壁の厚さは暮らしやすさにどんな影響を与える？

 

細かな条件にもよりますが、一般的に壁が薄い場合には防音性が低く、周りからの生活音が気になりやすくなってしまう面があります。

 

また、自室からの音も漏れやすくなるため、普段の生活音にはより一層気を配らなければなりません。

 

そのため「生活音に敏感な人」「騒音トラブルが気になる人」「家にいる時間が長い人」「仕事がテレワークの人」などにとっては、壁の厚みが暮らしにおける重要な事項のひとつとなります。

 

一方、壁が薄い物件は一般的に「賃料が安めに設定されている」「デザイン性に建築コストをかけられる」といったメリットもあるため、人によっては魅力を感じることもあるでしょう。

 

このように、壁の厚みによって物件の性質には大きな違いが生まれるため、あらかじめ具体的な影響を把握しておくことが大切です。

物件の構造と壁の厚みの関係性

 

壁の厚さは物件ごとの個別要因によって異なりますが、建物の構造である程度見極めることができます。ここでは、構造と壁の厚さの関係性を詳しく見ていきましょう。

鉄筋コンクリート造

 

鉄筋コンクリート造は、RC造とも呼ばれ、主にマンションなどで採用されます。壁や柱、床、梁などが鉄筋コンクリートでできており、壁の密度が高いため、もっとも防音性に優れた構造とされています。

 

壁の厚みは「15～18cm程度」とされており、これだけの厚みがあれば日常生活で生じる音はほとんど周囲へ聞こえません。

 

なお、高層マンションなどではより耐震性能の高い「鉄骨鉄筋コンクリート造（SRC造）」が用いられますが、防音性については鉄筋コンクリート造とほとんど変わらないとされています。

重量鉄骨造

 

重量鉄骨造とは、厚さ6mm以上の建築用鋼材を使用した建物のことです。

 

骨組みが頑丈であることから、間口を広くとりたい店舗や一戸建て住宅などで用いられる工法であり、一部のマンションでも用いられることがあります。

 

厚さのある建材を使用するため、自然と壁も厚みが増すものの、具体的な目安は「12.5～15cm程度」であり、鉄筋コンクリート造と比べれば周囲へ音が漏れてしまう可能性は高くなります。

軽量鉄骨造

 

鉄骨造のうち、厚さ6mm以下の建材を使用した構造を軽量鉄骨造と呼びます。軽量鉄骨造は材料が軽く、組み立てもしやすいことから、アパートなどでも使用されることが多い構造です。

 

一般的に、軽量鉄骨造は重量鉄骨造よりも壁の厚みが小さくなり、「10～12.5cm程度」が目安とされます。そのため、防音性についてはこれまでに紹介した構造よりも劣ってしまう面があります。

 

一方、建築コストを安く抑えられるため、「築年数の割に家賃が安い」「デザイン性に優れた物件が多い」といったメリットがあるのも特徴です。

木造

 

木造はさまざまな技術が発達していることから、物件ごとに住み心地の条件に大きな差が生まれるのが特徴です。

 

特に、一戸建てのなかには、木材の調湿効果を生かしつつ、耐震性や防音性に優れた設計が施されているなど構造以上に住みやすいと感じられる物件も少なくはありません。

 

ただ、一般的な木造賃貸住宅の場合は、壁の厚みが「10cm程度」とほかの構造よりも薄くなっているところが多いです。

鉄筋コンクリート造の物件 ブロック造・その他の物件

内見で壁の厚みをチェックする方法

 

これまで紹介したように、アパートの場合は軽量鉄骨造や木造のものが多いため、防音性が気になりやすい物件も多くあります。しかし、実際の防音性は構造だけでなく間取りなどの細かな条件によっても異なります。

 

ここでは、内見時に防音性をチェックする方法を紹介します。

1．隣室との玄関ドア同士の距離を確かめておく

 

内見時には、室内に入る前に、玄関ドアの距離を確かめておくことが大切です。部屋が横並びになっている物件の場合は、隣室との玄関ドアの距離である程度壁の厚さを推測できます。

 

極端にドア同士の距離が近い場合には、部屋のつくりによって壁が薄く設計されている場合もあるので、注意が必要です。

2．部屋の真ん中で手をたたいてみる

 

室内の防音性は、内見時に部屋の真ん中で手をたたき、反響音があるかどうかでチェックすることができます。

 

音の響きがきちんと返ってこない場合は、隣室や上下階に音が抜けてしまっており、防音性が十分ではないと判断できるのです。

3．壁を軽くコンコンとたたいてみる

 

壁の材質を確かめるときには、壁を軽くたたいてみるのも効果的です。防音性の高いコンクリート壁の場合は、壁自体に硬さがあり、詰まったような重い音がします。

 

