賃貸物件の需要は、時代や生活スタイルに伴って変化しています。そうしたなかで、新たな選択肢として生まれているのが「高架下」の賃貸住宅です。

まだ開発されているのはごく一部であり、入居者の条件などにも制限はあるものの、高架下には新たなライフスタイルを生み出す可能性が秘められているといえます。

今回はそんな高架下賃貸物件の魅力や特徴、注意点を紹介します。
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高架下の賃貸物件

 

高架下は「ガード下」とも呼ばれており、高架につくられた線路や道路の下にあるスペースのことを指します。ここでは、高架下にある賃貸物件について詳しく見ていきましょう。

 

高架下のスペースは、一般的に駐車場や駐輪場、飲食店・小売店などの店舗が設置されているイメージを持ちがちです。住宅があるとしても店舗併用のものであるケースが多く、これまで住居として広く普及しているわけではありませんでした。

 

しかし、最近では敷地が限られている都心部を中心に、高架下の有効活用に注目が集まっています。たとえば、カフェやショップなどの商業施設だけでなく、ホテルや図書館、保育園といった静かな環境が必要な施設も設けられるようになっています。

 

このように、高架下が多目的に利用されるようになったことで、最近では賃貸住宅としての可能性にも目が向けられているのです。ただ、通常の賃貸物件とは異なり、今はまだ一般に広く普及しているわけではありません。

 

そのため、高架下に絞って物件を探すのは、2020年の現時点では難しいといえます。

高架下の賃貸物件

 

高架下の賃貸物件といっても、現在ではほとんど数がないため、具体的なイメージはつかみにくいところです。ここでは、2020年3月に完成した「中央ラインハウス小金井」の例をもとに、高架下の賃貸物件の特徴を見ていきましょう。

 

中央ラインハウス小金井は、文字どおり中央線の高架下に設けられた鉄骨造の賃貸住宅で、総戸数は109室。学生向けということもあり、間取りはワンルームで家賃は5~7万円程度と、東京都内では平均的な価格であることが特徴です。

 

LIFULL HOME’Sの家賃相場で検索をしたところ2020年12月時点、物件の最寄り駅である東小金井駅のワンルーム物件の家賃相場は5万7,300円、武蔵小金井駅では6万200円でした。平均と比較をしても、中央ラインハウス小金井の家賃は決して高いというわけではありません。

 

ただ、初期費用として、敷金1ヶ月分のほかに入館料・更新料がそれぞれ12万円必要です。これは、物件そのものの設備が充実している点や、さまざまなサービスを受けられることが主な理由だといえます。

 

中央ラインハウス小金井は学生寮であり、カフェテリアや多目的ホールなどの施設も併設されているのです。カフェテリアでは栄養バランスのとれた食事が提供されるため、一人暮らしの学生には快適な環境だといえます。

 

また、管理人が常駐しており、宅配ボックスやオートロックなども完備されているため、共益費は1万5,000円とやや割高です。

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高架下物件のメリット

 

2020年現在では、高架下物件はまだほとんど普及していないものの、今後は遊休地の活用を目的として数が増える可能性もあります。ここでは、高架下物件にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

 

高架下の物件は、駅までのアクセスが良く、交通の利便性が高い点がメリットだといえます。具体例として先に紹介した中央ラインハウス小金井も、東小金井駅まで徒歩7分、武蔵小金井駅まで徒歩11分と、2つの駅に10分程度で通えるのです。

 

また、人通りが多いエリアならば、買い物も便利になります。スーパーやコンビニなどの商業施設は、すでに高架下でも数多く設置されている例があるため、近隣の環境には恵まれている場合が多いのです。

 

さらに、中央ラインハウス小金井のように初めから学生向けに建てられた物件では、キャンパスまでのアクセスにも優れています。

 

高架下の賃貸物件は新しい取組みであるため、築浅でおしゃれな物件の割合が多くなる点も特徴です。上記の例のように、平均的な価格帯で新築・築浅の物件を借りられる点は、大きなメリットだといえます。

高架下物件のデメリット

 

高架下の物件がこれまで普及していなかったのには、何らかの問題が関係していると考える人も少なくないでしょう。ここでは、高架下物件のデメリットをいくつか挙げていきます。

 

真上を電車が通ることから、振動や騒音は真っ先に気になりやすいデメリットだといえます。しかし、高架下に保育園が設置されている面から見ても、日常生活には支障がないレベルだと考えられています。

 

高架下は人通りが多いため、住まいのつくりによっては、外から室内がのぞかれてしまうといった心配があります。また、雨は遮られるものの、砂ボコリが気になるため、洗濯物を干すスペースにも工夫が必要です。

 

高架下の賃貸物件は、まだ数そのものが少ないので、必ずしも入居できるとは限りません。また、前例の少ない試みでもあるため、生活のイメージを抱きにくいところもあります。

 

多くの実例やデータがあるわけではないため、どのようなメリットとデメリットがあるのかは、実際に住んでみないと分からない側面があるのです。

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防音カーテン

 

物件のつくりにもよるものの、基本的に線路沿いなど騒音が気になりやすい物件では、音への対策が快適な生活を送るための重要なポイントとなります。ここでは、自分でできる騒音対策のコツを見ていきましょう。

 

騒音対策の基本となるのは、物件そのものの防音性に目を向けることです。たとえば、物件の構造上は、木造よりも鉄筋コンクリート造のほうが、振動や騒音は伝わりにくいとされています。

 

また、線路沿いや空港・基地の近くなどの騒音が気になりやすいエリアでは、あらかじめ二重窓を採用している物件も少なくありません。ですから、物件選びの段階で、どのような防音対策が行われているのかを意識しておくことが大切です。

 

防音カーテンや防音シートは、賃貸物件でも気軽に導入できる騒音対策となります。後から設置するだけで一定の効果が得られるため、入居してからどうしても音が気になる場合には試す価値があります。

 

防音サッシや防音ガラスに加工するのも効果の高い方法であるものの、大がかりな工事が必要です。そのため、これらの方法を取り入れるときには、事前に貸主や管理会社の許可を取りましょう。

 

また、意外な方法としては、背の高い家具を壁際に設置するといったものもあります。家具には音を吸収してくれる効果があるため、本棚などを気になる壁側に設置してみると、防音に役立つ場合があるのです。

高架下の賃貸物件

 

  • 時代の変化や技術の進歩に伴い、高架下に住居が設けられるケースが生まれている
  • 静かな環境が求められる施設も設置可能である点から、賃貸住宅としての可能性が注目されている
  • 高架下のメリットは利便性の高さと築浅でおしゃれな物件が多くなる点にある
  • 一方、騒音や振動の問題、前例がほとんどないことへの不安がデメリット
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