王子市 | 17.94万円 | 19.94万円 |
神奈川県横浜市(西区) | 23.50万円 | 26.46万円 |
愛知県名古屋市(中区) | 15.56万円 | 18.08万円 |
大阪府大阪市(西区) | 23.33万円 | 28.85万円 |
岡山県岡山市(北区) | 9.34万円 | 12.62万円 |
福岡県福岡市(博多区) | 13.02万円 | 14.32万円 |
沖縄県那覇市 | 16.22万円 | 16.05万円 |
※2025年3月26日時点、LIFULL HOME’S「家賃相場」で駅徒歩10分以内にある物件の平均賃料を軸に算出
首都圏を中心に、家賃相場は年々高まっており、東京都渋谷区では2LDKでも35万円を超える水準となっています。また、首都圏近郊エリアや名古屋・大阪の中心部では、2LDKで15万~24万円程度、3LDKで18万~29万円前後と、高額になる傾向が見られます。
総合的に見ると、2LDKと3LDKでは家賃水準に5万円近くの差が生まれており、どちらの間取りを求めるかで毎月の支出は大きく変わってしまうでしょう。4人家族にとっては、「広さや部屋数を優先して3LDKに住む」か、「家賃の安さや立地を優先して2LDKに住む」かが、重要な選択肢といえそうです。
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手取り額から見た家賃の捉え方

家賃について考えるときには、自身や世帯の手取りから無理なく捻出できる金額を割り出すことが大切です。一般的に、適切な家賃の上限額は「手取りの3割程度」が目安とされています。
たとえば、月の手取り額が40万円だった場合、家賃上限の目安は「12万円程度」となります。ただし、どの程度の金額を家賃に充てられるかは、ライフスタイルなどによって変わるので注意が必要です。
たとえば、「旅行や趣味にもお金をかけたい」「教育費の貯蓄に力を入れたい」といった方は、もう少し低い家賃設定で部屋探しをスタートするとよいでしょう。家賃は毎月必ず発生する固定費であるため、できるだけ金額を抑えられるように部屋探しを工夫することが大切です。
〈東京都心通勤圏内〉家賃別の間取り例を紹介

冒頭でも触れたように、家賃は住みたいエリアによって大きく変わってしまいます。そのため、家賃の上限を設定したら、どのエリアに住みたいのかを明確にしましょう。
細かな条件を決めるのは、家賃と居住エリアが決まってからのほうがスムーズです。
リサーチには「通勤・通学時間から探す」機能が便利
今回は、「東京都心に通勤する方」をモデルケースにして、LIFULL HOME’Sで物件検索を行い、家賃別・エリア別に実在する物件の間取り例をご紹介します。なお、調べ方については、LIFULL HOME’Sの「通勤・通学時間から探す」という機能を使い、以下の条件に当てはまるエリアに限定しました。
検索条件
- 最寄り駅から東京駅まで電車で30分以内
- 乗り換え回数1回以内
検索時は3駅まで同時に指定できるので、「夫婦で別々のエリアに出勤する」というケースでも、条件に合った物件を簡単に調べられます。
家賃10万円のケース
家賃10万円となると、4人家族向けの物件の家賃水準から言えば、かなり低めの設定となります。そのため、東京都心に30分以内で通える距離となると、選択肢はかなり限られてくるといえるでしょう。
上記の条件で家賃10万円以下の物件を検索すると、ヒットする情報のほとんどは1R・1Kの1人暮らし向けの物件です。しかし、「広い順」で並び替えれば、4人家族で住める物件を見つけることも不可能ではありません。
ただし、家賃と立地条件のバランスを考えると、広さや設備などの条件にはある程度妥協することも重要です。
■荒川区の2LDK
物件の概要は次のとおりです。
- 家賃:9万円
- 間取り/広さ:2LDK/約50m2
- 立地:最寄り駅まで徒歩5分
- 築年数:39年

広さが50平米前後であることから、4人家族で住むにはやや手狭に感じられる場合もありますが、駅までの距離や東京駅までのアクセスに優れているのが大きな魅力です。
家賃15万円のケース
家賃上限を15万円にまで広げると、物件の選択肢にも幅が生まれます。
■広さを重視した例:江戸川区の3LDK
広さを優先して検索すると、次のような物件が見つかりました。
- 家賃:12万5,000円(管理費込み)
- 間取り/広さ:3LDK/約70m2
- 立地:最寄り駅まで徒歩3分
- 築年数:52年

