賃貸物件に暮らす場合、賃貸人(大家さん)や管理会社と良好な関係を築くことが重要です。意思疎通や賃貸物件のルールの理解が足りていない場合、思わぬトラブルに発展してしまうことがあります。快適に暮らすためにも、入居前後のトラブルは可能な限り避けたいところですよね。
この記事では、これから引越しを検討している人のために「賃貸物件でよくあるトラブル事例」を入居前後のケースに分けて解説します。また、記事の最後に解説する「トラブルを防ぐ方法」を参考にすれば、万が一トラブルが起きた際に適切に対応できるようになるでしょう。快適な暮らしを手に入れるために、ぜひ参考にしてみてください。
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賃貸借契約の「入居前」によくあるトラブル

賃貸人との「意思疎通」や、契約に必要な「書類の準備」ができていない場合、トラブルに見舞われてしまうことがあります。ここでは、賃貸借契約前に起こりがちなトラブルについて解説します。
入居申し込みの取消ができない
入居申込書を提出した後に、以下のような理由から申し込みを取り消したいケースがあります。
- より良い物件が見つかった
- 引越すのをやめた
- 転勤がなくなった
この場合、賃貸借契約書にサインをしていなければ、申し込みの取り消しが可能です。さらに、申込金など契約前に支払っている費用があっても、返金してもらうことができます。
管理会社や賃貸人によっては、申し込みの取り消しや申込金の返金を拒否するケースがありますが、このような行為は宅地建物取引業法によって禁止されています。
一方、すでに賃貸借契約を交わした後のキャンセルは「解約」扱いとなります。つまり、申込金はもちろんのこと、初期費用も基本的に返還されません。さらに、契約内容によっては「短期違約金」が発生することもあるため注意が必要です。
ただし、初期費用のうち敷金と火災保険料は戻ってくる可能性が高いです。それ以外の前家賃や礼金、仲介手数料などは返金されないものと考えておきましょう。
いずれにしても、このようなトラブルを避けるために、申し込み前に「入居取り消しの可否」や「取り消し可能な期日」などを確認しておきましょう。
事前に説明がない費用を請求される
初期費用の項目は物件ごとに異なります。そのため、事前に説明を受けていない費用を請求され、「予算を大幅に超えてしまった」というケースも見られます。これは、賃貸人や管理会社との意思疎通がうまくできていない場合に起こりやすいトラブルです。
たとえば、初期費用として以下のような費用を求められることがあります。
- 退去時のクリーニング費用(前払いの場合)
- 火災保険料
- 仲介手数料
初期費用の内訳は、物件紹介時や内見時に詳しく説明されないこともあります。そのため、内見時や契約前に、どういった初期費用(契約時の費用)が発生するのかを確認しておくことが大切です。
契約に必要な書類を用意できず入居日が遅れる
契約時にはさまざまな書類を用意する必要があります。たとえば、以下のような書類です。
- 免許証などの身分証明書
- 収入証明書(源泉徴収票など)
- 印鑑証明書
- 住民票の写し
- 金融機関の印鑑
- 連帯保証人の身分証等
賃貸借契約では、印鑑証明書や住民票の写しなどの「公的書類」の準備が必要になります。役所で取得する場合は、窓口の開いている曜日や時間が限られるため、スケジュールに余裕を持って準備することが重要です。
また、初期費用も契約前に支払うのが一般的です。契約時までに初期費用の入金や必要書類の準備ができない場合は、鍵を受け取れないため入居できません。どうしても契約までに準備が整わない場合は、早めに管理会社に相談しましょう。
なお、書類に関しては原本を後日届けることを条件にして、ファクスやメールなどで先に送っておけば、柔軟に対応してもらえるケースがあります。
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賃貸借契約の「入居後」によくあるトラブル

