賃貸物件に暮らしている場合、家賃は毎月の支出の中でも大きな割合を占めます。一般的に「家賃は手取り収入の3割が目安」といわれていますが、世帯年収や生活費によって理想の家賃は異なります。
今回は、手取りの3割を家賃にした場合の生活費のシミュレーションや、家賃設定における注意点について紹介します。
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家賃は手取り収入の3割が理想?

家賃を決めるうえで最も大切なのが、家賃を支払っても生活に余裕があることです。情報サイトなどで「家賃は手取りの3割が目安」と提案されていますが、実はすべての人に当てはまるわけではありません。
手取りとは、厚生年金保険料や健康保険料、雇用保険料、所得税の源泉徴収額、住民税などが天引きされた金額です。仮に、給与から天引きされて手取りが15万円とすると、手取りの3割は4.5万円、残りの生活費は10.5万円となります。
都心部で部屋を借りる場合、「2階以上」「オートロック付き」「駅の近く」といった条件で探すと、10万円以上の物件しか見つからないこともあります。
仮に手取りが30万円でも、3割の9万円で部屋が見つからない可能性があるので、3割以上の家賃の部屋を借りることになります。
「家賃は手取りの3割」というのはあくまで目安として考え、実際に生活費をシミュレーションして家賃をいくらにすべきか検討することが大切です。
家賃の全国平均は月額7万6,059円
国土交通省の2020年度「住宅市場動向調査」(※)によると、月額家賃の全国平均は7万6,059円、賃貸物件に住む世帯収入の平均は486万円でした。
年収に占める家賃の割合は約19%ですが、手取りを額面の80%とすると、毎月の手取り額は32.4万円、手取りに占める家賃の割合は約24%となります。
同調査では「家賃に負担感がある」と回答した人の割合が半数以上(55.1%)となっており、家賃額に不満がある人が多いことが分かります。
※ 国土交通省「令和2年度 住宅市場動向調査 報告書」
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家賃を手取り収入の3割とした場合のシミュレーション

それでは、手取り15万円、20万円、30万円のケースを例に、家賃の目安と生活費のシミュレーションをしてみましょう。総務省統計局の2021年「家計調査」(※)を参考にした想定値ですが、あくまで目安となります。
※ 総務省統計局「家計調査 家計収支編 単身世帯 2021年」
手取り15万円…家賃3割の場合は「月4万5,000円」
家賃 | 4万5,000円 |
|---|---|
食費 | 3万6,000円 |
水道光熱費 | 1万5,000円 |
携帯電話・インターネット | 7,000円 |
衣類・日用品 | 1万4,000円 |
交際費・娯楽費 | 1万円 |
交通費 | 1万円 |
保険 | 8,000円 |
貯金 | 5,000円 |
合計 | 15万円 |
手取り15万円の場合は、家賃を3割に設定すると少し余裕がない印象です。
水道光熱費や食費の値上がりなども考慮すると、交際費や娯楽にかけるお金はさらに少なくなり、貯金をするためには節約を心掛け、家計を切り詰める必要があるでしょう。
家賃・賃料4万円以下の物件手取り20万円…家賃3割の場合は「月6万円」
家賃 | 6万円 |
|---|---|
食費 | 4万円 |
水道光熱費 | 1万5,000円 |
携帯電話・インターネット | 1万円 |
衣類・日用品 | 2万円 |
交際費・娯楽費 | 1万5,000円 |
交通費 | 1万円 |
保険 | 1万円 |
貯金 | 2万円 |
合計 | 20万円 |
手取り20万円で家賃を6万円に抑えられれば、生活にある程度の余裕が生まれます。
ただし、外食が続いたり、趣味や交際費に出費がかさんだりする場合は、貯金できる金額が少なくなるでしょう。そのため、ある程度の節約は必要になります。
家賃・賃料6万円以下の快適物件手取り30万円の場合…家賃3割の場合は「月9万円」
家賃 | 9万円 |
|---|---|
食費 | 5万円 |
水道光熱費 | 1万5,000円 |
携帯電話・インターネット | 1万円 |
衣類・日用品 | 3万円 |
交際費・娯楽費 | 4万円 |
交通費 | 1万円 |
保険 | 2万円 |
貯金 | 3万5,000円 |
合計 | 30万円 |
手取り30万円であれば、生活にゆとりができます。固定費の変動はないと仮定して試算していますが、それぞれの支出項目に余裕が生まれ、貯金額も増えます。
上記の項目以外にも支出項目は考えられるので、あくまで目安として参考にし、自分の実情に合わせてシミュレーションしてみましょう。
家賃・賃料9万円以下の物件家賃を手取り収入の3割に設定する場合の注意点

家賃を決める際は、食費や光熱費など、毎月支払わなければならない生活費を算出し、収入と照らし合わせて金額を決めるのがおすすめです。
たとえば、最初から「家賃は手取りの3割」と決めても、都内などの地価が高いエリアでは住みたい家が見つからず、3~4割以上の家賃額で部屋を借りなければならない可能性があります。
エリアや住む人の家計状況によって、家賃を手取りの3割に設定するのは適切ではない場合があります。
そのため、家賃が収入に占める割合はもちろん、それ以外にかかる支出額もふまえたうえで適切な家賃額に設定し、もし家賃が高くなる場合は他の支出を抑えるなどの工夫をすることを意識しましょう。
また、収入にある程度余裕があっても、もし貯蓄が少ないと、病気やケガなどの急な出費に対応できず、生活のやりくりが難しくなる可能性があります。基準よりも家賃額を低く設定することも視野に入れ、住まい探しをするようにしましょう。
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家賃を抑えるポイント

同じエリアでも、家賃が高い物件もあれば安い物件もあります。家賃に大きく影響する要素は、駅からの距離や交通の便、築年数、広さ、間取り、建物の構造、設備などがあります。
家賃を少しでも抑えるためには、駅から少し歩く場所にある物件や築年数が古い物件などを選ぶのもひとつの方法です。
たとえば、普段ほとんど電車を使わないという人は、駅から遠い場所にある家賃の安い物件を探すのもいいでしょう。物件選びの際には優先順位を決めておくと、希望の条件を満たしつつも安い家賃の物件を見つけることができます。
生活費を抑えるポイント
家賃以外にも、生活費を抑えることで毎月の支出を減らすことができます。
生活費でも大きな割合を占める食費は、外食を控えて自炊をすれば費用を抑えられます。「外食は月に〇回まで」など、ストレスのたまらないように無理のない範囲で設定しましょう。
水道・光熱費については、プロパンガスよりも都市ガスを選ぶこと、お得な契約プランを選ぶことなどがおすすめです。水の出しっぱなしや電気のつけっぱなしは避け、お風呂の残り湯を洗濯に使うなど、日々の生活を見直して続けられることから始めてみましょう。
まとめ
家賃を決める際は、収入や毎月の生活費などからシミュレーションして、適切な金額に設定することが大切です。
「家賃は手取りの3割」はあくまで目安として考え、住むエリアや住まいに求める条件を整理してから物件探しをしましょう。
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更新日: / 公開日:2022.07.08










