子育て世帯が賃貸物件を借りるとき、真っ先に気になるのが「騒音トラブル」という人も少なくないのではないでしょうか。

実際のところ、国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」によれば、ご近所トラブルの原因のうち、もっとも大きな割合を占めるのは「生活音」に関するものとされています。

今回は防音性の高い物件を探す方法や、自分でできる騒音対策を解説します。
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子育て世帯

 

マンションやアパートのような集合住宅では、十分に気をつけていても、ある程度の生活音が周りに聞こえてしまうことがあります。特に小さな子どものいる世帯では、騒いだり泣いたりする声が原因で、近隣に迷惑をかけてしまう場面もあるでしょう。

 

そのうえで、特に騒音トラブルの原因になりやすいのが、子どもの足音です。子どもは大人と違って、かかとを先につけて歩くクセがあるため、どうしても足音が大きくなってしまいやすいといわれています。

 

また、ソファやベッドから飛び降りたり、室内で走り回ったりすることもあるため、階下には思っている以上に大きな音が響いている場合があります。

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騒音トラブルを避けやすい賃貸物件の選び方

 

騒音トラブルを避けるためには、部屋探しの段階で、防音性の高い物件を中心に探すことが大切です。ここでは、子育て世帯が部屋探しで意識しておきたいポイントを解説します。

 

賃貸物件の建築構造は、一般的に「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造」の3種類に大別されます。

 

このうち、もっとも防音性に優れているのは、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の物件です。壁や柱、床、梁が鉄筋コンクリートでできており、木造などと比べて壁の密度が高くなることから、室内の音が抜けにくくなるという性質があります。

 

なお、鉄筋コンクリート造はRC造とも呼ばれ、中高層マンションで多く用いられる構造です。鉄骨鉄筋コンクリート造は、ビルなどの大規模な建築物に用いられる構造であり、賃貸物件であれば大型のマンションなどが該当します。

 

どちらも防音性にはそれほど大きな違いがないとされていますが、RC造には壁と床だけで建物を支える「壁式構造」と、柱と梁で建物を支える「ラーメン構造」の2種類があり、壁式構造のほうがコンクリートの厚みがある分、防音性は高くなります。

 

そのため、より高い防音性を求めるのであれば、壁式構造のRC造のマンションを探すのがおすすめです。

 

ファミリー向けの物件を選ぶのも、騒音トラブルを避けるコツです。ファミリータイプの物件には、子育て世帯が多く住んでおり、多少の騒音であれば理解が得られやすい面があります。

 

大規模マンションのなかには、単身者用からファミリー用まで、さまざまな間取りタイプで構成された物件もあるので、そうした物件では子育て中の騒音を理解してもらうのが難しい面もあります。

 

賃貸物件のなかには、フローリングの上にカーペットが敷いてある部屋もあります。カーペットは足音が発生するのを防いでくれるため、階下への音が伝わりにくくなるメリットがあります。

 

また、クッション性のあるフローリングや特殊な合板フローリングなど、防音効果のある素材を使用した物件もあるため、部屋探しの段階でチェックしておきましょう。

 

和室で使用される畳はクッション性が高く、足音を吸収してくれる効果があります。また、万が一、子どもが転んでも衝撃を吸収してくれるので、ケガの予防にもつながるなど、子育て世帯には安心できる環境を整えやすいのです。

 

ファミリータイプのマンションには、リビングに隣接した和室が設けられている物件も多く、子どもから目を離さずに遊ばせられるキッズスペースとして適しています。

 

小さな子どものいる世帯では、足音対策で1階の部屋や階下が共用部分・店舗になっている部屋を選ぶのもひとつの方法です。下の階に気をつかう必要がなくなるだけでも、気が楽に感じられるでしょう。

 

足音以外の騒音を考慮して、窓の防音性にも着目することも大切です。

 

ガラスの種類や厚み、取りつけられている場所や範囲、サッシとの隙間の有無などによって、遮音性には大きな差が生まれます。2人以上で内見ができるなら、1人が室外に出て、室内から音が聞こえるか確かめてみるといいでしょう。

ジョイントマットを敷く

 

騒音トラブルを防ぐためには、物件選びにこだわるとともに、入居後の対策を心がけることも大切です。ここでは、自分でできる手軽な騒音対策方法を紹介します。

 

床の防音性は、市販のジョイントマットを敷くだけでも向上することが多いです。マット自体に厚みがあるので、ある程度衝撃を吸収してくれて、騒音が階下に伝わりにくくなる効果があります。

 

また、通常のマットで効果が薄い場合は、ジョイントマットの下に専用の防音マットを敷くと、騒音・振動のどちらも軽減されやすくなります。

 

室内の声や生活音が窓から外へ抜けてしまう場合には、遮音カーテンを導入することで一定の効果を期待できます。隙間ができないように、十分な長さと幅を持つ遮音・遮熱カーテンを設置すれば、冬場の室温低下も予防できるので一石二鳥です。

 

タンスや本棚などの大きな収納家具は、隣室との間に設置しているだけで一定の防音効果を発揮してくれます。室内の騒音が気になる場合は、隣と接している壁側に背の高い家具を配置するように心がけるといいでしょう。

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引越しの挨拶

 

騒音トラブルは単に音の問題というわけではなく、「顔が見えない相手」「理由が分からない振動」などが重なり合って起こることもあります。そのため、引越し時に挨拶をするなど、近隣と良好な関係を築いておくことも大切です。

 

小さな子どもがいることが分かれば、少なくとも音や揺れの原因は伝わるため、周囲の理解を得やすくなります。また、騒音は人によって感じ方が違うため、どれだけ対策をとっていても苦情を受けてしまう可能性がないとはいえません。

 

そこで、万が一苦情を受けてしまったときの対処法も検討しておきましょう。もし苦情が発生したら、まずは相手の声に耳を傾け、言い分を理解する必要があります。

 

最初のクレームの段階で、相手はそれまでに何度となく騒音に不快感を覚えていた可能性もないとはいえません。そのため、相手がいつ頃から、どのようなタイミングで騒音が気になっていたのかを確認しておくことが大切です。

 

そのうえで、誠実に謝罪の言葉を伝え、「問題を認識したこと」と「改善の努力を心がけること」と伝えましょう。また、騒音対策をして苦情をいわれなくなったとしても、相手には引き続き不満を感じさせてしまっている場合があります。

 

顔を合わせたタイミングで、自分からその後は問題がないかどうかを確認してみると、相手にはこちらが配慮を続けていることが伝わるので、関係性の向上を図りやすくなるでしょう。

子育て世帯

 

  • 子育て世帯では、子どもの足音による騒音トラブルに気をつける必要がある
  • 部屋探しでは、防音性の高い鉄筋コンクリート造やファミリー世帯向けの物件を選ぶほうが安心
  • カーペット敷きの物件や和室のある物件、1階の物件、階下が店舗や共用部分の物件も有効
  • 入居後にできる騒音対策も理解しておく
  • 近隣との関係性をきちんと築いておくことも大切
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