一方、たたいたときに軽い音がする場合には、コンクリートよりも防音性の低い石こうボードや軽量気泡コンクリート（ALC）などが使用されている可能性があります。

 

建物にコンクリートが使用されていても、部分的にはそれ以外の素材が使われているケースもあるので、なるべく四方の壁をチェックしておくといいでしょう。

 

内見時には不動産会社の担当者が同行するので、あらかじめ防音性のチェックをしたい旨を伝えておくと安心です。

4．担当者に隣室との仕切りの厚さを聞いてみる

 

壁の厚みについては率直に、不動産会社の担当者に確認をしてみるのもひとつの方法です。

 

15～18cm程度の厚みがあれば、騒音に悩まされるリスクは小さいと判断できるので、具体的な数字で教えてもらえると安心です。

壁以外の箇所もチェック！ 部屋の防音性に影響を与えるポイント

 

部屋の防音性は、さまざまな条件が重なり合って決まるため、壁だけではなく、その他の箇所もチェックしておくことが重要です。

 

ここでは、防音性を確かめるうえで重要なポイントを見ていきましょう。

窓の防音性を確かめる

 

構造や壁の厚みには問題がないにもかかわらず、室内の音が外に漏れてしまうといった場合には、窓の防音性が低いことが原因であるケースが多いです。

 

窓は外からの騒音が入ってくる箇所でもあるので、あらかじめ立て付けに問題がないか確認しておきましょう。

 

幹線道路や線路沿いなどの物件では、騒音対策のために二重ガラスなどが採用されている場合もあります。外からの騒音が気にならないような工夫がなされているか、内見のタイミングで細かくチェックすることが大切です。

 

また、窓そのものだけでなく、サッシにも目を向けておく必要があります。窓がスムーズに動き、隙間なく閉めきれるかどうかを確認しておきましょう。

ドアの防音性を確かめる

 

ワンルームの場合は、玄関ドアから生活音が漏れてしまうケースもあります。「ドア周りに隙間がないか」「ドア自体の遮音性は十分か」など、玄関ドアの状態を細かくチェックしましょう。

 

また、1K以上の間取りを持つ物件では、室内ドアの立て付けにも注意しておくことが大切です。

部屋の位置を意識する

 

騒音トラブルについて考えるうえでは、部屋のつくりとともに配置にも気を配ることが大切です。たとえば、周囲の騒音に悩まされたくないのであれば、一方に隣室がない角部屋がおすすめといえます。

 

また、階下への足音が気になるなら、1階もしくは下の階が店舗や共用部分になっているところを探すのもひとつの方法です。

 

特に小さな子どもがいる家庭では、足音がトラブルの原因になるケースも少なくないので、有力な選択肢となります。

角部屋の物件 マンション1階の物件

防音性に優れた賃貸物件を探すコツ

 

不動産情報ポータルサイトLIFULL HOME’Sでは、防音性に注目して部屋探しをすることができます。ここでは、大きく3つの方法に分けて紹介します。

構造から探す

 

防音性に着目して物件を選ぶのであれば、「鉄筋コンクリート造」の部屋を探すのが近道といえます。

 

LIFULL HOME’Sでは、耐震・防音に優れた「鉄筋コンクリート造物件」の特集を組んでおり、そこから条件に合った物件を手軽に絞り込むことができます。

条件から探す

 

一般的に、楽器の演奏が認められている物件では、ある程度の防音性が確保されている可能性が高いと考えられます。そこで、「楽器可（相談）の物件」特集から部屋探しをしてみてもいいでしょう。

 

特に楽器の演奏をしたいと考えている場合には、楽器可あるいは楽器相談可の物件を選び、大家さんに許可を取る必要があるので、ぜひ特集を活用してみてください。

分譲賃貸を狙う

 

「分譲賃貸」とは、購入用に建てられた物件を賃貸用として転用した物件のことを指します。通常の賃貸物件と比べて条件や設備などのクオリティが高い物件が多いので、防音性についても期待できます。

 

賃料は通常よりも高くなりやすいものの、理想的な住環境が整えられている物件が多く見つかるので、「分譲賃貸特集」から部屋探しをしてみるのもひとつの方法です。

まとめ

• 壁の厚みは室内の防音性に影響を与える
• 建物の構造によって、ある程度壁の厚みは決まってくる
• 物件によって状況は異なるので、内見時に壁の厚みをチェックする方法を押さえておく
• 壁以外に防音性を左右するポイントには、窓やドア、部屋の配置などが挙げられる
• 防音性の高い物件選びにはLIFULL HOME’Sの特集を活用してみるのもひとつの手

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