2024年1月、石川県能登地方を中心に大きな被害を出した能登半島地震が発生したことで、あらためて自然災害の恐ろしさを認識させられた人も多いのではないでしょうか。日本は地震や津波以外にも、大雨による土砂災害や洪水、高潮など、常に自然災害のリスクにさらされています。

そんな自然災害のリスクに備えるべく、エリアごとに想定される被害を地図に落とし込んだものが「ハザードマップ」です。

各自治体が作成しているハザードマップを活用することで、災害発生時に迅速な避難が可能となります。また、事前に災害が発生しやすい箇所を把握しておけば、災害への備えを十分に行えるでしょう。

今回は、住まい探しの際にも役立つハザードマップの確認方法と見方について解説します。

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ハザードマップとは、被害が想定される区域・被害度、災害発生時の避難場所や推奨される避難ルートなどを落とし込んだマップのことです。土地の特徴、過去の災害履歴などをもとに国土地理院がまとめた防災地理情報をベースに、国や自治体が中心となって作成しています。

 

2011年の東日本大震災では、想定をはるかに超える大津波が沿岸部を襲った結果、大災害にも耐えられると期待された巨大堤防すら、崩壊してしまいました。過去何度も津波に襲われたことがある三陸地方では、数多くの犠牲者や行方不明者を出す事態となっています。

 

これを受けて、国や自治体は「大災害から人命を守るには何よりも避難対策が重要である」という考えに立ち返り、ハザードマップの重要性が見直されることになりました。

 

ハザードマップは、地域ごとに発生リスクの高い災害に合わせてつくられています。主なハザードマップの種類は次のとおりです。

ハザードマップの種類

確認できる情報

洪水ハザードマップ

河川氾濫時に想定される浸水域や浸水の深さ、避難場所

内水ハザードマップ

下水道などの排水能力を超えるような大雨が降ったときに想定される浸水域や浸水の深さ

高潮ハザードマップ

台風等で高潮が発生したときに想定される浸水域や浸水の深さ

火山ハザードマップ

火山噴火が発生したときに各種被害がおよぶと推定されるエリア

津波ハザードマップ

津波が発生したときに想定される浸水域や浸水の深さ

土砂災害ハザードマップ

土砂災害の発生リスクが高い地域、および想定される土砂災害の種類

ため池ハザードマップ

大雨や地震などでため池が決壊したときに想定される浸水域や浸水の深さ

震度被害(揺れやすさ)マップ

地震発生時に想定される地域ごとの揺れの大きさ

上記のハザードマップがすべての地域で作成されているわけではありません。たとえば、中心部を河川が流れる自治体であれば洪水ハザードマップ、都市部の人口密集地であれば内水ハザードマップといったように、地域で起こりうる災害に対応したハザードマップが作成されています。

 

なお、2020年8月の宅地建物取引業法施行規則改正により、賃貸物件を含む不動産取引時、重要事項説明において、水害ハザードマップ(洪水、内水、高潮)での物件所在地の説明が義務化されています。

 

そのため、自身が住む地域が被害想定区域に入っていなくても、ハザードマップ上に所在地が含まれている場合には説明を受けられるでしょう。

 

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ハザードマップは、国土交通省が公開している「ハザードマップポータルサイト」にて無料で確認できます。このポータルサイトでチェックできるハザードマップは、大きく分けて「重ねるハザードマップ」と「わがまちハザードマップ」の2種類です。

 

「重ねるハザードマップ」は、国土交通省が提供しており、洪水や内水氾濫、津波、土砂災害による被害が想定される区域に関する情報に加え、災害ごとの指定緊急避難場所の情報、道路防災情報などを、実際の地図に重ねて確認できるハザードマップです。なお、同マップはパソコンだけでなく、スマートフォンからも確認可能であり、洪水や土砂災害など異なる災害の被害想定をひとまとめに確認できます。

 

また、標高・地形、土地の特徴・成り立ち、自然災害伝承碑なども重ねて表示できるため、「なぜその地域で災害による被害が想定されるのか」という背景も併せて理解できます。

 

「わがまちハザードマップ」は、自治体が独自に作成したハザードマップであり、地域において発生リスクが高いとされる災害ごとにマップが用意されています。現在住んでいる場所や引越し先の細かな災害リスクを確認したいときに役立つでしょう。なお、同マップは自治体窓口で配布されているほか、自治体によってはpdf形式でインターネット上からダウンロードできる場合もあります。

 