ここからは、入居から退去の際によくあるトラブルについて解説します。以下で紹介する内容をあらかじめ理解しておけば、入居後のトラブルを軽減することができるでしょう。
近隣住民との騒音トラブルが発生する
入居後には「賃貸物件における生活ルール」を守らなければなりません。ルールを守らなければ、近隣住民との間で大きなトラブルに巻き込まれる可能性があります。
近隣住民との間で起こりやすいトラブルの一つが「騒音トラブル」です。アパートやマンションなどの集合住宅の場合、上下左右の部屋が接しているため、隣の部屋から生活音が聞こえやすくなります。
たとえば、以下のような原因から騒音トラブルに発展する可能性があるでしょう。
- 早朝や深夜の洗濯機の音
- 子どもの足音
- 建具を開け閉めする音
- 複数人での食事会や飲み会
自分が騒音の原因をつくってしまうこともあれば、近隣住民の生活音を騒音と感じることもあります。騒音に困った場合は直接注意するのではなく、賃貸人や管理会社から注意喚起してもらうよう依頼しましょう。
逆恨みから事件に発展してしまう例もあるため、直接注意することは避けた方が無難です。
備え付け設備の故障・不具合が発生する
築年数が古い物件の場合、備え付けられている設備に不具合や故障が発生することも珍しくありません。設備の修繕費用は賃貸人が負担すべきものと、賃借人(契約者)が負担すべきものがあり、その違いを理解してないことでトラブルに発展してしまうことがあります。
賃貸人、賃借人が負担するものの一例を以下にまとめました。
賃貸人が負担するもの | 賃借人が負担するもの |
|---|---|
・エアコン ・食洗器 ・給湯機 ・上下水道設備 ・排水管 ・エントランスや共用部の電球 ・郵便ポスト | ・自分で設置したエアコンなどの設備 ・故意に壊した設備 ・故意に汚した壁や床 |
一般的に、室内設備や共用部分の修繕費用は賃貸人の負担となります。しかし、給湯機をたたいて破損させたり、タバコのヤニで壁を汚したりした場合は「賃借人負担」となるため注意が必要です。
契約書の内容を確認し、どの範囲まで費用負担すべきか分からない場合は、賃貸人や管理会社に確認することをおすすめします。
解約時の精算に折り合いがつかない
賃貸物件の解約時には、退去時清算金でトラブルになることがあります。これは、入居前からある傷や汚れを「賃借人がつけたもの」と判断されてしまうケースがあるためです。
退去時精算金は、以下の計算式で求められます。
敷金―賃借人による修繕費用=退去時精算金(退去後に戻ってくる費用)
賃借人による修繕費用とは、賃借人が故意につけた傷・汚れ・設備の破損などの復旧にかかる費用のことですが、入居前のものも含めて計算されてしまうことがあるため注意しましょう。
入居前の傷や汚れであることを証明するには、入居時に部屋の写真を撮り、賃貸人や管理会社と共有するなどして記録を残しておくことが重要です。
また、入居中についた傷や汚れだとしても、それが「自然損耗」や「通常損耗」と呼ばれるものであれば、賃借人の修繕負担ではなく賃貸人の修繕負担となります。
自然損耗・通常損耗は、以下のようなものが該当します。
自然損耗・通常損耗の例
- 日光による床や壁の日焼け
- 畳の色あせ
- 家具や家電による床のへこみ
そのため、退去時精算金が少ない、あるいは追加で修繕費用を徴収された場合は、それがどのような損耗に該当するのかを賃貸人や管理会社に確認するようにしましょう。
契約更新時に家賃の値上げを通告される
契約を更新する際に、家賃の値上げを通告されるケースがあります。家賃の値上げは正当な理由があれば可能であることが、「借地借家法第三十二条」で定められています。
正当な理由とは、以下のような内容です。
- 不動産の資産価値が上昇した場合
- 景気がよくなり物価自体が上昇した場合
- 相場よりも現時点での家賃が安い場合
つまり、入居後に経済状況がよくなることで「物」自体の価値が上昇すれば、賃貸人は家賃を上げることが可能です。しかし、家賃の値上げは賃貸人と賃借人の双方に同意がなければ実行できません。
家賃の上がり具合によっては支払いが難しくなることもあるでしょう。値上げに納得できない場合は、退去も含め賃貸人と話し合いましょう。

賃貸借契約におけるトラブルの発生を防ぐには?

ここでは、賃貸借契約において発生し得るトラブルを防ぐ方法について解説します。誰でも簡単に実践できるため、賃貸借契約や入居する前に試してみてはいかがでしょうか。
不明点があれば理解できるまで質問する
賃貸借契約時には、管理会社から「契約内容」や「重要事項」の説明を受けます。その際、分からないことがあれば、納得するまで質問することが重要です。内容を理解できないまま契約を締結すれば、入居後にトラブルに発展してしまう可能性があります。
専門用語が分からないときは、「不動産用語を解説してください」「この法律はどんな内容ですか」など、遠慮せずに質問しましょう。不明点をしっかり解消してから契約することが何より大事です。
入居前の内見で不具合がないか確認する
入居前の内見では、細かな室内状況をチェックすることが重要です。たとえば、以下の点を確認するようにしましょう。
- ドアや窓の建て付け
- キッチンやお風呂の水漏れの有無
- 壁や床の大きな傷やシミ
内見時には、間取りや部屋の広さなどに意識が向きがちですが、実際に窓を開けてみると建て付けが悪い場合があります。また、パッキンの破損による水漏れや、大きな傷・シミが壁や床についている場合もあるでしょう。
こういった問題を放置していると、退去時に修繕費として請求されてしまう可能性があります。そのため、入居前に部屋の隅々まで確認して、傷やシミなどがあればあらかじめ賃貸人や管理会社に伝えることが大切です。
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まとめ

賃貸物件では、さまざまなトラブルがつきものです。今回紹介した内容を理解したうえで行えば、トラブルの発生を少しでも減らせるでしょう。
契約した後に解決しようとしても、契約書の内容によっては改善できないトラブルもあります。内見時や契約前に、住む部屋の状態や契約内容を納得するまで確認することが重要です。
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