賃貸物件の契約には、普通借家契約と定期借家契約の2種類があります。一般的には普通借家契約を結ぶことが主流になっていますので、賃貸物件の契約方法がほかにもあることを知らない方もおそらく多いでしょう。

「定期借家契約ってどういう契約? 途中で解約できないって本当?」 

今回は、そのような疑問にお答えしつつ、定期借家契約についてもっと知りたい人に向けて、途中で解約することができるのか、解約方法、注意点を詳しく解説していきます。また中途解約する際の交渉方法についても紹介しているので、参考にしてみてください。
定期借家物件フリーレント物件

定期借家契約

 

定期借家契約とは、簡単に言うと最初から契約期間が決定している借家契約のことです。基本的には、契約期間が終了した時点で、物件の明け渡しが行われます。

 

この定期借家契約は、以下のような貸主にとっては利用する価値が高い契約方法です。

  • 転勤などで自宅を一時的に貸したい
  • 近いうちに売却を考えている
  • 空いている部屋を有効活用したい

一方、借主にとっては次のような点がメリットになります。

  • 賃料が比較的抑えられているケースが多い
  • 同じ物件の他の部屋も定期借家契約なら、トラブルが少ない

一方、普通借家契約の場合は契約期間が終了したとしても、借主が住み続けることを希望した場合、貸主は正当事由がなければ拒否することはできないので、原則更新されるのが一般的です。

定期借家契約の途中解約

 

定期借家契約では、中途解約は原則としてできません。ただし、以下のような条件を満たせば途中で解約が可能なケースもあります。

原則として建物賃貸借に関して期間が定められているものは中途解約できません。ただし事前に特約(解約権留保特約)を結んでいた場合は解約可能です。

 

また、定期借家契約の場合はこの特約を結んでいなかったとしても、中途解約可能になる以下のような別のルールもあります。

定期借家契約では借主が中途解約権を行使することで、特約を結んでいなくても途中で解約ができます。ただし、中途解約権を行使するためには、以下の3つの条件を満たしていることが必要であることを頭に入れておきましょう。

 

居住目的で使用している

事業用の店舗の場合は中途解約権を行使できず、行使するにはその建物を居住目的で使用している必要があります。

 

ただし、事業用の店舗と住宅を兼用している場合は、中途解約権の行使が認められます。事業用の店舗の、一部分だけでも住居として使っていれば大丈夫です。

 

床面積が200m2未満である

その居住用の建物の床面積が200平米未満であることが2つ目の条件です。

 

事業用の店舗と兼用の場合は、その店舗部分も含めた全体が200平米未満でなければいけません。契約時の書類等で確認しておきましょう。

 

やむを得ない事情により、使用することが困難である

やむを得ない事情で、その場所を使用し続けることが困難であると判断された場合も、中途解約権の行使が許されます。

 

やむを得ない事情とは、病気を患ってしまったり、遠くへ転勤が決まったりした場合が対象です。この事情がどこまで認められるかは明示されていません。「部屋を借りる時点において、予測することができない事態」に当てはまるものが対象ですが、結局は貸主や弁護士、裁判所の判断次第です。

 

これら3つの条件を満たしていれば、借主が貸主に1ヶ月前に予告をすることによって、借主からの一方的な意思表示による中途解約が可能となります。

契約期間の残りの賃料を違約金として支払うことで中途解約することも可能です。仮に、契約期間の終了までが残り5ヶ月ある場合だと、5ヶ月分の賃料を違約金として一括で支払うことで、中途解約できるようになります。

定期借家物件 フリーレント物件

家主に相談する

 

中途解約できないことが分かった場合に、少しでもコストを抑える方法を紹介します。

貸主に相談してお願いしてみましょう。法律上で中途解約できないことが分かった場合、貸主の合意を得ることができれば、中途解約することは可能です。

お願いする際は以下の内容を伝えましょう。

  • どうしても中途解約しなければならない事情があること
  • 中途解約したい具体的な時期
  • 中途解約の際の金銭の条件

続いて交渉で合意してもらうためのポイントは以下のとおりです。

  • 即解約ではなく数ヶ月は賃料を支払う意思があることを伝える
  • その数ヶ月分の賃料は一括支払いすることを伝える
  • 解約の時期を新規入居者が多い3月前後にすることを伝える

基本的に難しい交渉をしていることを自覚して、貸主に寄り添ったお願いにすることで合意してもらえる可能性が上がるでしょう。

引越し先をフリーレント物件にして、無駄に賃料を支払わないようにしましょう。フリーレント物件とは、契約した最初の数ヶ月分の賃料が無料になる物件のことです。

 

中途解約できなかった場合、賃料を二重に支払うことは避けたいものです。新しく引越す物件をフリーレント物件にすれば、少なくとも数ヶ月は以前の住居の賃料を支払うだけで済みます。

 

ただし、フリーレント物件には契約期間が定められているケースが多く、その期間内の解約に対しては違約金が請求されることもあります。そのため、引越し後にまた短期間で転居する可能性がある人にはあまり向かないでしょう。

また、管理費や共益費が家賃と別の場合、住んでいない間にもそれらの費用は発生しますので注意しましょう。

定期借家契約

 

今回は定期借家契約について詳しく解説してきました。今回の記事で、定期借家契約が意外に柔軟性のある契約だと分かってもらえたのではないでしょうか。ただし、いくら中途解約が許される場合があるとしても、基本的には最初に決定した期間で契約終了しなければいけないということは忘れてはいけません。

 

また、中途解約できなかった場合でもコストを下げることは工夫次第で可能です。定期借家契約を結んでしまったけれど、中途解約したいと思っている方は今回の記事をぜひ参考にしてみてください。

定期借家物件 フリーレント物件

更新日: / 公開日:2020.11.25