また、国土交通省が公開している「不動産情報ライブラリ」でも、洪水浸水想定区域や津波浸水想定、避難施設の位置などを確認できます。

これらの情報を活用し、災害リスクについて把握しておきましょう。

次に、「重ねるハザードマップ」「わがまちハザードマップ」のそれぞれの見方を解説します。今回は一例として、ハザードマップの運営元である国土地理院が位置する「茨城県つくば市北郷1」の災害リスクを確認する前提で、実際にハザードマップを調べてみましょう。

まずは、重ねるハザードマップの見方を順番に沿って確認します。

 

  1. ハザードマップポータルサイト」にアクセスする

検索サイトで「ハザードマップ」と検索すれば一番上に表示されます。

 

2.「重ねるハザードマップ」の「住所から探す」に調べたい地点の住所を入力する

パソコンの場合は画面左側、スマートフォンの場合は上部に「重ねるハザードマップ」が表示されます。「住所から探す」の検索窓に調べたい地点の住所(今回は「茨城県つくば市北郷1」)を入力して、検索ボタンを押してください。なお、GPS機能をオンにしている場合は「現在地から探す」で表示することも可能です。

 

3.マップ画面左上に表示される災害種別アイコンから確認したいものを選ぶ

検索した地点の地図とともに、災害種別のアイコンが表示されます。表示される災害種別は次のとおりです。

  • 洪水・内水
  • 土砂災害
  • 高潮
  • 津波
  • 道路防災情報
  • 地形分類

選択した災害種別に関する被害想定がある場合、地図上に色分けされて表示されます。なお、同時に複数の災害種別を重ねての表示も可能です。

 

4.「すべての情報から選択」より各情報を選択して表示する

下の「すべての情報から選択」ボタンをクリックすると、災害リスク情報や道路防災情報のほか、次のような情報も重ねて表示できます。

  • 指定緊急避難場所
  • 航空写真
  • 標高・地形
  • 土地の特徴・成り立ち
  • 自然災害伝承碑
  • 過去の代表的な災害事例

次に、ハザードマップポータルサイトから「わがまちハザードマップ」を確認する際の見方を解説します。ここでも「茨城県つくば市」の情報を検索してみましょう。

 

1.「ハザードマップポータルサイトにアクセスする
重ねるハザードマップと同様に、検索サイトで「ハザードマップ」と検索すると一番上に表示されます。

 

2.「わがまちハザードマップ」で調べたい都道府県・市区町村・ハザードマップの種類を選択する

パソコンでは画面右側、スマートフォンではスクロールして「重ねるハザードマップ」の下側に表示されます。プルダウンメニューで都道府県と市区町村を選択し、調べたいハザードマップの種類を選択して「この内容で閲覧」ボタンをクリックします。

 

3.リンク先の自治体ホームページからハザードマップを確認する

調べたい自治体が選択した種類のハザードマップを作成している場合、自治体のハザードマップ公開ページが表示されます。

 

今回の「茨城県つくば市」の例では、「洪水ハザードマップ」が用意されているため、つくば市Webサイト「災害ハザードマップ」のページが表示され、市内を流れる河川別の洪水想定区域図をPDFで確認可能です。

洪水ハザードマップを確認しながら物件探しをしたい場合、LIFULL HOME’Sの「地図から探す」を活用するのもおすすめです。使い方について、「パソコン」「スマホ」に分けて見ていきましょう。

 

【パソコンでの使い方】

1.LIFULL HOME’Sトップページにアクセスする

2.「住まいを探す」メニューより「地図から」を選択する

3.調べたい物件種別を選択する

4.調べたい都道府県を選択する

5.物件の検索条件を選択して「該当物件を表示する」ボタンをクリックする

6.マップ画面の右上にある「洪水リスク」を「on」に切り替える

 

【スマートフォンでの使い方】

  1. LIFULL HOME’Sトップページにアクセスする
  2. 上部の「借りる」「買う」のメニューから物件種別を選択する
  3. 調べたいエリアを地方・都道府県の順に選択する
  4. 検索方法で「地図から探す」を選択する
  5. マップ画面の右下にある「地図の種類」ボタンをタップする
  6. 地図の種類で「洪水リスク」を選択する

洪水による浸水域と想定される浸水の深さを地図上で確認できるため、物件の水害発生リスクが一目で分かります。都心部や河川などのあるエリアで住まいを探す際は、ぜひ活用してください。

ハザードマップは、その地域における洪水や津波などの自然災害によるリスクを直感的に確認できる便利なツールです。日本では、いつどこにいても自然災害に巻き込まれるリスクがあります。「重ねるハザードマップ」や「わがまちハザードマップ」などを活用し、いざというときに備えるようにしましょう。

 

また、洪水や内水氾濫によるリスクを確認しながら住まいを探したいのであれば、LIFULL HOME’Sの地図検索機能を活用してみてはいかがでしょうか。

 

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