部屋を借りるときには、家賃のほかに初期費用を払う必要があります。今回は初期費用の項目のひとつである「礼金」について、「何のために払うお金なのか」「いくらくらいかかるのか」など、知っておきたい基礎知識を解説します。

礼金とは

 

礼金はその名のとおり、「大家さんへのお礼」を込めて渡すお金のことです。

礼金は、かつて賃貸という仕組みがまだそれほど一般的ではなかった頃に、部屋を借りる人が心づけとしてお金を支払っていたことに由来しています。

 

当時は大家さんと部屋を借りる人との距離が近く、困ったときに手助けをしてくれたり、相談に乗ってくれたりする存在でした。そのため、「お世話になります」という意味を込めて、礼金が支払われるようになったといわれています。

初期費用の項目には、礼金と似た「敷金」という費用があります。こちらは、万が一家賃を滞納してしまったときなどに備えて、あらかじめ大家さんに預けておくお金です。また、部屋を借りた人の不注意で部屋にキズやひどい汚れをつけてしまった場合に、その修繕費用へ充てられる費用でもあります。そのため、何も問題がなければ、敷金は退去をするときに返還されるのが特徴です。

 

それに対して、礼金はあくまでもお礼のお金なので、手元に戻ってくることはありません。

敷金礼金0(ゼロ・なし)物件

礼金の目安

 

礼金はもともと慣習として生まれた仕組みなので、法律などで具体的な金額が決められているわけではありません。しかし、おおまかに「いくらくらい」という目安はあります。

礼金は「家賃○ヶ月分」のように、家賃を基に計算されるのが一般的です。物件によっても金額は異なりますが、「家賃0~2ヶ月程度」が目安であり、3ヶ月分以上かかるケースはほとんどありません。

 

たとえば、国土交通省の調査(※)によれば、礼金を徴収している物件のうち、7割近くが「家賃1ヶ月分」と設定しています。

 

(※)「令和2年度住宅市場動向調査報告書

礼金なしの物件

 

賃貸物件のなかには、そもそも礼金がかからない「礼金なし」の物件もあります。ここでは、礼金なし物件の事情や特徴について見ていきましょう。

 

敷金礼金0(ゼロ・なし)物件

最初に説明したように、礼金はあくまでも慣習として生まれた制度であり、現在では大家さんと入居者の関係性にも変化が生まれています。そのため、大家さんによっては、「そもそも礼金を受け取らない」というケースも増えています。

 

また、礼金なしとなる理由のひとつとして、大家さんが「早く入居してほしい」と考えているパターンもあります。そのため、礼金を削ってでも急いで入居してもらうことを優先する場合もあるのです。

賃貸物件のなかには、礼金なしだけでなく「敷金なし」のところもあります。しかし、敷金は退去時の修繕費用に充てるなどの目的があるので、表面上は敷金なしとなっていても、代わりに清掃費がかかってしまう場合があります。

 

一方、礼金は謝礼金なので、費用がかからないのであれば、純粋にその分だけ初期費用が減ると考えて問題ありません。

物件を検索する

 

これまで解説したように、礼金なしの物件は初期費用を安く抑えられるのが魅力です。そこで、最後に礼金なしの物件を効率よく探す方法をご紹介します。

LIFULL HOME’Sのような不動産情報ポータルサイトでは、家賃の範囲や間取りタイプなど、さまざまな条件を細かく指定したうえで物件を絞り込むことができます。費用に関する項目を見つけて、「礼金なし」という条件を指定すれば、礼金がかからない物件だけに絞って部屋の候補を見比べられます。

「敷金・礼金0(ゼロ・なし)の物件特集」もありますので、上手に活用しましょう。

敷金礼金0(ゼロ・なし)物件

部屋を借りる時の礼金

 

  • 礼金はもともとは大家さんへのお礼として支払われていたもの
  • 多くの物件では礼金を「家賃1ヶ月分」以下に設定している
  • 慣習として生まれたルールなので、そもそも礼金をとらない物件も増えている
  • 明確な役割を持つ敷金とは違い、礼金がかからない場合はそのまま初期費用がお得になる
敷金礼金0(ゼロ・なし)物件 家賃・賃料6万円以下の快適物件

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