築年数が経過している点と、各居室がやや小ぶりなところに目をつぶれば、4人家族でも十分快適に生活することができます。東京駅までのアクセスと家賃のバランスを考えると、有力な選択肢といえるでしょう。
■築年数を重視した例:江戸川区の2LDK
一方、築年数が新しい順に調べると、家賃15万円に設定しても上記の条件に該当する物件のほとんどは1人暮らし用のものです。2LDK以上の場合は、比較的新しいものに限定したとしても、築25年以上が妥当なラインといえるでしょう。
- 家賃:13万5,000円(管理費込み)
- 間取り/広さ:2LDK/約56m2
- 立地:最寄り駅まで徒歩3分
- 築年数:28年

家賃20万円のケース
家賃20万円以内に設定すると、一戸建てなどの広い物件も十分視野に入ります。
■広さを重視した例:北区の4LDK一戸建て
たとえば、上記の条件で調べると、次のような物件が見つかりました。
- 家賃:16万5,000円(管理費込み)
- 間取り/広さ:4LDK/約79m2
- 立地:最寄り駅まで徒歩7分
- 築年数:37年

4LDKの間取りであれば、家族それぞれが個室を持てるため、プライバシーの確保には特に問題がありません。LDKと水回りを1階に集約しているため、パブリックスペースとプライベートスペースを分けやすいのも特徴です。
■築年数を重視した例:荒川区の2LDK
築年数を重視して探すと、家賃20万円であれば新築の2LDKに住むことも可能です。
- 家賃:19万6,000円(管理費込み)
- 間取り/広さ:2LDK/約57m2
- 立地:最寄り駅まで徒歩2分
- 築年数:新築

立地条件と家賃上限が決まったら、どの条件を重視したいかを明確にするためにも、家族で話し合いの場をつくるとよいでしょう。
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部屋数が足りないときに工夫できるポイント

今回ご紹介したように、家賃は部屋数によっても大きく変動します。「貯蓄のために家賃を抑えたい」「立地や築年数を重視したい」という場合は、少し手狭な物件でも快適に生活できるようなコツを押さえておくとよいでしょう。
パーテーションを活用する
家族の人数に対して部屋数が不十分な場合は、パーテーションの活用を検討してみましょう。たとえば、もっとも広い居室を子ども部屋にして、中間をパーテーションや背の高い収納棚で区切れば、部屋は共有しながらも、子どもそれぞれの空間を確保することができます。
大きめのダイニングテーブルを採用する
子ども部屋を共有させる場合は、省スペース化を図るために、「学習机を置かない」あるいは「1つの学習机を共有してもらう」ことも検討してみましょう。リビングに大きめのダイニングテーブルを設置すれば、どちらかはダイニングテーブルで勉強ができるため、子ども部屋を広く使えるようになります。
この場合は、「学習机は受験期の子を優先に使ってもらう」「小さなうちはリビングでの学習を定着させる」など、無理なくシェアできるような仕組みを取り入れるのがポイントです。
布団や2段ベッドを検討する
部屋数が足りない場合は、ベッドを置くとどうしてもスペースを圧迫してしまうので、出し入れが簡単な布団を採用するのがおすすめです。ベッドを使う場合は、2段ベッドやロフトベッドなど、縦の空間を有効活用できるタイプを選ぶとよいでしょう。
記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。
Q:2LDKと3LDKで家賃相場はどのくらい変わる?
A:データから総合的に見ると、ほとんどの地域で5万円以上の開きが生まれます。4人家族が物件を借りる場合は、広さをとって3LDKに住むか、節約や好立地のために2LDKに住むかが重要な選択肢となるでしょう。
Q:家賃の上限はどのように決めるべき?
A:基本的には、世帯における手取りの3割以内を目安に設定すると、無理のない金額を割り出しやすいとされています。ただし、ライフスタイルや価値観によっても妥当な金額は異なるので、生活費を含めた細かなシミュレーションが重要です。
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