一人暮らしの高齢者が家族にいる場合、加齢に伴う判断能力の低下などにより、お金の管理に不安を覚えることもあるでしょう。
認知症などが進行してしまうと、家賃や水道光熱費といった生活に必要な費用の支払いにも支障をきたすことがあります。家族としてどのようなサポートができるのか、あらかじめ知っておくことが大切です。
この記事では、老後の必要資金や高齢者のお金の管理をサポートする制度などを解説します。
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高齢になるとお金の管理が難しくなる

一般的に、高齢になると思考能力や判断能力が低下するといわれています。高齢者の一人暮らしの場合、加齢とともにお金の管理を自分で行うことが難しくなるケースがあり、その際には家族や外部のサポートが必要になります。
認知症などが進行してしまうと、家賃や水道光熱費といったライフラインに関する支払いをきちんと行えなかったり、高齢者を狙った詐欺や勧誘などに引っかかってしまったりする恐れもあります。
また、毎月の支出が年金などの収入を上回ってしまい、経済的な不安を抱えることも少なくありません。
高齢者の場合、経済的な不安があっても、健康面や体力面から働くことができない場合が多いため、必要なサポートを周りが行っていくことが大切になります。
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老後の暮らしに必要なお金の目安

総務省が公表している2023年度「家計調査 家計収支編」によれば、65歳以上の単身世帯の1ヶ月の消費支出は14万9,033円です。単純計算で、年間で約180万円の生活費が必要となります。
一方、収入となる年金の受給額は2024年度時点で、国民年金(老齢基礎年金)は満額で月額6万8,000円です。
また、会社員で厚生年金に加入している場合、厚生労働省の2022年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均的な受給額は14万4,982円(国民年金も含む)とされています。
仮に、収入が国民年金だけだった場合、毎月約8万円の不足が生じることになります。
賃貸か持ち家かによっても暮らしの負担は変わる
また、居住形態が賃貸住宅か持ち家なのかによっても、毎月の暮らしの負担は違ってくるでしょう。
賃貸の場合、家賃負担が重くなっているのであれば、より家賃の安い物件への住み替えを検討することも必要です。持ち家であっても、管理が負担となっているのであれば、生活実態に合わせて賃貸に住み替えるのもひとつの方法です。
住み替えの際は経済面だけでなく、暮らしの安全性や利便性も考慮しましょう。バリアフリーに配慮された住宅か、通院や介護サービスの利用がしやすい地域かどうかなどがポイントとなります。

一人暮らしの親の金銭管理をサポートしてくれるサービス

頼れる親族が身近にいれば、ある程度日常的にサポートすることは可能です。しかし、実際には子どもが遠方に住んでいるなどして、家族が日常的に親をサポートできないケースは珍しくありません。
そのような場合には、高齢者のお金の管理をサポートしてくれる制度や支援事業を活用してみるのもひとつの方法です。ここでは、主なものを2つ紹介します。
日常生活自立支援事業
都道府県や指定都市にある社会福祉協議会では、「日常生活自立支援事業」と呼ばれる支援を行っています。お金の管理に不安のある高齢者に対して、社会福祉協議会がスタッフを派遣して必要なサポートを行います。
具体的には、預金の出し入れや解約の手続き、日常に必要な生活費の管理などです。訪問1時間あたり1,000円程度で利用できるため、大きな負担とならない点がメリットです。
また、通帳や印鑑などの重要書類を預けることも可能なため、高齢の親を詐欺や悪徳な勧誘などから守ることができます。
援助を担当するのは、社会福祉協議会に所属する社会福祉士や精神保健福祉士などの専門員や、地域から派遣される生活支援員です。
プライバシーに配慮し、十分な安全管理のもと支援を行うため、安心して利用できるといえるでしょう。
家族信託・成年後見(こうけん)制度
家族信託とは、財産を管理するひとつの方法であり、特定の目的(老後の生活、介護資金等)のもと、保有する不動産や預貯金などの資産を信頼できる家族に託し、その管理や処分を任せるための仕組みです。
家族や親族に財産の管理を託すので、高額な費用がかからないのがメリットだといえます。
また、認知症の進行などによって判断能力が低下している場合、成年後見制度を活用する方法もあります。
成年後見制度とは、財産管理や身上監護(介護や福祉サービスの利用契約、施設の入所や入院などの契約の締結)を本人に代わって成年後見人等が行う仕組みのことです。
後見人の選任は家庭裁判所を通じて行うのが通常ですが、保有している財産が少ない場合などは、本人があらかじめ親族のなかから任意の後見人を選ぶことも可能です。制度の開始手続きは、本人や四親等内の親族などが行えます。
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元気なうちに親と話し合っておくことが大事

加齢による判断能力の低下は誰にでも生じるものなので、まだ健康なうちに家族で話し合っておくことが大切です。
子どもや親族が一方的に話を進めてしまうのではなく、高齢者本人としっかりコミュニケーションを取り、双方が納得して進められるようにしていきましょう。
お金の管理を含めて、老後に必要なサポートをあらかじめ把握しておけば、状況に合わせて柔軟に対応できるようになります。
安心して暮らせる住まいをライフステージに応じて見つけてみよう
高齢者が安心して一人暮らしをするには、住まい選びも大事なポイントになります。日々の暮らしにおける不安を少しでも解消できる物件であれば、落ち着いた気持ちで毎日暮らせるはずです。
LIFULL HOME’Sでは、高齢者向けやバリアフリー化された賃貸物件を探すことができます。周辺環境なども踏まえて、生活状況に合わせた物件を見つけましょう。
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記事のおさらい
老後の暮らしに必要なお金の目安は?
総務省が公表する2023年度「家計調査 家計収支編」によれば、65歳以上の単身世帯の1ヶ月の消費支出は14万9,033円となり、年間で約180万円の生活費が必要になると計算できます。ただし、賃貸か持ち家かなどによっても必要な金額は変わります。
日常生活自立支援事業とは?
社会福祉協議会が行う支援事業で、専門員や生活支援員が預金の出し入れや生活費の管理などをサポートしてくれます。利用は有料ですが、1時間あたり1,000円程度で利用できます。
家族信託・成年後見制度とは?
家族信託は財産の管理や処分を信頼できる親族に任せる仕組みのことです。一方、成年後見制度は、原則として家庭裁判所によって選任された後見人が財産管理や身上監護を行う制度のことで、ケースによっては親族が後見人として認められることもあります。それぞれ、かかる費用や支援の範囲が異なります。
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